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復調IPO

さて、本日はコンタクトレンズ大手のメニコンが新規上場。今年初めての東証一部直接上場案件で注目であったが、果たして200万株近い買い物からその初値は公開価格1,700円を73.5%上回る2,950円となり、好スタートを切った。

東証一部直接上場銘柄といえばこれまで相対的な低パフォーマンスに警戒感があったものだが、直近のヘリオスやその前4.5倍の大化けとなったテラスカイの初値パフォーマンスが予想を上回るものとなっており、同社の比較的小型という特性も相俟って初値買い意欲が強まった状況か。

IPOといえば当欄で前回取り上げた4月の頃は「IPO錬金?」と題していたように、一部IPO企業の上場直後の業績下方修正や不正発覚等が相次ぎそれまでのIPO各社の株価低迷が続いていたものだったが、上場前審査の厳格化が奏功したのかIPO市場も斯様に薄日が差し始めている。

今月のIPOは上記銘柄含め6月としては07年以来8年ぶりの高水準、そうした事で今月が試金石として重要視されると指摘される裏には、今秋に87年のNTT以来の大型案件といわれる日本郵政の上場が見え隠れする。今日上場のメニコンも誰でも知っているが、日本郵政も抜群の知名度で個人株主誘致が懸かっている事で橋渡し役としてのIPOが嫌でも注目される。


東証マザーズ先物

本日の日経紙投資情報面には「東証マザーズ先物上場」と題して、日本取引所グループ傘下の大阪取引所が来年央に導入する次期売買システムの稼働に合わせて新興企業で構成する株価指数「東証マザーズ指数」の先物取引を2016年半ばに始める旨が載っていた。

この報を受け本日の株式市場では、昨日当欄で種類株導入で取り上げたサイバーダインやペプチドリームが大幅に買われ、そして時価総額トップのミクシィ株はがザラバで430円高の6,670円まで買われ一気に年初来高値を更新するなどやはり個別の御三家の反応は早い。

日本取引所グループといえば、新年度に次期CEOが課題として挙げていたものにデリバティブ分野の強化というのが記憶に新しい。他にもこの新システム導入を機にROEに重点を置いた新指数「JPX400」のオプション取引も始める意向も示しており、国内外のマネーを呼びこむ起爆剤となるのか期待したいところだ。


AA型種類株式

先週末は当欄でも触れたようにトヨタ自動車初の女性役員が逮捕された報が巷を駆け巡ったが、同社の株主総会が終了して本日でちょうど一週間。今回この株主総会で承認された物の中で注目されたのが、「AA型種類株式」という所謂元本保証な上に最高で年2.5%の配当利回りが狙える新型株の発行の話だ。

なんとも手堅く好条件な匂いが漂うが、それと引き換えに購入価格は普通株より2割以上高く5年間は換金出来ないという条項が付くもの。この手の種類株は2006年の会社法施行で国内発行が可能となり、記憶に新しいところでは昨年上場したマザーズのサイバーダインの実績もある。

ともあれ同社としては長期的視点で見てくれる株主を増やし開発等経営に取り組むのが狙いだが、一方でその性格上ホルダー分けが為され株主平等の原則に反するとの意見も一部にある。また当欄で先週月曜に「次の焦点」と題して書いた買収防衛に絡んでこの制度を気にする向きもあるがこの承認で日本企業のファイナンスに一石を投じたのは確かなようだ。


想定内のクラッシュ

かねがね言われ続けてきたことだが、連休を前にした先週末の上海総合指数は4,478.364と続急落となった。これで週間の下落率は約13%と2008年以来約7年ぶりの大きさとなったワケだが、これまで誰もが口を揃えて上昇ピッチの速さを指摘してきただけに果たしてといった感が強い。

なにせ年初来の上昇率は約60%、証券取引所が1990年に取引を開始してから強気相場が928日目とこれまでの強気相場の平均期間の5倍強に達していた事で、バリュエーションも持続不能な水準に押し上げられていたというところか。

そんな訳でこれで完全に崩壊へ向かうのかどうかというところだが、政府が株高維持を重要政策とし市場を巧みにコントロールしてその行動を手中に収めているとされる国だけに、これ以上過度の株安を容認するのかどうかにも今後の関心が向かうところだ。


人材登用リスク

ここに来てにわかに入ってきたニュースにトヨタ自動車の常務役員が米国から麻薬を密輸したとして、警視庁から麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたとの報があった。疼痛を和らげる医療用麻薬の一種である錠剤を国際郵便で輸入したという。

同薬は良く知られるモルヒネに比べて約1.8倍の効力があるというシロモノであのマイケル・ジャクソン氏も常用していたとされるモノであったというが、どう見ても正規の手続きを経ていない真っ黒な輸入方法が問題だったようだ。

しかし、同役員といえばちょうど2か月前の今年の4月に初の女性役員として鳴り物入りで同社役員に就任したばかり。グローバル人材活用が共通の課題となり人材多様化をちょうど推進している矢先の海外人材登用のリスクが改めて表面化したような一件であったが、今後の対応が課題になりそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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