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ファイナンス銘柄の錬金師

さて、今週はまたぞろファイナンスの動きが活発化してきているのが目立った。先月も新興市場の主力モノではそういった動きがあったが、今週は先ず日本冶金工業が42年ぶりに最大55億円強を調達、これによって新株の追加発行分まで入れると発行済み株式数は25%増える。また翌日には日本カーバイド工業と太平洋セメントが21年ぶりに公募増資を発表、これまた発行済み株式数は前者が最大で22.3%、後者が最大で30%それぞれ増えることとなる。

これら当然の如く株価は即座に反応することになったが、翌日は日本冶金工業は一時東証一部値下がり率トップの急落、日本カーバイド工業は同東証一部値下がり率第4位、太平洋セメントは東証一部値下がり率第2位と何れも大きく値を崩している。震災復旧の用や新規事業の用やらで已む無しの資金需要は理解出来るが、株主は値下がりで大きく損失の弊害を受けることとなる。

この辺に絡んではやはり外資勢中心としたプロ連中と個人の限られた情報力の違いが改めて浮き彫りになる。直近のものでも復配発表やら震災復興需要というテーマを囃して個人が食い付いてきた企業など並行して有力外資勢のショートが異様に急増しておりしかもロングも上手く咬ませているから巷のポジショントークでも材料を良い方へと傾斜させ易い素地まで出来上がってしまう。

ファイナンスに絡んではいろいろ新規制も施行される予定ではあるが、引き受け等の利害関係が常に背景に控える為に、この辺の不公平さは残念だがそう容易には改善しないだろうか。


今年の花火

今日で8月も終り。例年夏の風物詩が相次ぐ今月は賛否両論あった中、27日に「隅田川花火大会」が開催された。例年三大花火大会では隅田川が口火を切るのだが、今年はあの東京湾が中止になったりここも一ヶ月遅れの開催となった為に最後の開催となった。

やはり二万発規模は圧巻だったが、今年は三月の大震災もあり大方予想はしていたものの、冒頭の「被災地へ贈る追悼手向けの花」と題された花火でスタートを切り、被災地企業の参加もあった花火コンクールのタイトルには果たして「祈り」、「希望」や「願い」といった言葉が並んだ。

一昨年など不況の影響から協賛金などの都合上で花火大会の中止や規模縮小などが相次いだ事があったが、こんな経済とは別の災難でまた各地で中止が相次ぐとは予想もしなかったが来年にまた想いを馳せたい。しかしこの隅田川、当たり前のように毎度開催されるが日程変更幾度かあれど記憶では一度も天候に祟られたことがないのは素直に凄いなという感。


変化する決済

さて、米株式を映して週明けも堅調持続の日経平均であったが信用残が拗れているものはやはり今ひとつ重い。ところで信用といえば週末の各紙には松井証券が10月からマル信において取引成立の翌日以降でないと同じ担保を使えない現状を改め、1日に何度も株を売買できるようにするサービスを始めると発表している。現物なら兎も角もマル信というところの目新しさが光る。

現行では約定確定しても実際に受け渡しまでのタイムラグがある為に、約定日の翌日以降でないと担保を新たな取引に使えない仕組みになっているが、大証のシステムを活用し約定と決済を同時完了する仕組みを構築したという。どういったカラクリか気になったが、店内発注を立会外のJ-NETの当日取引として取次ぐというものらしい。

同取引での注文は株価に全く影響を及ぼさないということで見せ玉等の相場操縦も利かないメリットもあるとの事だが、マル信は個人の株売買の約6割を占めるというだけに当初対象銘柄は主要50銘柄ながらどの程度の売買増効果があるか注目されるところ。

しかし、一昔前では街金などが挙って即金サービスや担保貸しなどやっていたものだが、こんな仕様も今では当たり前になってきたというのはやはり時代の流れを感じるもの。


ETN第一号

先週は円高やら乱高下著しい金相場やらが話題をさらったおかげでヒッソリと目立たなかったが、8/23には東証にETN第一号が初めて上場している。先に東証が株式と同様に売買できるようにDR(預託証券)にして上場するという手順で、ETN(上場投資証券)と呼ばれる新しい証券上場を4月をメドに解禁するとしていたがこれが実現した格好になる。

第一弾としては「商品指数連動型」と「VIX中期先物指数連動型」というまさに今が旬なモノを持ってきたなという感じだがこのETN、投資家にとってはETFと然程変りが無いようにも見えるが、現存するもので例えれば東証の「SPDRゴールド・シェア」と大証の「金価格連動型上場投資信託」の違いといったところか。

ETNはETFのように現物の裏付けとなる資産で運用しなくてもよい分、上記の金などと違ってリクイディティに問題があるコモディティーや指数などファンドの構成資産を現物拠出可能とする形に構成出来ない物も金融商品に出来るというワケだ。ただ一方で償還や買い取り等を保証する点が異なり、同時にリンク発行体のカウンターパーティーリスクを負うことになるわけで、当然発行する金融機関には格付けや自己資本比率など厳しい条件を付ける方針という。

これが軌道に乗れば投資家には投資の選択肢が可也面白い具合に広がってゆくが、1993年に誕生したETFの市場規模に対して2006年に誕生したETNのそれは未だ約1%。こうした折投資家サイドも今回の新規モノなど上記の通り最低限カウンターパーティーの信用力において資産を購入しているという認識くらいは持って臨みたいもの。


国力

「山高ければ谷深し」でここ金相場が暴落である。それにしてもこの金、8月に入ってから毎週毎週大台替りを果たし、今週も市場最高値の1,900ドルを突破するなど依然として破竹の勢いである。TOCOM等も大荒れだが、これだけ騒がれる相場もそうそう見られるものではない。

ところで金といえば最近目に留まったのは先の日経紙夕刊一面にあった「金輸出が最高水準」というタイトルだろうか。今や新興国中心とした需要や公的部門も中央銀行の手当てなど世界規模で買い増しの動きがあり、ベネズエラなど金準備を国内に引揚げる動きさえ見せている中で日本は「純輸出国」と今や特異な存在になっている。

ちなみにゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社によれば、2006年から2010年まで5年連続で金地金の売却量が購入量を上回っているそうだ。連日に亘るマスコミ報道が金製品探しに人々を奔走させ、それを売却して思わぬ小遣いが手に入ったとその代金でショッピングに出掛ける様は、昨日記のように芸能ネタの盛り上がりで平和ボケ?している日本を表しているのかどうかだが、本質的なキャラなのか個人レベルでも内側からの思考を最優先させているからに他ならないからではないか?

高くなれば我先に手放しに動く個人、40年も金の輸入実績が無い日銀、日経紙には「金は歴史的に国力のある国に動くといわれる」とも書いてあったが、いろいろ勘案するに危機感を覚える。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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