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それでも低水準

ここ調整色を呈していた金であるが、週明けもCOMEXは買われ4営業日続伸となっていた。さて、この金といえば日本の外貨準備のなかで保有している金が直近の6月末で306億ドルに達し、外貨準備の内訳を公表し始めた2000年4月時点の約4.6倍に膨らんだ旨を日経紙にて先月見掛けた。

この日本に限らず新興国も外貨準備の中で保有する金を増やしている。日本に次ぐロシアは6月末時点で668.6トンと09年末比で10%増加、フィリピンは同6%増の164.7トン、ベネズエラは同2%増の363.9トン、中国の09年末の1,054トンは08年年末比で76%増え、他インドも先にIMFから200トンもの金を購入している。

しかしこうして金の公的保有量ランキングなどを見てみると欧米諸国のそれはアジア勢に比べはるか多い。実際にECBなどはユーロ加盟各国中央銀行に対して、外貨準備の15%は金で保有することが望ましいという指針を出しているようだが、ドルが怪しくなる前にその比率を高める動きを見せた中国など今の数倍へ比率を高めるのが望ましいとの内部の意見も出ている模様だ。

実際に外貨準備に占める金の保有高が少ないといわれる日本でも2.8%、対して中国のそれはわずか1.6%にとどまる。ドルの不信から始まって次はユーロ不信と続き、結局は無国籍なこの金が各国から見直されているということなのだろうが、根が深いだけに今後もこうした動きが継続されるのは想像に難くないか。


意識改革

先週には大手証券5社の4-6月期決算が出揃ったが、最大手の野村HDなど市場混乱の影響から法人部門が411億円の赤字に転落、最終利益が前年同期比79.7%減と大幅減益となった模様である。ところでこの野村といえば、先週から傘下のチェイエックス・ジャパンが証券取引所を仲介せずに株式売買を行う私設取引所であるPTSを開設させている。

このPTS、初めて当欄で触れたのが4年前の2006年にカブ・ドットコム証券が国内初の同市場を創設した時であったが、その後は同様にネット系が続々と参入するに至った。このカブ・ドットコム証券は今月から注文取次ぎ1秒超なら手数料無料にするサービスを開始するが、今この後発組が注目されるのはやはりこうした注文処理速度があの東証が新稼動させたアローヘッドをしのぐ4倍もの早さを備えている点も大きいか。

欧州では同系列が僅か数年でユーロネクストをも上回る最大市場に伸し上がった実績があるが、現況でPTS市場は補完的な役割を担っていたが東証アローヘッドの稼動によってヘッジファンド等の取引が東証に流れはじめている。同市場稼動によって流出した顧客が再還流、延いては立場逆転して上記のような成長を遂げることになるのであろうか?

ちなみにこの新PTS、初日の売買代金は1億円強にとどまるスタートとなったが、斯様に各所における執行速度がシェア獲得の要となってくるのか、また先に東証の昼休み廃止論に触れたがこの辺も対応策の範疇に入るのかどうか今後の東証の出方も併せて注目しておきたい。


魔術的な本物

猛暑一服、各地で大雨となった月末であるが今月の文化モノ体験としては「オルセー美術館展2010」があった。夫々単品でも見に行く価値のある値段の付けようがないゴッホ、モネ、セザンヌ、ゴーギャン、そして一度見たいと思っていたルソーなど100点以上が一堂に集まるワケだからこれは外せない。 都合よく主催側から招待券を頂いたこともあって友人と共に過日観賞してきた。

さて、そんな凄い企画だけあって平日の午前中にもかかわらずけっこうな人手で、先週にははや入場者が50万人を突破したのも頷けたが、足を踏み入れればやはり異空間。第五章のゴッホなど写真は見慣れているものの、例えば自画像の額などちょうどあの有名な向日葵を多く描いた時期と重なった事もあってなのか、見事に向日葵が掘り込まれた物で出来ておりそうした美しさもまた新発見。

それら名作を観つつ念願のアンリ・ルソーがある第九章の部屋へ。此処では「蛇使いの女」と「戦争」の二点、何れも大作であるが「蛇使いの女」はやはり圧巻、遠近法を無視したアウトサイダーの洋モノにあって何処かバリ島のプンゴセカンスタイルのテイストも持ち合わせており昔から好きであったが、本物を前にして幻想に溺れそうになる感覚はやはり魔術的な力を覚えた。他にもセザンヌ「水浴の男たち」や、友人が気に入ったというピュヴィ・ド・シャヴァンヌ「貧しき農夫」などいろいろ感じたものありだが、なんとも贅沢な空間であった。

ところで学生時代にはこれらは「後期印象派」として教えられたものだが、なんでも印象派の後半期を示すかのような誤解を招くとかで、近年では今回のタイトルの通り「ポスト印象派」というらしい。まあ、呼び方はどうあれ、仏サルコジ大統領も「これらの絵画がまとめてフランスを離れることは2度とない」と言っているように千載一遇の機会に相応しい充分な構成であった。


減配示唆?

本日の日経平均は主力大型株のカバーから先物もCSなどの外資勢大量買いが入って大幅反発となったが、先物といえば今朝日経紙マーケット総合を眺めていた時に株価指数/オプションの欄のレイアウトが何か変わっているなと思ったら、日経300先物の欄が消えて新たに配当指数先物が入っていた。

あまり各紙の金融面でも大きく取り上げた処もなく何時の間にか通り過ぎていたが、そういえば今週の月曜日からこの「配当指数先物」3種が東京証券取引所に上場されていたなと。この配当指数先物については春先にも当欄で取り上げた事があったが、初日は日経平均型で2010年12月物は172円、2012年12月物は150円の初値が付いた。

先月にはシンガポールで先行上場しているが、いろいろ並べてみるとおもしろいことにアナリストの増配予測とは逆に減配気味とも取れなくもないが、企業業績とは必ずしも連動しなく経営サイドの裁量に委ねる部分もあるだけに思惑が交錯しそう。

一方、提供側としてネット系証券などは対応に前向きなところから後ろ向きなところまでさまざまだが、投資家層の広がりが無ければ当然リクイディティー確保も覚束無くなるわけで今後の動向に注目だ。ところで、何時も思っているのだが日経紙のレイアウトといえば商品先物欄もいい加減取組の無いものなど掲載廃止して別な構成にする等させたらどうか?まあ余談ですが。


猛暑関連等々

さて、昨日も書いたが今年は先週から暦通り大暑を挟んで猛暑続き、各地では熱中症が相次ぎ救急車出動件数も連続で最多を記録している様が伝えられている。昨日の鰻もある意味猛暑関連?だが、夏枯れの株式市場もこのあたりから猛暑関連が物色されていた。

先ずエアコン物ではユーロ安や景気先行きの不安もあって中国絡みの一角でズルズルと下げていたダイキン工業が急浮上、同業低位では富士通ゼネラルもエアコン活況の時は必ず顔を出す。このエアコンが復調ならば家電量販、そしてフル稼動となれば電力系、外へ出れば日傘のムーンバット、外で思わずビール関連、そうでない派は清涼飲料からアイスクリーム関連、飲料系需要増なら製罐関連、はては冷蔵庫関連にまで連想買いの足跡が見られる。

ただ個別で見れば上記のビール関連でも直近まで年初来安値を付けていた物ありで、何処まで継続性があるかだが、第一生命経済研では東京・大阪の7-9月期の平均気温が1度上昇すると個人消費を4,333億円押し上げると試算している旨をロイターの記事で見掛けた。

そんな折、気象庁は28日から8/6にかけて特に厳しい暑さになるとみて「異常天候早期警戒情報」を発表、また、8〜10月の3ヶ月予報も全国的に残暑が厳しい旨の発表がされているが、昨日は日本電機工業会が白物家電の6月国内出荷額が前年同月比6.2%増の2,388億円と2ヶ月ぶりのプラスになったと発表。このあたりから回復傾向が裏付けられることになるかどうか注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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