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因果

今年の3月に当欄では「今更ながらの風説流布とか」と題して、インターネットサイトを元に風説の流布の疑いがあるとして、バブル期に大物仕手筋として知られた人物の関係先を証券取引等監視委員会が金商法の疑いで強制調査した旨を取り上げていたが、本日の産経紙には同委員会がこの人物を金商法疑いで東京地検特捜部に告発する方針を固めた旨が報じられていた。

あれから約半年を経て今回の告発に至ったワケだが、同紙ではこれまでに得た売却益が約60億円という。確かに大証時代の新日本理化は株価5倍化まで育て上げ、これに続くルックも比例配分に潜り込む隙が無いほどのストップ張り付きだっただけにこの辺も納得だが、銘柄によってはもともと大量に保有していた向きの解体作業と取れなくもないモノもありこの辺は魑魅魍魎としている。

しかし東京地検検特捜部といえばこの人物の1980年代の所得税法違反での逮捕劇が記憶に新しいが、真の狙いともいえる顧客等名前を最後まで吐かなかった事で揺るぎない信頼を得てその後の活動に繋がったというのは兜町では有名な話。あれから30年を経てまた因縁の対決となるかなんとも因果なものである。


資源受難

さて、昨日に引き続き日経紙一面からだが本日の紙面を飾っていたのは「資源安 企業に打撃」のタイトル。中国の景気減速の悪影響が先進国に波及し、業績の悪化に見舞われる資源関連企業が日米欧で相次いでいる旨が書かれてあった。

昨日の日経平均など大幅続落し01月16日以来、約8か月半ぶりに節目の17,000円大台を割り込んだが、斯様にこれに関して市場を揺るがしたのは直近ではスイスの資源大手商社グレンコアであろうか。恒常的な資源安を背景に経営危機観測まで台頭し、同社のCDS(クレジットデフォルトスワップ)5年物保証料率は7%に跳ね上がっている。

スイス最大級の商社がこんな事態になれば当然ながら国内勢も冴えない展開を強いられるワケで、昨日は首位の三菱商事が年初来安値更新、これと並ぶ三井物産も揃って年初来安値を更新している。VWの次はグレンコアと一難去ってまた一難の展開が続くが、商品低迷の恒常化を予測する金融大手各社の見通しには常に注意しておきたい。


沈没

さて、本日の日経紙一面を飾っていたものに第一中央汽船の民事再生法適用申請の報があった。運賃低迷で経営状態が悪化しその負債総額は簿外も含めると2000億円を超える可能性があるというが、曲がりなりにも商船三井傘下の住友系であっただけに降って湧いたこの報はけっこうな驚きがあった。

これで今年の上場企業のパンクは年明けのスカイマーク、その後の江守商に次いで3社目となったワケだが、国内五位とはいうもののバラ積み船はやはり景気連動型と改めてまざまざと見せつけられた破綻劇で、大手にぶら下がった再建とはいえやはりいつまでも安穏というワケにはいかないという事か。

しかしこれまでも低位だけに比較的大商いし易い銘柄だったが、かつてリーマンショック前に仕手化し大化けした頃が懐かしい。低位のパンクといえばかつて殖産住宅等に見られたようにショート筋の思惑は当たったもののそれまで逆日歩でヤラれたとシャレにならない話もあったが、これまた完全合致から祭りが始まるか。


盛者必衰

さて、先日はランボルギーニの新型スポーツカーであるアヴェンタドールSV限定モデルの発表記念パーティーが都内で開かれていたが、今回もまたこのお披露目時点で既に完売状態であった模様。ところでこのランボルギーニを擁する独フォルクスワーゲンだが、周知の通りディーゼル車の排ガス試験を巡る不正の報で連日紙面を賑せている。

この報によって当のフォルクスワーゲンはもとより自動車関連株が一斉に売られたのが目立ったが、これとは対照的にガソリンシフトと触媒の連想で24日の東京商品取引所のパラジウムは期先で176円高と急伸、貴金属の中でもこれに矛先が向かい一際堅調であった。

欧州は、例えばスキポール空港前などにはベンツのタクシーがズラリと並んでいるがほとんどがディーゼル車である。今回の件で斯様な欧州のディーゼル車一辺倒に変化が起きるとすれば上記のパラジウムとは対照的にプラチナは更に低迷が恒常化する可能性もあるか。

しかし、8月末に関係悪化から資本提携を解消したスズキもとんだとばっちりだ。保有するVWの発行済み株式約1%はこの事件で期末比約700億円も目減りしたというが、それでも取得金額の倍で売れる見込みというからこれはこれで不幸中の幸いか。ともあれ自動車界のLVMHともいわれるVWの余震が何所まで株式や商品に影響を及ぼすのかしばらく注目である。


5年目の刷新

さて、連休明けの本日は株式売買システム「アローヘッド」が約5年ぶりに刷新された。今回も初代に続いて富士通が請け負った模様だがポイントとしては注文処理のスペードや件数が現在の2倍に、また呼び値単位の適正化や気配値表示本数の増加、それに発注証券会社のシステム障害時に自動取消機能を設ける等の信頼性の向上といったところか。

5年前に刷新された当初はいくつかの銘柄で僅か数十秒の間にストップ幅近くの急落急騰を演じて早速個人が翻弄される光景が話題になったものだったが、今回の新システムは売買ルールに見直しが入り野村の試算では1分間の株価変動率が平均で上下4%を超えないようになる見通しとか。

これに関してはアローヘッド稼働後に当欄でも「二次的な乱高下に対するセーフティーネットのような物の必要性が問われてくるのは必至か」と書いた事があったがこの辺に対応してのものか。また呼び値も縮小傾向でここまで来たが、今回はさすがに縮小し過ぎた分の見直しがTOPIX100構成の一部で行われる。

しかし5年前のアローヘッド開始時に「はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。」と当欄では末尾で書いたが5年目で刷新、都度ディーリング等も変遷を強いられてきたがいたちごっこのHFT業者と容易には太刀打ち出来ない個人の共存がまた継続されてゆくこととになる。


変動率に商機

ちょうど1週間前の当欄では「増幅要因」の題でジェットコースターさながらの乱高下の毎日が続いている旨を書いたが、昨日の日経紙マーケット面にも今週過去20日間の変動率が米量的緩和の縮小懸念が始まった2013年6月以来、2年3ヶ月ぶりの高さとなった旨が書いてあった。

文中では長期投資家による買いが入りにくく、実需の売買が縮小するなかで短期投資家による売買が主導する展開が続くとも書いてあったが、今や急増するETF残高も本来であれば長期投資のツールというのが世界標準なのだがとりわけ国内ではレバ型の短期売買等に傾斜しこうした構図も成り立ちにくい。

とはいえこうしたレバ型が売買代金ランキング上位の常連になってきているなど短期系が流行っているだけに、日経平均VIの急上昇やリーマン・ショック直後以来の高水準を記録している恐怖指数であるVIXの50台への上昇などにも商機を見出すETN系も賑わい、大手金融機関も変動率に注目した商品の上場を検討する動きも出ているという。

とはいえこうした眺めは裏を返せば投資家心理の冷え込みを端的に表しており、ボラへ賭ける投機や商品開発の熱は乱高下離脱の先行き長期化を表しているともいえようか。


秋の味覚

今の時期は秋の味覚サンマがほとんど毎日チラシで登場するが、先の日曜日付け日経紙・春秋にはこのサンマが近年のアジア周辺諸国の漁獲量急増で末端価格もその辺のシワ寄せが来ている旨が書いてあった。この辺はTV放映でもたまたま見かけた事があったが、卸値も5年で3割上昇となり今後も上昇見通しが強まる傾向という。

そんな背景もあって漁業管理を議論する国際機関「北太平洋漁業委員会」の初会合が今月はじめに開かれサンマに関しては同海域の公海で操業するサンマ漁船数を急増させないという日本案が採択されている。また水産物の規制強化といえばクロマグロも資源量が減少し漁獲規制導入で先高観が台頭している。

ここ近年は鰻の高騰が言われて久しかったが、上記の通り高級路線のクロマグロから庶民派のサンマまで何やら厳しくなってくる気配。高級路線といえばもう一つサンマと並ぶ秋の味覚の松茸も店頭で品揃えが豊富になってきたが、これまた地球温暖化の影響や林業衰退から里山の崩壊が影響して収穫高が急減してきている模様。一つ一つ特に日本人の味覚ばかりが枯渇に向かっているようでなにやら気味が悪い。


かんぽが刺激か

本日の日経紙社説には「契約者の利益を重視した生保再編に」と題して、大手生保による国内外での買収が活発になってきた旨が出ていた。国内では先月に日本生命が三井生命保険を買収した件が話題になっていたが、国内生保も時を経て再編機運が再燃してきた感がある。

現在生保の上場組といえば大手では第一生命保険だが、上記の買収では保険料収入や資産規模も同社を抜くことになる。とはいえこれがほんの再編スタートとの見方が多いのはやはり先に上場承認となった「かんぽ生命保険」の存在がやはり大きいか。16年3月期の経常利益は3割減予想とはいうものの、その規模は日生を凌ぎ全国の郵便局網を駆使出来る販売力は脅威だろう。

以前にも書いた事があるが、地銀業界よろしく人口減少等で環境変化も激しくなる中で中堅や外資系への動向も注目されはじめている。上記の第一生命以外でも株式を上場している中堅もあり、各社それぞれの思惑が一致すれば再編の枝葉はどんどん広がる。またM&Aも活発化してきており、かんぽ生命上場と絡めどういった構図に塗り替わるのかまだまだ注目である。


取引多様化

先週末の日経紙一面には「日本株売買シェア外国人7割超」と題して、乱高下が続いたここ最近の乱高下相場で概ね60%台だった外国人投資家の売買シェアが9月第一週には72.5%に跳ね上がり、実質最高を記録した旨が載っていた。

その背景にはここ最近の値動きの荒さを好機と見たヘッジファンドの活発な動きがあるが、斯様に乱高下が投機勢を増殖させるのかはたまた投機勢が乱高下を誘発するのか何れにせよ鶏と卵ではないがこれらは相互に関係。東証が新システムを導入した2010年以降は相次いでこの手のコンピューターで高速、高頻度に取引する海外勢が日本市場に参入し増加している事が伝えられているが、日本取引所の自主規制法人は今月に海外投資家の株式売買を専門に監督・審査する「国際審査室」を新設。

この手の取引が普及するに伴い分散注文から果ては国境を越えた取引まで取引実態の見えにくさが際立ってきたが、これまで売買審査部のスタッフが全て審査していたものを細分化する試み。これまで証券取引等監視委員会等の機能にしても日本は長年その手薄さがいわれてきたが、この辺のマンパワー拡充も市場成熟と共に課題になってくるか。


増幅要因

今週の日経平均は昨日の1,343円高という歴代6位の上げ幅を演じたのも束の間、一転してザラバでは800円以上も急反落するなどジェットコースターさながらの乱高下の毎日で非常にボラタイルな展開が続いている。当欄では近年の日銀によるETF吸い上げの影響もあり一部高寄与度銘柄の板が薄くその辺もボラを増幅させている一因となっている旨を書いたが、先物市場の景色も東日本大震災以来久し振りに見る相場が展開されSPAN証拠金もうなぎ登りとなっている。

先物といえばこれに併せてオプション市場でも先に書いたようにわずか1円のプレミアムがたった4日の間に450倍にも大化けしたり、SQが目前に迫った昨日などほぼ望みの無くなっていた行使価格18750がアットザマネーまでになり、前場は1円だったコールの19250は後場には28円まで暴騰する始末とこれも4年ぶりに見る異常な相場であった。

当然ながらSQ目前にこれだけボラが激しい状況になれば損失回避のリバランスから大挙して売買が傾けばこうした狂乱相場にもなろうが、昨日の日経紙にも「市場揺らす仕組債」と題しデリバティブが誘う特殊な需給要因からのノックイン現象で下げが広がる状況も生まれている旨が載っていた。

仕組債発行の背景には超低金利による運用難があると同紙には書いてあったが、これと同様にセルボラで悠長にプレミアム取りを目論んでいた向きへ東日本大震災の災難が降りかかったように息を吹き返したヘッジファンドの暴力的な売買がこうしたところへも影響を及ぼしている。今月初めに「短期選好」として取り上げたレバ型ETFなど近年の金融商品の多様化も、久し振りにノックインなどの言葉を思い出させてくれたというところだろうか。


ベンチャーとホットマネー

昨日の日経紙夕刊の一面を飾っていた記事に「米投資会社が日本進出」と題し、米シリコンバレーに本拠を置く有力ベンチャー投資会社の500スタートアップスが日本に進出する旨が載っていた。政策や円安も追い風に成長が期待できる日本のベンチャーを発掘するという。

こうした有力ベンチャーでは米グーグル系が出資する教育ベンチャーが英会話ベンチャーの買収などを決めていたが、教育系ベンチャー企業対象10億円のファンドを今月設立したコマンドエヌなども500スタートアップ同様に米シリコンバレーの投資会社傘下で今年2月に設立され上場株式の取得に動いている。

例えば先月時点で学習塾を運営する東証一部の秀英予備校株式の9.75%を保有している事が判明しているが、この大化け効果の覚えで新たに発行済み株式の14%の大量保有が明らかになったエスケイジャパンは昨日のストップ高に続いて本日も2日連続のストップ高と破竹の勢いである。枝葉が分かれてホットマネーの流入も様々だが、末端への波及効果も投資への起爆剤となっている。