410ページ目

時価総額と誘致力

週明けの本日も4日続落と引き続き軟調ムードの株式市場であったが、そんな中でも朝方から一際気を吐いていたのはソフトバンクだった。既に報じられている通り、出資している中国のネット通販最大手アリババが米国でのIPO手続きを開始したとの報が3兆円超ともいわれる含み益の思惑を誘った格好である。

このアリババ、当初香港での上場を準備していたが所謂パートナー制に取引所側のケチがつき矛先を今回米国に変えた経緯がある。この辺は香港と違って米市場ではこんな議決権に差のある種類株を持つ企業が幾つも上場しており、同社を巡る争奪戦が激しくなっていた旨が日経紙にも載っていた。

取引所の争奪戦といえばちょうど本日の日経紙特集では「マネー争奪 NY証取が独走」として、時価総額が東京証券取引所の4倍もある最も大きなニューヨーク証取が一際目立つ図も出ていた。しかしこうして並べて見てみると、それぞれこの数年の間に統合・身売り・買収が進みまた合併や敵対的買収を試みるも司法やら国の壁から断念したパターンがそれぞれ記憶に新しい。水面下の動きと併せ今後も折に触れ再編劇は表面化するだろが、さて次は何処の名が挙がるだろうか。


いろいろ見つかる

さて、ちょうど一週間前の日経紙春秋の文中には66年前から行方不明であった喜多川歌麿の肉筆画「深川の雪」が国内で見つかった旨が出ていたが、同作といえば「吉原の花」、「品川の月」等と共に「雪月花」三部作の一つとして知られる大作であるからこれは朗報である。

しかし今年に入ってから行方知らずであった貴重な品の発見の報が多い。これ以外にも昨年末には明治時代に極東一の豪華ホテルとうたわれた「長崎ホテル」の1,600点もの金銀食器が奈良ホテルで見つかったほか、滋賀県では旧豪商四居家の土蔵から85点もの慶長小判や正徳小判等が纏まって発見された報があった。

「深川の雪」は古美術商も営む美術館の副館長が2年ほど前に発見したというが、金銀食器は倉庫から、そして江戸時代の小判は土蔵の桐箪笥などひょんなところから見つかっておりまだまだ眠っているお宝はありそうな気配だ。

そういえば日本ではないが、先月には米カリフォルニア州ゴールドカントリーに住む夫婦が私有地で犬の散歩中に約1,000万ドル以上相当の1800年代半ばから後半に鋳造された約1,400枚の金貨を発見している。なんともゴールドカントリーの名にちなんだ話であるが、現代に解放された品々の背景を探るにそれぞれの秘話も興味深いものがある。


税制が鍵

本日の日経紙夕刊FXウォッチには「大証FX10月に休止」として、取引所FXの税制面での優位性がなくなったこともあって今年10月にこの大証FXを休止にする旨が出ていた。この辺は年明けにも既に触れているが、取引所FXとして東京金融取引所「くりっく365」に次ぐ2番目として最初に当欄で取り上げたのは2009年7月のことであった。

他とは違って板表示などユニ−クな点もあって他投資家層も馴染み易いかとも思われたが、果たして5年は早いか遅いかあれから環境も変わり当初の目論み相違の部分も多かっただろう。今回の休止理由には成長分野ではないとの見解も出ていたが、金融庁の取引所デリバティブ損益通算拡大範囲構想も睨んでの仕切り直しとの見方も一方である。

今回の休止に至った主因が申告分離課税の範囲拡大なら、総合取引所のデリバティブ取引の損益通算案もまた復活のカギとなるのかどうか、税制を巡る各所の思惑にはまだまだ要注目である。


あれから三年

あの東日本大震災から本日で3年になる。各紙でも報じられている通りあらためて被災状況の纏めなどを見るにその爪痕の酷さを実感するが、降ってわいたような天災に当時は何処も想定外な事態が数えきれないほど発生したのはいまだ記憶に新しい。

日経紙社説の冒頭にも、警告する向きはいたが各所が受け止めず「想定外」にしてしまったと書いてあるが、行政や東電のみならず個人も全く同様だったか。末端の投資など典型で何より長年ディフェンシブ銘柄として君臨してきた当の東電があっという間に数十分の一まで崩壊し、セルボラでプレミアム取りに勤しんでいた向きも数時間で数年分の益金を失い、FX市場でも彼方此方悲鳴があがった。

こうした連鎖は企業にまで及び、財務の厚いところとそうでないところでは明暗を分けることになったが、あれから個人も企業も大震災という想定外の混乱の教訓を生かした取り組みにどれだけ努めてこられただろうか。

想定外といえば、直近でも昨日発表の2013年10-12月期の実質経済成長率は1%台割れの年率0.7%に下方修正され、その前の7-9月期も1.1%台から0.9%に下方修正となった。こんな後半からの減速ぶりも飛ぶ鳥を落とす勢いであったアベノミクスにおいては想定外であっただろうが、震災3年を期に復興含めまた舵取りと真価が問われる。


税調の欺

昨日の日経で見かけたものに、政府税制調査会が法人実効税率引き下げの代替財源の候補として、株式の配当などにかかる税率の引き上げを検討する旨があった。法人税関連の政策減税の見直しだけでは税収分を補えないためということだが、なんとも安直というかどんな面子の寄せ集めでこういった案が浮かぶのか甚だ残念である。

本日の日経平均が下がったのもこれが嫌気されてとの解説も出ているが、株式の配当にかかる税率などとは言うものの、そもそもこの株式配当金の税金自体が所謂二重課税構造になっているワケで、なんとか理不尽を呑んで我慢しているのをいいことにそれを棚に上げて更に引き上げましょうかというのだから呆れる。

世の流れはNISAやらなんやらでなんとか投資の流れを作ろうとしている風潮もあるが、このNISAとていまだに融通が利かない点数多でとても投資へ潮流の変化が起こるとは思えないものの、それでもこれを促進している最中にこんな真逆の検討が同じ政府系から浮上してくること自体に綻びを感じる。

明後日から本格議論ということだが、形ばかりのNISAで釣ってこんな増税策など近年の課税構造はどれもこんなパターンだなとつくづく。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31