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面子入れ替え

週明けの日経平均は依然として出来高、売買代金共に低水準が続いているものの、先週の9連騰後でも一服を挟んで反発となっている。背景には依然として巨艦GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)保有上限撤廃などの報による下支え効果が大きいが、先週末の日経紙では「都、株式投資を検討」と題して約4兆円の公金の一部で株式投資を検討する旨も出ていた。

この東京都がモデルとするのが上記のGPIFという。これまでGPIFについて何度か取り上げてきたが、インチキ投資顧問に年金が溶かされた事件の際にも「年金モノの場合はトップの裁量というのもあり」とした事があるが、厚生年金基金の絡みでは2年前の当欄で天下りした国家公務員で基金の資産運用を担当していた9割が資産運用業務の経験が無かったという件も書いてある。

斯様にこれまでの運用首脳陣のスタンスは上記の一発狙いか所謂国債一辺倒に近いもので簡単に言えば運用放棄といっても過言ではなかっただろう。そんなワケで末尾には「金融系専門知識の有資格者しか担当になれないようにするとか何らかの改正が必要だろう」とも書いたが、漸くというか新年度以降大幅な委員の入れ替えを行いこれに適うような面子も一部ではあるが加わっている。

GPIFは巨艦とも言われている割にその中身は上記の通り甚だ稚拙なものであったが、斯様にこうした人事や運用委託先の見直しの動きも出てきた。それでも従前運用を継承したい向きもまだ居るわけでこの辺の折衝がどうなされてゆくのか今後も注目である。


プレーヤー交代

さて、昨日の日経紙商品面には「パラジウムが高値」と題して、ウクライナ情勢緊張を背景にして主産地ロシアからの供給不安が根強くなっている貴金属のパラジウムが、ニューヨーク先物市場で2001年2月以来の900ドル台乗せ、東京市場でも13年5か月ぶりの高値を付けた旨が載っていた。

このパラジウムだが、先にロンドン市場では金・銀に続いてプラチナと共に国際指標価格の算出方法が見直される事が決まっている。この辺に関しては先週末の日経紙社説で「商品市場は銀行撤退に対応を」と題し、この見直しの主因となった欧米金融大手の撤退云々が挙げられており、現況の地政学リスクの高まりによる各種商品相場の変動が憂慮される旨も載っていた。

地政学リスクといえば上記のメタル以外にも原油などがあるが、この原油も相次ぐ投資銀行やヘッジファンドの撤退で、足元で地政学リスクが高まっているにも関わらず指標のブレントとWTIの合計売買高が前年同期比で1割減りリクディティーの低下が最近では著しくなってきているという。

斯様に大手金融機関の存在感が薄れる一方で、これに変って資源商社や新興国などの新たなプレーヤーの存在も台頭している一部報道がある。大手金融に比べた規制の緩さがどのように影響するのか、またヘッジなど彼らが抜けた後の穴を埋められるのかどうかこの辺は今後も注目である。


回転鈍化

さて、上場している商品取引会社の2014年4-6月決算が先週には出揃っているが、前年同期と比べて営業収益は軒並み減少している。この背景には商品市場の売買が低調になっている事があるが、日経紙でも同4-6月期の国内商品市場の売買高は前年同期比40.6%減の954万9千枚となり、投機マネーの商品市場からの流出が顕著な旨が載っていた。

このところの地政学リスクが囃され東商取では建玉増となる局面も見られたが、上記の通り肝心の売買高が低迷しているということは未決済玉がちゃぶついているという表れでもある。マル信等でいうところの回転日数のようなものであるが、この期間が鈍化しているということは裏を返せば人気離散でもある。

コモディティーの回転日数を以て全てマル信と同一で捉えることはできないものの、玉の回転があってこそ売買高にも盛り上がりが出るというもの。中期的な米利上げ観測等との狭間でちゃぶつく構図になっているが、再度盛り上がりの切っ掛けを掴めるかどうかこの辺は引き続き世界情勢共々注視しておきたい。


カジノ議論

本日も日経平均は7日続伸で25日線回復となったが、個別銘柄ではカジノ運営企業の米MGMリゾーツ・インターナショナルが築地市場の跡地をカジノ建設候補地として検討していると報じられたことで、築地魚市場から東都水産、東洋埠頭までその関連銘柄が一斉に物色されていた。

このカジノに関してはまた最近いろいろと議論が喧しく、一昨日の日経紙にも「カジノ解禁のマイナス面 十分に検証を」と題した社説があった。なんでも厚生省の調査では、日本のギャンブル依存者の割合は諸外国に比べて高いのだとかで、こんなことから同省は解禁の場合でも利用者は外国人観光客に限るよう働きかけるのだという。

しかし、カジノ解禁に関してはもうかれこれ10年以上議論されてきている。観光立国推進や企業商機の一方でこうした依存問題が燻り葛藤どころだが、先週は国内企業も京急がカジノを中心とする総合型リゾート施設及び運営事業参入を目指す等の発表をしている。一方で侃侃諤諤している間に比較的保守的な他の国の成功例も出ており、既に流れが始まっている感もある。


低PBR離脱

本日の日経平均は小幅ながら6日続伸となったが、セクター別では特に先週から建設株群が商いを伴って動意付いているのが目立つ。建設セクターといえばかねてより低PBRの物が多かったが、オリンピック開催というテーマに向けて事業環境への追い風期待からここ年初来高値更新してくるものも続出し低PBRの水準訂正が顕著だ。

ところでこの低PBRといえば地銀株ポスト等もまたそうであるが、過日の日経紙では膠着相場から主力の輸出株など手掛けにくかった際に一部物色され年初来高値を付ける銘柄もあった旨等も載っていた。忘れたころに手詰まりで物色されるのは、収益云々というよりこの低PBRが唯一の買い材料といっても過言ではないだろう。

この背景には、かつて大手行他金融機関との持ち合い構図が国際的な自己資本強化の流れからこの解消の流れが活発化し、特に積極的な受け皿の無い中でこの万年割安の構図が出来上がったというところだろう。

物色される場合共に低PBRが切っ掛けになるものの、業環境回復期待のかかるゼネコンと違って地銀は利益成長への手詰まり感が否めない。こちらはこうした方向性が出てこない限り、暫くは再編思惑がこの辺の切っ掛けとなろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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