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揺れ継続

先週末の欧米株式の続急落を受け懸念された週明け本日の日経平均は日銀総裁談話が報じられ、一回の買い入れ額としては過去最大の日銀によるETF買い入れ実施をした事から終わってみれば6営業日ぶりに反発となったが、その値幅も758円と2018年2月6日以来約2年1か月ぶりの大きさとボラタイルな展開となった。

日米欧の時価総額は前週末比較で1割減少したと先週末の日経紙一面では報じられているが、オプション市場も半信半疑なコールに比較し手掛け易い3月限プット17750など本日は寄り付き99円が夕刻には50円台に半減したのも束の間、これを書いている現在は185円の高値を付け約3倍に急騰するなど目まぐるしい展開を見せている。

街へ眼を遣ると外出自粛ムードも相俟って先月の百貨店売上高は前年同月比2桁減少が相次ぎ、首都圏ではホテル料金も軒並み2〜3割ディスカウントになってきている。また本日からの休校要請でテレワークと共に休校で自宅のパソコンやタブレットを活用した教育もテレワークと共に注目を集め出した。

ともあれ日銀総裁談話で取り敢えずの一服を見せた日経平均だが、各国による協調利下げが実施される運びになってもそれで企業業績の急回復が望めるワケでなく、ましてや新型コロナウイルスの感染拡大が止まるワケでもないわけで今後のディスクロで更に顕著化して来る経済への影響とタイムラグの先取りとが交錯する相場展開になろうか。


焦土作戦?

さて、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の警戒感から本日も日経平均は大幅に4日続落となり銘柄によっては魅力的な利回りのモノも出てきたが、先週末の日経紙・真相深層では前田建設工業によるTOBの標的となった前田道路がこれに対する対抗策として従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施を決めた旨が出ていた。

要はTOB条件によく付帯されている買収対象の資産価値が大幅に変動するようなケース、つまり今回の場合は10%以上が減少する場合はTOBを撤回出来るという条項をTOBを断念させるべく実際に行ってしまおうというものだが、確かに豊富な現預金を吐き出した箱になお買収する合理性があるのかというところで何とも捨て身な作戦に出たものだ。

このTOBに関しては当欄で先月末に一度触れているが、前にも書いた通り同じ前田の名前が付くも元は他人同士で独立を保って成長してきた経緯があり、しかも時価総額で見れば前田建設工業よりも上位に位置しているだけに一言では語れないようなある種プライドのようなものがコアになっている感も。

豊富な手元資金を巡ってはまだ投資ファンドがハゲタカ等と揶揄されていた時代から多くの上場企業がこの点を指摘されターゲットにされてきた問題でもあったが、このご時世に余剰資金を成長投資に使う事なくTOB回避の増配に回さざるを得なくなった今回のケースは企業価値向上という部分でまだ新たな問題提議をしそうだが、さて、捨て身に出た前田道路の賭けが奏功しTOB撤回となるのか否か先ずは注目しておきたい。


有事の無国籍通貨

さて、昨日記の通りで新型コロナウイルスのパンデミック懸念で各国株式市場は大幅続落となっている一方で、【GOLD NEWS】にも連日挙がってきているように再び騰勢を取り戻しているのがゴールド。国際価格は先週7年ぶりに1,600ドルの大台に乗り、TOCOMの金も円安と相俟って連日の上場来高値更新を演じる事となった。

当然ながらETFなども今週に入ってからそれぞれが続々と年初来高値更新となっているが、昨年末段階の投信番付では金鉱株モノが更にレバを効かせ先進国株式型の過去1年の運用成績調べの1位と2位は南ア・オーストラリア等の金鉱企業株式を主要投資対象としたブラックロック・ゴールド・メタルとなっていた。

この背景には米中貿易摩擦に中東問題、香港デモなど地政学リスクの高まりがあったが、現在は何と言っても直面している新型肺炎のパンデミック懸念が原動力になっている。加えてFRBの利下げ観測の高まりなど世界的な利下げムードも下支え効果となり昨年から続く息の長さが今年もより一層鮮明になって来た感もある。


パンデミック懸念

週明けのNY DOWは1,031.61ドル安とその下げ幅は2018年2月8日の1,033ドル安以来、過去3番目の大きさを演じ、連休明けの日経平均もこれを受けザラバで1,000円を超す急落を演じて引けは781円安と2019年10月21日以来、約4か月ぶりの安値水準で引けた。この連休中にイタリアや韓国で感染者数が急増した事でさすがにパンデミックが現実味を帯びてきた表れか。

マーケットの構図も先週はTA等のファンド勢の短期マネーを背景にNT倍率が約28年ぶりに14倍の大台に乗せる歴史的な水準を記録、TOPIX先物への執拗な外資売りにSARSの時の覚えで日経平均も悲観視されていなかったバレンタインデーの頃には既に金も40年ぶりの高値まで不気味な上昇となっていたのも今更ながら急落に備え粛々とヘッジが這わされていたという感もある。

パンデミックでオリンピックの東京開催が難しくなるシナリオが最悪のケースだが、一方では上記のSARSやMERSなど歴代のパンデミック懸念時にショック安した後の騰落率を見るに有事の買いは奏功し易く、セル・イン・メイの前の仕込みにこの2月を挙げる市場関係者は多い。果たして今回もこのアノマリーが適うのか否か、VIXやVIなども睨みながら引き続き注視しておきたい。


アカデミー賞もSDGs

さて、今年第92回となる映画界最大の祭典でもあるアカデミー賞ではメーク部門で日本のカズ・ヒロ氏が二度目の受賞を果たす快挙となったが、もう一つは韓国の映画「パラサイト」が作品賞など4部門を制するという非英語の映画では初の賞を獲得するといういつもとは違った光景が話題になっていた。

さて、アカデミー賞といえばレッドカーペットにセレブが豪華ファッションで集結するのも定番の光景だが、もう一つ印象的だったのは今回はサスナビリティ(持続可能)がテーマだっただけに女優のグッチのドレスも英アカデミー賞で着たドレスをリメイクしたものあり、また別の俳優のプラダのセットアップも廃プスチック等を再利用したリサイクルナイロン素材を使用しているものなどこの手が目立った。

そういえばこのプラダは5月にブランドとして初めて日本で予定していたファッションショーが新型肺炎の影響で延期となってしまったが、ファッションショーといえば先に英ロンドで開催されたトミーフィルフィガーのショーではオーガニックコットンやリサイクル素材等を使ったこれまたサステナブルファッションが話題となっていた。

これまでレッドカーペットなどの衣装は1回のみという最初で最後の着用が美の定義であったものだが、斯様にサステナビリティを敢えて選ぶという今年の授賞式を見るに美の定義が変わりつつあるこうした光景はファッション業界の歴史が変わる節目を予感させるに十分かもしれない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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