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重くなるメダル

いよいよリオデジャネイロ五輪が始まったが、周知の通り競泳男子の400メートル個人メドレーで萩野選手が日本新記録をマークし今大会の日本選手金メダル第一号となった。一緒に泳いだ瀬戸選手はワンツーフニュッシュは叶わなかったものの銅メダルを獲得しダブル表彰台は60年ぶりの快挙となった。

さてこの金メダルといえば、先週末の日経紙商品面にはワールド・ゴールド・カウンシルが、リオデジャネイロ五輪で使う金メダルの物資的価値を試算するとおよそ600ドルになるというリポートをまとめた旨が出ていたが、オリンピック憲章規則から金の6グラム使用は各国最低限のところで抑えてきているので相場変動を除外すれば毎回同じになろう。

一方で重さに関して今回のリオではこれまでの五輪史上最も重い500グラムになっているという。前回のロンドン五輪の410グラムがこれまでで最も重いといわれていたが、500グラムといえば前々回の北京五輪の重さ200グラムの実に倍以上である。今後もこの傾向が続くのか否かは兎も角も、各選手にはメダルの色云々より己に悔いのない内容で臨んで欲しいもの。


グラウカス・リサーチG第一弾

さて、昨日の日経紙投資情報面には「米空売りファンド、会計処理に異議」と題して、空売り専門の投資ファンドである米グラウカス・リサーチ・グループが会計処理に疑問を呈した伊藤忠商事側の反論が書かれていた。

この件に関しては先月11日に当欄で「空売り界の文春?」と題して、この米グラウカス・リサーチ・グループが日本市場に参入する旨を取り上げ、この時数か月前から日本企業株の調査を始め既に時価総額の大きな企業3〜4銘柄を対象に絞ったとしていたが、果たして第一弾として上記の伊藤忠商事に矛先が向けられた模様だ。

ちなみに同社が先月末に公表した調査リポートでは、コロンビア炭鉱に対する出資持分の価値が著しく低下していたにも関わらず不適切な区分変更によって減損損失の認識を意図的に回避し2015年3月期の当期純利益を課題報告したと考え、東芝と同規模の会計スキャンダルを引き起こす可能性があると指摘、投資判断を新規で強い売りとし目標価格を631円としている。

今週は商社ポストも主力どころの決算一巡を経て冴えない株価となっているが、同社はこれが発表された当日の商いが前日の6倍以上にも膨らみ株価は一時10%安の憂き目に遭っていた。冒頭の通り反論声明を出す同社に、日本取引所グループのCEOも取引自体に問題があれば必要に応じて対応を取る考えを示唆する事態となっているが、倫理的な解釈の違いを何所まで主張出来るのかどうかこの行方が気になるところ。


新生プリンス

本日は所用でガーデンコートに行ったのだが、帰り際に先月末にオープンしたばかりの向いの「東京ガーデンテラス紀尾井町」にも一寸立ち寄ってみた。ベンツの新モデルがエントランス付近に鎮座しているよくある光景を横目に、ハッピーアワーを楽しむ女性陣がやたらと目に付く。

おそらくこうした客層の一部はオフィス棟からの流れもあると思うが、かつてのホテルのみの形態からこうしたオフィスや住宅も併設するパターンはお隣虎ノ門のアンダーズ東京にも見られた構図であるが、西武HD側はこれで年間売上総利益を赤プリ時代の約5倍にまでする見通しを立てている。

20日付けで書いた「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」も「赤プリ」からは様変わり、各所で他の外資系のエッセンスと被るところ数多あるがオフィス棟と共に予約は上々という。先ずは次期構想を練る品川や高輪エリアで控える大規模再開発の試金石となるだけに、このガーデンテラス各所の成功の是非が今後注目されてくるところ。


プラチナシーズン

本日の日経紙商品面には「白金、供給リスク再び」と題して、プラチナの主生産地である南アフリカで約2年ぶりとなる鉱山労働者の賃金交渉が本格的に始まったものの、賃上げ幅を巡る労使の溝は埋まらない事で国際市場での供給リスクが意識されている旨が載っていた。

プラチナといえば工業用途の裾野が広く景気動向に敏感なだけに、昨年以降中国等の新興国景気減速で不透明感が強まり昨年だけで価格が3割も下落するなど低迷著しかったものだが、末尾にあるように最近のランド安がコスト抑制要因になってきている。ドル建ての輸出価格が低迷してもランド建てでの値上がりから増産意欲は旺盛な構図が出来上がっている。

斯様な収益環境の改善を背景にした賃上げ要求の強まりから上記の労使交渉も難航必至との見方が浮上し、一昨年を彷彿させるような交渉長期化が懸念される事態となっているが、ファンダメンタルズも斯様に森と木の部分とで拗れているだけに価格が不安定になる懸念は一昨年同様に強まってきそうだ。


土用丑の隅田川花火大会

周知の通り先週末は東京の夏の風物詩である隅田川花火大会があった。打ち上げ数は約2万発、浴衣姿の女性比率も昼くらいからグンと上がっていたが主催者発表では約100万人近くの見物客だったという。しかし今年もそのデザイン創造技術や発色技術まで更なる進化を見せつけられた素晴らしい華の数々であった。

さて恒例といえばもう一つ、この日はまた土用丑の日でもあり百貨店から街の至る所で外の厳しい暑さに負けぬくらいの商戦が繰り広げられていた。稚魚の不漁で価格が10倍に跳ね上がったかと思えば翌年には漁獲高回復で一転急落の高下を見せていた近年だが、今年も蒲焼の店頭価格は昨年比で1割程度高いという。

ニホンウナギは国際自然保護連合が2014年に絶滅危惧種に指定され、国際的な取引規制を話し合う今秋のワシントン条約締約国会議で議題に上る可能性があったものの辛うじて今回は回避されたというが、資源枯渇懸念は依然として根強く密輸問題等の課題も山積みだ。今後も美味しい鰻に舌鼓を打てるかどうか焦眉の急を告げる事態となってきたか。


ポケモン狂想曲

さて、もう世界各地でお馴染となっているスマホゲームの「ポケモンGO」の配信が日本でも先週末に始まり、老若男女を問わず道の至る所でスマホを見ながら進んでは立ち止まる人の姿が見られ既に社会現象になり始めている。

株式市場でも12日に当欄で書いたようにこれに先行する格好でポケモノミクスを囃していたが、本命の任天堂は数日で時価総額が約1兆円も変動するボラタイルな展開で、年初来高値を取った19日は売買代金が個別株として初めて7,000億円を超え東証の売買代金の2割以上を占めたというから凄まじい。

また周辺銘柄もこれに負けず劣らずで、関連複合施設運営のサノヤスHDは5日連続ストップ高の離れ業をやってのけ昨日はミツミがストップ高、またポケモンパンを販売している第一パンまで年初来高値を更新し、ちょうど一週間前には日本マクドナルドHDが株価・時価総額共に約15年ぶりの水準にまで回復している。

しかしマックといえば使用期限切れ問題等の不祥事で2015年12月期まで2期連続で連結最終赤字の憂き目に遭っていたが、見栄えは一気に浮上した格好か。当の任天堂もつい先月まで過去の遺物扱いで年初来安値を更新していたものが上記の通りの大化けと、過去の遺物が転じて新たな収益の大きな種になった格好。今回のポケモン相場は過去の遺産を擁しつつ燻っている日本企業への新たな見方を提供するかもしれない可能性を秘めているか。


新種保険

さて、本日のDMの中にも保険の案内が舞い込んでいたが、保険といえば一昨日の日経紙には「新種保険 続々の謎」と題して、損保保険ジャパン日本興亜が手掛ける富士山の噴火に対応した保険など変わり種の新商品が続々と開発されている旨が出ていた。

この手の自然災害に絡む保険を当欄で取り上げたのは今から二年くらい前の三井住友海上火災保険だったと思うが、同社は大雪など冬場の天候不順で生じる損失を軽減するモノや、落雷を対象としたデリバティブなどを手掛けた経緯があった。

近年異常気象が言われ続け実際に想定外ともいえるケースが多発している中で保険会社がこうした分野に活路を見出しているのは自然な流れだが、天候以外でもそうした一昨年からのわずか二年でも様々な技術革新に伴う想定外のケースも増えつつあることで今後この分野での開発にも優劣が出てくることが予想される。


3年のモラトリアム

本日の日経平均は大幅続落となったが、そんな中で前場に突飛高が目立ったのは低位系で東証二部の「倉庫精練」は寄り後の数十分でストップ高にまで暴騰し引けでも全市場の値上がり6位となった。この系統では同じく東証二部の「カネヨウ」や「北日本紡績」等も前場早い時間に急騰し商いも共に前日の10倍以上に膨らんでいた。

これらに共通していたのは旧大証単独銘柄で東証と大証が現物株を統合した際に時価総額の上場廃止適用猶予期間に入っていたモノで、本日の日経紙投資情報面でこの辺について取り上げられていたのが材料視されたというところだろうか。

猶予期間が今月末に迫り各々も兼松や東レ、帝人など蜜な部分もあり何等かの対策が出るのではとの期待にイナゴ投資家勢が集結した格好だが、東証の看板を手に入れ3年間のモラトリアムは早く感じたか遅く感じたか、いずれにせよそれぞれの答えが何れ明らかになる。


東商取金現物取引スタート

本日から東京商品取引所では金の現物取引がスタートした。ユーザーは取引員等を通じ東京商品取引所が運営するオンライン上で注文を記入、条件が合えば取引が成立する仕組みで売買対象は100グラムと1キログラムの金地金、100グラムも対象に入れたところが小口需要も視野に入れているか。

実際にこの辺は初日には14枚の売買があったが、100グラム対象のものであった。渡しは偽物流通防止もあって出来ない仕組みになっており、先物から現引きするようなパターンでも特に好みのブランド指定は出来ないが、ここでも田中貴金属工業などのブランド力の高い企業の地金はなかなかお目に懸かれそうにもないという。

ところで田中貴金属工業といえば、同社が先に発表した1〜6月の金地金販売量は前年同期比で30%増となった模様。ブレグジットを切っ掛けに金融市場の混乱や経済不安から中長期的な投資資金の分散先として金が見直されている格好だが、東商取もこの機に乗じての現物取引スタートというところだろう。大手店頭販売からETFまで現物取引は多岐にわたるが、ニッチの取り込みでブランド力の劣勢までカバー出来るか否かに注目したい。


デリバティブ刷新

さて、今週は連休明けからJPX傘下の大阪証券取引所がシステム刷新し「J-GATE」が稼働を始めた。注文受注してから約定・通知返信までの処理速度は従来の20倍に上がり、取引時間も日中取引が従前より15分早まり、夜間取引も従前より拡大し午前5時半まで延長されることとなった。

これに伴ってデリバティブの上場も4商品が増える事となったが、特にマザーズ先物は鳴り物入りの登場。マザーズ市場はスタートして17年が経過するがこれまでヘッジ手段が無かっただけに、これまで投資対象外としていた機関投資家の参入が見込まれ、また個人も日経ミニ並みの投資資金から参入し易いと期待されている。

ちなみに初日は静かな滑り出しを見せ、個別ではマザーズの代表格であるそーせいグループは前週からの地合いを継いで下げ止まらない展開であったが引け間際に急上昇、全市場値下がりランキングでは1位から7位までがマザーズ銘柄がズラリと並び指数は4日続落となっていた。

これから早晩ETF等の枝葉も広がってゆくのは想像に難くないが、レバ系の創設如何では荒れを予想する向きもある。この辺は構成銘柄如何に懸かって来ると思われるが、それ以前にSQ一つ取っても品薄現物の全てが常に約定可能なのか否か裁定のオペ等も併せて今後に注目してゆきたい。


都会の試金石

本日は大手町の「星のや東京」がはれて開業となった。明日なら大安だったのに何故わざわざ仏滅の今日にオープンしたのかとも思ったが、かつて社運を賭けリニューアルオープンした「星のや軽井沢」の開業日が7月20日であった事からこれに合せたというところだろうか。

この星のやは18階建てのビルをまるごと旅館に仕上げた形態となっておりそのコンセプトは「塔の日本旅館」としているが、星のや東京の至近距離で先に開業している「アマン東京」も明らかに日本旅館を意識した作りとなっている。初の大都市圏で「旅館」が通用するのか否か、将来的にNYやロンドンまで見据えているだけに失敗は許されないところ。

ところで高級宿泊施設といえば今月下旬には赤プリ跡地だったところに「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」も開業が予定されている。他にも外資系含め続々と開発計画が挙げられており、東京五輪を睨んで富裕層をターゲットとした都内の高級ホテル競争がまたぞろ激化しそうな気配だ。


LINE上場

先週末は周知の通り対話アプリのLINEがNYSEに続いて東証ではれて上場となった。一足早かったNYSEの方は公開価格32.84ドルを27.9%上回る42ドルの初値で好調スタート、これを反映し東京市場も差し引き約670万株の買い気配でスタートし注目の初値は公開価格3,300円を48.5%上回る4,900円で形成となった。

当欄でLINEについて直近で触れたのが先月の2日で「三度目の正直」というタイトルを付け、その約2週間後に日経紙も全く同じタイトルで取り上げていたが、IPO観測が出た当初がまさにSNSバブルだった事で時間総額の急減が云われていたものの、初値ベースでの時価総額は1兆円超えの約1兆290億と今年のIPOで最大規模となった。

任天堂やFリテイリのストップ高など他の値嵩も大騒ぎの資金争奪戦だったが、OLCの時もそうであったように需要が集中する一方で、関連銘柄とされ先駆していたアドウェイズやネットイヤーグループが急落、そしてメディアシークやネオスに至ってはストップ安まで売り込まれるなどの憂き目に遭っていた。

ところでこの後年内のIPOで個人に身近な企業で注目を集めそうなものでは旧国鉄で4社目となるJR九州があるが、このLINEが下期IPOを上手く牽引するや否や通年では昨年並みの100社程度とみられるIPO社数だが、この辺を境として堅調持続するかどうかもまた注目か。