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新たなベンチャーファンド

本日の日経平均は反発となったが、高寄与度のソフトバンクGが大幅高となり相場を牽引した。昨日発表した同社の2018年4-6月期連結決算は営業利益が前年同期比49%増となり同期では過去最高を更新したが、これに大きく寄与したのが昨年立ち上げたファンドの事業利益で、2.3倍に膨らんだ模様。

ソフトバンクのというより孫氏の有望企業を発掘する目利き力は誰もが知るところで2000年に約20億円で投資した中国・アリババ集団などは保有分時価が実に15兆円に大化けしている。事業別の寄与度を見るにいよいよソフトバンクも投資会社としての色合いが一段と濃くなってきた感もある。

ところでファンド立ち上げといえば本日の日経紙投資情報面には「本田選手が挑む閉じた世界」と題し、サッカー日本代表本田選手が米の創業間もないスタートアップ企業に投資するドリーマーズ・ファンドを立ち上げた旨の記事があった。チームを組むのは錚々たる面々で早速野村HDは参加を決めている。

ソフトバンクのアリババよろしくフェイスブックも上場前に投資すればリターンが驚異の1万倍になったとも書いてあったが、かつてサッカー日本代表といえば中田選手なども金融の世界に手を広げていった経緯がある。本田選手の視点はまた一段違う所にあるが従来の金融業界の所謂慣習にとらわれない新たなベンチャーとして今後注目してゆきたい。


異常気象とESG

さて連日猛暑日が続くが今月アタマに気象庁は7月の前項の天候まとめを発表しており、それによれば強い高気圧の影響で東日本の月平均気温は平年より2.8度高く、7月としては1946年の統計開始以降で最も暑かったという。また西日本豪雨から約1ヵ月が経つが降水量も太平洋側で平年緒2倍となる記録的な1ヵ月となった模様。

そんな中で先月下旬にはESG金融懇談会の提言書が公表されているが、これは環境省のHPにもある通り年金資産や預金といった国民のお金を環境課題と経済・社会的課題の同時解決に向けた取り組みへと導く為に長期的視点から持続可能な社会を築いていこうとする内容。

企業価値を高める前提の規律ガバナンスを軸に今後環境や社会に配慮した持続的成長が可能な企業戦略が重要になってくるが、冒頭の件も顧みて温暖化に悪い影響を与える関連投資から撤退する動きも出ている。企業側も温暖化ガス削減の為の取組など具体的な対応策を実行する企業も出始めてきている。

ところでガバナンスといえばまたぞろ官庁や大学などでも不祥事が相次ぎTVなどはこの手のネタに困らない状況になっているが、企業だけでなく近年の社会構造などを鑑みても統治機構の軋みが酷くならぬよう価値向上を目指したガバナンスの強化がこれら各所でも不可避となろうか。


平成最後の隅田川花火

さて先週末にはこの時期恒例の隅田川花火大会が開催され、今年はタイミング悪く台風12号直撃の影響で21年ぶり2度目の順延開催となったものの、夜空に大輪の彩を咲かせ約87万4千人の見物客を魅了した。東京の花火大会双璧のこれも今年で第41回目を迎えるが平成では最後の開催ということになる。

というワケで今年は100万人カウントダウンアプリ配信や、スカイツリーなども明日の未来をテーマに地元墨田区の小学生たちから募集したデザインで太陽の光を浴びて成長する花の様子を表現した「明火」なる特別ライティングに途中から切り替わるなど各所での試みも見られた。

しかし何といっても毎年楽しみなのは10社でその技を競う恒例の花火コンクールか。今年は昨年に続いて小松煙火工業が優勝し二連覇を達成したが、タイトルの「夕映えの隅田川」の通り美しい黄金色の発色は圧巻。他にも丸玉屋小勝煙火店のワイングラスや北日本花火興業のカエルのユニークな花火、野村花火工業や斎木煙火本店の美しいグラデーションを時間差で表現する花火などどれも圧巻で平成最後を飾るに相応しい大会であった。


日銀トレード終焉

本日の日経紙マーケット面には「日銀買い 変化に先手」と題し、日銀が日本株のETFの買い入れで日経平均型を減らしTOPIX型を増やすと発表した事で、これまでの日銀トレードの是正でNT倍率の変化など構造変化を見越した取引が当面続く可能性がある旨が書いてあった。

このNT倍率だが今月中旬には2000年以降で初めて13倍台の高水準を付けていたが、日銀によるETF購入配分の見直し検討が伝わって以降はこれまでの吸い上げで浮動玉が急減したファーストリテイリングなど、本日もそうであるように先週から地合いに左右される事なく大幅に値を崩すなど早速想定された反応を見せている。

以前に当欄でも書いたように、日銀は約8兆円の自己資本のおよそ3倍に相当する株の変動リスクを自らのバランスシートに抱えており、これまでのNT倍率の高止まりに危機感を指摘する関係者は多かったが、幾度となく出てきたランディング論がジワジワと今後少しずつ具現化してゆく様が今後も注目される。


三度目のナントカ

本日の日経紙・市場点描には仮想通貨ビットコインのETF(上場投資信託)に関してSEC(米証券取引委員会)が26日、この認可申請を却下した旨が書かれていた。今回は米大手仮想通貨交換事業者の創業者が2013年に提案していたビットコインETFだが、拒否理由として価格操作や詐欺などの不正防止策や投資家保護が不十分であると判断された模様。

斯様な理由でビットコインのETFが却下されたのは今回が初めてではなく、昨年3月にも同様にSECが斯様なビットコインETFの申請を認めないとの決定が下された経緯がある。この時も史上最高値から3割近く急落の憂き目に遭ったが、今回も約2か月ぶり水準の8400ドル台まで上昇していた価格が申請却下で7800ドル台まで下落する事となった。

今回仮に承認が叶った場合はシカゴオプション取引所傘下のバッツ・グローバル取引所に上場される予定であったが、このシカゴオプション取引所(CBOE)が上昇申請したビットコインETFに関しては来月にも承認されるかどうかが決まると言われている。果たして3度目の正直でこの悲願が叶うのか否かSECが下す判断が注目される。


首都圏流出

さて、前回は10年目を迎えたふるさと納税がEGSの流れもあって直近の豪雨被災地の救済を目的とした代理寄付や、被災地支援パートナーシップなど多様な形態で支援の輪が広がっている旨も書いたが、一方で先週末の日経紙には「1都3県で減収4割増」と題しふるさと納税をした人の2018年度分の個人住民税控除額が1都3県で1166億円になった旨の記事があった。

実に17年度分に比べて4割近くの増加だが、全国では前年度より37%増えて約2448億円になるとの発表が総務省より為されている。控除トップは上記に見られるように東京都で約645億円、次に神奈川県の約257億円と続き大都市圏の自治体にとってはなかなか頭の痛い状況となっている。

斯様な状況から都内では目黒区が2018年度から返礼品に同区に拠点を持つ「EXILE」の関連グッズを追加したり、大都市圏でも文化財見学ツアーなど地域資源の活用などの工夫をしたりと試行錯誤だが今後の寄与度はまだ未知数である。

ところで本日は東京都が認可保育所等の新規開設が進んだ事で、今年4月1日時点の都内の待機児童数が前年より3172人減った旨の発表をしている。都は2020年4月に全市区町村の待機児童ゼロを目指すとの目標を掲げているが、首都圏自治体の応分の税収が他府県に流出を続けている事がこれらの対策にも影響を及ぼすようなことにならぬかも危惧されるところ。


第3回TOCOMリアルトレードコンテスト途中結果を公表

 2018年7月2日より開催中の「第3回TOCOMリアルトレードコンテスト」、初回7/13時点のランキングが公表。開始2週間で利益率100%超えは3名、今回より新たに創設された実益額ランキングのトップは+3800万円超えといずれも素晴らしい結果となっております。

▼第3回TOCOMリアルトレードコンテスト:途中経過順位(2018年7月13日時点)




エントリーはまだまだ可能ですので、ぜひリアルトレードコンテストへ!

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10年目のふるさと納税

さて、多くの被害をもたらした西日本豪雨災害から約1ヵ月が経とうとしているが、これに関してふるさと納税経由でも多くの寄付が寄せられている。本日も関連サイトふるさとチョイスから状況報告のメールが来ていたが昨日25日の段階で寄付件数が55,899件、寄付金額は実に10億円を超えた模様だ。

このふるさと納税だが総務省が今月発表した2017年度の寄付額は全体では前年度比で28%増えて3,653億円に達している。一頃は返礼品競争が過熱し7割を超える返礼率のところも出て来た事で自粛を促す総務大臣通知から見直しの動きも広がったものだが、伸び率は縮小したとはいえ依然その人気は高いといえる。

返礼品競争の過熱ピークの時期にはふるさと納税評論家と称した一部の高所得者層が「もし返礼品が無かったら寄付なんてしませんよ。」とバラエティー番組で発言していた事があったが、なるほど昨年から半分以下となった増加率の中で受け入れ額が増加した自治体の中には今だ豪華な返礼で寄付額の上乗せに貢献?しているところもある。

このふるさと納税、発足から今年でちょうど10年を迎えるが、上記の通り返礼品勝負が継続される一方で近年のESGの波で冒頭の通り被災自治体を他自治体が支援する代理寄付や、所謂故郷ケアなど様々な支援形態も生まれている。予測困難な災害に押し寄せる高齢化の波を鑑み寄付文化をどう根付かせてゆくか今後の在り方が引き続き注目される。


株式給付信託

さて、昨日の日経紙には「自社株報酬 導入600社超」と題し、株式給付信託を導入した上場企業が6月末までに延べ約630社に上りコーポレートガバナンス・コードが適用された3年前に比べて4倍以上に増えるなど、信託を使った自社株報酬制度を役員や従業員向けに導入する企業が増えている旨が書かれていた。

コーポレートガバナンス・コード導入以降に企業の安定株主論で何時も出て来るのが株式持ち合いの問題だが、これが遅々として進まない現状が問題になっているなか従業員向けなども安定株主作りと自社株の活用術で福利厚生目的等とも併せ導入する企業が増加している。

かつて取引員でもこの手の自社株報酬を実施していたところもあったものの破綻してしまったという笑えない例もあったが、それは兎も角も企業は給与等増加額の10%を法人税額から控除でき付与した株式の時価相当額も含まれる事になっているが、18年度改正ではこの控除枠が15%に拡大することになり企業側のメリットも拡大する事で今後普及が加速してくるかどうかこの辺も注目される。


拘るクラフト

昨日の日経紙夕刊にウチの近所にあるお店が出ていたので目に留まったのだが、「クラフトジンに酔う」と題し地域の蒸留所で素材や製法にこだわったお酒であるクラフトジンが話題を呼び、地元の食材を使った国産品も登場するなど多彩な味わいで消費者を賑せている旨が書いてあった。

クラフトものといえば一寸前にはビールが流行り彼方此方にそれ系の店が乱立した時期があったが、今度はジンという感じか。ジンの場合はジュニパーベリーさえ押さえておけばあとの香味付けは特に決まりがない事から、その辺にまた拘りの追求が残されているワケで斯様な個性で勝負出来るあたりに商機を見い出す向きも多いのだろう。

思えばサロンドゥショコラでも近年は欧州勢が挙って柚子やら山椒やらと日本ならではの素材を使用する作品が目立って来ているが、日本のクラフトジンこそこの手の出番でそれこそ寿司店や和食処など日本酒やビール一辺倒の構図も今後はお家芸の匙加減で変わってくるかもしれない。


ブランド保護の選択

さて、今の時期どこの商業施設でもセールと併せ在庫処分品のそれも酣だが、在庫処分に絡んでのニュースといえば先週入って来た報に英バーバリーが知的財産を保護し意図しないマーケット等への流出防止措置で過去1年で約42億円相当の在庫処分品を焼却処分、これに対し英国内で厳しい声が上がっていた旨が報じられていた。

まあその辺の商業施設のテナント品と英高級ブランドのバーバリーを同一比較するのは無理があるが、昨年秋にはファストファッションのH&Mが2013年から毎年12トンほどの在庫品を焼却処分しているとの報が物議を醸し出し、その前にはスポーツ大手ナイキも在庫品をリサイクルではなく破壊という形で処理した同様の案件で物議を醸し出している。

上記の2013年からというのを基準に見ればバーバリーでは破壊した商品は金額にしてこの間6倍に膨れ上がり、ここ2年でも破壊された商品は金額にして50%増加しているという。上記のファストファッションと相違しバーバリーのターゲット層は環境意識の高いミレニアル世代が多く、投資家とも併せイメージを考慮するに斯様な措置は悩ましいところではあるが、リサイクルを避けブランド保護を図る企業の選択も近年厳しさを増してきているか。


ウナギ所相場

連日酷暑の日々が続いているが、そんななか明日も恒例の丑の日がやってくる。丑の日といえばウナギだが、昨日の日経紙にはウナギの極度の品薄で築地市場では売りたいのにモノが無いという状態に陥っている旨が書いてあった。卸値が前年同期比4割高と過去最高値にあるなか、近所のウナギ屋も挙って値上げの波が押し寄せてきている。

そんな一方で先週の朝日紙では宮崎の養鰻業界では前年の1割程度の出荷量にもかかわらず買い手が付かずに多くのウナギが余る異常事態となっている旨が報じられている。県養鰻漁業協同組合では値段が高騰した国内産需要が値段の安い外国産に移った為と分析しているが、こんなさながら所相場もレーショニングの成せる業か。

思えば今から10年くらい前にウナギの産地偽装が騒がれて以降高騰が加速してきた感があるが、ここへきて秋刀魚も水揚げ量が振るわず釧路の初セリでは過去最高の値が付いたとか。水温変化、乱獲等々でこれら以外の海産物も不漁が云われ始めているが近江商人の「三方良し」ならぬ、今の「三方悪し」のこんな現状は何時まで続くことになるのだろうか。