347ページ目

合従連衡最終章へ

昨日はパリの同時多発テロを受けて日経平均が大幅続落となったが、そんな中でJXホールディングスや東燃ゼネラル、出光興産から昭和シェルまで石油ポストの反発が一際目立っていた。この辺は言わずもがな石油元売り国内首位のJXホールディングスが、同三位の東燃ゼネラル石油と経営統合に向けた交渉に入った旨が各所で報じられた事に起因している。

石油業界再編と言えばもう数年にわたり燻っているが、つい最近では出光興産と昭和シェル石油の夏場から出ていた話が具現化し先週12日には合併基本合意が為されていたばかり。当欄でもこの話で首位のJXに大きく迫ると書いたが、こうした追い上げへの危機感の表れが更なる規模拡大を目指す後押しをしたのは想像に難くない。

一夜明けた本日の市場でも冒頭の主役?二銘柄と併せ日経平均高に紛れて地味ながらコスモエネルギーHDが年初来高値更新してきているが、今後の焦点は同社の動向だろうか?これまで東燃ゼネラルとほぼ互角の売り上げだったが今回の統合で2強体制となる構図からこうした石油業界再編ドミノもいよいよ同社の身の振り方で最終局面に突入してくる。


資源下剋上

先週金曜日の日経紙マーケット面には、プラチナが下げ止まらず2008年12月以来ほぼ7年ぶりの安値まで沈んでいる旨が載っていたが、個別のそんな事情もあって先週末の商品市場全体の値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数は184.77と2002年12月以来、13年ぶりの安値をつけている。

これまでの安値は夏場に当欄で何度か取り上げた通り12年8ヵ月ぶりの安値となった8月下旬であったが、当時の中国発景気減速に加えて俄かに台頭してきた米の年内利上げ観測で投資資金が更に商品市場から引き上げられたのを背景に今回これを下回る事態となった。

こんな夏場からの背景もあって日経夕刊の「なるほど投資講座」でも資源開発を手掛ける商社は下期も厳しい状況が続くとの指摘が載っていたが、これに絡んでの一寸サプライズな話では伊藤忠商事の2016年3月期純利益見通しがあの三菱商事を抜くという件もあった。資源ビジネスの出遅れで蚊帳の外?視されてきた同社の下剋上は、逆に改めて資源ビジネスのリスクを思い知らされる。


天邪鬼

さて、2015年4〜9月期決算発表も漸く一服といった感があるが、総じて今年の上方修正企業は円安・原油安、米国需要好調などが要因となり、一方下方修正企業は中国経済悪化や新興国経済減速など中国が主因といったところだったか。

それはさておき、最近の個別は好決算で上昇、決算悪で下落といった教科書通りの動きばかりでは無くなっている。例えばちょうど一週間前の5日の発表ではサンケン電気が今期経常を一転して赤字に下方修正したものの、翌6日は蓋を開けたら急騰。一方、SUMCOは非開示だった今期経常を10%増益とサプライズ決算一覧にも入っていたものの、蓋を開けたら6日は暴落といった具合だ。

その週は他にも日医工が15年9月中間期売上高が2ケタ増収で着地し16年3月期の見通しも上方修正してきたものの、決算発表直後に株価は急落。薬品ポストでは他にも科研製薬や持田薬も好決算の発表だったものの決算後は売られる展開となっていた。

これら肩透かしの急落となった後講釈では市場予想平均に届かずとか、2Q増収率がプラスでも弱かったとか上方修正が売上高のみといった失望感が売り圧力になったと言い、逆のパターンでは悪材料出尽くしのショートカバーといった意見があったが、今後は次の期待値まで読み切る目利きも必要となるハードルをどうこなすかがポイントとなってくる。


続々組み入れ

昨日の日経紙にはかんぽ生命の全面広告が載っていたが、上場したばかりのこのかんぽ生命含めた郵政3銘柄の一服後の切り返しが進んでいる。この背景には英FTSEが算出する日本株関連指数への同三銘柄組み入れ等がある。

本日もこの中では郵便定額貯金などの限度額拡大観測やJPタワー名古屋竣工も材料に日本郵政の上場来高値更新が目立ったが、FTSEに続いて来週には日本郵政、ゆうちょ銀行の2銘柄が国際分散投資の有力指数であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタルインデックス)の算出対象に算定される。

更に年末には郵政3社がTOPIX採用も決まっており、それぞれの指数をベンチマークとするパッシブファンド等のリバランスにおいて上記FTSE連動資産は時価総額の約2%程度、MSCI連動資産は同7%、そしてTOPIX連動資産が同10%保有として全体総数では浮動玉の2割程度を保有する計算と見られているが、過去のMSCIモノでは概ね算入日の高値が目に付くケースも多くこれらの用を先回りした提灯動向絡め注意が必要である。


即金屋?

さて、昨日の日経紙夕刊にも載っていたが、医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行していたファンド3社と運営会社が破綻した問題が表面化しているが、その残高は約227億円に上るといい投資家は今後償還を受けられない可能性があるという。

今回のレセプト債は普通に回す限り詐欺的仕組みでもないのだが、いわば一昔前の兜町界隈に乱立していた即金屋のようなものだろうか。現金受領までのタイムラグを無くすかわりの数%の差額分がいわば金利相当分になるワケで、即金もテッポウ等が絡まない限りトラブルが起きるモノでもなく仕手筋の関係者から果ては外務員まで何かと重宝したものである。

とはいえ、この診療報酬債権が絡んだものではちょっと前にも問題になった米MRインターナショナルのMARS投資なるモノもあった。こちらはもっと大規模に約1800億円を集め今なお宙に浮いているが、その発行体から扱いの規模など多少金融を齧った者ならやはり何か胡散臭さを感じてしまうものなのだが現状この手の事件は後を絶たない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31