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ステークホルダーの答え

さて、当欄で「家具屋姫」として今月上旬に書いた大塚家具のプロキシーファイトを巡る騒動だが、先週末に有明で開催された定時株主総会は異例ともいえる注目を集め、周知の通り軍配は娘の社長側にあがり続投が決まることとなった。

この間まさに株価も含めて波乱の約1ヶ月となり、前回も当欄で書いたように父と娘それぞれの世代というかキャラを反映し舌戦を交えたドラマが展開されることになったものの、今回ほどステークホルダーと真摯に向き合う形になったのは創業以来の事ではなかったろうか?

株主総会直前まで大塚家具は新聞に折り込み広告を入れていたが、20日付けのチラシは「快眠ベッドコレクション」と題し、その下のブランド名にはシモンズ等の名門と並びフランスベッドの文字も見られた。同社は直前で会長支持を表明したが苦渋の選択だったのだろうか。ちなみに総会前日の26日付けのチラシのタイトルは「新生活をより素敵に心地よく」であったが、この主要な期である春商戦のエネルギーがこの騒動で消耗された感は否めない。

個人的な感想だが、時として顧客によって態度を変えるような慇懃無礼感漂うその接客姿勢は、一昔前に破綻した某航空会社のCA等にも見られたもので、こういうのが好きな向きにはそこそこ心地の良いものであったかもしれないが、この辺も上記の広告戦略と共に一新されるのか否か、今後の新体制が注目される。


クジラ相場

昨日の日経紙には「日銀、株保有10兆円に」と題して、年3兆円のペースで株式を買い増している日銀の保有株時価が今月に入って東証時価総額の2%弱の10兆円を超え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ大株主となった旨が載っていた。

その買付方法を巡っては具体的な方法が明かされておらずベールに包まれているが、市場ではこれまで前日比1%下落したら買いが入る云々の所謂日銀ルールが度々話題になってきたものだ。今年に入ってからその買い入れ回数は20回になったと同紙には書いてあったがこの執拗な買いが時折踏みを誘いこれまで下げるほどその後の相場の伸びを演出してきた。

ところで大発会はその年の相場の特徴が表れるとよく言われており、今年の場合大発会で前日比200円以上急落していた場面から300円以上も切り返すなどボラタイルな展開となったがその背景はいわずもがな日銀のETF買いであった。これら含めいつの間にかクジラと呼ばれる公的マネーの影響で直近では円相場から米株式W離れまで喧伝されるほど妙な安心感が蔓延している。

しかしその裏で当然ながら並行してこうした官製相場の弊害も同時に指摘され、1990年代の所謂PKOを想起させている事で今後の低迷を懸念する声も多い。もちろん当時とはPER等の指標も相違しており同一線上では測れないが、健全な調整まで意図的に阻止し続ける事になればやはり特異市場が形成され、クジラが政治的利用との烙印を再度押されてしまうのは想像に難くなく日銀の出口戦略等も今後注目されることになる。


純投資とか

さて、昨日の日経紙投資情報面には「日証金、金庫株を消却」として、同社が金庫株として持つ発行済株式総数の6.81%にあたる自己株730万7763株を30日付けで消却すると発表した旨が載っていた。特に大きな資金需要が無く、将来の自己株の再放出による希薄化懸念を払拭する目的という。

この金庫株消却といえば先週末にホチキス大手のマックスもこれを実施しているが、斯様に昨今のROE重視の波に乗って増配などと共にこの金庫株消却も以前に当欄で書いたように彼方此方の企業が実施に踏み切っており、中には背後に控える株主の声に反応したと囁かれる例も結構ある。

ところで同社といえば今月中旬に急騰した経緯があるが、これは旧村上ファンド関係者の投資会社レノなど3社共同で純投資目的として5.03%を保有している旨の報道が為されたことに因る。レノといえばSBIホールディングスの大量取得や、一昨年のアコーディアゴルフTOBに絡んだ件が記憶に新しいが、金庫株消却よりこちらの行方が興味深い。


コロコロ社名

さて、昨日の株式市場で全市場値上がり1位となっていたのは50%の値上がり率でジャスダックのグローバルアジアホールディングスであった。第2位のプロルート丸光の38.1%を超える実に50%という値上がり率というのも凄いが、なにせ先週末の株価が24円だったから12円高で堂々の50%となる。

ココもこれまで記してきた仕手系と共によく社名が変わるので有名なところだが元々は豊国産業なる糸会社で、たしか仕手全盛だった時期のアイビーダイワとか、後のプリンシバル・コーポレーションというのを経て、現社名のグローバルアジアホールディングスになっていると思う。

ところでココは先週に証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反容疑で関係先を強制調査されている。2013年3月期の転結決算等で資産を不正に水増しした有価証券報告書提出の疑いというが、綱渡りが囁かれる企業は所謂ハコの使命?を背負っているだけに何処も上場廃止基準を常に睨んだ動きをせざるを得ない。縦横無尽なファイナンスを繰り広げ再犯もいわれているだけにそのゆくえが注視される。


こちらも転換

さて、本日の株式市場では先週ディー・エヌ・エーと共にストップ高まで買われた任天堂がその後の一服から再度切り返していたが、先に共にストップ高の急騰を演じたのは周知の通りスマホ向けゲームを共同で開発・運営すると発表した事が手掛かりになっている。

任天堂といえばマリオで知られるように世界的人気のキャラクターを多く擁していたことで長らくスマホへの参入が期待されていたものの、経営陣側はスマホゲームの類はコンテンツデフレが激しい等の理由からこれまで慎重姿勢が貫かれておりこの辺の転換がポジティブサプライズとなっている。

同じ値嵩株で最近急騰劇を演じたのはファナックであったが、それの起爆剤になったのは先週はじめにに書いたように長年その閉鎖性が有名だった同社の対話路線への転換。同様の値嵩株にしてストップ高比例配分までになったのには上記の対話路線に転換したファナックレベルのインパクトを市場に与えたということになる。

京都の名門企業にして長年低迷する株価をそのコード番号から「泣くなよ」と揶揄される事もしばしばあったが、この株価急回復が持続性のあるものになるのかどうか、これからの戦略で真価が問われることになりそうだ。


今更ながらの風説流布とか

昨日も書いたように今週はトヨタ自動車やファナックが急騰し上場来高値を更新、日経平均やTOPIXも相次いで年初来高値を更新となったが、全般がやはりまともな?主力に傾斜してしまっているので、貸借取組を構築しながら持続性のある相場展開をする中小型仕手系も最近は持続性の無いモノになってしまっている。

さて、そんな材料株の数々を数年前に手掛け頻繁に放り上げていたインターネットのサイトを元に「風説の流布」の疑いがあるとして、証券取引等監視委員会は先週にバブル期に仕手筋として知られた某氏の関係先を金商法の疑いで強制調査し関係資料を押収した旨が伝えられている。

今頃になって?という感もあるが、同サイトといえば開設当初は新日鉄等あたりさわりのない?物を交え複数銘柄をサラリと触れるにとどまっていたが徐々に材料系の詳細に傾斜するようになり、近年取り上げた大証時代の新日本理化は株価約5倍化、次のルックは連続ストップ高、最後に手掛けたとされる日本カーバイド工業まで次々と商いを集めさながらそれは昔の解体劇を彷彿させるようなものであった。

この手のように第三者によるH・Pや雑誌等を通じて株価変動させたとして監視委員会が動いた例として思い出すのが、昔あったギャンぶる大帝(懐かしい!)なる雑誌。占いによって選定したというボーソー油脂、森下仁丹、そして今は市場から姿を消した熊沢製油が発売日に異常ともいえる買い物を集めストップ高になったのを思い出すが、この手は風説と相場変動の因果関係立証困難な事で見逃される例がこれまで多く今回の行方が非常に注目される。


上場来高値更新

さて、昨日の株式市場では過去最高値を指呼の間に捉え注目されていたトヨタ自動車株が、とうとう2007年2月に付けた過去最高値8,350円を上回り約8年ぶりにはれて上場来高値を更新してきた。

トヨタ自動車といえば日経紙恒例の年明け特集の経営者が選ぶ有望銘柄において、今年はダントツで1位に選ばれていた銘柄だが、ここに挙がるベスト3なんぞは大方毎年顔ぶれが変わらないにしてもトップ選定がこれだけ市場で注目されると漸く王道モノが当たったなという感じにもなる。

週明けにはファナックを書いたがこれも主力の王道銘柄、ファナックもトヨタも指数への寄与度が高い銘柄だが特に前者は日経平均に、そして後者はTOPIXに響く。共に史上最高値を更新でこうした両輪効果から指数もそれに即した動きになっているが、結実した内部構造の裏打ちを背景にしているだけに見誤らないようにしたいものだ。


ETN活況

さて、原油相場がまたぞろ約6年ぶりの安値水準に沈んできたが、昨日の東京市場では原油価格の変動をもとにした指数の2倍の値動きをする上場投資信託「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブルETN」の売買代金が61億円と2013年4月の上場以来、過去最高になった旨が本日の日経紙マーケット面に載っていた。

昨年から暴落してきたとはいえなお先行き不透明感漂い相場感の分かれるところでもあり、東京市場に先駆けて欧米市場のオプション取引でも1−2月の売買高が前年同期に比べて約7割も増えている。同紙によればWTIでメジャーな6月モノで、シェールオイル油田採算ラインともいわれる30〜40ドルの行使価格帯に資金流入が顕著という。

原油と並んで貴金属の金やプラチナもこのところ安値が目立つが、産業分野の需要後退から4か月半ぶりの安値に落ち込んでいる後者のプラチナ相場を映し本日の前場段階では全市場値下がり率第3位にはETFS白金上場投信がランクイン。とはいえ一本値で5株の出来高と依然リクイディティーに乏しく、上記の原油ETNのようにある程度の流動性を確保出来るようになるのが望まれるところか。


CMEマーケットモニター24hをリニューアル

日産センチュリー証券は、2015年03月16日付でアクセスCX(商品先物取引)のスマートフォン&タブレット専用のトレードアプリからアクセスする「CMEマーケットモニター24h」をリニューアル。

▼『CMEマーケットモニター24h』リニューアル(スマホ&タブレット)



CMEマーケットモニター24hとは

アクセスCX(商品先物取引)の口座をお持ちのお客様なら、どなたでも無料でご利用いただける情報画面です。スマートフォン&タブレット専用のトレードアプリより閲覧できます。

≪各種機能≫
価格一覧:COMEXの金や、NYMEXのWTI原油など、海外の商品先物価格を表示できます。
チャート:ローソク足の時間軸変更や、移動平均線、RSIなどのテクニカル表示も可能です。

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対話型転換

先週末には日経平均が2000年4月以来ほぼ15年ぶりに19,000円大台を回復したという事で、週末の日経紙などこの件が一面を飾っていた。業績改善を追い風に企業が相次いで賃上げや成長投資にお金を使い始めており、消費を刺激し景気を押し上げる好循環への期待が高まり、こうした企業変化が海外マネーを呼び込んでいるのが急ピッチな株高の原動力という。

確かに先週後半の日経平均大幅続伸で高値警戒感は否めないところだが、この背景にあるのは寄与度の高いファナックなどの急騰がその構造上やはり影響しているか。ところで同社急騰の背景にあるのがまさに上記の「企業変化」で、株主との対話路線に転換するとの方向転換報道が俄かに注目され更に一段高の原動力になっている。

確かに同社と言えば主力企業の中でもこれまでIR部門は設置されておらず、株主対話は四半期ごとの決算短信に限られ、その株主総会も首都圏から3時間前後かかる山梨の村で且つ集中日に開催されるなどIRに極めて消極的な話が有名であった。先月も当欄で米投資会社サードポイントが保有した同社を取り上げたが、最近増殖しつつあるこうした姿勢の変化を見るに目先の高値警戒感は兎も角も全般割高論が修正される部分が出てくるかもしれない。


奇特な投資家

さて今週の日経紙企業面では「スカイマーク遠い再浮上」と題し、同社が破たん後の支援に名乗りをあげた企業との本格交渉に入った旨の記事を目にした。とはいえ候補企業や債権者等の思惑が複雑に絡み合い、その決定は当初目標とした2月から大幅にずれ込み今月いっぱいまでかかる模様という。

ココが破綻し株式市場からその姿を消してから早いものでそろそろ2週間が経つが、それにしても今回驚きだったのは最終売買日の終値が14円と異例の二桁であったことか?同じ航空会社の破綻と言えばJALの時もまさかの衝撃であったが、当然ながら同社も最後は1円になるなど通常はほぼ100%の減資で現存株式は無価値になるのが普通で最終売買日にして寄り付きの20円台は理解に苦しむ。

信じ難い現象ということで記憶を遡れば、かつて同じ東証一部に上場していた持ち帰りスシの京樽も確かパンクした後にとんでもない急騰劇から破たん前の株価を回復したのを思い出すが、コレクションの線でいっても今は株券も電子化になり昔のようにペーパー券面を手元に引くのも不可能なので過大な再生期待が背景にあったと思う。

そんなワケでこれも破綻後の珍現象として今後語り継がれるだろうが、まあいずれにしても奇特というか勘違い投資家のお蔭で同社前社長など思わぬ売却代金を手に入れることが出来たのだから、事業は破綻してしまったものの敗戦処理ではまさに不幸中の幸い?という格好になっただろうか。


あれから四年

さて、本日であの東日本大震災から4年が経過した。そんな時期ともあってか百貨店や街のイベント等では復興関連の物品販売やイベントも多く目にするようになったが、今なお2千6百名弱が行方不明のままで避難生活を余儀なくされている向きも23万人弱も居るのが現実で引き続き風化させるような事がないようにしたい。

ちょうど一年前の日経紙社説では降って湧いたような天災に絡んで警告を受け止めずに想定外にしてしまったと書いてあったが、確かに企業も個人も阿鼻叫喚のマーケットに直面しパラダイムシフトも可也進んだか。あれからトヨタなどまさに雨降って地固まるの如く構造改革からその株価も今や上場来高値に肉薄、震災当日に上場したカルビーはあれから株価は実に9倍近くにもなっている。

また交通インフラの復旧も進んでいるものの、一方で住宅再建は思うように進まず汚水処理など当初約束した今月末の期限を守れていない等こうした部分の再建はまだ道半ばなのは否めない。廃炉含めて息の長い作業だけに国の更なる支援が必要だろうが原則を忘れず臨みたい。