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犇めく思惑

さて、東芝は半導体メモリー子会社である東芝メモリを米ファンドなどに売却する計画について、5月末までに独禁法の審査で難色を示している中国当局の承認が得られない場合、既に債務超過が解消されており売却の必要性が乏しいとの判断もあり売却を中止する方針を固めているとの報が先週あった。

昨日は香港の一部アクティビストについて当欄で書いたが、本件に絡んではこれまで鳴りを潜めていたアクティビストであるやはり香港の別な投資ファンドが、他投資ファンドが主導する買収案の再考を促す内容の書簡をCEOに送るなど圧力を強め始めた旨が本日の日経紙に出ていた。

昨年のスピード増資劇において本邦勢がその短期間で巨額のリスクの受け皿になれない中を錚々たる投資ファンドの面子が受け皿となって上場廃止の回避が叶ったワケだったが、それと引き換えの最初の関門に当たった感じでここからが同社にとって吉と出るのか凶と出るのかアクティビストの思惑が絡み合うこれから目が離せない展開である。


発掘作業

さて、先週末の日経紙投資情報面には年末の経営統合で上場廃止となるアルパインが香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーから2018年3月期の期末配当として1株325円を支払う事や社外取締役2人の選任を求める事などの株主提案を受け取った旨が載っていた。

同社がもともと期末配当として予定している金額は1株15円だが、予定額を20倍以上も超える配当要求が最終的に通るか否かは別としてこの手の予定額の10倍以上にものぼる大幅な配当金引き上げに追い込まれた?パターンとしてやはり記憶にあるのは、2003年にスティール・パートナーズからTOBをかけられた当時2部であったソトーとユシロ化学か。

ソトーはそれまでの年間13円の配当を15倍以上の200円に、またユシロ化学もそれまでの年間14円の配当を14倍以上の200円に其々引き上げている。思えば当時は極端な話解散してもなお時価を大幅に上回る分配が出来たような不当な低評価で放置されていたケースがごろごろ発掘出来たものだが、当時からアクティビストの質がガラリと変わり掘り尽くしたかのように見える市場で今なお冒頭のケースのように飽くなき対象の発掘は続いている。


転売ヤー

現在日本橋高島屋で開催されているフィギュアスケートの羽生選手の「羽生結弦展」で販売されている限定グッズが、ネットで40倍以上の高値で転売されているのが物議を醸し出しているが、転売といえば今週は衆議院第1議員会館でも「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」が行われた。

こちらは昨今チケットが元値の100倍以上で取引される事もある現状をこれ以上看過出来ない問題として歌手らが超党派の議員らに訴えたもの。確かにプラチナチケットといわれるコンサートでレアシートの空席が目立ったりグッズの販売までその影響が及んだりとアーティストも危機感を持って問題視している。

とはいえ都道府県条例もことネットの世界では縛れずこれまた法の抜け穴が露呈されるが、マッチングにしてもアナログ?な路上などよりネットの方が遙かに受け皿を捕まえ易くこの辺もまたビジネスチャンスを提供してしまっており、その範囲も海外へ舞台を移したりSNSを駆使したりと縦横無尽だ。

冒頭の議員会館の要望を聞く会ではライブ・エンターテイメント議員連盟会長がゴールデンウィークまでに事務的な事を詰め終わったら一気に行きたいと意向を示したが、来る20年五輪・パラを前にしてこれらの観戦チケットで斯様な高額転売が横行するような事があれば国際問題化さえしかねないだけに早急な対策が求められる。


温度差

さて、小学校4年生が子どもでも簡単に円を描けるように考案したコンパス用補助具が特許庁から実用新案登録を受けたのがニュースになっていたが、特許といえば上場企業の世界でも本日の日経紙・真相深層に出ていたように大手ゲーム会社業界が特許侵害として訴訟を起こす事態が相次いでいる旨が載っていた。

冒頭では昨年から関係者の関心を集めている任天堂によるコロプラへの提訴が書いてあったが、任天堂と並びカプコンなど古株勢?からコーエーテクモにグリーやディー・エヌ・エーの新興勢まで各所で著作権ではなく特許というステージでの争いが主流にシフトしてきている模様だ。

気になったのが文中にあった「従来は顔なじみの企業同士が交渉によって内々に収める場合が多かった」という大手知財担当者の言葉。クロス・ライセンス契約等もあり業界の商慣習を回してきた老舗勢と或る意味ドライな新興勢との温度差も一因と考えられなくもないが昨今の消耗戦が市場成長の枷にならぬか危惧されるところである。


資源枯渇?

昨日の日経紙夕刊一面には「ウナギ今年は高値」と題して、3月以降専門店でウナギの値上がりが相次いでおり、今年は年間で最も需要が高まる土用の丑の日は量販店にも高値が広がりそうな旨が載っていた。

シラスウナギの漁は今月いっぱい迄だが、このウナギの稚魚不漁で記録的な不漁だった2013年度を大きく下回る恐れがあると当欄で書いたのが今年の1月であった。はたしてこの時から前年の3倍に高騰し、ウナギの卸値も前年比6割高とこの2013年以来5年ぶりの高値を付けている。

1月段階で早くも丑の日の影響が懸念されると書いたが、その懸念は月を追う毎により一層濃くなっている。昨年の3年ぶりの豊漁が幻の一服だったか、やはり国際自然保護連合に絶滅危惧種にまで指定された物がいつまでも食材で罷り通るワケは無いのか否か、今年は代替商戦も注目されそうである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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