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先物への布石

本日の日経紙商品面には、「LNG取引の新市場」と題して先週末に取引が始まった日本初となるLNG(液化天然ガス)市場が取り上げてあった。既報の通り市場を運営するのは東京商品取引所とシンガポールの石油仲介大手ギンガ・ペトロリアムによる出資会社JOEであるが、果たして初日の取引は成立が無かったようだ。

このマーケット、当初の参加者は三菱商事等の商社や東電などの電力大手をはじめとした17社ということだが、この電力系の中には経産省からの強い要請があったからと参加表明の背景を語る件もあり各社思惑はさまざまなようでもある。

ネットでの取引では規模こそ小さいが既に石油関係では商社や独立系VC、民間までいくつかのOTCモノは以前より存在している。LNGは取引単位も商習慣に適度に即したものを求めるにはリクイディティー等の面で未知数の部分があるとの指摘もあるが、以前にも書いたように先物市場創設を睨んで先ずはOTC市場が試金石、それにはやはりインフラ整備等が急務というところか。


リクルート上場承認

さて先週の各紙の紙面を飾ったのが多かった記事として、リクルートHDが東証から10/16付けで上場を承認されたとの件があった。上場時の時価総額「兆」超えが見込まれるものとしては、あのLINEも前評判が高いがこのリクルートHDも1兆6,000億円が見込まれ今年の新規上場では最大規模となる模様だ。

しかし1兆6,000億円といえば昨今の東証一部売買代金に匹敵する。活況の目安とされている2兆円を下回って推移する日が多くなった最近だが、この(リクルートHD)が上場する10月にはもう一つ認知度の高いあの(すかいらーく)も再上場が決まっている。こちらは3,000億円前後というところだが、この相次ぐ上場の資金吸い上げにマーケットの体力は如何なものだろうか?

さてマーケットの心配はそれとして、この上場承認前評判から大株主の上場企業など突飛高していた経緯があったが、社員持ち株会も10%を超えこの上場でけっこうな資金が転がり込む計算になる。そういえばカラオケの第一興商が上場した際にも古参社員の中に思わぬニワカ成金?が出た云々の話が実しやかに喧伝されたことあったなと思い出す。

ところで今年は斯様に前述した通りIPOの復調が鮮明、昨年の54社に対して今年は見込みで70〜80社に増えそうとの見方がある。成長期待組、再生組交え活性の相乗効果が出るや否や来月はひとつの試金石ともいえるか。


全米オープンと経済効果

さて、今週世間が沸いたのはなんといってもテニスの全米オープン男子シングルスの決勝戦だっただろうか。錦織選手は日本選手初の四大大会シングルス制覇こそ逃したものの、男子準優勝はアジアでは初のことでこれは素晴らしい快挙である。

話題沸騰と同時に株式市場が沸くのもお約束で、その関連株が毎度の如く乱高下する。今回は試合の独占生中継のWOWOW、ラケットのヨネックスが決勝前まで急騰、寄り前に優勝を逃した結果が出ていたことで翌日は一転して急落となったが、特にヨネックスは前日がストップ高でしかも比例配分となっていた事で、この比例配分で買った向きと売った向きでは天と地の差になった。

ところでこんな現象は上野動物園のパンダの懐妊騒動でも見た光景で、雌のシンシンが妊娠の徴候が見られたとの報道から動物園周辺の精養軒や東天紅等の関連株が軒並み急騰するも、偽妊娠の可能性との報道で一転して軒並み急落したのと全く一緒である。

しかし株式市場のみならず上記のWOWOWの回線も一時パンク状態、スポンサーであるユニクロのレプリカポロシャツの即完売はじめ各所の経済効果はザッと見積もっても300億円と言われ、市場価値をはじき出した経済界の期待もこの一件でぐんと高まった。


今度は国債先物

本日の日経紙一面には、日銀が大規模金融緩和の一環として昨日に初めてマイナス金利で市場から短期国債を買い入れた旨が出ていた。ところで国債といえば先週末には同紙でコンピューターを通じた自動売買システムで長期国債先物を相場操縦したとして、海外の個人投資家に証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した件もあった。

こんな背景には、上記の日銀による大規模緩和の一環の国債大量購入で市場取引が減ったというマーケット下地があったというが、その辺の目の付け所といい自動売買のプログラムを別の投資家のシステムを欺くように書き換えたスキルといいいなかなか優秀?な強者である。

しかし、最近では6月にあったような中堅証券の自己売買部門担当者によるTOPIX先物の相場操縦などに見られるように原資産が大物?の操作が表面化するケースが増えてきた感がある。この国債先物もそうだがマーケットが変化したのか、はたまたシステムが進化を遂げたのか今後も新手なケースが出てくるのは想像に難くないか。


温度差と需要

本日の日経紙商品面には「NY金、下落基調に」と題して、米ドル高を受けてドルの代替資産とされる金が3ヶ月ぶりの安値水準で推移している旨が書いてあった。米国の利上げ観測が根強く、金利の付かない金からの資金流出が先物等も含めて各所で見てとれる。

SPDRゴールド・シェア純資産残高も5日時点で6月下旬以来の低水準になったというが、一方でインドや中国による宝飾などの店頭需要が膨らむ可能性があるとの指摘もある。ただこの辺は今月初めに書いたように景気による温度差や、国固有の祭典シーズン等の事情も絡んで需要の相違が出てこようか。

ところでこの宝飾需要といえば本日の日経産業紙には、宝飾需要が縮小するなかで地金・金貨は資産としての側面が強いということで近年の高騰と共にこれを買い求める動きが強まり、この個人購入量が世界で伸びている旨が出ていた。斯様に宝飾をおさえる格好でこれらが個人消費の伸びを牽引する現象が今後も続くのかどうか、この辺も注視しておきたい。


6回転?の大商い

本日の日経平均は3日ぶりに小反発となったが、依然として個別物色は旺盛で最近では商品取引やFXポストも物色されてきたが、この中なんといっても直近で目立っていたのはマネーパートナーズGか。なにせ週末の出来高は全市場中で堂々のトップ、あの新日鉄の約5倍、東芝の約10倍をこなす凄まじさだ。

もともとは海外利用専用のプリペイドカードをマスターカートと提携との発表がブチ上げ初日の材料であったが、上記の通りこの日以降の出来高が凄い。初日から前日の約713倍と異様な動きを見せ、翌日はそれから更に約4倍、年初来高値を取った3日後の週末にはそれから更に約4倍と急騰前からわずか4日間で実に出来高が10,000倍に膨れた計算になる。

しかし考えてみれば同社の発行済み株式数は約3,200万株、週末に約1億9,000万の出来高を商ったということは単純にこの約6倍を回転させているということで、個人的に記憶のある限りこんな現象は見たことが無い。この活況での貸借状況の変化が今後の相場を占うことになろうか。

ところで同社といえば、ジャスダック(旧ヘラクレス)をスタート地点にし、持ち株会社体制移行を挟んで東証二部、そして東証一部指定替えと順調にコマを進めてきが、今年に入って二部から一部への昇格企業は予定も含めて42社と既に昨年1年間の実績を上回っているらしい。昇格組が増えれば自ずとリクイディティーも増すが、この辺は売買の選択肢が広がる機関投資家のメリットだけではない筈で今後一層の拡大を期待したいところ。


9/6付でパソコン専用「アプリ版・Expert」リリース

岡藤商事は、2014年9月6日(土)午後7時より、パソコン専用「アプリ版・Expert」をリリース。従来の「ウェブ版・Expert」では実現できなかった機能を数多く搭載。

▼パソコン専用「アプリ版・Expert」をリリース


主な新機能

1.Javaが更新される度に必須となっていたアップデート作業が不要

既に[バージョン1.7U55以上]のJavaが入っていれば、Javaが更新される度にアップデートを行わなくても、「アプリ版・Expert」がご利用いただけるようになりました。
※ 現在のJavaバージョンを確認の上、[バージョン1.7U55以上]でない場合は、Javaのアップデートをお願いいたします。

2.デスクトップ上に専用アイコンを表示

「アプリ版・Expert」をダウンロードすると、デスクトップ上に専用のアイコンが表示されますので、迷わずスピーディーにログインができるようになりました。

3.マルチディスプレイに対応

2画面を1つのデスクトップとして扱えるので、ひと画面はチャート専用、もうひと画面は相場表や注文発注専用画面として使用するなど、お客様のお好みに応じてご利用いただけるようになりました。

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底打ち何時?

この時期になると大手百貨店で毎年恒例で開催されるのがワールドウォッチフェアであるが、今年の場合はイギリスの名門バックス&ストラウスが手掛けた3億8千万の値札が付く「ピカデリープリンセスロイヤルカラー」なる時計が展示されるということもあって過日三越へ観に行ってきた。

フェアでは上記の通り目玉の展示が時折あるが、例えば3年前にはカランダッシュが手掛けた「1010Diamonds」なる特別制作の1億円もする万年筆が披露された。今年は上記の時計であり、1本で世のダイヤモンドの全てのカラーとカッティングが集約されている正に芸術品であったが、やはり値段も消費税だけで3千万円超というからこちらも凄い。

ところで昨年は消費税増税前の駆け込み需要やアベノミクス効果でこのフェアはそれなりの賑わいも売上もあったようだが、心なしか今年の会場は客もマバラでブースには手持無沙汰の店員が目立った。直近で発表になった全国百貨店売上高は前年比2.5%減で4ヶ月連続のマイナスとなっていたが、そんな片鱗がこのフェアでも見て取れたような感もあった。


物言えるようになるか

さて昨日の日経紙には、ガリバー日本生命をはじめ明治安田生命、住友生命、そして唯一上場している第一生命といった国内大手の生命保険会社や、東京海上日動火災保険などの損害保険会社が、投資先企業の株主総会で議決権を行使する際の方針が1日までに出揃った旨が載っていた。

この辺に関しては先に第一生命が、大手生保ではじめて投資先上場企業の議案にどう賛否を投じたかを公表することを決めている。これまで生保は役員選任等の議案に賛成するか否認するかの内部基準こそあったものの、議案賛否数等の公表は殆どなかったという点では少し流れに変化を感じる。

こんな背景には当欄でも6月に触れた「日本版スチュワードシップコード」の存在があるのは明白でこの行動指針が今後物言う株主の増殖に繋がるか否かだが、上記損保などその保有株式は取引関係のある企業が多く純粋な投資家としての経営改善を働きかけにくい面があるという。生保とてまだ初動といった感じで、投資顧問並みに何所まで近づけるか今後も注目しておきたい。


引き上げ目標達成?

さて、ウクライナ情勢の緊迫化台頭で経済制裁など欧米との摩擦が生じた時期から、ロシアが金の購入を増やしている旨が週末の日経夕刊に出ていた。米ドルやユーロへの依存を抑え、安全資産と言われる金の保有比率を一段と高めたとの見方が多いが、ロシアといえば外貨準備に占める金の保有比率を10%に引き上げる目標を掲げており7月にはほぼこの目標に達した模様だ。

これまで金準備については度々述べてきたが、昨年の今頃は新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨を書いた事があり、トルコなどと共にこの4強に入っていたのも勿論のことロシアであったが個別の事情で逸早く積み増しが促進された格好か。

新興勢といえば2大消費国であるインドと中国もその存在が常に注目されているが、前者は店頭価格の急落を背景に購入意欲がジワリと回復している一方で、後者は景気鈍化が響きこれまでの金購入の勢いが失速している旨も先週の同紙に載っていた。足元では米利上げ時期前倒しの観測から軟調地合いが継続している金だが、個別ではまだまだこれら新興勢各々から目が離せない。


巨大ファンド今昔

週末の日経紙には「1兆円ファンド 5強に」と題して、資産規模が1兆円を超す大型の投信が8月末で5本を数え6年ぶりに過去最多に並んだ旨が載っていた。世界的に金利低下が進むな中、リスクを取ってでも高い利回りを求める個人の意識が表れているという。

しかし1兆円ファンドと聞くに、嫌でもあのガリバー大手の日本株戦略ファンドの惨状が思い浮かぶ向きも多いだろう。かつてまさに日本を代表する巨大ファンドであったが、流出の凄さからその崩壊というか溶け具合までどれを取っても歴史に残るファンドであった。

まあこの辺は元が巨大であったが、ファンドでも純資産が数億円程度になってしまったモノは構造上運用も難しく半ば放棄状態の憂き目に遭っているモノも少なくない。斯様にこれまで投信といえば手数料稼ぎの具に使われ、大量設定の後はズルズルと解約一辺倒が多くそうした悪循環が通り相場であった。

ところで上記の1兆円ファンド上位は海外の低格付け債券やRIETなど比較的リスクが高い資産で運用するファンドが目立つという。REITといえば、本邦REITなど先に取り上げたGPIFがこの組み入れに動く可能性も一部指摘されている。年金等も追随する動きでも出て来れば斯様に同じ巨艦ファンドの類でも毛色が大きく変わってくる可能性がある。