145ページ目

司法とSESC

昨日の日経紙夕刊には「処分取り消し訴訟増加」と題してインサイダー取引等で行政処分を受けた個人や企業が処分取り消しを求めて裁判に訴えるケースが増えている旨が書かれていた。

インサイダー取引での金融庁の課徴金納付命令取り消しといえば記憶に新しいのが、昨年の東電のファイナンス情報を野村の担当者から得たのを基に空売りを行ったとの疑いがかけられた金融コンサルの女性の一件か。司法の場での初の取り消しケースとなったが、この一件で懲戒解雇された野村の社員もまた東京地裁は解雇無効の判決を出している。

課徴金は少額であったもののこれ以降も事実認定に異論を唱える向きが多数出てきており、証券取引等監視委員会はこうした動きに対応する為に昨年末に「訟務室」を設置したようだが、確かにデータ一辺倒に対抗すべく海千山千の投資家ほど意欲的に訴訟に臨むのは想像に難くなくこうした輩と対等に渡り合えるマンパワーの確保こそ今後は課題になって来るであろうか。


仮想通貨元年

先週末に「無国籍の8才」と題し当欄ではビットコインを取り上げたばかりだが、本日の日経紙総合面にも「ビットコイン危うい急騰」と題し、仮想通貨群の値上がりがここ継続し代表とされるビットコインに至っては金の最高値を抜いて先週25日には年初の3倍となる1ビットコイン=2,700ドル台まで上昇した旨が載っていた。

結局この週は15%高、3月末以降で見ると実に110%の上昇と破竹の勢いであったが、昨年末頃にビットコインについて触れた際には中国勢のリスク回避の動きで活況であった旨を書いていたものの、規制によってこれらが下火になったのに取って代わり新年度から仮想通貨を決済手段と認定する改正資金決済法が施行された事も背景に本邦勢が現在の盛り上げに一役買っている。

とはいえマーケットとしてパイは約10兆円程度と小さいだけにビットコインに次ぐイーサリアムなど他の仮想通貨の化け方も尋常ではない。当然高値警戒局面では急落場面もありそれがまた投機熱を煽るというものだが、投資尺度も無く個人も全てがマイニング等に精通しているワケでもない黎明期だけに便乗するブラックビジネスにも各々充分な注意が必要だ。


HFT規制3本柱

本日の日経紙法務面には「株の高速取引 規制の3本柱」と題して、1秒間に何千回もの高頻度取引を繰り返す所謂HFTに関する規制を盛り込んだ改正金融商品取引法が成立した旨が載っていた。施行は公布から1年以内だが、施行から半年は登録せずとも高速取引を継続出来る経過措置があるという。

当欄でHFTに触れたのは直近では米バーチュ・フィナンシャルによる同業のKCGホールディングスの買収合意の報があった先月の事であるが、開発競争の激しさから規制も欧米では先行し開発負担の重さと併せて業界も斯様に大手の合従連衡の動きも出てきている。

この規制が欧米で俎上に上がったのはHFTの売買が全体の5割程度になっていた時であったが、時を同じくして東京証券取引所ではコロケーション提供によって当時の一日平均で4割強であった。あれから3年が過ぎた今では同様のサービス提供での取引が注文件数の約7割を占めるというからその増殖加減は一目瞭然である。

そんな事から本邦も斯様に規制を打ち出した事で欧米とも足並みが揃うというもので、今回の規制で登録制にする事で所謂バラし発注が透明化してしまうワケで一定効果は望めそうだが、クオートスタッフィングはたまたレイヤリングのようなケースをチェックに入った場合、プログラムの自動判断がどの程度までお咎めなしとなるのかこの辺含め実効性確保まで紆余曲折ありそうだ。


無国籍の8才

さて、インターネット上の仮想通貨ビットコインのドル建て相場がここ1ヵ月で6割もの上げ幅を記録し、先週末には遂に伝統的な「無国籍通貨」である金の史上最高値である2011年9月の1,920.8ドルをも上回った事が話題になっていたが、今週に入ってからもこの勢いは衰えず2,000ドルの大台を超えて連日で史上最高値を更新している。

ビットコインといえば今年3月には金相場を超えたと話題になっていたがはやその金の史上最高値をも更新、その3月にはSECからETFの認可が得られなかったとの報で970ドル台にまで急落した場面があったものの、約2ヵ月で相場は2倍になった事になりなんとも破竹の勢いである。

斯様に相場も熱いが、既に公共料金の一部支払いや今週はLCCのピーチ・アビエーションが年内にもビットコイン導入と発表、また過日ビックカメラへ行った際にも「ビットコインが使えますと」いうお知らせをエスカレーター脇で見るなど実用化の波も彼方此方で広がっている。

これら各所での注目度合に並行し関連株式もモノによっては倍化するなど連日の大賑わいを見せているが、ETF認可の一件では政府による信用裏付けやトラッキングエラーの問題の壁の前に泣いた無国籍通貨も、価値交換手段では対照的に本領発揮といったところで未成熟市場が今度どの程度代替資産としてのポジションを構築してゆくのか引き続き注目してゆきたい。


中小型偏向

本日の日経紙マーケット面には「IPO指数高水準」と題して、過去1年間に上場した企業の値動きを示す「QUICK IPOインデックス」が昨日に約10年4ヶ月ぶりの高値を付けた旨が載っていた。主力を本格的に買い辛い中、相対的に業績への影響が小さいIPO株に資金が向かい易いという。

そういった意味合いでは新興マーケットも、13年に時価総額が17兆円を超えていたものの相場低迷等で16年2月には7兆円を割るまでになっていたジャスダック市場など、個人投資家を中心とした資金が向かった結果週明けにはこの時価総額が2015年9月以来、約1年8ヵ月ぶりに9兆円を超え本日も東証マザーズ指数と共に4日続伸となっている。

外部環境からは足元英国の爆発テロ事件や騰落レシオの高止まり等々主力物色が躊躇われるなか、来月から再開されるIPOと併せてこうした新興へのシフト鮮明化が持続することになるのかどうか引き続き注視しておきたい。


失態百様

さて先月の話になるが、大津市で開催された地方創生セミナーにおいて博物館等の学芸員を指して観光振興を妨げる一番のがんと発言し釈明謝罪に追い込まれた地方創生相の一件があったが、昨日は先週の厚生労働部会においてがん患者関係者に働かなくてもいいと配慮に欠けたヤジを飛ばした自民党議員が謝罪に追い込まれていた。

双方ニュアンスは違うとはいえ安易にがんといった言葉を引用してしまうあたり既に身に沁みついている無意識型の部類なのだろうが、これより先にも会見で記者にブチ切れして注目を浴びていた矢先に政治資金パーティー講演で東日本大震災がまだ東北でよかった等の軽率発言の責任を取って復興相も辞任に追い込まれている。

更には不倫問題で重婚ウェディング疑惑と週刊誌で暴露された挙げ句に辞任に追い込まれてしまった経済産業政務官も記憶に新しい。斯様に次々と辞任やら謝罪会見が喧しく人事のみならず他にも各種疑惑の種が方々に散らばるが、一強安定政権下でしばしば特徴となる緩み弛みを如実に露呈している光景である。


東芝サイダー

さて、東芝による半導体子会社の東芝メモリーの2次入札の期限を先週末に迎えたが、4陣営が応札した模様である。競業先WDの反対姿勢に加えて独占禁止法、外為法等の障壁もある中ステークホルダーの思惑も交錯し早期売却の期待に反し一筋縄ではいかない感が満載である。

ところでこの東芝といえば、先週末には同社の会計不祥事を巡り同社株でカラを売って数百万円程度の利益を得ていた医師が、証券取引等監視委員会からインサイダー取引容疑で強制調査されていた件が報じられている。医師はその後に東芝病院に転職している事で内部情報のソースもその絡みとも推測されるが、相変わらず素人は脇が甘い。

ここ数カ月で発覚したインサイダー取引といえば先々月の旭化成子会社社員による旭化成株の損失回避売却があったが、上場企業の関係者にはインサイダー取引防止の名目で現在様々な規制や制約が課されている。それでもやはりザルなのは抑止効果があまり無い表れなのだろう。

一昔前とはケタ違いの調査力になってきた現代では上記のように摘発されてしまう素人も居るが、それでも株式に精通し巧みなストラテジーでリスク無しに取引を完結させている向きもゴマンと居るのは想像に難くない。リスク投資の啓蒙が謳われるなか、一括りの規制枠で特定個人を縛り投資機会が失われてしまうのは勿体ない話でもある。


ガレ・ドーム展2017

さて、今週は一昨日まで日本橋三越において恒例の「芸術と自然のふれあい ガレ・ドーム展」が開催されていた。今年も前回とは趣の異なる作品が小物中心に多数出ていたが、斯様に毎回あまり同系の作品が被ることがなく、またガラスケースなど邪魔に反射するものに遮られていないのが魅力的である。

以前に何度か出品された美術名鑑に載るような作品は年々少なくなっているものの、前回もドーム兄弟ではなかなか見たことがないパープルグラデーションのトンボとアイリス文花瓶など一部見る人が見れば思わず食指が動いてしまうような作品が此処はポツンとあったりするから面白い。

今回も珍しいポーチライトの商談に臨んでいた光景を目にしたが、そうしたモノ含めて個人蔵からの流れも少なくはないという。中にはその価値がわからず大ぶりの作品をなんと傘立てに使っていたという話も聞いたことがあるが、まだまだ今後こうした舞台に上げられコレクターから指名が掛かる事になるであろう作品群が数多何処ぞに埋もれているのは想像に難くないか。


都市鉱山世界一

さて最近は近所の小中学校でも「みんなのメダルプロジェクト」と書かれた黄色いボックスが設置されている光景を目にするようになったが、斯様に携帯電話やゲーム機、家電等からリサイクルした貴金属で2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメダルを作成しようとの活動が始動している。

当欄でこの件に触れたのは昨年の8月であれからいよいよ始動といった感じだが、先に物質・材料研究機構や北九州の会社等は試作品を作成済みで、廃家電からの回収量見込みもメダルを作成するのに十分足りる量を確保出来る見通しとなっているが、一先ず19年春頃までに金・銀・銅合計で約8トンの回収目標としている。

次期五輪のテーマは環境に重きを置いているだけに是非とも成功させて次へ繋げたいところだが、日本の日進月歩の先端技術を世界にお披露目し、メダリストの首にホンの僅かでも自身が提供した愛用品の一部がかけられるなど想像するのも夢がある。


金融ビックバンの功罪

本日の日経紙・大機小機は「問われる顧客本位」と題して、日本証券アナリスト協会主催の国際セミナ−で金融庁長官が「資産運用業界への期待」として講演した際、一例として投資信託について商品開発、販売両面で見直すべき事例を挙げた模様が一部書かれていた。

中には高齢者には到底不向きなハイリスクで複雑な投信というくだりも出てきたが、例えば上記の商品面では分配金利回りの急上昇に合せて純資産も並行して急激な増加を見せているモノなどほぼまき餌を表しており、販売にしても過去証券、銀行員が血眼になって彼らに勧めた仕組み債などその詳細な仕組みを当の営業にどれほど説明出来る者が居ただろうか?

過去物議を醸し出した一部のEB債など含め殆ど詐欺商品としか例えようのない商品は数多世に出ており、言葉は悪いが金融ビックバンの名のもとに金融機関に合法的な騙しの機会を与えた規制緩和の行き過ぎを反省する動きは、さながら今のふるさと納税における規制強化と併せ緩める匙加減の難しさを物語っている。


規制の匙加減

先週末の日経紙夕刊マーケット面には、「上海株、監督強化に揺れる」と題し銀行監督当局の高利回り個人向け運用商品への締め付けに加え、最高指導者による資産バブル抑制強調姿勢が示されたために今月に入ってから上海総合指数の下げが加速するなど動揺している旨が載っていた。

この上海総合、足元では本日まで3日続伸となっているもののGWにあたる労働節後の水準にはまだ戻らずといったところだが、個別でも一部個別が売買停止の憂き目に遭っているようで、先月中旬に中国証券監督管理委員会トップが市場秩序を攪乱する行為に断固として立ち向かうと表明していた件が背景にはあるようだ。

中国証券監督管理委員会といえば先に中国不動産大手の万科企業に1年越しで敵対的買収を仕掛けた投機筋の宝能投資集団や、ライバル企業であった中国恒大集団にその資金源となっていた事業の今後10年間禁止等を命じる厳しい処分等を下しているのが記憶に新しいところで習氏同様に悪い芽は片っ端から摘む姿勢を見せている。

またこうしたホットマネーの源がやはり高い投資リターンを謳った投資型生保であったあたりが冒頭の理財商品とも絡んでくるというものだが、ここ噂されているA株(人民元建て中国株)を米指数算出会社のMSCIが新興国株価指数に組み入れるとの件もこの辺の浄化?を見極めてということになるのだろうか。