51ページ目   雑記

宇宙ビジネス彼是

さて、今週はじめに米主導で日欧なども参加する月面探査「アルテミス計画」の第一弾として打ち上げた宇宙船が帰還した。また時を同じくして日本の宇宙ベンチャー(ispace)が開発した月着陸船が基地から打ち上げられ、打ち上げ用ロケットから着陸船の切り離しに成功した。民間企業としては世界初となる月の探査をするミッションを目指す。

ところで宇宙ベンチャーといえばちょうどここ日本橋では明日までの予定で、COREDO室町や三井タワー等で国内のスタートアップ企業を中心に宇宙ビジネスの最前線に立つ企業や団体が一堂に会する国内最大級の宇宙ビジネス展示会「NIHONBASHI SPACEWEEK」が開催されているが、参加団体は去年よりも5割近く増えたという。

これまで宇宙ビジネスといえばヴァージン・ギャラクティックやブルー・オリジンの無重力体験や、宇宙ステーションに滞在し宇宙遊泳を体験するスペース・アドベンチャーにイーロンマスク氏のスペースXなど既に海外勢が先行しているが、国内旅行会社もエイチ・アイ・エスが米ベンチャーの手掛ける気球型の宇宙船を使った宇宙旅行を年内に販売予定のほか、クラブツーリズム・スペースツアーズも上記のヴァージン・ギャラクテック社の宇宙旅行を扱う。

ところで宇宙産業の市場規模は現在およそ30兆円規模といわれているが、2040年までに100兆円規模に成長すると見られている。国としても今後発展が見込まれる宇宙ビジネスを経産省などでバックアップしてゆく考えで民間企業支援に乗り出している模様。今後どんなベンチャーが出てくるか楽しみだが、かつて遠い夢であった宇宙旅行も費用の問題はさて置きとうとう民間旅行会社が扱うレベルまで来たかと思うと隔世の感を禁じ得ない。


今年もビターテイスト

週明けはイルミネーションなどを取り上げたが、斯様にクリスマスムードが盛り上がるなかクリスマス商戦も最後の追い込みに拍車がかかっている。大手百貨店やホテルのクリスマスケーキなど有名パティシエのものなど既に早い段階で完売となっているモノが散見されるが、昨年のちょうど今頃は予約の都合でチキン等と共に価格転嫁が間に合わず材料高騰に苦慮していた光景を書いたのを思い出す。

というワケで今年のクリスマスケーキの価格をザッと見てみると報じられているところでは大手百貨店で約半数が5~10%の程度の値上げ、コンビニ大手3社では10%程度の値上げとなっている模様。ただ百貨店のパティシエものなど昨年とほぼ同内容・同サイズでも価格を据え置いている向きもあれば、昨年よりサイズも小さくし値段も大きく上げている向きもあり心なしか後者のケーキは完売の札がなかなか付かないように感じる。

斯様に砂糖やら小麦やら急騰する中で総じて各店の苦労がうかがえるが、ここへきて物価の優等生といわれている卵の高騰も喧伝されている。餌代高騰や鳥インフルエンザの流行を背景に、今月の卵の取引価格は2013年12月に付けた高値280円に迫る9年ぶりの高値水準になっている。農水大臣は例年の傾向から年明けは一旦相場が落ち着くとの予想を述べているが、このクリスマスケーキやらおせち等で需要が高まるのはこれからで昨年に続き今年も各所の企業努力が試される。


ドットチャートの行方

さて、今月に入って米では雇用統計はじめ11月ISM非製造業景気指数など予想を上回る強い経済指標が続いており、利上げが長期化する懸念が出てきている。この利上げ長期化による景気後退懸念が広がるなかWTIは今月に入ってから下落率が8%を超え昨年12月以来、約1年ぶりの安値を付けているが大手各社による23年株式相場見通しもまた慎重なものになっている。

先週の日経紙ではS&P500の予想値がゴールドマン・サックスの4000、モルガン・スタンレーが3900、UBSとシティが同じく3900、バークレイズの3675など足元とほぼ同水準かそれ以下と載っていた。また他にJPモルガン証券が日本のTOPIXを同2100ポイント、英FTSE100を8150、ユーロ圏MSCIを256等との予想を出している。

冒頭の通り或る程度のリセッションは不可避と考えられるが、株式・商品共にその行方は兎にも角にも金利次第の展開。そういった意味ではドットチャートで示される利上げ到達点の見通しに嫌でも関心が向かうところ。タイムラグをもってこれまでの利上げの影響が出ると考えれば今後の大幅な引き上げは微妙な感じもするが、何れにせよ先ずは今週のFOMCに注目としたい。


イルミネーション2022

先週から日比谷公園では「東京クリスマスマーケット2022」がスタートしいよいよクリスマスモード入りというところだが、これに先駆けて街のイルミネーションもほぼ出揃ってきている。先月は上記の日比谷公園界隈では丸の内イルミネーション2022がスタートし、丸の内仲通りがシャンパンゴールド一色に。また同じく定番モノでけやき坂イルミネーションや、近所の東京ミッドタウンもクリスマスイルミネーションもスタートしている。

また今月スタートのものでは表参道もフェンディの協賛でイルミネーションがスタートし、近所では先週末から渋谷公園通りから代々木公園までのイルミネーション「青の洞窟SHIBUYA」が3年ぶりに復活した。そういえば先週末の日経紙夕刊一面では「冬の華 SDGsで灯す」と題し、こうしたイルミネーションに環境配慮の取り組みが広がっている旨が出ていた。

ここでは上記のけやき坂が工夫し年々消費電力量を減らしている旨や、廃油をリサイクルしたバイオディーゼル燃料や微生物による発電で光るボタニカルライトを活用した札幌の大通り公園のイルミネーションやクリスマスツリーを取り上げていたが、これ以外では目黒川沿いの冬の満開の夜桜をイメージした桜色LEDも地域の飲食店等から廃油を回収し、イルミネーション用の発電機を動かす燃料にリサイクルしているなども同様の取り組みか。

ちなみに海外でも冬の風物詩であるパリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションは今年の場合、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で冬のエネルギー不足が課題となり点灯時間をこれまでより2時間あまり短縮しその期間も1週間短縮している。これにより去年より44%節電出来るというが、日本でも同様の取り組みをしている自治体もあり各所がSDGs実現を意識しつつも美しい光を灯し続けるための工夫に知恵を絞っている様がうかがえる。


新陳代謝の相違

今週は米飲料大手ペプシコの人員削減の話が出ていたが、先週は米雇用サービス大手のチャレンジャー・グライ・アンド・クリスマスが11月の人員削減数が7万6835人と発表している。前の月から2.3倍に増加、また1年前から比べると5.2倍に増加した。業種別ではテクノロジー企業が前月から5.5倍になり統計を開始した2001年以降最多となった。

確かに最近目にした大手どころだけ見ても米HPが約4000~6000人の人員削減を計画、Amazonが約10000人を、フェイスブックのメタが約11000人を、オンライン決済サービスのストライプは全体の14%にあたる約1100人を、料理宅配のドアダッシュは全従業員の7%にあたる約1250人を、何かと物議を醸し出しているツイッターに至っては全従業員の約75%の人員削減計画を発表している。

利上げ長期化観測で景気後退への警戒による人員削減の波はテック企業以外でも冒頭のペプシコや、モルガン・スタンレーはじめゴールド・マンサックスやJPモルガン・チェースなどの金融大手にも広がってきている。斯様に米企業では企業業績が悪化した際には従業員の人員削減で人件費の機動的調節が可能だが、対照的に終身雇用が多い日本企業では人員削減による人件費の機動的調節が困難で賃上げの原資となる生産性の向上も阻んでいる。

加えて雇用者を支えるためにゼロゼロ融資なるものまで施しゾンビ企業が蔓延る一因にもなった。米の場合インフレという負のバイプロも付いてくるものの、雇用市場の新陳代謝の速度の違いをまざまざと見せつけられる。社会の安定を優先した日本は今後も低金利・低インフレの地合いに付き合い続けることになるのかどうかだが、いずれ米企業の大規模人員削減の事例が試金石になってゆくか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30