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デザイン考察

さて、本日の日経紙社説には「今の日本企業は手元の才を十分に生かしているだろうか」という提言?で産業等におけるデザインの重要性にも一部触れていたのを目にした。

この社説の中では独創性を生かした成功例として、日産自動車の「キューブ」や資生堂の「マジョリカマジョルカ」なども挙げていたが、少し前でもデザインの美しさに惹かれその煩い音にさえ目を瞑って「ダイソン」の掃除機などに手を出してしまった向きも多いはず。しかしそのヒットの継続性からもっとも分かり易い事例としてはやはり米アップル社の製品であろうか。

90年代後半に出した「iMac」のヒットで一時は経営危機説も出ていた同社の復活劇は有名な話だが、その後も2000年に入ってからの「iPod」、また一昨年の「iPhone」、そして周知の通りで今年に入ってからの「iPad」と立て続けにその機能性とデザインを武器に市場の話題をさらう快挙を成し遂げている。

スマートフォンの類に限らず今は製造技術の普及化などもあって、複数の会社から似たようなものがどんどん出せるようになったが、そうなると市場原理として競争要因にはコストくらいしかなくなり自ずと価格が崩れてくるのが一般的といわれる。そこで差別化としてはやはりデザインがキーとなってくるが、上記の米アップルなどはトップ陣から深くデザインに関りその他タクティクスも他とは一線を画している感がある。今一度同紙文中にあったデザイン部門を縮小している日本の大手企業など、この辺に再考の余地ありと思うが。


軽油再上場の成否

さて、先週TOCOMで「軽油」が再上場されてから本日でちょうど一週間が経った。連休明けのこのイベントに多少は各紙も触れるのかなとも思ったものの、翌日の日経紙商品面が僅かに小さく報道したのが目に付いた程度で、地味な存在を裏付けるように果たして初日の午前は先限以外の限月が値付かずで、この日の売買高は結局僅かに8枚という寒い結果に終った。

ここで一寸、7年前の上場当時を思い返してみればTOCOMの出し値27,500円から大幅安で寄り一部はストップ安交じりであったものの、初日の出来高は76,000枚超と、当時のガソリンにほぼ並び灯油をも上回り活況であったのを思い出す。
(そういえば蛇足ながら、初日一番に全限に流しで大口の売り物を出したのは、今は無きあのタイコム証券であったなと懐かしい。)

某商社の石油部も積極的に初日からこのクラックをショートに回ったりして其れなりに使ってはいた模様だったが、翌日の出来高は2万枚、その二日後には1万枚を割り込むなどその後の凋落ぶりも激しかったなと。

再上場では、懸案であった脱税を防止する仕組みを作り受け渡し条件を緩和、取引業者をトラック運送会社や小規模の石油販売業者などにも拡大することになったわけだが、実際の現場は先物取引に対する理解がほとんど進捗していないのが現状。 この再上場にあたってTOCOMは売買高の目標を「灯油の三分の二程度」に設定するとしているが、一週間経過した本日の日中取引の出来高は灯油の4,683枚に対して僅かに16枚。

はたして再上場でも同じ轍を踏んでしまうのかどうか、今後を注視したい。


相場ポスト

ここ直近のギリシャ財政危機を受けて株式と歩調を合せ急落していた資源国通貨が、EU等の緊急措置打ち出しからのリスク回避姿勢の緩みから反発している旨が昨日の日経紙に載っていた。

さて、この資源高が追い風となっていたのはこの手の通貨だけでなく、先に大手商社が発表した2011年3月期の連結純利益予想の合計は、10年3月期の約1.4倍に拡大する見通しとなっていた。新興国などの需要増を背景にして、果たして権益を持つ物の価格上昇を享受する格好になったか。

商社といえば以前にもコメントしたように10年3月期は金融危機の影響に加えオマケにJALの優先株の処理やらが業績を直撃していたが、毎期の事ながら各資源価格に左右されてボラも其れなりに激しい。資源投資で大きくリスクを取った結果のリターンといえるうちはいいが政治色も強い対象資源への依存度も高いだけに落とし穴もある。

そういえばちょうど一年前の当欄5/12付けでも商社株について触れていたが当時、「〜今後は価格乱高下で業績が変動しないよう資源から非資源へと軸足を移すとの声もある〜」といった部分に各社ともどれだけ踏み込んでいるだろう?まあ、証券株同様に相場依存度が高いものはそれなりの利用法もあるが、このポストは各社の投資分散状況も注視しておきたいところ。



膨れ続ける株式数

本日は、みずほFGが普通株による約一兆円規模の増資実施に向けて最終調整に入っている旨が各大手紙等によって報道されている。月内にも方針発表との事であるが昨年7月の5,000億円以上の公募増資に続いてこれで二度目となる。

業界的に資産圧縮競争が避けられない状況下で規制対応もあり更なる資本増強の観点から、対応遅れが指摘されていたこのみずほFGを巡ってはいろいろと思惑も飛び交ったが、一時は新型の割当増資である「ライツ・イシュー」を検討しているとの一部報道もあった。なるほどこの手法なら今迄いわれてきた希薄化からの株主損失緩和にもなり企業も資金調達の幅が広がる可能性もあったが、この導入観測がいわれた直後に否定報道があった通り結局通常のファイナンスとなったか。

しかし、上場企業の発行済み株式数が昨年末時点で前年同期比で9%増の約4千億株に達し、増加率は34年ぶりの高さとなった報道を以前に大手紙で見たが、個別で目立ったのは昨年に公募増資と株式分割を実施したこのみずほFGで、その発行済み株式数は実に153億株へ急増している。

それがこの増資によって更に膨れ上がり普通株が軽く200億株を超えることになるわけだからこれはもの凄い。折しも昨日は新生銀行が黒字から大幅赤字への下方修正を発表、メガバンクでは三井FGが発行枠拡大などまたこうした機運も台頭、業界的に織り込み済みであったともいわれるこの手がまた蒸し返されてしまうかどうか注意が必要だろう。


アバター取引?

さて、先週末に掛けてはギリシャ問題から世界的な株安の連鎖が起きたが、中でもハイライトとしてはやはり6日のNYダウがわずか20分そこそこの間に600ドル超の急落を演じた異常な値動きであっただろうか。

確かに個別でもその発端と指摘されているP&Gの40%安など異常現象で、そのNYダウ日中足からどう見ても誤発注だろうと日本のジェイコム騒動の時よろしく犯人探しから某銀の名も挙がったりしていたが、ショートが増幅されたのは自動取引システムがその一因ともみられている。

周知の通り先進国では今やアルゴリズム取引等この手の取引は外せないものとなっており、機関投資家誘致やその注文量増大から取引所や証券会社も潤うと真に好都合であるが、遠隔操作用の肉体を持つアバターの如く人間の指示で執行が既にコンピューターに取って代わっているところが怖い一面でもある。

さて当欄でも年明け早々に東証が「アローヘッド」を稼動した事を取り上げたが、この東証も早期の黒転を視野にまさに今後の期待事項としてこのボリュームキープ系のアルゴリズム取引からの売買高倍増計画がある。今回の件でナスダックOMXグループは異常変動した取引無効を発表しているが、ジェイコム騒動から時は過ぎこの辺も含めた各種対応が高速システムを擁する取引所には自ずと求められ、インフラの進化と共に規制関係も出て来ようがその辺の兼ね合いも含めどう方向性を見出してゆくのか明確にしてゆく必要がある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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