161ページ目   雑記

外れ無き案件

今月中旬に当欄では「アクティビストの捉え方」と題し物言う株主について触れたが、物言う株主といえば先週末の日経紙投資情報面には「東芝、株主攻防第2幕へ」と題し、東芝が大型増資で投資ファンドらから6000億円を調達してこの1年での株の売却状況で、増資によって新規発行した株式の約22.8億株の約5割程度が市場の内外で売却されている旨が出ていた。

東芝について当欄が触れたのは昨年7000億円規模の自社株買いを実施する方針が伝えられた時だったが、当時は部にこれが売却促進政策思惑も出ていたが果たして今回の売却では先月までに引き受けの殆どを売却した向きは、何れも単純利回りにして約2割の売却益を得てのイグジットとなった模様。

もともと増資自体が有利発行ギリギリの水準とはいわれていたなかで、同紙に出ていた主なファンドリストの中にあったサードポイントは実質1週間程度でこれを捌き、日経紙のリストに出ていない向きでは僅か4日程度で実現益を手に入れたファンドもあった。一方で旧村上ファンド系のエフィッシモ等は保有を続けており攻防第2幕云々と日経紙で書かれているものの、株価も上記自社株買い効果で嵩上げされており何れにせよ美味しいハコであったというところか。


真贋は如何に

さて、当欄でも昨年10月に「価値創造」と題しロンドンを中心に活動する覆面芸術家バンクシーについて触れた事があったが、今週アタマには英西部ウェールズに昨年出現したこの芸術家による環境汚染を風刺した壁画をロンドンの画廊が最低でも10万ポンドで買い上げた旨の報があった。

サザビーズのオークションでは落札と同時にシュレッダーで裁断する演出から上記の環境汚染を風刺した壁画を突如出現させるなど依然として世間をザワつかせているバンクシーだが、そんななか同氏の作品に似た絵が東京港区の防波堤で見つかったとして都は早速描かれた部分を取り外しその真贋を調査する考えを明らかにしている。

いよいよバンクシーの作品が東京にも出現かと話題性十分で、都知事も浮かれて自身のツィッターで東京への贈り物かも?と写真をあげたところ公共物への落書きを容認するのかと早速軽い炎上となっているが、それは兎も角も今後どういった方法で真贋確認するのかまたその結果は如何にとしばらくはワクワクさせてくれそうだ。


今年もいたちごっこ

GOLD NEWSでも出ている通り、昨日に田中貴金属工業が発表した平成30年の資産用金地金の販売量は米中貿易摩擦や英国のEU離脱等のリスクに備える意識の強まりから「安全資産」とされる金に個人の投資資金が流入した結果、前年比35.7%増加の2万4403キロとなり買い取り量は前年比20.7%減の1万7757キロとなっていた。

昨年のドル高加速で夏にかけて金の国際価格が下落、これに伴い国内価格が28年1月以来の安値を付けた事で割安感から8月の月間販売量は実に約4千キロに迫る結果となったという。真っ当な主力業者のデータはこんな感じであるが、一方で今年も都内の買い取り業者で密輸した金塊を換金していた輩が本日千葉県警と東京税関成田税関支署に逮捕された。

手口としては正規輸入を装い自動車サスペンションのバネ部分などに金塊を挟み込んだ上で段ボールに詰め空路で密輸していたというが、押収された220キロというのは一度の押収量としては過去最多という。以前書いた国庫から100億円超が奪われている試算も、今回逮捕された輩の密輸量が計4トンにもなるとみられる事であながち的外れな数字ではなく当局との飽くなきいたちごっこは今年もまた継続しそうだ。


慣行の呪縛

本日の日経紙金融経済面には松井証券や岩井コスモ証券など各証券会社の新たな顧客獲得に繋げるサービスなどが書かれていたが、うち後者の岩井コスモ証券は主流の対面取引を効率化し純増に応じた報奨金のほか手数料収入の一部を得られるものの、金融商品の乗り換えに関わる営業では報奨金を得られなくしている旨が書かれていた。

対面営業の過剰営業防止策ともいえる措置だが、この過剰営業といえば日曜日の読売紙では証券会社が株売買の委託手数料を稼ぐために顧客に株を短期間で買い替えさせる回転売買が横行し、証券取引当監視委員会が今後証券各社への立ち入り検査を強化するなど警戒を強めている旨が書かれていた。

背景には某証券会社による過剰な回転売買で常識を逸脱する手数料を払わされ損失を出した高齢者の例が出ていたが、ネット取引の普及と共に暫くこうした記事を見掛けなかっただけに一寸新鮮であった。ネット取引に不慣れな向きなど根強い需要がある対面取引だが、今の営業マンはスキャルピングなら分かるが仕切りや不抜けなどは知らない向きが普通で未だこうした悪しき慣行が残っている組織は早晩淘汰の道を辿る事になるか。


侃々諤々遅々として

先週末の日経紙・マネーアンドインベストメントには「金融商品、損益通算で節税」と題して、各種金融商品で損益通算が出来る組み合わせ例などが出ていた。また今回は末尾の方に高値から急落した背景もあってか、一昨年に人気が沸騰した仮想通貨に関して雑所得との損益通算が可能な旨も触れてあった。

またFXの損益は日経225先物など先物商品と損益通算できる旨も書かれていたが、このデリバティブと絡めた株式などの損益通算に関してはいまだ侃々諤々といった感じで実現には至らず。この辺に関しても先週木曜の日経紙・市場点描にて証券会社等による2018年末調査で93%が賛成という旨であった事が書かれている。

当欄でもこの件に関してはかれこれ10年くらい前から触れ、今から6年前の税制改正大綱にてデリバティブと株式の損益通算が検討事項に盛り込まれた時には、投資の啓蒙・促進にはある程度暫定でもドラスティックな措置の必要性を感じると書いていたが、上記の通り悪質とされる課税回避懸念等から遅々として先へは進んではいない。

斯様な侃々諤々の過程でテクノロジーの進化から仮想通貨などが俄かにクローズアップされ取り急ぎ?の対応で追われる様なども想像に難くはないが、取引所収益の柱などデリバティブが時代の趨勢となっておりこういったインフラ整備も並行して為されてゆかねばそれこそ国際競争で勝ち残りの道も遠のく懸念がまたぞろ出てくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30