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ジェンダーギャップ2023

さて、先月はWEF(世界経済フォーラム)が恒例の「ジェンダーギャップリポート」を公表しているが、はたして日本は全146か国中125位であった。昨年の順位は116位であったがそれから9つ順位を落とし2006年の調査開始以来で過去最低、G7主要7か国で最下位のほか東アジア・太平洋地域でも最下位となった。

100位圏にすら入れないのは何とも情けないが、個別でも昨年1位に輝いた教育分野は女性の高等教育の就学率低下から47位に急落、また昨年139位でワースト10に入った政治分野は1ランク上がったとはいえ138位で依然世界最低水準となっており、昨年121位であった経済分野は賃金の男女格差や管理職の割合で改善が進んでいない事を反映し123位と2ランクダウンとなっていた。

この経済分野に関して政府は先月に東証プライム市場上場企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とする目標等を盛り込んだ女性版骨太の方針を決定しているが、全体で2位のノルウェーは女性役員40%を達成できない企業には裁判所が解散命令を出すなどドラスティックな政策を取った結果わずか6年で40%超の水準を達成している。まあ今の政府に斯様な政策が真似出来ようも無いが、骨太といかにも頼もしい響きが骨抜きなどという事にならぬよう具体的な成果が望まれるところだ。


忖度市場

昨日LVMH傘下の高級宝飾ブランドであるブルガリが海外のウェブサイトで台湾を中国からの独立国のように扱っていると、中国のソーシャルメディア上で批判された事を受けて謝罪する声明文を出した旨をロイターが報じている。同社にとって戦略上重要な消費地だけに迅速な対応というところだろうが、ラグジュアリーブランドのこの手の問題はこと中国絡みでよく目にする。

今回と一番よく似タパターンではちょうど4年くらい前だっただろうか、あの香港政府に対するデモ活動で緊張が高まっていた中、伊のベルサーチがTシャツのデザインで北京と上海を中国として表記していた一方で、香港とマカオは中国ではなくそれぞれが別の国として「HONG KONG」などとプリントされていた事で炎上した一件がある。

これに続くかのように米コーチや仏ジバンシィも其々発売した同じくTシャツが同様のデザインであるとして謝罪文を各々SNSに掲載した経緯がある。迅速な火消し?を講じたものの、アンバサダーとして契約していた中国人の女優やモデルは契約解除などの声明を出すに至ったが、幾多の不買運動含め改めて政府と国民が外交関係で一体化し連動している踏み絵のような市場という事をこの手のニュースが出る度に思い知らされるものだ。


消費二極化

毎月初めにその月の食品値上げ等に触れているが、本日の日経紙一面では「低価格PB倍増160品目」と題しメーカー製のNB(ナショナルブランド)の食品・日用品など生活必需品の値上げが進むなか、セブン&アイ・ホールディングスが低価格品を倍増するなど大手流通のPB(プライベートブランド)商品が節約志向を強める消費者の受け皿となっている旨が出ていた。

今やPBは週1回以上購入するという向きが4割にも上りその存在感が高まっているが、業界団体の調査では食品スーパーでPBを扱う割合が昨年は前年比で5.9%上昇して76.5%に達し、比較できる過去6年で最も高い水準となっているという。上記のセブン&アイ・ホールディングス以外でもイオンなどPBを高価格帯・低価格帯で更に再編する動きも見られる。

斯様にPB商品については低価格志向を強めるモノと、ハレ消費や自分の拘りなど個性を重視する二つの方向が今後より明確化してくる可能性も見据えた企業の対応ともいえるが、終わらぬ値上げラッシュでスーパーの価格戦略の重要性が高まるなか、このプライベートブランドは競争力を左右する要因の一つとなるだけに各社の舵取りが問われる。


JPX150算出開始

JPX(日本取引所グループ)は先週から「JPXプライム150指数」の算出を開始している。この構成銘柄は東証プライム市場に上場する企業からROE(自己資本利益率)から資本コストを引いたエクイティスプレッドの上位75社を選び、これを除いた企業の中から当期PBR及び当期と1期前のPBR平均値が共に1倍を超える時価総額上位75社を選出したもの。

ザッとその面子を見てみると組み入れ比率上位にはソニーGはじめ先に大幅分割を実施したNTT、キーエンス等のほか日経平均には採用されていないニトリHDやZOZOなどが並んだが、一方で時間総額日本一のトヨタ自動車はじめパナソニック、ホンダやソフトバンクなどの日経平均高寄与度銘柄は除外されるなど忖度?しない作りに仕上がっている。

とはいえ選りすぐられた優等生勢のパフォーマンスに他指数をアウトパフォームする伸びしろが期待出来るのか?個人的にはPBRが0.6倍台から様々な株主還元を打ち出しPBR1倍に向ける過程で大化けした大日本印刷のような銘柄に大いなる魅力を感じたものだったが、JPX400の憶えもあるだけにこの辺は今後も注視してゆきたい。

しかしこれだけ篩にかけると銘柄もそれなりに絞り込まれるというワケだが、米のS&P500など絞ろうが無造作に切り取ろうがこのJPX150の条件を満たしているあたりが根本的に違う。JPXのCEOは記者会見で「構成銘柄に選ばれたいという指数にしてゆきたい」と述べていたが、いずれにせよエクイティスプレッドは企業価値創造の源泉でありこの新指数登場で幅広い企業がこの指標を意識してゆくようになるかどうかが鍵になるか。


5年ぶりの歓喜

さて、一昨日の日経紙夕刊・明日への話題は作家の林真理子氏の執筆で、「コロナが終焉を迎えるにつれ、海外のオペラ劇場が次々と来日し始めた。」という書き出しであったが、この手では先月に大盛況のうちに東京公演が終了した世界的エンタメ集団のシルク・ドゥ・ソレイユの5年ぶりの日本上陸が個人的に感慨ひとしおであった。

前回の「キュリオス」以来の日本公演になるが、思えばちょうど3年前の今頃に飛び込んできたシルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループが会社更生手続きに入るとの報は本当に衝撃であった。そんなシルク・ドゥ・ソレイユがパンデミックの嵐のなか再建復活を果たし、その最初の日本上陸の演目が「アレグリア」=歓喜になったのは1996年のこの演目の第1回目からのファンにとって嬉しい限りであった。

今回はノベルティグッズのラゲージタグに旧ビッグトップテントの生地を使用するなどSDGs喧しい今ならではという感じであったがやはり各演技が圧巻、定番のパワートラックなど体操競技経験者だけについその目線で観てしまうのは毎度のことだが、エアリアル・ストラップなど初回公演及びアレグリア2とは異なる情趣に富む艶が非常に新鮮であった。そして生の歌や演奏もまさに歓喜、東京公演では来場者が50万人超となった模様だが新生シルク・ドゥ・ソレイユの今後の活動が楽しみで仕方ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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