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仮需崩壊とPKO?

ちょうど2週間前の06/22の当欄では「想定内のクラッシュ」として、一週間の下落率が約13%と2008年以来約7年ぶりの大きさとなった上海総合指数を書いたが、先週末も前日比5.77%安の3,686.915と続急落、その週末までの3日続落では約14%も急落するなどまさに「山高ければ谷深し」といった状況になっている。

また末尾では、政府が株高維持を重要政策としているだけにこれ以上過度の株安を容認するのかどうかにも今後の関心が向かうとしたが、やはりというか需給悪化防止の為にIPO承認の当面停止を決定、こうした制限に加え大手証券21社も総額約2.4兆円以上を株式投資に充てることを柱とする下支え策を発表してきた。

しかし需給悪化防止策はいいが、ブルームバーグによれば現状で上海と深圳両取引所での信用買い残の時価総額に対する比率は2日時点で4.4%と急落が始まる前の12日の3.6%から更に上昇、規制対象となっていない信用買い入れを含めればその比率は実に9%を超えるといい、対してショートは0.03%未満というからこれはもう需給悪化進行の典型だろう。

いずれ近々訪れるのは確定していたこの崩壊、こんな国を挙げてのPKOも懐かしいが発展途上市場では結局自国なりのやり方で試行錯誤しながらしばらく学習してゆく以外に方策はなさそうだ。


コーポレート・ガバナンス元年

さて、東証に上場する3月決算企業の41%が総会を開いた今年の株主総会のピークから約1週間が経過したが、ピークといっても同一日に95%以上もの企業が総会を開いていた一昔前と比べるに随分と分散が進んできたものだと今更ながら感じる。

ちょうど二年前の当欄では「株主総会変遷」と題して、末尾に「株主総会も時世其の時々のカラーが色濃く出て面白い。何れにせよ今週月曜日に書いた長期投資家誘致も株主との対話がキーになってくるだけに総会も益々重要性が増してこようか。」と書いた事があったが、この対話と言えば今年は企業と株主の双方に対話を促す指針が適用された初の総会となった。

3月に当欄で対話型に転換として取り上げたファナックは例年の約2倍の時間を割くなどかつてのIR消極姿勢から大転換、他企業も株主還元や成長戦略等具体的な発言が相次いだがやはり総じてROEが役員選任等も含めてあらゆるものの物差しになってきている傾向が顕著であった。今年のコーポレート・ガバナンス元年が、双方の距離を縮め好循環の起点となるのかどうか大いに期待したいところである。


政策株圧縮期待

さて月替りの本日も証券各社のレーティングが各銘柄で上がってきたが、これまでTOPIXを牽引してきたメガバンク系ではCSがみずほFGを投資評価ニュートラル継続ながらも目標価格を引き上げていたのが目に付いた。

同行といえばちょうど1か月前に他のメガバンクに先駆けてコーポレートガバナンス報告書を発表するなどしており、保有意義が認められる場合を除き政策株は保有しないと明記、政策保有売却を通じ資本効率が高まるとの先取りもあり数量もこなせる事で大商いを演じてきたのがこれまでであった。

当欄では新年度入りした4月あたまに「持ち合い解消促進」と題し上記のような銀行以外で百貨店を挙げ、末尾で今後は持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるかと書いたが、斯様に政策保有株は囃された銀行だけの課題ではなく他業種にもわたり企業全体の課題、今後も呪縛の解放に注目したいところ。


動く金

さて、約二週間前には「需給は全てに優先する」と題して金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、「金銀比価」でも一年前の63倍から今年になって2009年以来となる70倍超えの水準が続いており割安感が恒常的になってきている。

何れにしろギリシャ債務問題は混迷を極め共通の財政政策を持たないユーロの弱点がまたぞろ表面化しつつある昨今、あらためて安全資産とされる金の底堅さが顕著になっているというところだが、この辺は本日の日経紙商品面にも「ドイツで増す金需要」と題し金の公的保有含めた記事が出ていた。

公的保有と言えばこのドイツは米国やフランスに保管してあった保有金を自国の連銀金庫に移送云々も書いてあったが、先月にはオーストリア中銀も英国から持ち帰る以降を表明しており、またスイスも国外保有の金をスイスへ移す等を問うた国民投票を昨年実施したばかり。ユーロへの不信感払拭はそう簡単な問題ではないようだ。


29年ぶり高値と上場来高値

さて、ギリシャ債務問題を巡りEUが支援延長拒否した事を受けて週明けの日経平均は596.20円安と約1年5か月ぶりの下げ幅で大幅に3日続落となったが、そんな暴風雨の本日でも連日の続伸で上場来高値まで更新している銘柄に六甲バターがある。

ご存知この辺はTPP関連株の一角だが、妥結の前提となる重要法案が米で相次ぎ可決され長く持ち越しとなっていた締結への期待が一段と高まり、蒸し返しの物色でも前回にも増して一段とホットマネーが流入している格好となっている。

しかしこのバターといえばこれから暑さが増すこの期でさえ店頭は依然として品薄が続いている。業務用バター価格は既に29年ぶりの高値といい、取り急ぎ緊急輸入でも高値在庫の構図なだけに流通価格に反映されるのは想像に難くない。

この狂想曲が落ち着く願いも込めて?のものなのか六甲バターの貸借倍率は既に1倍を割ってきているが、はたしてショートが報われる日が来るのかどうかまだまだ目が離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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