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もののあはれとその先の生

さて、本日の日経紙文化面・(現代アートの観察)には中川幸夫氏の「花坊主」という生け花?作品が取り上げてあった。ベースの中に花弁を詰め込み、花の色が溶け出してきた時を見計らって逆さまにひっくり返したというなるほどコンテンポラリーな作品である。

解説は東京ステーションギャラリー学芸員の成相氏であったが、文中に「生け花じゃなくて死に花とでもいうべきか?(略)花が膨らんで、咲いて、散る。実はその先にこそ、花が最も強烈に生き物らしさを発揮するということを氏は見つけた。」とのくだりがあったが、こんな解説を見るとすぐに頭に浮かぶのはやはりエミール・ガレだろうか。

まさに若くして世を去ったガレだけに、朽ち果てる瞬間の表現から生を見せるというその技には説得力があり、例えば対照的に枯れゆくさまを背面に配した「カトレア文八角花瓶」、枯葉をモチーフにした壺「過ぎ去りし苦しみの葉」、他にもいわゆる盛りが儚きものの蜻蛉や蜉蝣の花瓶等から、読んで字の如く一晩で溶けてしまうという「ひとよ茸のランプ」まで一寸思い浮かぶ物でも挙げたらきりがない。

ガレのこんな作品の背景には日本の絵画から受けた強い影響があるともいわれ、その辺も日本人のガレ好きが多い所以なのだが、時を経てそんなガレの世界にインスパイアされたとも思われる日本の芸術家もまた多く居てこの辺の循環?も想像するにまた興味深いもの。お盆休み真っ只中ということで、生と死をこんな観点で観るのも一考である。


先物という戦略

本日の日経紙社説には「供給危機に備えた資源戦略を急げ」と題して、原発発電所の事故以降、原発を代替する火力発電用の原油やLNG(液化天然ガス)の輸入が増えその電気料金は高騰している旨が書いてあった。季節性もあるものの、確かに最近の電気料明細を見るに明らかに上がってきているというのが実感だ。

文中にも書いてあったが、あの震災から数年を経ても電力需給の余裕はまったく無い。上記の通り輸入に頼らざるを得ない冒頭のLNGは米欧に比べて著しい割高感があり、その背景には主因となっているアジア固有の形態である長期契約がありこの辺から商習慣の変更が望まれている

冒頭にはエネルギーコストの増大に歯止めをかけ、国際情勢の変化の影響を受けにくい資源調達のあり方を考える時にきているとも記してあったが、商習慣も障壁があるにせよそれこそ既得権云々は脇に置いてでも先物市場の創設などが焦眉の急だろうか。


何故騙される?

本日の日経紙には「投資詐欺の相談30代急増」として、金融庁が4〜6月に受けた投資詐欺に関する相談や情報提供の件数が特に30代で増え、1-3月期の約4倍になった旨の記事が載っていた。

内訳としては、海外FX会社に自ら口座開設し入金した後に出金できなくなる被害や、また投資詐欺全体では「無担保転換型新株予約権付社債」などの商品を語る勧誘が増えたというが、前者はシステムトレード系商材からの誘導というパターンが多いだろうか?昨今ではEAなんぞと名称はスマートになっているがモノによっては一昔前のインチキ投資顧問会社とその中身は殆ど変らない。

外側からその実績を見る限りではそれこそ凄いと感心してしまう時もあるが、内側から見るとそれこそ手品の種明かしのような稚拙さでほとんど笑ってしまうような手法なのだが、免疫が無い向きはこういった類に面白いほど引っ掛かってしまう。しかし高齢者なら兎も角も、鼻が利く30代が釣られてしまうあたりが一寸意外で金融リテラシーは依然進化していないようにも感じる。


東京湾大華火祭・2014

東京三大花火大会のうちメインの「隅田川花火大会」が終わり、トリを飾る予定であったのは今月の「東京湾大華火祭」であったが、昨年のゲリラ豪雨による隅田川花火大会のまさかの史上初中止に続いて、今年は台風11号の影響でこの東京湾大華火祭が中止に追い込まれることとなった。

この中止で幻となってしまった手元にあるプログラムを見てみると第一部から第六部までそれぞれの部であの大輪を演出する尺五寸玉が上がるとの表記があり、以前にも三大花火大会を比較してみると個人的にはやはり東京湾大華火祭がデザインから色一つ取っても巧というか一番綺麗に感じると書いた事があっただけに残念。

しかしこれに限らずちょうど帰省や地方イベントの相次ぐ時期を直撃したこの台風11号の被害が相次ぎ、やはり自然の猛威の前では為す術がないか。この東京湾大華火祭の中止は1997年以来10年ぶりとの事だというが、経済効果も70億規模といわれているだけにこういった点でも残念な限りである。


原価大化けの夏

依然として連日の猛暑日だが、こうも暑いと街の彼方此方では浴衣姿でかき氷をほおばりながら歩く人も多く目につく。ところでこのかき氷、近年ではどこそこから仕入れたブランド氷を使用等と標榜する店が増え始め、またも群がる人々が行列をなしているお約束の光景も多く目にする。

つい先日も某デパ地下へ行ったときに、突如として小さな一区画を目指して長い行列が出来ているのを見かけたが、辿った先は某所から仕入れた有名な氷を使用したというかき氷屋であった。ただでさえ狭苦しいところで何十分もの行列に耐えた挙句、水とシロップに1,000円近くも払って有り難そうにいただく姿勢には脱帽である。

余計なお世話ながら彼らはどこそこの天然水とか味の違いが判別出来て感動しているのだろうか?別にこの辺はかき氷に限った事ではなく、パフォーマンスを見てつい買ってしまうキャンディー屋然り、なんだかわからないが列に釣られて並んでしまうポップコーン屋然り、はたまたパンケーキ屋然りである。

言ってみれば原料はたかだか水や砂糖、トウモロコシやら小麦などなど、それらがとんでもない値段に化けても行列に並び有り難く買う需要があるのだから経営側としてこれは売っている製品以上に美味しい。バブル世代にしか解らないと思うが、かつて西麻布のホブソンズで流行った光景がいまだ脈々と受け継がれており、思えばこの辺は時を経ても色褪せないのかもしれないなと。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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