587ページ目

増殖するコモディティー系

先週末にはETF成功の鍵として、iシェアーズを展開する米ブラックロックが日本での上場投資を強化する旨の件にも触れたが、本日の日経紙経済面には英運用大手、ETFセキュリティーズが今月中旬をメドに国際商品価格に連動するETF14本を東京証券取引所に上場する旨が載っていた。

このETFセキュリティーズといえば、当欄でも昨年の8月に日本進出を果たしはれて貴金属やバスケットもの等が新たなところとして銘柄に加わった旨を書いたばかりだが、今回は一気に14本の上場というからなんともハイペースな感がある。

当初はこうしたコモディティー物がもの珍しく、直接的なフューチャーという形態から受益証券を手軽に売買できるという点に期待が膨らんだものだが、何というか人間勝手なものでこれだけ増殖ピッチが速いと商いが希薄化してこないかなどと早くも別な懸念も出て来る。

まあ先月など直近で通貨連動型の数種がリンク債の手当てに支障が生じる事態となり、スピード償還となった事などを目の当たりにしているだけに、この辺は余計にそう思ってしまう。兎も角、具体的にどんな顔触れが出て来るのか上場した段階でまた触れることにしよう。


増幅される新興国モノ

この休み中に日経紙経済面で目にしたのは、09年度にBRICs関連投信への資金流入額が公募投信全体の5割に達する見通しと出ていた件。これらの信託報酬は比較的高めなことから、価格変動リスクと共にこれらコストに見合う成績が得られるかに留意としている。

それにしても投信といえば昨今目立つのは所謂「通貨選択型」、本日も幾つかあったが新聞に大きくスペースを確保して広告するのは中小から大手まで挙ってこの手のパターンである。そういえば、一月末時点でこの手のモノの純資産残高は3兆円近くに迫る勢いであるというからなるほど凄い。

そんな資金の集まり具合からこれらの人気は想像に難くないが、既にマーケットでは投機筋がこれら多額の設定を見越しての買いを膨らませる行為も目立つと指摘されている。ただでさえ投信設定が上昇要因となっているところへこれらも加担し更に変動を大きくしているともいえようが、欧州始め信用不安波及がどの程度になるか不透明な中、高リスク資産への投資資金の安定性は如何ほどだろうか。

ハイ・イールド債やヘッジプレミアムやら手軽に代行とはいうものの、中身はヘッジというより残高シェアを伸ばしている「毎月分配型」なんぞも分配金を確保する為に其れなりのリスク資産で運用していることもあり、これらも併せて総合的に判断する余裕も持ちたいものである。


ETF成功の鍵

本日のTOCOM日中では円高圧力もあって冴えない金であったが、NY金は続伸し1月中旬以来の高値水準となっている。この金といえば直近ではあのソロス・ファンド・マネジメントが、第4・四半期に金連動型ETFのSPDRゴールド・トラストへの投資を倍増させたとの報もあったなと。

ところでこのSPDRなどのETF、国内でも最近は随分と種類が増えてきた事もあって、新興国や商品関連モノなども日々チェックする機会が増えてきたが、もちろん王道の指標系もそのクセの比較などもありこれらもチェックからは外せない存在。

そうした中には野村アセット等の指数系同様に上場してから比較的リクイディティがあるiシェアーズ日経225もあり、このブランドを展開するのは世界最大の資産運用会社、米ブラックロックであるが、ちょうど今週の日経紙にはこの米ブラックロックが日本での上場投信を強化する旨が出ていた。

同ブランドで展開するETFは世界の上場投信の48%の残高シェアを持ち、今後は国内証券取引所への上場商品を大幅に増やしてゆくとの事だが、現況ETFはフィーが安いという事から証券会社も乗り気でないのか販売に力を割いていない。この辺はなんだか商品先物のミニシリ−ズとも重なって見えるが、そんなわけで商品数が4倍に増えている一方で残高は逆に4割も減少しているという地盤沈下が目立つ。

先に商品先物連動型ETFが上場した際に、かたや消えていった新興国通貨連動型ETFについても触れたが、国内ETFは先ず機関投資家が要、如何にリクイディティを確保し運用エラーを減らすことが出来るかがキーだが、同社始めとした戦略が奏功してくれば可也面白いものになってこようか。

さて、こうした機運に鑑みて、新年度からはこうしたETF等も含めて、個別の相場についても時折具体的に触れてゆきたいとも考えている最中。


商取コミットメントライン?

先にJCCHから発表になった先月度の商品先物出来高は【FUTURES PRESS】でも既報の通り前月比12.2%減となったが、取引所別で前年同月比等で見てみると特に東穀取あたりの落込みが激しい。この東穀取といえば2/20付け日経紙にはビルや株を担保にした融資依頼の記事が載っていたが、その数日後には中部大阪商取が保有するJCCH株式の売却要請の旨が記事になっていた。

斯様に先月末に掛けては、相次ぐ投資家保護基金への支援要請が記事にされることが多くなり、この辺の事情から日経紙商品面やら社説やらで日本の商品取引所を危惧する旨の記事を見掛ける機会も多くなった。

貸し出し資金である代位弁済積立金は本来、会員の商取会社が破綻した際の投機家の担保を保証する資金だが、こうした事例が出て来るのも取引員の破綻やこうした商品取引所が資金調達難に陥っている現況ならではの光景といえよう。

そういえば資金繰りがどうにもならなくなり責準までツマんで日商協から過怠金制裁処分を受けたところもあったが、責準でなくともこんなところにこんな貸し出し枠があったのか!とあらためて知るケースも昨今多い。しかし、基金団体の貸し出し枠設定も「取引所が運営できなくなるのも先物市場の損失」との名目としているが、再編に向けたプロセスがあるのなら、こうした個別での動きなどワンクッション噛ませているところにまだまだ違和感を覚える部分も多い。


酷似する構造・2

昨日の大手各紙では「さくらや」全店が閉鎖し64年の歴史に幕を下ろした旨の記事を見掛けたが、同じ約60年の歴史に幕といえば吉本興業も先に長きに亘る株式公開に終止符を打っている。斯様に先月は個人に馴染みのある企業が幾つかその長い歴史に終止符という事例があったが、話題性ではやはりその株式公開48年の歴史に幕を下ろした日本航空だろうか。

この日本航空、直近で09年04〜12月期連結決算を発表しているが、10年3月期通期営業赤字を2,500億円以上見込んでいたところ先の営業赤字が1,208億円で収まったので残りの期間を考慮しても意外?に赤字幅が最小限に収まっているとの解説もあった。まあ、それでも純損失は467億円と過去最悪、12年3月期に241億円の営業黒字の確保という再建計画の数字を前にそのハードルが高く聳え立つ。

この再建に投じられる公的資金は総額で一兆円近く、慢性的赤字が続き国債乱発の借金に依存しなければ立ちゆかない日本の財政と同じである。年金にしても最後まで渋るOB組を見るにつけ、今後の日本の社会保障構造と重なる部分など他に幾つも見受けられる。

昨日は「酷似する構造」として社会保障絡めてギリシャと日本の財政構造を書いたが、破綻した一企業ベースの比較で見ても一部紙の指摘にもあったように、斯様に同社と日本の財政事情がここでも重なってしまう部分があり、構造問題解決が焦眉の急を告げるなか、日本航空は稲盛会長、かたや日本は鳩山首相とそれぞれ今後の手腕が注目されている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

9

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30