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BABA

さて、先週末には周知の通り中国の電子商取引最大手アリババ集団がはれてNYSEに上場となった。注目の初値は公募・売り出し価格の68ドルより約3割高の92ドル70セントとなったが、この段階で時価総額はフェイスブックを抜きグーグルに次ぐ水準の2,300億ドル、創業十数年でトヨタ自動車さえ上回る水準であるから凄い。

さてその熱気やまぬ取引所に姿を見せていたのはソフトバンクの孫社長、創業間もない同社にポンと20億円を出資し約30%を握る大株主だが、これまでのヤフーといいガンホーといい出資先が大化けしてきた経緯があるが、この公開によってザッと8兆円の含み益を弾き出す事となった。しかし10年で投資金が約4,000倍、いつもながらその先見性には恐れ入る。

当のソフトバンクもアリババが米SECに対してIPOの仮条件を届け出た後あたりからこの含みを囃してこのところ急伸してきたが、この上場による材料出尽くし感で週末のお約束の急反落から本日も大幅続落となっていた。しかし、株価と併せ注目すべきはこの巨額の含みを武器に今後どういった采配をするかであろうか。


結果としての時価総額

本日の日経平均は大幅反発し大台を回復、全33業種中31業種が上昇となったが、個別では先週末に思い出したようにストップ高したミクシィなども後場から急動意となっていた。モンストを年末までに北米や韓国で提供するとの報道を囃したようだが、このスマホゲーム系もガンホーのパズドラから始まって息の長い循環を繰り返している。

そういえば先週の日経夕刊の「日本株番付」には新興株の時価総額ランキングが出ていたが、ここでもランキング1位と2位に君臨していたのが上記のガンホー、そしてミクシィであった。ミクシィなどモンストヒット前までこのランキングで15位以下の位置づけであったからその躍進ぶりが凄い。

形成された株価の結果として時価総額はこうなったが、当初はゲームの伸びに各社アナリストのカバーも追い付けず真逆のレーティングも多々見られるなど混乱も多かった。ガンホーは堂々の時価総額1位だが、ピーク時にはあの任天堂を抜き1兆8千億円近くあったから1位とはいえ半分以下にまで急減しており、この辺も睨みながら市場は行く先を占っているようだ。

しかし、この手の新興株も売買代金が重厚長大のコア系銘柄を軽く倍以上抜いて首位に躍り出るなどの日も珍しくなくなったが、こんな背景には所謂「イナゴ投資家」の貢献も大きい。一気に集中しあっという間に離散する投資行動からイナゴと呼ばれる所以だが、とはいえモノによっては10倍近くまで化けるワケだから、それこそこんなイナゴタワーを形成する銘柄などNISAで上手く当てれば非常に旨みもあろう。


先物への布石

本日の日経紙商品面には、「LNG取引の新市場」と題して先週末に取引が始まった日本初となるLNG(液化天然ガス)市場が取り上げてあった。既報の通り市場を運営するのは東京商品取引所とシンガポールの石油仲介大手ギンガ・ペトロリアムによる出資会社JOEであるが、果たして初日の取引は成立が無かったようだ。

このマーケット、当初の参加者は三菱商事等の商社や東電などの電力大手をはじめとした17社ということだが、この電力系の中には経産省からの強い要請があったからと参加表明の背景を語る件もあり各社思惑はさまざまなようでもある。

ネットでの取引では規模こそ小さいが既に石油関係では商社や独立系VC、民間までいくつかのOTCモノは以前より存在している。LNGは取引単位も商習慣に適度に即したものを求めるにはリクイディティー等の面で未知数の部分があるとの指摘もあるが、以前にも書いたように先物市場創設を睨んで先ずはOTC市場が試金石、それにはやはりインフラ整備等が急務というところか。


リクルート上場承認

さて先週の各紙の紙面を飾ったのが多かった記事として、リクルートHDが東証から10/16付けで上場を承認されたとの件があった。上場時の時価総額「兆」超えが見込まれるものとしては、あのLINEも前評判が高いがこのリクルートHDも1兆6,000億円が見込まれ今年の新規上場では最大規模となる模様だ。

しかし1兆6,000億円といえば昨今の東証一部売買代金に匹敵する。活況の目安とされている2兆円を下回って推移する日が多くなった最近だが、この(リクルートHD)が上場する10月にはもう一つ認知度の高いあの(すかいらーく)も再上場が決まっている。こちらは3,000億円前後というところだが、この相次ぐ上場の資金吸い上げにマーケットの体力は如何なものだろうか?

さてマーケットの心配はそれとして、この上場承認前評判から大株主の上場企業など突飛高していた経緯があったが、社員持ち株会も10%を超えこの上場でけっこうな資金が転がり込む計算になる。そういえばカラオケの第一興商が上場した際にも古参社員の中に思わぬニワカ成金?が出た云々の話が実しやかに喧伝されたことあったなと思い出す。

ところで今年は斯様に前述した通りIPOの復調が鮮明、昨年の54社に対して今年は見込みで70〜80社に増えそうとの見方がある。成長期待組、再生組交え活性の相乗効果が出るや否や来月はひとつの試金石ともいえるか。


全米オープンと経済効果

さて、今週世間が沸いたのはなんといってもテニスの全米オープン男子シングルスの決勝戦だっただろうか。錦織選手は日本選手初の四大大会シングルス制覇こそ逃したものの、男子準優勝はアジアでは初のことでこれは素晴らしい快挙である。

話題沸騰と同時に株式市場が沸くのもお約束で、その関連株が毎度の如く乱高下する。今回は試合の独占生中継のWOWOW、ラケットのヨネックスが決勝前まで急騰、寄り前に優勝を逃した結果が出ていたことで翌日は一転して急落となったが、特にヨネックスは前日がストップ高でしかも比例配分となっていた事で、この比例配分で買った向きと売った向きでは天と地の差になった。

ところでこんな現象は上野動物園のパンダの懐妊騒動でも見た光景で、雌のシンシンが妊娠の徴候が見られたとの報道から動物園周辺の精養軒や東天紅等の関連株が軒並み急騰するも、偽妊娠の可能性との報道で一転して軒並み急落したのと全く一緒である。

しかし株式市場のみならず上記のWOWOWの回線も一時パンク状態、スポンサーであるユニクロのレプリカポロシャツの即完売はじめ各所の経済効果はザッと見積もっても300億円と言われ、市場価値をはじき出した経済界の期待もこの一件でぐんと高まった。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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