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成長か肥大か

昨日記の通り今週は週明けから日経平均が3万円の大台を超えてきたが、個別でもこの日経平均への寄与度が約10%と影響力の極めて高いファーストリテイリング株もまた10万円の大台を超えて上場来高値を更新していたのが目立ち、本日の日経紙企業面でも「ファストリ、時価総額10.8兆円」と題し同社の時価総額が10兆8,725億円となった旨の記事が出ていた。

ところでファストファッションの双璧といえば世界ではこのユニクロを展開するファーストリテイリングとZARAを展開するスペインのインディテックスだが、これまで長年のあいだ時価総額で後塵を拝していた同社もこれで初めてインディテックスを超えはれてアパレル業界で世界首位に躍り出たということになる。

最近はサステナブルを意識したモデルを構築しコロナ禍も追い風になったのか、はたまた今や大株主にまでなった日銀のETF買い効果なのか、何れにせよ今やこれを買うのに1単元でも1,000万円以上が必要となるワケで数年前のように手軽に手の出せる銘柄ではなくなってしまったが、今後も日銀政策と併せいろいろな意味で目が離せない指標的存在になっているのは間違いないだろうか。


コロナ後を買う?

昨日の余勢を駆って本日も日経平均は大幅続伸となっていたが、米休場の狭間を縫って昨日はとうとう1990年8月2日以来約30年6ヵ月ぶりに終値で30000円の大台を超えて来た。内容としては小売りや半導体関連に資金流入が目立ったが、このセクターでも寄与度が高いファーストリテイリングとファナックの2銘柄でこの日の上げの約3分の1を担ったという構図だ。

しかし今月に入ってからというものあれよあれよと3000円以上も上昇し嫌でも高値警戒感が感じられるものの、溢れた緩和マネーの変わらぬ受け皿として否応なしの状況となっており先の米市場のゲームストップ株ではないが実需というよりETF等も含め構造的にショートが累積していた構図がスクイ−ズを誘発した可能性も無きにしも非ずか。

ところで30年前というと何所も彼処もギラギラしていた懐かしい光景が今でも直ぐに思い出されるものだが、それは兎も角この当時の時価総額を見てみると首位はNTTでそれに続いてズラリと並んでいたのはまだ合併前の大手銀行勢だった。また世界ベースで見てもNTTは2位に君臨していたが、今や国内首位のトヨタ自動車でさえ30傑にも入らない凋落?ぶりとなっておりこの辺は他国との新陳代謝の違いをあらためてまざまざと感じさせられる。


実需への期待

さて、先週は米株式市場でダウ工業株30種平均が3週間ぶりに史上最高値を更新した裏で仮想通貨のビットコインもまた史上最高値を更新していたが、その切っ掛けとなった一つにあのテスラがビットコインを15億ドル購入した件がある。現金運用先多様化との事だが近く商品代金決済をビットコインで可能にする方針もあり、実に90兆円ともいわれるビットコインの経済規模を取り込むのがテスラの目的ではないかとの観測もある。

このテスラの報道に続いて米大手銀行バンク・オブ・ニューヨーク・メロンもビットコインを中心とする一部暗号資産を顧客が保有・送金・発行するのを支援する部門を新設すると発表しており、先駆したペイパルやスクエアなど関連株がこの一連の報道で再度物色され当のビットコインも実需への期待から先週末にかけ連日で史上最高値を更新していた。

ビットコインなどの仮想通貨に関しては予てより決済手段としての活用が広がるという実需の期待があるものの、今回の件でも明らかなように影響力の大きい企業や経営者の一声で10%以上の急騰を僅か数十分で演じるなど価格安定性には依然として疑問符が付き、直近では北朝鮮による交換業者等への攻撃で推計3億ドル以上が奪われた事件も明らかになっている。

悲願のETFもこれまで数社が申請を試みるも上記のような理由からことごとくSECに弾かれたり自ら申請を取り下げたりしているが、今後は果たしてこうした大手の後追いで日米大手なども追随してくるかどうか、またそれらによる一般への浸透で実需の成熟化が適うか否かも今後派生モノ含めキーとなって来ようか。


バレンタインデー2021

さて来たる日曜日は毎年恒例のバレンタインデーだが、今年は言わずもがな新型コロナウイルスの感染拡大の影響から本命組も手作りチョコや手渡し等も憚られる雰囲気のなか、義理チョコに至っては昨年に続いてテレワークの増加や今年の日並びも日曜日とあって2年連続で手渡し無しの憂き目に遭うチョコも多そうだ。

そんな今年も渡さないバレンタインの形態となるなか、こちらの商戦もおせち料理よろしくオンラインに活路を見出したものが目立つ。バレンタインに関する調査を実施している松屋銀座は今年初めてバレンタイン専用のオンラインストアを開設、高島屋のお試し粒買いはじめ他の大手もそれぞれ自分へのご褒美等へ独自色を出した提案で義理チョコ需要減少分をカバーしようと戦略を練っている。

ともあれ上記の通り義理チョコ需要の減少も響いて今年のバレンタインデーの市場規模は昨年から約20%減の約1050億円にとどまるとの予想も出ているなか、大手のゴディバは過日コロナ禍の影響で北米での全128店舗を3月末までに閉鎖または売却すると発表、それだけでカカオ相場が一時値下がりを演じた経緯があるが対照的に日本事業は好調な模様。ここ数年のサロン・デュ・ショコラの盛り上がりを思い出すに終息後の復活が期待されるところ。


2021年IPOスタート

さて、先週末には2021年最初のIPOとなる半導体レーザー、網膜走査型レーザーアイウェアを手掛けるQDレーザーが東証マザーズに上場となったが、その注目の初値は買い気配のまま前場を終える人気で後場に入って引け前になって漸く公開価格340円の2.34倍に相当する797円の初値を付けた。

本日も同社は寄り付きからいきなりストップ高とその騰勢は止まることなく破竹の勢いとなった今年の一発目であったが、昨年のIPOを振り返ってみると前半と後半で環境に明暗が分かれたものの、前年比8社増の102社となり07年以来13年ぶりの高水準となった。また日経紙によれば上場初値は公募・売り出し価格の平均2.3倍に達し、15年ぶりの高水準となった模様。

資金吸収額が比較的小粒な企業がマザーズの約7割を占めたという構図もこうしたロケットスタートに一役買ったともいえるが、今年のIPOはといえば概ね前年並みかそれ以上の上場件数が見込めそうなものの昨年延期となったキオクシア等も見込まれる事で小粒一辺倒という感じではなさそう。公開価格と市場価格の大幅乖離は投資家のニンマリ顔と対照的に公開企業側に取っては問題も残るものだが、上記の部分でこれが多少緩和される事になるかどうかこの辺も見ておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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