524ページ目

情報戦と恐怖心

週末の東日本巨大地震発生から数日経過したが、依然として計画停電や原発を巡って情報が交錯し被災地の混乱した様子が一日中報道されている。しかし原発はモノがモノだけにどう捉えたらよいのだろう?長い間原子力をエネルギー政策の柱に置き、その利用を享受してきた歴史の帰結という表現もあるが問題自体が大き過ぎて一言で表現するのは難しい。

放射性物質放出に絡む、無数にある不安情報やコメントを真に受けて恐怖心から外出も控えているのだろうが街に出てみれば心なしか人も少ない。SSではガソリンありませんの札が並び、コンビニやスーパーでは保存の利く食品や生活必需品が見事に棚から消えたままの一方で、生鮮物が大量に買い手の付かない様子は何時もの通りだなとつくづく。

こんな行動は日本人独特だろうと思ったが、動けるうちがチャンスとばかりに、早々に日本を発った外国人の知人も多数。おそらくではあるが、仏大使館あたりの影響が大と思うがまあ国土の広さを考えるとあながち笑えない部分もある。しかし大使館関係は兎に角ネットワークというか流石いろいろ長けているなと。

しかしこんな未曾有の事態でも、義援金詐欺とか何れデッドストックになる生活用品などに法外な値札を付ける商売が横行するなど何時も通りの商機と捉える輩が居るのはほんとうに情けない。おそらく今後出て来るのはバイアグラよろしく「ヨウ素剤」の類だろう。経済停滞の長期化が言われる一方、こんな部分の経済活性は国難を如実に物語る。


Black Friday

先ず、このたびの地震および津波の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

なんといっても直近の話題は上記の通り、引け間際のマーケットも直撃した観測史上初の「東日本巨大地震」である。個人的には「備えあれば憂い無し」とはいうものの、数年前に用意した防災グッズも埃を被り非常食等の賞味期限切れと共にリスクに備える感覚が薄れてきたタイミングでの不意打ち?で、まさに「天災は忘れた頃にやってくる」といったところか。

しかし戦後生まれなど、間近に「有事」を経験していない世代など、テロやデモ含めて今迄の対岸の火事的概念が一気に無くなった瞬間ではなかっただろうか。未曾有の事態だけに早速というか地震発生から数時間後には、東京23区内の停電決定とか、損壊した某石油施設からの有毒物質に注意とか、怖いモノでは原発関係の不安を煽るような実しやかなメールがいろいろなところからひっきりなしに届く。加えて報道関係でもこんな情報社会の世の中、いざ有事になると呆れるくらいにディスクロが遅く且つ不正確なのが歯痒いところ。

一方では、毎度お決まりで携帯が機能しなくなる中、活躍したのがFacebook等か。欧米始めそれこそ世界中の知人から安否を気遣う声が届いたが、瞬く間にこちらの状況が詳細に満遍なく伝えることが出来るなど本当に便利な時代になったものだと改めて実感。先の京大カンニング事件を当欄で取り上げた時にネットは「諸刃の剣」としたが、まさに使いようだなと。

ところで相場関係もさっそく各方面が集まって各々市場展望を展開しているが、所詮はイマジネーションの世界。阪神大震災の時の憶えでまたデリバティブはもとより個別でも震災関連がお決まりで物色されているが、原発問題が案じられるなど既に銭金の問題も超越している有事。世界中から続々と支援が寄せられている最中だが、関係者各位共々これらに感謝しつつ一刻も早い復旧を祈りたい。


危機から生まれる技術革新・2

さて、今週は乱高下の株式市場の中で途中個別物色された物には住友精化等があったが、3/8付日経紙にも載っていた通り、同社は東京大学教授と共同研究で温暖化ガスの二酸化炭素を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発したことが背景となっていた。ちょうど今はこの記事の直ぐ隣に載っていたように、原油高騰が最大のリスクとされている中、石油系合成樹脂の代替期待の思惑が出た格好となった模様だ。

しかし、最近はこの手の新技術開発発表の報道がやけに目立つ。先週末の日経紙一面では住友電工がリチウムイオンに代えて価格が約十分の一と安価なナトリウムのイオンを使う新型の蓄電池を開発したと報じており、また同日の企業面ではレアアースの価格上昇により代替技術への関心が高まる中、戸田工業が東北大学との共同研究でレアアースを使わない磁石材料の大量合成に成功したと報じられていた。

このレアアース関連については、先月も芝浦工大が微生物を使って効率よく回収する技術を開発した件や、日立金属やDOWAホールディングスについても同様の件で書いたが、これと並行して一方ではこの素材自体を使わない上記のような新技術も既に成功するなど更にその次のステージまで捉えておりまさに日進月歩の感である。

一昨年の6月には「危機から生まれる技術革新」のタイトルで各企業の巨額な先行投資の模様を書いた事があったが、このときも書いたように今迄環境の変化を拝啓とした危機における産業界の崩壊の度に、何らかのそれを乗り切る革新的技術の普及でそれらを克服してきた経緯があるが、そうした一端が上記のような報道に感じられ、M&A熱も高まるなか各企業が立ち止まっていない安心感を覚える瞬間である。


カンニング変遷

さていまだに紙面をにぎわせているのが、京大始め複数の大学の入試問題が試験中に流出した例の事件か。この事件を受けて直近の公立大二次試験関係では携帯電話を封筒に入れさせて回収している光景など見られたが、当初一般的には想像もしていなかった被害届とか逮捕にまで発展するに至り事は穏やかでない。

この騒ぎで株式市場でも不正受験監視関連銘柄が突飛高し、池上通信機や三精輸送機等が物色された。特に池上通信機などは発行済み株式が7千万そこそこしかないところに先週末はまるまるこれが回転してしまう1億株以上もの出来高となる異常人気を呈した。その辺はともかく容疑は偽計業務妨害としているが、これが杓子定規な適用かどうかいろいろ論議も出そうだ。

基本的に入試関係というのは暗記を問うのが殆どと長年認識しているが、捻る部分の無い中で時間も限られる形式行事と考えるなら効率を図ってしまうのも違法行為という面を除外すればある面頷けなくもない。逆に入試問題も暗記色の薄いものへ変わればもう少し「考える」という部分で本来の姿になるのではないか。

しかし先の海上保安庁の尖閣諸島ビデオ流出事件といい、今回のカンニング?事件といい、まさにネット系の縦横無尽。便利な一方万人が使い方一つで犯罪にまでなってしまうに諸刃の剣でこんな黎明期?にはいろいろと考えさせられる事例がまだまだ続くだろうか。


スカイツリーで上下?

さて、先の日曜日には建設中の新電波塔「東京スカイツリー」の第一展望台が始めて報道陣に公開されたが、この東京スカイツリー、この時点で609メートルとワイヤ等で支えない自律式電波塔としては世界一の高さを誇っており、更に今月中には目標の634メートルに達する見通しとか。

ところで、この東京スカイツリーの完成によって最も恩恵を受けるであろうとされているのが筆頭株主の東武鉄道だが、その株価の方は先の40年ぶりの公募増資の発表で急落し、本日もまた年初来安値更新となっている。増資に因る希薄化が約2割とするとほぼこの辺で一旦は一息つきそうなものだが、それにしてももともとPBRも同業に比べて割高であったので格好の売り対象にされてしまったようだ。

このファイナンスだが、昨日には新株発行価格が1株346円に決まったと発表している。当初は資金調達額が最大で932億円などとしていたが、株価下落で720億円となる見通しだ。このファイナンスは銀行借り入れ増を見越しての利払い負担抑制狙いだが、業績に寄与する効果が見えない為にこの辺が今迄の増資で逆に株価が上がった企業群とは違うところ。

日々東京スカイツリーが上に伸びてゆくのとは対照的に、胴元の株価は連日の安値更新と下に落ちてゆくさまは何とも現実的だが、本日の年初来安値で目先底打ちなるかスカイツリー共々注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31