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規制の抜け穴と課題

本日の日経紙社会面には「仮想通貨業者 強制調査へ」と題し、ビットコイン・イーサリアムに次ぐ仮想通貨の一つであるリップルの取引を巡り顧客から現金を騙し取ったとしてこの関連会社代表を警視庁サイバー犯罪対策課が詐欺容疑で逮捕した旨が載っていた。

このリップルといえば今年の夏に一度取り上げた事があったが、春先に1円にも満たなかったものが約2か月後には50倍にも化けた経緯がある。現在は25円絡みの動きとなっているが良くも悪くも誘い水としてツールになり易い側面があっただけにマウントゴックス以来の仮想通貨絡みの詐欺事件となった。

先週から入ってきている直近の金融犯罪の報としては、他にマザーズ上場のインターネット通販企業、ストリーム株の「買い上がり」や「仮装売買」等の相場操縦で関係者を逮捕した件もあったが、近年のテクノロジーの進化と共にこうした従前の金融犯罪と並行し今後上記のような金融商品取引法でカバーされていないカテゴリーの事件も増加してくるのは想像に難くないか。


資金循環

本日の日経平均はマイナス圏に沈む場面があったものの切り返し結局は11日続伸、2015年の5月15日から6月1日まで12日連続高の記録があったがこれ以来の記録である。さすがにこの連騰過程では外資系のショートカバーから、個人の食い付きが多いインバース系のETFなど過去最高の積み上がりを見せていただけに投げという踏み?もこれらを加速させた模様。

また日経平均リンク債でも満期前の早期償還で解消の動きが出ている模様だが、コモディティーも田中貴金属工業発表の1〜9月の資産用金地金の売買実績では節目の5,000円大台に乗せた事で換金需要が増え同期間の買い取り量が4年ぶりに販売量を上回り前年同期比33%増えた模様とか。ショート勢の敗戦処理が終わった後の需給の真空地帯の行方は兎も角も何れも相場上昇が新たな循環を構築している。

騰落レシオなど過熱ゾーンが続いておりいい加減調整もほしいところだが、踏みに合わせた利食い売りもその後は押し目を待つ買い待ち資金に回るので資金の流れは好循環、こうした環境下だけに押し目待ちに押し目無しが継続されているが果たして連騰記録は更新されるのか否かが注目される。


アニマルフリーの波

さて先週は高級ブランド群の好調な決算が目立ち、フランスの高級ブランドLVHM(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の第3・四半期決算は市場予想を上回る内容となり10日の株価は2.6%上昇、同クリスチャン・ディオールは1.7%高、グッチやサンローランが上半期を牽引したケリングも2.2%高と何れも堅調であった。

ところでこのグッチといえば動物保護団体から毛皮使用の反対運動が高まっている事や、消費者の環境意識の高まりに対応し2018年の春夏コレクションから製品に動物の毛皮を使用しない事を決めた旨が先週末の日経紙に出ていた。こうしたアニマルフリーの動きは同じくイタリアのアルマーニも、昨年全ブランドにおいて毛皮の使用をグッチに先駆けて禁止した経緯がある。

グッチにしてもアルマーニにしても一頃はミンクからラビットまで幅広い素材を駆使した斬新なコレクションが売りにしてきたが、ケリングといえばファーフリーの先駆者ステラ・マッカートニーも擁している事でこの辺の整合性もあろうが、近年ではSRIいわゆる社会的責任投資も旬になっており経営陣も業績好調の折こうした世論に迎合する動きも視野に入れてきているという事か。


不正錬金?

今週は連休明け10日の朝鮮労働党創建記念日に北朝鮮による軍事的挑発行為が懸念されていたが結局は大山鳴動して鼠一匹、今のところ何ごとも怒らず杞憂に終わりその安心感も下支えになり日経平均は連日でアベノミクス相場の高値を更新、為替市場も安定した状況になっている。

この北朝鮮情勢と為替市場の関係については先週末の日経紙でも「北朝鮮緊張で円高なぜ?」と題し、同国を巡る情勢が緊張すると円高が進み易く市場参加者が身構える旨が書かれていたが、この辺に絡んでは同国がミサイル発射などリスクイベントのタイミングでFXやコモディティーの取引を同時に行っているという実しやかな噂も出ている。

まるで米国同時多発テロの時のテロ組織による株式市場や商品市場を介した錬金術を彷彿させるものだが、仮想通貨の方でも直近では複数の米国企業が北朝鮮による仮想通貨を狙ったサイバー攻撃やマイニング等が今春以降に韓国や中国で発生しているのも確認されている。

折しも中国は今月末に仮想通貨取引所全面閉鎖措置を明言するなど仮想通貨に対する規制が直近で非常に厳しくなり、韓国も規制論が一部で台頭している。これらが経済制裁に喘ぐ中で何とか外貨獲得の為に不正で活路を見出す北朝鮮に対する新たな防御の一環なのか否かだが、今後SEC等も何らかの形で追随してくるのかどうかこの辺の各国の動向も注目される。


特注指定解除

本日は後場に入って日経電子版が東京証券取引所が東芝株について、内部管理体制に問題のある「特設注意市場銘柄」の指定を解除する方針を固めたとの配信が為されたが、ちょうどこの配信に合せるかのように当の東芝株はマイナス圏から一気にプラス圏に浮上、高値からは値を削ったが辛うじて前日比プラスで引けた。

同社株といえば周知の通り15年9月に不正会計問題を受け特注銘柄に指定されていたが、3月に提出した再発防止策や聞き取り調査等を受け内部管理体制は改善したとの判断という。とはいえやはり70年近く上場していた名門が上場廃止ともなると市場への影響はあまりにも大き過ぎるという事なのか。

かつて東証一部大手どころの上場廃止劇といえばかつては虚偽記載の西武や、同じく債務超過のカネボウが結局廃止の決定が為されたものの、2006年の日興コーディアルあたりから維持が続き翌年のIHIも然り、その後はオリンパスも維持の決定がなされ復活劇を果たしている。

いずれにせよこれで一先ずは上場廃止の危機を脱した形となったが、2年連続の債務超過を回避出来なければ依然廃止の可能性は残っている。本質的な部分はやはり企業風土の改善なのだろうが、先ずは来年3月までに半導体子会社の売却を完了させられるのかどうか緊張は続く。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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