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働きかけ

昨日の日経紙には「貯蓄から投資 出足まずまず」として、NISA口座開設数が制度開始時点で政府が2020年の目標とする三分の一近くに達し、同紙が大手証券5社とネット系大手証券5社に利用状況を聞き取り調査したところ同口座を通じて3月末時点で5,000億円規模の資金が流入とまずまずの出足となっている旨が載っていた。

実際に投資した金額平均は投資枠の6割といったところだが、先月も当欄で取り上げたように東証など最終的には単元を100株に一元化するような方向や、REITも続々と分割を実施するなどNISAに合せた動きであるのかのように小口化が相次ぎ企業側も投資家への働きかけが顕著である。

そういえば今年に入って突如としてストップ高するような銘柄には株主優待再開というようなモノも含まれていたが、この優待にしても導入済みの上場企業が3月末時点で過去最高の1,114社に達するということ。また従来より少ない投資額でも受けられるような制度改定をしたところも出てくるなど上記と併せ特徴的である。

しかし気になるのは、企業側こそこういった動きがあるもNISAそのものはこれ以上歩み寄りの余地は無いのだろうか?100万という枠に限定された非課税期間、損益通算の問題、マル信も不可、その担保にもならない等々挙げだしたらキリがないほど使い辛さ満載、いい加減NISA側も真剣に改善を考えるときだろう。


本当にそうなの?

昨日の日経紙のシリーズ、揺れる資源調達には「歯科治療も変えた」としてウクライナ情勢に絡んだロシアの経済混乱で、世界首位の生産であるパラジウムの供給が一段と減るとの懸念から製造販売元から末端までいろいろと影響が出てきている旨の記事が載っていた。

ところでこの記事の末尾には金歯が10年前に比べて倍以上にもなっている話が載っており、「パラジウムやプラチナ、金を極力使わず価格が安定したセラミックなどを利用するのが増えてきた」云々と出ていたが、あの実質解け合い騒動になったパラジウム暴騰劇の時でさえ被せモノの末端価格は変動が無かった記憶があるが今回はどうやらそんな感じではないらしい。

それにしても、「価格が安定したセラミックなどを利用するのが増えてきた」というのは本当なのだろうか? セラミック系は少なくとも上記のメタルものの数倍くらいの値段が通常、例えばジルコニアやオールセラミックでなくともグレードを更に下げたメタルボンド等の合成モノでもまだ金歯なんぞより価格は高いのが普通だがどうなのでしょう?

保険モノ含むところから自費モノまでそんな動きが起きているとはにわかに信じ難いが、まあ昨今格差社会がますます広まっている歯科業界の側から見れば自費モノは経営を支える重要なキーとなっているだけに、日経の記事が本当であれば資源価格混乱は歯科医にとっては大歓迎といったところでしょうかね。


循環停滞

昨日の日経紙・スクランブルには「IPO後遺症悩む個人」と題して、3月以降のIPOの初値が公開価格を下回るような冴えない動きを続けていることで、IPOで潤った個人マネーが主力株や次のIPO銘柄に回って相場全体が活気づくメカニズムが働きにくくなり、連れて新興指数も下落している旨が載っていた。

同項の冒頭にも出ていたが例えばジャパンディスプレイ、これも直前に公開価格割れとなった日立マクセル同様に公開価格割れで上場、その後も上値の重たい動きを続けていたが週明けには上場時の会社側予想から一転サプライズな下方修正発表で急落、続いて本日も序盤から続急落となっている。

同社に関しては話題性はあったものの、業種自体が常に競合に晒され既に市場から消えていったエルピーダの連想も一部にあり当初より海外勢には警戒されていたのだが、それでも下限で決まったとはいえ公開価格は高過ぎたと言わざるを得ないだろう。しかし、上場時からの動きを見るにやはり株価は正直と改めて感じる。


西武HD再上場

昨日は周知の通り、かつての西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となって以来約9年ぶりに西武HDとして東証一部にはれて再上場をはたした。注目の初値は公開価格の1,600円と変わらずで寄付いたものの、あと揉み合いを経てジリジリと上昇し初日は意外?にも高値引けとなり、本日もザラバでは高値を更新する場面があった。

意外?としたのも、もともと2,300円ともいわれた想定価格から実際フタを開けてみれば仮条件下限価格の1,600円で決定、初値の下馬評は同業他社との比較で更にディスカウントが囁かれていたからに他ならないが、こんな一件で当初売り出しを予定していた筆頭株主のサーベラス・グループがドタキャンし売り出し株数が当初予定の約三分の一に減少した経緯もある。

これほどいろいろな背景から思惑?のある再上場でなければ其れなりに落ち着いた想定価格となっていたのかもしれないが、西武といえばやはり当欄で3年ほど前に55年の歴史に幕を下ろした赤プリについて触れた事があったが、ここも気が付けばはや再来年までに新生ホテルが稼働となる。鉄道事業の成長は見込み辛いだけにこうした分野へ活路を見出せるかどうか、土壇場でゴネたサーベラスの側の思惑とも相俟って今後の動きにも目が離せない。


行使水準

昨日の日経紙には「株高が役員・社員潤す」として、自分が勤める会社の株価が上昇し、値上がり益を手に出来るストックオプションを使う上場企業の社員が増えている旨が載っていた。昨年度に役員や従業員が権利を行使した企業数は一昨年に比べて倍増し、06年度以来7年ぶりの高水準となったという。

ストックオプションというと昨年もあったように外資系等に在籍していた役員などが国税とヤリあっているのがしばしば話題になるが、近年は一般でも縁が無いというわけではなく同紙にも書いてあるように一般社員からバイトに至るまで企業によっては普及してきている。

何れにしてもこうしたインセンティブが適う事で恩恵を実感できれば更なる意欲向上に繋がろうというもの。そういえばかつての上場取引員の中にもストックオプションを導入したところもあったが、余談ながらその他未上場組でも現金のかわりに株式付与などでお茶を濁していたところもあったもののほどなく消えたところもあったなと思い出す。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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