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シャンシャン総会終焉

さて株主総会も先週ピークを過ぎたが、既報の通り機関投資家の多くは今年から議案毎の賛否を開示することになり、個人も先に書いたようにお土産目当てでない真面目な?株主が総会で様々な発言をするようになり、シャンシャン総会もいよいよ過去のものになり提案等の票の集まりを挙げてもスチュワードシップ・コードの影響が出て来た感もある。

この辺が垣間見られたのが29日に開催された黒田電気の総会で、大株主であるところのあの村上ファンドが関わる投資ファンドのレノが提案した人事案が承認された一件か。一昨年には臨時株主総会において同ファンドが推した社外取締役の株主提案が60%の反対で否決されたのは記憶に新しいが、今回は相変わらずの会社側の反対にも関らず遂にこれが承認の運びとなった。

斯様に「物言う株主」の提案が承認されたのは実に8年ぶりのことになるが、上記の件により検討に値する株主提案が増えつつあるというのもあろうが、やはり他からの視線に躊躇し正当案でも賛成票を投じられなかった姿勢に変化が出始めた証左だろう。経営陣と株主との間にあった見えない壁が崩れ本来の方向へ動いて来た感じがした今年の総会であった。


不穏なテーマ

さて米市場が独立記念日で休場となり、北朝鮮を巡る懸念が燻る空気のなか本日も気迷いの日経平均を他所眼に個別の材料株が賑わっていた。中でもやはり目立つのは直近で大阪港で女王アリとみられるものが見つかった強い毒を持つ「ヒアリ」関連株か。

環境省から当初発表があった際にいち早く反応し始めたのが二部の殺虫剤会社フマキラー株であったが、実にバブル期の1989年以来約28年ぶりの高値を付け、引き続き本日も続伸して年初来高値を更新している。他にも本日は防虫忌避製品を手掛けるジャスダックのニックスがストップ高まで買われ、名前の似ている一部の白アリ防除のサニックスも急騰して年初来高値を更新とアリ関連株が破竹の勢いである。

日経紙に書いてある通り過去何度も天井として立ちはだかった東証一部時価総額600兆円の壁の前に材料株へと活路を見出すのは自然な流れだが、こんな危険な外来種やら狂気のミサイル発射で石川製作やら細谷化工、豊和工等の防衛関連やらがストップ高交えて急騰する様を眺めるに物色も不穏なテーマ揃いだなと複雑な気分である。


前半戦好調

本日の日経紙マーケット面には「IPO39社 高水準続く」と題して、堅調な新興市場が追い風となって今年の1月から6月に新たに上場企業の仲間入りを果たした国内企業が39社と、ここ10年で最多だった15年の43社、そして昨年の40社に次ぐ多さとなった旨が出ていた。

当欄では5月の中旬にも「中小型偏向」のタイトルで、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスが約10年4ヶ月ぶりの高値を付けるなど指数が高水準になっている旨を取り上げたが、先月も日経紙で今年に入り上場した35社のうち9割強の32社で株価が公開価格を上回っている旨を報じている。

とりわけこうした新興モノは個人の懐具合を測る目安になるが、直近のGameWithもマーケットからの吸収金額が16億円超の案件であったものの初値は公開価格の2.34倍となっており、信用評価損益率の連続改善等この辺に因るところも大きいか。斯様な投資余力の回復で循環物色が今後もうまく回ってゆくかどうか引き続き今月のIPOも注目される。


一強体制盛者必衰

さて先週火曜日の当欄末尾では「国政にも可也影響のある都議選も間近、一強安定政権の足元評価を一寸注目したい。」と書いておいたが、その東京都議選が昨日投開票され周知の通り小池百合子東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が自民党から第一党の座を奪い、公明党等と併せた小池支持勢力で過半数を上回ることとなった。

この公明党は小池劇場の御相伴にあずかる戦略が奏功し難を逃れた?が、都議選前日に自民候補を推していた地元の有力者と雑談していた時も半ば諦めムードさえ漂っていた通り果たしてというか自民は政権交代直前で過去最低だった2009年をも大きく下回る議席で過去最低と崩落した。

ここのお隣千代田区では都議会のドンといわれた有力議員の後継者といわれた若手も敗れたが、敗者の弁で直近の2回生不祥事を挙げて「脇が皆さま甘すぎますよね」との恨み節がリアルであった。近年ポピュリズム台頭が世界中で顕著だが、ここ一連の国民に対する態度への総括審判が如実に下された結果だったのではないか。


今年の総会土産

本日は上場企業の定時株主総会がピークを迎えていたが、昨日記のタカタが一昨日に法的整理申請前に予定していた総会を開催、昨日には同じく渦中の東芝が決算報告無しという異例の総会が開催され、それぞれトップが平謝りに終始し虚無感漂うなか取締役の再・選任案が可決された旨が報じられている。

ところで株主総会といえば別の場面では、先週に双日が開いた定時株主総会で会場を訪れた株主数が昨年より9割も減った旨が報じられていた。双日に限らずこの翌日に開催された神戸鋼の株主総会でも、会場を訪れた株主数が昨年より半減したと双日と同様な光景も見られた。

これらに共通するものとして言われているのが、これまで総会で配っていた株主向けの所謂「お土産」を今年から廃止したという背景とか。株主間の公平性の問題や世間の趨勢を踏まえての判断と各社口を揃えるが、関係者の間では売買単位の引き下げ等で個人株主が増加し会場確保等の問題も絡んでいるとの指摘もある。

上記企業の他にも50社を超える多数の企業が今年からお土産の配布を廃止しているが、お土産廃止で出席株主数が斯様に大きく減少する様を見るに、総務省の顔色窺いで返礼品内容を半減させた自治体へのふるさと納税が大きく減った様が思い浮かぶというものだが、お土産相当額を地震被災の支援に充てたり体験会やセミナーに代える企業もあり此方でもモノからコトへとシフトする動きが出てくるか


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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