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金融ビックバンの功罪

本日の日経紙・大機小機は「問われる顧客本位」と題して、日本証券アナリスト協会主催の国際セミナ−で金融庁長官が「資産運用業界への期待」として講演した際、一例として投資信託について商品開発、販売両面で見直すべき事例を挙げた模様が一部書かれていた。

中には高齢者には到底不向きなハイリスクで複雑な投信というくだりも出てきたが、例えば上記の商品面では分配金利回りの急上昇に合せて純資産も並行して急激な増加を見せているモノなどほぼまき餌を表しており、販売にしても過去証券、銀行員が血眼になって彼らに勧めた仕組み債などその詳細な仕組みを当の営業にどれほど説明出来る者が居ただろうか?

過去物議を醸し出した一部のEB債など含め殆ど詐欺商品としか例えようのない商品は数多世に出ており、言葉は悪いが金融ビックバンの名のもとに金融機関に合法的な騙しの機会を与えた規制緩和の行き過ぎを反省する動きは、さながら今のふるさと納税における規制強化と併せ緩める匙加減の難しさを物語っている。


規制の匙加減

先週末の日経紙夕刊マーケット面には、「上海株、監督強化に揺れる」と題し銀行監督当局の高利回り個人向け運用商品への締め付けに加え、最高指導者による資産バブル抑制強調姿勢が示されたために今月に入ってから上海総合指数の下げが加速するなど動揺している旨が載っていた。

この上海総合、足元では本日まで3日続伸となっているもののGWにあたる労働節後の水準にはまだ戻らずといったところだが、個別でも一部個別が売買停止の憂き目に遭っているようで、先月中旬に中国証券監督管理委員会トップが市場秩序を攪乱する行為に断固として立ち向かうと表明していた件が背景にはあるようだ。

中国証券監督管理委員会といえば先に中国不動産大手の万科企業に1年越しで敵対的買収を仕掛けた投機筋の宝能投資集団や、ライバル企業であった中国恒大集団にその資金源となっていた事業の今後10年間禁止等を命じる厳しい処分等を下しているのが記憶に新しいところで習氏同様に悪い芽は片っ端から摘む姿勢を見せている。

またこうしたホットマネーの源がやはり高い投資リターンを謳った投資型生保であったあたりが冒頭の理財商品とも絡んでくるというものだが、ここ噂されているA株(人民元建て中国株)を米指数算出会社のMSCIが新興国株価指数に組み入れるとの件もこの辺の浄化?を見極めてということになるのだろうか。


嵐の前の静けさ?

本日も円安を支えに日経平均は続伸となっていたが、その円も12日続落と2012年2月に17日続落して以来の続落記録となっている。記録といえばマーケットからもう一つ、今週はVIX指数も週明けには23年4ヶ月ぶりの低水準で一ケタ台を付けたのも目に留まる出来事であった。

この辺に連動するように昨日取り上げた金も国際価格が3月中旬以来の安値圏まで下落、また東証一部の騰落レシオもホワイトデー以来の水準まで上昇しているが、恐怖指数といわれるこのVIXについて当欄で触れたのは昨年の米大統領選の時で、取り上げた当時は9日続伸し20の大台を超えていたから実に半分以下の水準になったという事になる。

これに歩調を合せVIX短期のETFなども年初来安値を更新しているが、算出ベースになるS&P500種は昨晩も史上最高値を更新しておりこれら低水準も合点のいくところか。過去最も低水準となったのは93年の大晦日の8.89、対してリーマン・ショック後には89.53の高水準を記録している。

この過去同水準だった上記の冷戦終結時と違って地政学リスクが数多燻る現在は対極という構図だが、オプションのセルボラ等もこの現象に一役買っている模様だ。対極環境下でこのユーフォリアも束の間と見る向きも多いが、オプション市場では大台を挟んでの各々の攻防が来るべき変動を睨んで続いている。


旬な素材

さて、「金」を取り巻く事件に関しては当欄でも直近では先月の中旬に(売り子)等を取り上げているが、本日の日経紙社会面でも「金取引 現金決済が標的に」と題し相次いで起きた高額な福岡の事件や、先の銀座での強奪事件と絡めて金取引独特な現金取引原則の商慣習が書かれていた。

共通事件の連鎖性の不思議に関しては過去にも書いた事があったが、それにしても最近は金に絡む高額の事件が多い。報道の中でも腑に落ちない点は数多あるものの、その後の詳細も一切報道されないあたりがこれまた釈然としない感を一層深めているがまあいろいろと伏せたい部分もあるのだろう。

この15年で金価格は3.5倍に上昇し一昔前とはその取引量も違ってきている事でそうした素地が整ったという事もあるが、強奪以外でも密輸等はそのイグジットに至るまで特異な商慣習のあるところに芽有りの如く過去最多となった昨今とはいえ今後もまだまだ手を変え品を変えの温めている青写真があるのは想像に難くない。


コンサバ堅持

本日の日経紙投資情報面には「緩和競争に揺れる東証」と題して、世界的なカネ余りのなかの資金調達手段としての上場誘致の為に、世界の主要取引所が議決権に格差のある種類株等の上場を解禁するなど緩和に向けた動きが各所で出ている旨が載っていた。

種類株といえば2006年の会社法施行で国内発行が可能とはなっているが、上場企業となると記憶にあるところでは3年前に上場したマザーズのサイバーダインくらいしか思い当たらない。他にLINEなど上場時期がずれ込んだ背景にはコンプラや決算書関係の他にこの種類株発行がネックとなったとの報が記憶に新しい。

株主平等の原則を重視する東証としての譲れない部分があったのだろうが、同紙文中の末尾にも「三越理論」という言葉が出てきておりこの辺に関しても他との温度差は否めない。先月末には「デリバティブ市場混戦模様」として世界の取引所を挙げたが、世界標準をどの程度意識してゆくのかが今後焦点となって来ようか。


消えゆく定番

さて、GWも終わり小学校等ではそろそろ運動会のリレー走者を選出するような動きが学校によっては始まっているが、運動会といえば先週末の日経プラスワンのくらし物語りには「東京五輪で定着「秋の運動会」今は昔」と題し、運動会定番の季節である秋から開催時期を発に移す学校が増えている旨の記事も見掛けた。

背景には都市部での中学受験増加や、近年の地球温暖化の影響で秋口の残暑が厳しくなり熱中症予防の観点等もあるという。また競技内容も騎馬戦や組体操などに代表される「見せ場演目」が、子どもの体力が落ちている事を背景に危険な種目とされて廃止や縮小の傾向も出てきているともいう。

この辺に関しては当欄でもちょうど昨年の6月に一度取り上げた事があったが、その時に近年の児童がこれらに対応出来ないほど身体が付いてこれなくなったのかと書いたのがどうやら現実問題として捉えられているようだ。そういえば最近もプールの飛び込みの是非を問う論議が喧しい。

体力低下といえば、今では文具店でも小学生向けの鉛筆のセットは(2B)が標準だが、この柔らかさは近年の子どもの筆圧低下に合せたもの。鉛筆は(HB)という向きは大体年がバレてしまうというものだが、それは兎も角も体力低下が過保護政策を助長させたのかはたまたその逆なのか、何れにせよ体力の二極化が進行するなか淡々と消えゆくものの多さに懸念を感じざるを得ない。


5/8付でTOCOM石油市場に石油スワップ取引が追加

2017年5月8日(日中立会)より東京商品取引所において、石油スワップ取引(現金決済先物取引)が開始されることに伴い各社の対応状況、およびお知らせまとめ。

▼TOCOMの石油市場「石油スワップ取引」(現金決済先物取引)


会社名掲載日内容
岡安商事04/28石油製品現金決済取引上場に伴うお知らせ
北辰物産05/01石油製品現金決済取引が5月8日(月)にスタート
北辰物産05/02石油現金決済取引開始に伴う各種サービス及び各規定集変更
EVOLUTION JAPAN05/02石油系現金決済取引開始のお知らせ
コムテックス05/02石油スワップ取引(石油製品現金決済先物取引)

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複合体企業の布石

昨日の日経紙総合面には「富裕層の購買力拡大続く」と題して、世界最大のブランドビジネス企業、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン会長のインタビューがあり、保護主義台頭にお懸念を抱きつつもブランド商品への欲望は枯渇する事なく、長期的には富裕層の購買力は拡大し続けるとの旨が書いてあった。

LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといえば一週間ほど前に、オーナー家のグループ会社が現在出資しているクリスチャン・ディオールを完全子会社にすると発表している。取得価格にプレミアムを乗せた事を好感し当日のクリスチャン・ディオールの株価は11.1%高と過去最高値を更新、LVMHの株価も3.9%高のあと翌日も続伸し揃って過去最高値を更新していた。

これに刺激されてか同業のケリングも10%近くの上昇を見せ過去最高値を更新していたが、
昨年秋口に当欄で何度か取り上げたリシュモンも含めてこれらブランドビジネス企業は買収を重ねてきた複合企業体である。これまで創業家の意向が絡んだ問題が表面化した事もあったが、爆買いの反動の冷え込みで上記のリシュモンが先行して値下げに踏み切るなど競争も激しくなっている。

当然ながらLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの今回の件も激しい競争を勝ち抜く為の布石だろうが、看板主力ブランドの値下げ政策は取らずこの辺は複合企業体でもそのカラーは違うところ。ただ日本市場の魅力というか有効性に関しては各社一致しているところで、どう次の一手を打って来るのかこの辺に注目しておきたい。


デリバティブ市場混戦模様

さて、一昨日の日経紙金融経済面には「世界の証取 デリバティブ覇権競う」と題して、米先物取引業協会が纏めた最新データで先物やオプション等デリバティブの昨年の世界の売買高は252億枚と前年比で2%増え、11年以来5年ぶりに過去最高を更新した旨が出ていた。

ところでデリバティブといえば強みを持っているのが米ICEあたりだが、ココは英ロンドン証取傘下のLCHクリアネットの牙城を崩せず来ている事で、破談色濃厚となってしまったドイツ証取との合併話を逆手に取って食指を動かしてくる可能性もあるが、かつてはICEが呑み込んだNYSEユーロネクストもこのドイツ証取とも破談歴があるなどややこしい。

この時は欧州委員会の壁が立ちはだかったのだが、上記のロンドン証券とドイツ証取の現状もまた規制当局であるところの欧州委員会がネックとなっている。ともあれ取引所の国際的な競争力が激しくなるなかでアジア勢はどう動くかだが、当然ながらこれまたデリバティブに活路を見出してゆく以外ない。

現状日本取引所傘下でデリバティブ市場を運営する大阪取引所の昨年のデリバティブ売買高ランキングは17位と発足当時から次第にランクを下げてきている。この背景はやはり監督官庁の壁に阻まれ総合取引所の実現が遅々として進んでいないのが大きい部分だが、先ずはこの辺の世界標準を見据え本邦市場の改革は焦眉の急である。


下方硬直性

本日発表される米税制改革案への期待持続からリスク選好的なドル買いが継続、1ドル111円台に軟化した円相場を受けて本日もTOCOMでは金相場がしっかりの展開となっていたが、昨日の日経紙商品面にも「金に資金流入続く」と題しCFTC発表の18日時点の投機筋買い越し幅が5ヶ月ぶり高水準となるなど資金流入が継続している旨が載っていた。

ルペンリスクと警戒されていた23日投開票の仏大統領選では果たして欧州リスクが増幅する最悪のシナリオが避けられたものの、燻り続ける地政学リスクや米国の金融政策にも不透明感が漂い目先の雲が晴れてもその下げ幅が限られるなど下方硬直性が定着化しつつある。

こうした背景もあって今月に入って金とプラチナの価格差も昨年末から約3割、更に100ドル以上も拡大しているが、これまでにない長期逆鞘現象とされる時期もあったが恒常化を経てこの鞘もすっかり馴染み固定化されつつある。リーマンショック時に効いた裁定が通用しなくなったのは株の個別でも多々あるが、既にアノマリーそのものが崩れている証左だろうか。


HFT界再編

本日の日経紙金融経済面には「超高速取引 淘汰の波」と題して、HFT(金融商品を高速で売買するハイ・フリークエンシー・トレード)大手の米バーチュ・フィナンシャルが同業のKCGホールディングスを買収する事で合意した旨が載っていた。システム開発の負担等が重く収益性維持には再編が避けて通れなくなってきたという。

バーチュといえば上場申請目論見書にて1238日間で損失を出したのがたった1日だけだったと謳い、5年で勝率99.9%という運用成績と併せて顰蹙を買った経緯があるが、赤字に転落したKCGホールディングスのみならず同社も16年12月期は上場後初の減収減益に陥り純利益は2割減となっている。

冒頭のシステム開発負担もさることながら取引低迷も大きな要因になっている。NY証取の売買高は一週間前に今年2番目の低水準、ナスダックに至っては今年最低を記録するなど盛り上がりに乏しく、注文と並行し収益機会も減少しているのは逆風。地政学リスクが燻るなか様子見姿勢が継続されるようであれば再編の波にさらされた業界も安穏とはしていられない。


ターニングポイント

本日の日経紙地域総合面には「ふるさと納税戸惑う地方」と題して、今月あたまに総務省がふるさと納税における返礼割合や返礼にふさわしくない品目を細かく列挙した通知を出し過度な競争の自粛を求めた事に対し、自治体の中では見直す動きがある一方で個別制限に反発する声や通知に反し継続を検討する動きもある旨が出ていた。

直近で後者の継続検討とした自治体は個々の解釈での判断としているが、確かに一頃パチンコのような換金構図になっていたトコロや純金製品を用意しそれに著名トレーダーがすぐさま応じたところから注目を浴び早々に打ち切ったトコロもあったなか、継続表明の自治体のコンセプトを理解すればこれらとの相違性を感じなくもない。

この辺は外と内の立場から解釈も異なったものになってしまうものだが、現実問題としてここ数年特に「売り」を持たない自治体は税流出が顕著で、豊富にネタを擁しているところの格差拡大から死活問題になってきており、これを重く見た総務省の動きと並行し最近では媒体側も魅力的な食材群一辺倒から、TVでもよくネタにされているペットの殺処分ゼロや災害支援等の課題解決モノを取り上げる事が非常に多くなった。

個別制限の強化でふるさと納税も今後歯止めがかかって来るか否かだが、上記の通りお上と当事者各々の立場でその見解も相違してくるのはふるさと納税に限った事ではなく、総じて一括りで考えられないところは本当に難しい部分でもある。