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目的別アンティーク

さて、今週あたまの日経紙には「希少コイン 人気の怪」と題して、値上がり益の期待やはたまた取引記録が残らず第三者から見えにくいという特殊性からの資産隠し等も含め100年以上前に欧州などで発行されたアンティークコインの人気が高まっている旨の記事があった。

アンティークの並びで値上がり益の部分に焦点を当てて論じれば同じステージに挙がってくるものとしてはアートや自動車、ワイン等も応分のパフォーマンスを上げ注目されてきてはいるものの、こと資産を補足されたくない向きに以前から安定した人気なのが上記のアンティークコイン、そして切手の類だろうか。

いずれも足跡が付き難く売買実態が見え難い上に何と言っても運ぶのが容易な点がひと際存在意義を際立たせているというものだが、それにしても週明けに取り上げたビットコインが最新通貨ならその対をゆく格好のアンティークコイン、デジタル通貨が代替資産人気で暴騰する一方でこうした現物資産なる対極通貨が同時人気を博しているさまは一見カオスのようだがその実今の時世を如実に表しているか。


GIの行方

さて、パスタ等に使う粉チーズが切れてしまい近所の某スーパーでブラブラと物色していたら、暫く目にしなかったお気に入りのパルミジャーノの粉チーズが入荷しておりつい余計に買ってしまった。これは所謂よく見るパルメザンの類とは全く違い、知人の家で出逢って以降他のものはなかなか受け入れ難くなっている。

ところで以前の当欄で日欧EPA締結について書いた事があったが、このパルメザンチーズなどすっかり商品名として定着してしまっているものの、中身はといえばアメリカ製という事でゆくゆくはこの名前も使用するのが危うくなるという事になる。イタリアのパルミジャーノに限らずフランスのカマンベールもまた然り。

そ互いの市場で「〜風」「〜スタイル」といった表記で売られる類似品を排除という事になると、それこそレストランのメニュー表記にまでケチがつきそうだが、欧州では神戸ビーフを謳う偽物肉が出回る現状を見るにつけ何とも複雑なところ。今秋に最終案を固めるという事だが米などの出方含め今後の関係協議会等の動きにも注目しておきたい。


IPOならぬICO

昨日は4,000ドルを超えた仮想通貨ビットコインについて触れたが、昨日の日経紙には「仮想コインで資金調達急造」と題して、企業が株ではなく独自の仮想コインを新規発行して個人投資家など買い手を募るICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ぶ資金調達が欧米アジアで急増している旨が載っていた。

ICOで発行するコインに価値を持たせる仕組みは発行企業によって千差万別だが、SECなどは先月に同コインは条件によっては有価証券に該当し投資家保護を念頭に規制対象にすると宣言、シンガポール中央銀行もこれに続いて同様の声明を発表している模様だ。

このICOに関してはテックビューロ社がブロックチェーンの新プラットフォームであるCOMSAの開発にあたり10月2日からICOが行われる予定。このテックビューロは非上場ながら、COMSAを使ったICOとしては東証二部に上場しているプレミアムウォーターホールディングスもこの後に上場企業初のIOCを実施する予定となっている。

これを好感して同社株は今月の上旬には二日連続のストップ高を演じて年初来高値を更新していたが、斯様な資金調達も相場に影響を与えるに充分な材料となり得るのを証明した格好になっている。


有事の受け皿の幅

先週からまたぞろ挑発合戦が繰り広げられる展開になっている米朝関係の緊迫化を嫌気して連休明け本日の日経平均は大幅に4日続落となったが、為替の方もCFTCの円の売り持ち高が約2年ぶりとなるなか、安全資産とされる円がNY市場では一時108円台まで大幅高する場面もあった。

ところでこうしたリスク回避による資金逃避の受け皿になっているのは何も上記の円に限った事ではなくビットコインもまた然り、つい先月には処理改善策を巡る対立による分裂騒動が嫌気され一時は2,000ドル台割れまで売られたビットコインであったが、昨日未明には初めて遂に4,000ドルの大台を超えてきている。

投資家層の広がりを考慮すれば今や時価総額も600億ドルを突破してきているこの市場に株式や債券等から有事の代替資産として資金が流入してくるのも頷けるが、有事に反応する定番の金でさえ上昇したといはいえ約5%そこそこ、一方のビットコインは100%ともはや先の価格逆転の話題が遠い昔のようにも思えてくる。


二部の池に鯨

本日の日経紙一面には「東芝決算 限定付き適正」と題して、昨日にPWCあらた監査法人が東芝の2017年3月期の有価証券報告書につく監査意見について「限定付き適正」とする方針を示した事が明らかになり、これで一先ずは決算の監査を巡っての同社株の上場廃止懸念は一先ずのところ後退という形になった。

ところで東芝といえば今月に入ってからポストは二部に指定替えとなっているが、東証二部創設以前から上場していた歴史を持つ同社からすれば債務超過の背景があるとはいえ屈辱だろう。同じ一部6000番台の主力を担っていたシャープも都落ちしたものの鴻海のメスが入り一部復帰を目指しているが、過去10年程度を見てみれば一部に復帰出来たのはオリコしか見当たらないのが現状。

また二部の特性上、その不釣り合いなボディーが入って来た事で上記のシャープと東芝の二社だけでその時価総額は二部市場の3割を占めるに至り、刻み値も変更になる事も併せ指数そのものが今後歪んでくる可能性も否めない。上記の報を受けて本日の同社株は寄り直後こそ大幅続伸となったものの、あと値を削り引けでは小幅続伸にとどまった様は債務超過含め同社株にまだまだ燻る懸念を如実に表していると言えようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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