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上場ゴール終焉?

さて、昨日の日経紙・風速計では金融機関が太陽光事業への融資に慎重になってきている旨が載っていた。この太陽光事業と言えば電力関連のベンチャーとして注目されてきたエナリスがあったが、ココは昨年発覚した不適切な会計処理の問題を巡って東証から1月末に特設注意市場銘柄に指定されている。

先の東証記者会見では最近のIPO銘柄の中には数か月で黒から赤に転落させてしまう例もあるという愚行に苦言を呈していたが、既に昨年発覚したこのエナリス問題のあたりから取引所側として何かしらの対策が必要との雰囲気が所内では出ていたようだ。

確かにやり玉に挙げられた企業の他にも数か月で業績を下方修正したり、不明朗な資金の流れが発覚したりした新興企業が多く最近では幹事にまで風当たりが日増しに強くなっていると報じるところもある。既に胴元はもとよりVC等関連機関も厳しい対応に変わってきているというが駆け込みで滑り込んだ向きがこうした部類にならないことを願うところ。


提灯銘柄

週明けの日経平均は売買交錯に方向感定まらず小甘く引けたが、そんな中で本日の値下がり率ランキングの方の上位に入った物には先週先駆して急伸した銘柄群が目立っていた。ACCESSなどもそんな一つだが、これはタワー投資顧問が保有比率を16.07%から14.79%に引き下げたのが材料視されているもの。

この手の提灯モノでは本日は小動きだったものの先週派手に値を飛ばした物として、8日前場で買い気配を切り上げて寄り付きからほぼストップ高の急騰を演じ全市場値上がりランキング上位に踊り出た黒田電気もある。これは7日付けの関東財務局に提出された大量保有報告書で、あの村上世彰氏が同社株を保有している事が判明したことに因るもの。

斯様に中小型の波の中には必ずこうした提灯モノが混じってくるものだが、こうした裏には今月2日に当欄で「IPO錬金?」と題して書いたところの信憑性に乏しい業績予想続出のIPO新興勢の騒動も背景にある。そういった風潮の中で内情把握の思惑が募る著名機関投資家がロングする銘柄への提灯が湧いてくるのも自然な流れと言え、ある意味昨今の疑心暗鬼が生んだ徒花ともいえるか。


優待伸びしろ

さて日経平均は2万円台の大台を指呼の間に捉えているが、そんな地合いのなか昨日は朝方の堅調から一転して急落の憂き目が目立ったのがキティちゃんことサンリオ。この切っ掛けになったのが株主優待の個人情報漏洩について会見との報だったのだが、ベネッセあたりから情報漏洩に関してナーバスになっていた昨今だけに反応も素早かったか。

ところで情報漏洩はさておき、この株主優待が最近企業の間に広がりを見せている。今週あたまの日経紙夕刊でも「株主優待なぜ広がる?」として最近は企業側が優待に力を入れはじめてきている旨が載っていた。この裏には約一週間に当欄で「持ち合い解消促進」と題して取り上げたところの解消後の受け皿としての個人株主の存在という背景も一部ある。

最近では株主優待生活を全面にアピールした一部投資家がタレント扱いされている事も世間の関心を集めているが、確かに優待込では軽く利回り2桁などというものがあり株価的にも実施企業の廃止発表はネガティブ視され、逆に中小型系などは優待復活という発表だけで軽くストップ高まで急騰する事もありこの辺の効果も高い。

こうした利益還元充実に絡んではこれも何度か当欄で取り上げている「日本版スチュワードシップコード」等のコード導入もあり、6月の総会シーズンを挟んで今後もますますこうした気運が加速してゆくのは想像に難くはないか。


時を経て再び

さて、昨日は太平洋戦争末期にアメリカ軍の攻撃を受けて戦艦「大和」が鹿児島県沖で沈没してから70年の節目の日で、広島・呉市では追悼式が、また奈良・天理では慰霊祭が行われた。ところで戦艦と言えばこの「大和」の他に、同じくこの太平洋戦争で米軍に撃沈された戦艦「武蔵」も最近話題になった。

これは周知の通りで、先月マイクロソフトの共同創業者で、8年前から武蔵の船体探索を始めたという資産家のポール・アレン氏が、先月に武蔵の船体を比中部の水深1千メートル地点で発見し、船体の潜水調査の様子をインターネット上で生中継した件。映像を確認した日本の軍艦に詳しい専門家も間違いなく大和型の戦艦で武蔵であると指摘している。

これまで武蔵が撃沈された場所は戦闘記録から判明していたが実際に沈んでいる場所は確認されていなかっただけに奇跡の発見となったが、奇跡の発見といえば同じ3月には100年以上も行方が知れなかった江戸時代後期の浮世絵の巨匠、葛飾北斎の傑作「隅田川両岸景色図巻」も発見された件も報じられている。北斎壮年期の肉筆画の傑作ともいわれるだけにこちらも一般公開が待ち遠しいところである。


伝統的モデルからの移行

本日は日本取引所グループがCEOである斉藤氏が退任し、東京証券取引所の清田社長が次期CEOに昇格する人事を指名委員会で内定した旨を発表している。月末の取締役会で決定し6月の株主総会を経て就任というスケジュールだが同取引所の発足から2年余り、アジアの中核的市場構築を進める狙い。

アジア中核的市場構築という事だが現状で時価総額は昨年半ばで世界7位、同じアジアでは香港取引所が世界2位である。また昨年の現物株売買代金は世界6位で同じアジアの上海や深圳の中国主要取引所を下回っているのが現状。関係強化も視野に入れつつ海外マネー誘致もキーになってくるが、これに先駆け同氏は出遅れたデリバティブ分野の強化を急ぐのが課題という。

確かに欧州等を見ても上記時価総額で世界第4位だったドイツ取引所は、傘下に擁するデリバティブ部門の売上高全体に占める割合は4割に達し、現物株の売り上げは1割に満たないなどデリバティブで先行している。新CEOの経歴は大和で伝説の債券トレーダーだったという事だが、マーケットの精通者としてどうマネージメントしてゆくのかその手腕が注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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