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言論の自由至上主義

周知の通り電気自動車大手米テスラのイーロン・マスクCEOが米ツイッター社の筆頭株主に浮上しその後に同社はマスク氏を取締役に迎えると発表されていたものの、その数日後に予定されていた取締役就任日直前になって同氏は取締役就任を辞退、返す刀で今度はツイッターの全株式を取得する買収を提案している。

同氏は残る全株を1株あたり54ドル20セントで取得すると表明、最善且つ最後の買収案を提示したとしているが、この一連の動きに対しツイッター側もポイズンピル等の買収防衛策導入を検討している模様だ。このポイズンピルは日本でも近年では東芝機械や古くはブルドックソース事件でも記憶に新しいが、取締役会が買収提案を拒否した場合には代替案があるとしている。

まさに株式で膨れ上がった資金力を背景にまたも大掛かりなマスク劇場が展開されているが同氏が論点に挙げているのが「言論の自由」、過去には投稿を巡りSECに訴えられた騒動もあったがこの敵対的方向に向かっている買収劇の裏で双方がどういった論点で対立しているのかが焦点、今後更なる買収金額の引き上げがあるや否やこれらと併せ目まぐるしい展開なだけに目が離せない。


イースター2022

さて、来たる日曜日はキリストの復活を祝い春の訪れを祝う「イースター」(東方教会は24日)だが、既に例年の如くラグジュアリーホテル等ではアフタヌーンティーがこれに絡んだものが登場し、ピエール・エルメやジャン=ポール・エヴァンなど今年も新たなシンボルの卵やそれを運んでくるウサギのモチーフの新作チョコレートを展開している。

とはいえ日本ではこれに因んだ商戦にあまり派手さは見当たらないが、米では現在本格化しているイースター商戦は年間の消費動向を占う先行指標として業界では注目されるところで、今年はコロナが完全収束しない中で集いの自粛や一昨日に発表された3月消費者物価指数が約40年ぶりの高水準となった事なども背景に購入活動は20年、21年の過去2年の実績より下回る事が予想されている。

ところで今更ながらイースターで卵がシンボルになっている理由は、卵が命を生み出すものであり復活の象徴とされているからに他ならない。ウクライナのイースターエッグは「ピーサンカ」と呼ばれているが、日々同国の現場の惨状を報道等で見るにつけまさに一刻も早い終結と「復活」を願わずにはいられない今年のイースターである。


食糧インフレの足音

さて、一昨日に製粉業界最古参のニップンは政府が輸入小麦の売り渡し価格を4月に平均17.3%引き上げた事を受け、業務用小麦粉を6月20日分から値上げすると発表している。業務用小麦を巡っては既に製粉トップの日清製粉が値上げ発表をしているが、これで今後も引き続き食料品などの価格に大きな影響を与えるのは想像に難くない。

この辺は言わずもがなウクライナ危機が更に拍車をかけているのが背景だが、10日付の日経紙総合面でも「食糧高騰 アジアに打撃」と題し食料高騰がアジアや他の新興国にも影を落としている旨が出ていた。食糧価格高騰がトリガーになり大規模デモとなったパターンでは11年の「アラブの春」が記憶に新しいところだが、現在の構図もこれと同様で予断を許さない状況だ。

この度のロシアによるウクライナ侵攻は世界中で掛け声になっているSDGsの各動きにも大きな障壁となる事が予想されており、17の目標のうちの一つである2030年までに飢餓をゼロにという目標の達成など暗雲が漂う。FAO(国連食糧農業機関)が先週に発表した3月の世界の食料価格指数は2ヵ月連続で過去最高値を付けているが、食糧インフレが今後様々な事に波及しないのを祈るばかりである。


IPO一転

本日はグロース市場にサークレイスが新規上場となったが、旬な業種のうえ市場からの吸収金額の軽量感も囃され買い気配のまま初日の取引を終えた。IPOといえば一昨日の日経紙総合面には「新規上場急ブレーキ」と題し、金融引き締めやウクライナ危機で株式市場が混乱した事などを背景に昨年のIPOブームから一転して、今年1月から3月で世界のIPOのうち128社が中止となり過去20年で最多となった旨が出ていた。

特に米での減少が目立つが、日本でも同期間に7社が上場を中止しこの期間のIPOは15社と8年ぶりの低水準となった格好だ。特にネット銀行で初の上場案件という事で注目されていた、先月24日に東証一部上場予定であった住信SBIネット銀行はその想定時価総額が約3000億円にのぼる大型案件であった。

冒頭のサークレイスは公開価格の2.3倍まで買い気配を切り上げるロケットスタートとなったが、これまで上場したうち約3割の初値が公開価格を下回っているのが現状。バリュエーション水準も切り下がり想定していた資金調達難から今年のIPO数は下方修正が濃厚ともいわれるが、売買主体が欧米のような機関投資家とは異なる構図の日本ではその手段も限られるのが悩ましいところで資金供給する道筋の広がりなど今後の課題となるか。


自社株買い模様

月初の日曜日の日経紙1面には「自社株買い7割増」と題し、上場企業が2021年度に取締役会で決議した自社株の買い入れ枠が累計で8兆円超えとなり前年度に比べて68%ほど増えた旨の記事が出ていたが、この辺に絡んでは先月もトヨタ自動車が発行済み株式の0.58%にあたる8000万株、1000億円を上限とした自社株買いを決議していたのが思い出され同社としてはここ1年で3回目の発表となる。

自社株買いといえば米でも先月は6日に複合企業大手GEが取締役会で最大30億ドルの自社株買いを承認、続いて9日にはアマゾン・ドット・コムが最大100億ドルの自社株買いを株式分割と共に承認、また半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズも11日、新たに60億ドルの自社株買いを承認するなど大手企業が続々と自社株買いを加速している。

米ゴールドマン・サックスによれば上記の通り年明けから2月末までにS&P500種の採用企業発表の自社株買いが21年1~3月から3割増加、堅調な企業のキャッシュフローをテコに今年の自社株買いは過去最高になる可能性があるというが、本邦勢もコロナ禍の影響もあって2020年度は3.9兆円ほどにとどまっていたものが、冒頭の通りの復調急でリーマン・ショック後の最高だったコロナ禍前の2019年度を上回っている。

斯様に手持ちの現預金が多くROEが低い企業などコーポレートガバナンスを背景に自社株買いに動き易い素地があるものの、一方で岸田総理が自社株買い規制を巡る発言で物議を醸し出したのが記憶に新しいほか、米でも2023会計年度の予算教書には新たな自社株買い規制案が出ておりこの辺の警戒感が足枷にならないかという懸念もあるが引き続きその動向には注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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