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ファンディング危機

金融庁が昨年10〜12月に受けた貸し渋りや貸し剥がしの相談件数は7〜9月より2倍近く増えて四半期で過去最多となった旨が報道されていたが、昨今貸し剥がしで問題になっていたSFCGが3,000億円以上の負債を出して昨日破綻した。

あのアーバンコーポや大和生命保険をも上回る額とは凄いが、思えば10月末にストップ安で500円台を付けてからその日のうちにストップ高に切り返したのを号砲に僅か一ヶ月そこそこの営業日で株価が4,000円台へと約8倍に化けたのもこれまた凄かった。

ただ足が速いカネが色濃いノンバンクだけに貸出金の猛烈な回収が始まった昨年あたりから既に関係者の間では噂が出ており、上記の棒上げにした株価も訳アリと更に深読みされて要注意の銘柄に選定されていたものだったが、結局のところ流動性確保が追い付かなかったのだろう。

ところでSFCGという社名ではピンと来ない向きも居るだろうが同社は旧商工ファンド、同業の類ではロプロなるものもあるがこちらは旧日栄、これも何時の間にか株価一桁になってしまったが今や淘汰の波は社名を変えようが容赦なく業界を呑み込む。


22年遅れ?のSPAN

さて、週末土曜日の日経紙で目に留まったのが、商品面にあったJCCHがSAPN証拠金制度の導入等2010年度をメドに証拠金制度を抜本改革する旨の記事であった。

いまだに証拠金は昨年の暴騰時から半値以下にまで崩落している商品がある中においてもボラティリティーリスクの観点とやらで一貫して吊り上った状況を維持しているが、カレンダー始めとして相殺モノはこの分だけ寝かせるカネがそっくり増額してしまっている。

まあ自己においてもおかしな計算と感じる事が多いがそれはこと原商品に限らずオプション等にも言える事で、特にこれは数度にわたる設計変更の度に失敗する予告を当欄で何度も指摘してきた通り、鳴かず飛ばずを嘆く以前にその視点がズレているのに他ならない。

同紙には、新しい証拠金の導入は日本の商品先物改革の最後の切り札などとたいそう大袈裟な書き方をしているが、もう可也前から実際の参加者はスパン証拠金導入をい望んでいたし、またそうした論議が湧いていた事実がありながら当事者は全く耳を貸さなかったのも事実、漸く重い腰を上げたがこれも遅きに失したという事になるや否や。


丸の内の目玉

今週は週初の日経紙一面に日本製紙グループ本社がオーストラリア3位のオーストラリアンペーパーを買収する旨が出ていたが、全般M&A金額が金融危機の影響で縮小する中を豊富な手元資金を持つ向きの攻勢が際立つ。
ところでM&A同様大きな買い物関係といえば、直近では何度か当欄でも触れた経営再建中の米保険大手AIGがとうとうあの丸の内のAIGビルの売却を決めた模様である。

このAIGビル、築年数こそ古いものの皇居のお堀とセットで一つの風景になっており東京駅周辺の物件の中でも八重洲側とは可也ステージが違う、一寸前まで先ずこのクラスが売り物に出る事は稀だろうと見られていた物がこうして出て来るのはやはり金融危機があってこその事例だろうか。

まさに昨年末当欄で「Welcome不況」のタイトルで書いた経済混乱故の出物だろうが、とはいってもでは頂きましょうと落とせるのは其れなりに纏まったキャッシュを動かせるところに限られてこよう、そうなるとやはりこの辺の財閥系大家さんになるのだろうかなどと勘繰ってしまうが、やはりこんな局面こそ強固なところほど更に機会も多いという構図か。


萎縮から再編

本日の日経紙財務面にはREITの産業ファンド投資法人が三菱商事を引受先に80億円の劣後債を発行する旨が出ていたが、REITによる劣後債発行は初のケースだろうか。

さて、REITといえば不動産証券化協会が先週末に纏めた個人投資家の意識調査結果によると、REITを保有しているとの回答は僅かに6.6%、今後REITに投資する予定が無い向きが60%に達するなど人気の無さが顕著だが、つい数年前にREITを当欄でとり上げた時は累計資産額が一年間で60%増と破竹の勢いで膨張していたのを思えばその凋落ぶりがなんとも酷い。

昨今のREITは組み込まれている不動産資産価値を合せた実質純資産額を時価総額が下回る状況、リーマン破綻で所謂ブルーチップ株が軒並みPBR割れと割安感?が煽られていたのに状況は同じであるが、株式よろしく今のセンチメントはPBRの異常な低下は割安感より破綻懸念を喚起してしまうのが現状である。

こんな状況に危機感を募らせた政府は投資家の信頼回復の為に運用を行う投資法人同士の合併・再編を促す方針を固めた模様だが、これまた企業同様玉石混合なだけにそのオペの成り行きが注目される。


境界線

本日からシカゴ商品取引所は、大量の投機マネーの流出入が先物価格を乱高下させ実需家に悪影響を与えているとして、年金基金などが農産物先物などに投資する際の持ち高を制限する模様である。

直近ではWTIが対ブレントの鞘や期近の動きを以ってその指標性が物議を醸し出しているが、この辺に関しては先週だったかCFTCの委員の一人がワシントンの講演にて昨年の商品相場の高騰原因には新たに参入した投機筋が大きな役割を果たしたと明言、相場操縦などの取り締まりを強化するにはCFTCが司法省と同様の犯罪起訴権限を持つべきだとの考えを明らかにしている。

さて国内、取引所も主務省もプロ化云々とかまびすしいが一般投機家主戦からファンドやディーラーへとその占有模様が変り相応のリクイディティーを創造したものの、崩壊しその受け皿さえ潰してしまった感ありだが、仮に先行き主軸をそうした大口系に依存してゆく事になった場合はこれら規制も日本が得意な右へ倣えで導入促進という運びになるのだろうか?

事が起きてから対処するパターンが殆どであるが、暴れるだけ暴れて味が無くなったら捨てる構図は未成熟市場に顕著で当事者にはワンチャンスでも旨み在り、先手の打ち方にも手腕が問われよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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