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ESGモノ増殖

本日の日経紙MarketBeatには「波乱相場が問う選別基準」と題し、昨年12月末時点で世界のESGファンドは5932本となり21年の新規設定が1017本と20年比で14%増えている一方で、ESGの要素を加えておけば投資家から資金を集めやすくなるためESGを冠しているものの環境対応などの実態が分かり難い「名ばかり」ファンドが増加している旨が出ていた。

この辺はブームになった頃からいわれているもので、数年前にも某資産運用大手が新規設定したESGを冠したファンドと他の商品を比較したところその中身は保有上位ベストテンのうち8銘柄が重なっていた事で金融庁のヒアリングを受けた一件もあった事が思い出されるが、昨今の機運で今や企業の多くは何かしらのESG対応を掲げているだけに広義の解釈が都合よく用いられているという事だろう。

欧米ではそのルール作り等に関して先行しているが、日本ではまだこうした分野への出遅れ感は否めないところ。投信などの金融商品はESGに関る資金とその対応等に優れた企業との橋渡し役として不可欠な存在となるだけに、運用会社の目利きが問われるのは勿論のこと今後はそのディスクロの在り方も重要になってくるか。


鬼も内?

本日は節分。昨年は1897年以来、124年ぶりに通常よりも1日早い2日節分が話題になったものだが、明日からは歴の上では春ということになる。最近では関東圏ではあまり馴染の無かった恵方巻も各社の企業努力で購入する向きも増え知名度もやや上がって来た感もするが、一方では豆撒きセットの類などはやや売り場での地位が低下傾向にあるとの感も受ける。

子どもの頃は家族で年の数だけ食べるのが楽しみの一つでもあったものだが、最近では消費者庁が子どもには欲しがってもいり豆を与えないよう注意喚起するなど誤嚥の危険性を訴えたり、撒いた豆の片付けが面倒とやらの理由で販売側の品揃えも恵方巻に傾斜してきたという事か?一方でこの日は豆を投げられ家を追い出される憂き目に遭っていた鬼へ対する擁護論も今のご時世ならではで喧しい。

一昨年大ヒットした「鬼滅の刃」では鬼になってしまった禰豆子が人間と共闘しており、また個々の鬼のバックグラウンドを描いたシーンでは悲哀を盛り込み人間とより近しい存在に描かれている。「鬼は外」と決めつけるのではなく鬼と馴染む「知恵」もこのウィズコロナの時代に重ならないでもないが要は付き合い方次第、「鬼は外、福は内」から「福は内、鬼も内」というコンセンサス?になる日も近いか。


エンタメ戦略

本日で日経平均は4日続伸、そんな中個別では東映アニメーションが連日の大幅続伸となり本日のストップ高で1万円大台を終値で回復するなど目を惹いたが、先週同社は21年4~12月期の連結決算を発表し純利益が前年同期比17%増となっていた。テレビアニメの放映本数が増えた事が寄与した模様だが、欧米や中国など海外でワンピースやドラゴンボールなどの版権も伸び、2022年3月期の連結純利益も従来予想から一転増益となる模様。
 
斯様に今は過去最大のアニメブームといわれ同社にとっても追い風となっているが、お隣韓国の記憶に新しい「イカゲーム」が世界中でヒットしている様を見るにつけ、アニメーション等がお家芸とされるわりに近年のエンタメの世界では日本がこの韓国の陰に隠れてしまっている感は否めない。

ネット動画配信サービス各社では日本アニメの囲い込み競争が激化、上記のイカゲームを配信したところなど積極的に次の戦略に売って出ている模様だが、折角良いアイデアを持っていながらいま一つそれを活かしきれていない感のある日本は、輸出が急拡大している韓国のエンタメ界からIT時代への対応等も含めて学ぶ点はまだまだ多いのではないだろうか。


如月もまた

本日から2月入り、先に書いたようにパンやスナック等が先月から値上げしているが、今月も今の時期食卓に上がる機会も多いおでんなど紀文が練り製品や惣菜を約8%値上げし、昨今流行の冷凍食品類も味の素の14品目はじめやニッスイ、マルハニチロなどで2~20%の値上げ、また日清フーズやニップン等もパスタやパスタソースを約2~10%値上げする。

斯様な食品の値上げが続く背景としては言わずもがな原油等のエネルギー価格、原材料の高騰、物流コストの上昇に円安、そして新型コロナウイルスの変異株等々、複数の要因が複雑に絡み合いこれまでの値上げ局面とは次元の違いが色濃く出ており、企業のコスト削減努力もいよいよ限界を迎えているといったところだろう。

株式等でもよく使う行動経済学では、消費者は一般的に過去の価格と比較し商品価格の高い安いを評価する傾向が強くこれを原始的に利用しているのが頼んでもいないのにどんどん値を下げ視聴者を煽るテレビ通販の類か。そう考えると買い控えも応分に出てきそうだが、何より賃金アップが追い付かず生活の負担感だけが増してゆくといった悪い物価上昇の深刻化が懸念されるところ。


値決めにメス

さて、当欄では昨年の夏頃に公正取引委員会がIPO(新規株式公開)時に適切な資金調達が出来ているか否かの調査を始めた旨を取り上げた事があったが、先週末に同委員会は証券会社各社が主導しているIPO時における価格決定を巡る報告書をまとめ、現行の値決めの慣行は独占禁止法上の優越的地位の乱用にあたる恐れがあるとの見解を示している。

慣行とされているのは証券会社が個人投資家を呼び込む狙いで主幹事などが個人に売り易いように公開価格を下げる傾向にある点などで、この辺が欧米の機関投資家中心の売買主体との相違を如実に表しており、実際に公開価格の1.1~1.2倍という欧米の初値平均に対して日本のそれは約1.5倍という点で色濃く表れているというところ。

年末にも取り上げたように昨年度のIPOは前年比3割増の130社超と2006年以来の高水準となったが、例えば米ではたった一社でその時価総額が東証マザーズ全体にほぼ匹敵するリビアン・オートモーティブなどの上場に見られる通りその調達額において日本勢はこの米などと比較するに約10分の1程度にとどまり見劣り感は否めない。

値決めのみにスポットを当てる議論に違和感を覚える意見も一部にあるが、昨今のコロナ禍を背景にした市場の不安定化さも勘案し公開価格は従前よりも更なる低めの設定が必要との論も一部に出ている模様で、ロードショーの形骸化など構造的な問題含めスタートアップ企業が適切に資金を調達出来る環境整備は証券会社間の公平な競争等とも併せて促されるべきであろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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