82ページ目   雑記

FridayからMondayへ

さて、今週金曜日に本番を迎える大型商戦「ブラックフライデー」を前にネット系大手など先週からいち早くこれをスタートさせていたが、イトーヨーカドーやイオン等の大手も新聞の折り込みチラシなどでこのブラックフライデーを全面にPRしている。セール内容として特にこれといった目新しさは無いものの、米国のシーズンセールに倣って名前だけでも乗ろうかというこの商戦も今年は出足から好調な模様だ。

上記のイトーヨーカドーなど去年の2倍となるセール商品をラインナップし、発祥といわれる玩具のトイザらスのアクセス待ちは一時45000人にも達しスタートから1時間の売れ行きは去年の数倍以上にも達するなど購買意欲の高まりを感じるものとなっている。背景にはコロナ禍の緊急事態宣言でこれまで叶わなかった消費熱が、ブラックフライデー等の大々的セールを機に購買意欲が刺激されている事など所謂リベンジ消費に因るところが大きいか。

このブラックフライデーの本場、全米小売業協会の年末商戦の予想では過去5年平均の約2倍以上の伸びが見込まれている模様だが、このブラックフライデーが終れば今度は12月のサイバーマンデーが控える。これらホリデー商戦の行方を占う試金石となるだけに先ずはその動向に注目というところか。


二つのレガシー

さて、先週末の日経紙地方経済面では「五輪閉幕後も広がる輪」と題し、東京五輪・パラリンピックで活躍したボランティアが大会後も活躍の場を広げ、ホストタウンだった自治体も独自の登録制度を続けるなど五輪で生まれたボランティアの輪をレガシー(遺産)にしようとしている旨の記事があった。

ところで東京五輪・パラリンピックのボランティアに絡んでは、一方で道案内を担うはずだった都市ボランティアのユニホーム約2万8千人分が余っていた事も同じ日の日経紙が報じている。大会の延期やコロナ禍での事態が相次いだ事が背景になっているが、税金で購入されたその調達額は全体で17億円超となっており各所でこの活用法に苦慮している模様だ。

さて宴の後のナントカではないが更に大きな問題としては、世界にお披露目を果たした総額約1600億円もの公金を投じて新設された国立競技場もこれから年間24億円もの維持費が現実問題として重くのしかかる。これ以外にも各選手が大活躍した東京アクアティクスや有明アリーナなど、東京都が約1400億円もの巨費を投じて新設した計6か所の恒久施設も辛うじて黒字が見込める有明アリーナを除いては赤字運営の見通しという。

一般に五輪の開催国負担は重大災害に匹敵するといわれているが、今回の東京五輪もコンパクトを謳った割には誘致当初の見積もりから実に3倍近い増額という結果になった。華々しい選手の活躍を改めて思い出す頃、冒頭の通り五輪で生まれたボランティアの輪をレガシーにしようという動きの裏で斯様な負のレガシーともいえる問題も現実化してくる。


商戦に波紋

毎年この時期になると彼方此方の旅館から届くDMにはカニを謳ったプランが増えて来るが、今年のそれは昨年の同等モノから比較するに総じて値上げが目立つ。それもそのはずここから正月に向けてカニは最需要期を迎えるワケだが、世界的に資源量が不安定になっているところへ今年はコロナ禍のステイホームから世界的な需要増加で輸入価格の高騰が続いている模様だ。

上記の通り日本は北米やロシアからズワイガニやタラバガニを輸入しているが、主力のロシア産ズワイなど某卸業者では昨年11月から今年の価格は1.7倍に高騰しているといい、また日本海のズワイガニも漁獲枠の減少と共に値上がり傾向にあり国内でも石川県のカニは約10年で漁獲量が半減しその単価は2倍に跳ね上がっているのが現状という。

ところでカニと並んで年末年始に需要の高まるウニやイクラだが、今年は北海道で水温上昇やかつてない赤潮発生の影響でウニや鮭が大量死しその仕入れ値は約2倍にも跳ね上がっている。カニ、ウニ、イクラと高い原価率で提供している大手回転寿司などさすがに一部5割の大幅な値上げに踏み切っているが、暑さの残る時期から既にネット等で予約を開始している百貨店のおせちやお歳暮など価格転嫁は不可能でドル箱の物産展なども含め波紋の広がりは想像に難くない。


地銀の選択その2

昨日迄で上場地方銀行の2021年4~9月期の連結決算が出揃っているが、日経紙では集計が可能な76行・グループのうち65行の純利益がコロナ禍で急増したゼロゼロ融資の利息収入や歴史的低水準の倒産件数等も背景に前年同期比で増加、合計の純利益は39%増の5079億円となり2期ぶりに増益基調に戻ったと報じられている。

ところで地銀といえば先月に当欄では「地銀の選択」と題し、東証再編における地銀のプライム市場の選択の是非について触れた事があったが、本日の同紙金融経済面では「東商再編 地銀、割れる判断」と題しこの東証の新設市場移行を巡って地銀のなかでも判断が割れている旨の記事があった。

大半は最上位のプライムを選択している模様だが、身の丈に合ったマーケットという事で早々にスタンダートを選択する向きあり、12月末の選択申請期限を前に様子見を決め込んでいる向きもある。前回は末尾で地域の中核企業としての看板の意義がこの選択を巡って改めて問われるかと書いたが、ハードルのクリヤを視野に再編促進を指摘する向きもあるなか各行の動向には引き続き注目しておきたい。


脱コングロマリットの波

さて、先週米GE(ゼネラル・エレクトリック)は会社を航空機分野、ヘルスケア分野、エネルギー分野の3月の事業に3分割しそれぞれを上場させる計画と発表。同社は事業のリストラを進めており今年航空機リース事業を売却し、金融事業からの撤退も決めているが、会社の分割で焦点を絞る事で投資が適切に配分されるとし、複合経営に終止符を打つことで企業価値を高める狙いとみられる。

ところでこのGEとほぼ時を同じくして東芝も本体とグループで手掛ける事業をインフラ分野、デバイス分野、半導体メモリー分野の主要事業ごとに3つに分割し、それぞれが上場する方針を検討に入った事が9日付日経紙一面でも大きく報じられ、先週末にはこの分割案が会社側からも正式に発表されている。

東芝といえばかつて2部落ち?に遭った黒歴史があるが、冒頭のGEもあの発明家トーマス・エジソンを源流とする老舗企業ながら18年には米の代表指数であるダウ工業株30種平均の構成銘柄から外される憂き目に遭っている。GEは投資家からの圧力を受けて会社分割を決定したわけではないとしているが、海千山千のアクティビストが犇めく東芝はどうなのだろうか?

ともあれこれが現実化となると140年以上の歴史を誇る巨大企業が事実上の解体?に向かう事になるが、本邦のガリバー的上場企業では初の事例となる。米ではGEに続き直近でもJ&Jが会社分割を発表するなどコングロマリット経営が日米で節目を迎えている。斯様に世界的な趨勢という事もありこれらの件が今後別の複合企業で分割が進む起爆剤となるのかどうか注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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