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物言う株主復活?

ここ近年日経紙の投資情報欄等には、小さいながらも企業が敵対的な株の買い占めに対する買収防止策を廃止する旨の公示がよく出ているのに気付く。このような買収防衛策廃止決定企業を除く同策導入企業は先月末段階で498社と500社を下回りこの現象は平成19年末以来、約6年半ぶりという。

さて敵対的買収といえば所謂物言う株主だが、今週は金融庁が投資先企業との対話を通じて経営改善を促す「日本版スチュワードシップコード」なる行動指針を導入する機関投資家が先月末時点で127になったと正式発表している。こちらは物言わぬ株主とされる国内機関投資家の経営監視圧力を高め企業に手元資金を使って貰おうという枠組み。

先週末の日経紙スクランブルにも「配分迫る強気の株主」と題し、投資ファンドが配当などの利益配分強化を企業側に求める動きが書かれていたが、ここ最近の株高を背景にこうした動きが再度出てきているという。

上記の投資ファンド代表がかつて在籍していたのはあの村上ファンドであったが、思えば同ファンド全盛の頃が懐かしい。彼らの姿勢も形態を変えつつあるかどうかだが株主総会の案内が届くこの時期、この日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。


外堀

本日の日経紙商品面には「世界の商取、売買高減少」と題して、5月の売買高がNYMEXでは23%減少、ICEでは15%減少するなど米国や欧州の主要市場で軒並み前年実績を下回った旨が載っていた。金融規制改革法の影響等もあり、銀行が商品事業から撤退した動きも一因という。

この辺は東商取も同様で同売買高は36%減少と更に顕著で、昨日は1日の売買高が17年9か月ぶりの水準に落ち込んだ模様。こうした背景が大きく響いて先に同所が発表した2014年3月期の連結最終損益は9億1200万円の赤字となっていた。

目下のところ総合取引所の実現が課題となっているが、同所の記者会見では「器だけ整備しても効果は限られる」と述べ従来の慎重な主張が繰り返されていた。この構想を巡っては政府の日本再生ビジョンが注目されているところだが、近々実現に向けて外堀が埋められてゆくのかどうか目が離せない。


7/1より楽天証券での商品先物取扱開始

楽天証券株式会社(代表取締役社長:楠 雄治、本社:東京都品川区)は、連結子会社であるドットコモディティ株式会社(代表取締役社長:舟田 仁、本社:東京都渋谷区)と関係当局の認可を条件に合併し、2014 年7月1日(火)から国内商品先物取引の取扱いを開始。

▼ネット証券唯一の国内商品先物取引の取扱い開始のお知らせ



楽天証券での取扱開始に伴いWEBサイトに新たなコンテンツ『商品先物』ページを併設し、商品取引部門のサービスブランドとしてのロゴを新たに使用。取引口座
については、既存の楽天証券「総合取引口座」と国内商品先物取引専用の「ドットコモディティ口座」を平行して提供とのこと。


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金融シティを謳うなら

本日の日経紙金融面には「NISA恒久非課税に」と題し楽天証券やコモンズ投信等の証券・資産運用会社のグループが、NISAの非課税期間の恒久化を軸に個人投資家が資産形成し易い環境作りへ向けた制度の拡充を促す提案書をまとめた旨が載っていた。

NISAが登場した当初からこの辺はかねがね言われてきたことだが、これまで枠の拡大など他の部分での微調整検討にとどまり依然として積極活用という域ではない。マル信適用などこの辺は腕に覚えのある向きという層になるだろうが、損益通算などは非課税期間と並ぶ基本事項であると思われる。

目下大手経済シンクタンク等を中心に東京をアジアを代表する国際金融センターに発展させるための提言「東京金融シティ構想」など動きが出てきているが、ロンドンに憧れるなら先ずは足元のもっと柔軟な受け入れ整備が先決事項だろう。


期待何処まで

昨日の日経紙羅針盤には「官製グレートローテーション」として、公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、約130兆円の運用資産のうち過半を占める国内債券への投資を減らし日本株などを買い増す模様との件が書かれていた。

今でこそ大台を回復するまで全般嵩上げとなっている株式市場だが、これまで売り込まれたあとの反発はなにかとこのGPIFの思惑に絡んだものが度々あった。それもそのはず運用比率の1%引き上げで1兆円の資金流入が見込めるワケだからインパクトは大きく、昨年末からの見積もりでは2割前後までの買い増し余地があるという事でそのまま反映させれば約3兆円の買い増しということになる。

日本がデフレを脱しつつある事で債券への投資偏重を改めるとの機運というがなるほど現況で10年モノ国債なんぞで年0.5%台、これが金利上昇局面であれば値下がりリスクもそれなりなものになってくるわけで、その辺から現況の株式配当利回りを考慮するにやはりまだ魅力的な対象ではある。

同紙末尾にはGPIFの買いに合せて先回り買いの利食い売りが浴びせられる可能性もとあったが、それを呑み込み更なる上昇となる資産効果を発揮出来るか否か企業側にも課題はある。


希薄化は買い・2

さて、今週目に留まったニュースといえば第一生命保険が米生保買収の原資とする目的で公募増資により2,000億円規模の資金を調達する検討に入ったという報だろうか。4年前に同社が上場した時は内需縮小で収益の成長が楽観視出来ない事からの戦略転換と書いた記憶があるが、次のステップとして海外市場に活路を求める動きが強まってきたか。

ところで今週はこれ以外にも大王製紙やDICがそれぞれ公募増資を発表しているが、やはり増資といえば株式希薄化のイメージで発表直後には一様に売り物を浴びる。これら三社も例外ではなかったが、昨日の日経紙財務面に載っていたようにその下落率は増資による株数の増加率、所謂希薄化率よりもそれぞれ小幅にとどまっているのが最近の傾向。

それどころか例えば先月公募増資を発表した三井不動産、この発表後は急落したものの数営業日程度で株価は公募増資発表前の水準をあっさりと回復している。冒頭の第一生命もこのパターンで本日既に増資発表前の水準を回復し、それぞれ増資売りに向かった向きは増資分の下落がまるまる利幅になった構図である。

昨年も春先に「希薄化は買い?」のタイトルでJVC・ケンウッドHDを取り上げた記憶があるが、株価の回復を追い風に資本増強を選ぶ動きが目立ってきているなか、その成長戦略が好望視されるものを選べば労せずして目先掬いでも一回転を狙える地合いに近年は変わってきている。


ハイレバ選好

昨日の日経紙マーケット面には、週明けの株式市場で日経平均の2倍の値動きをするETF「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投資信託」の売買代金が705億円となり、東証全体の1位となった旨が載っていた。

このところの急伸で警戒感も一部出ているなかでも値上がり益を果敢に狙う個人の買いが
集まった格好だが、このETFの拡大も近年は世界でめざましい。日経紙によれば資産残高は過去4年で倍増しており、日本でも3月末の資産残高は12年末から9割増の8兆円超となっている模様。

この中でも売買代金の半数以上を占めるのが上記のレバレッジ型というが、この傾向は数年前から続いている。確かこのレバ系ETFについて書いたのは一昨年くらいからだったと思うが、先物オプション系と倍率ゼロのETFの中間あたりに属するモノは慣れてきた層には手頃なのだろう。今後のハイレバ系の枝葉の広がりにも期待がかかるところである。


公認不正利得

本日も日経平均は続伸し、04/04以来約2カ月ぶりに15,000円大台を回復した。このところの一本調子の上昇で彼方此方余力も回復し、個別の銘柄では相変わらず小口から大口まで注文がミリ秒単位で繰り出されている板も多く目にする。

ところでこんなHFTに絡んで2月に触れた時は、証券取引等監視委員会が海外ファンドのセレクト・バンテイジに対して課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した件を挙げたが、本日の日経紙法務面にも「相場操縦への対応 課徴金少額、抑制効果薄く」として同ファンドが登場していた。

前回も書いたようにここでもやはりその課徴金の額の少なさが書かれていたが、同頁では1回の取引の不正利得が1万円未満は対象外という事が書いてあり、これの積み重ねもあって課徴金額の異常な他との乖離が本邦では指摘されている。かねがね投資家間の平等性という点で均衡を探るのが課題とされているが、先ず法整備ありきだろうか。


資本効率への関心

先週末の日経紙財務面には「ROE、8.6%に上昇」として、東証一部上場企業の2013年度のROEが円安や構造改革による利益拡大が寄与して8.6%と前年度に比べ3ポイント強上昇、6年ぶりの高水準となるなど、日本企業の資本効率が改善している旨が載っていた。

ところでROEといえば思い浮かぶのがこれを重視したという新指数のJPX日経400か。この辺は本日の日経紙一面にも、1月に算出を始めた同指数に連動する投信の運用資産が1,010億円に達した旨が載っていたが、個人の資本効率の高い企業に投資したいという姿勢を表すようかの出来事である。

個別でも先月中旬には東証一部のアマダが純利益の100%を株主に還元すると発表し急騰、その後も上がり続け本日は4ケタの大台に乗せて年初来高値更新となっている。同社のこんな方針はJPX日経400を可也意識したものとされているが、当初この新指数が報じられた約1年前のそれは5%程度であったからこの一年でこんな動きが出てくる通りなかなか改善しつつある。

しかしまだまだ企業によっては現金が積み上がったままの低PBR銘柄もゴロゴロしているのが現状。こうしたところなど今後はそうした資本の有効活用策として自社株買い、若しくは増配などの実施思惑も大きく第二第三のアマダのような動きが出てくることを期待する向きも多い。


6/16より会員向けに池水雄一プラチナレポート開始

岡藤商事は、2014年6月16日(月)よりExpet口座開設者限定レポート「池水雄一のプラチナ・スペシャルレポート」提供開始。

▼「池水雄一のプラチナ・スペシャルレポート」提供開始



池水雄一氏プロフィール
スタンダードバンク東京支店長
1962年兵庫県生まれ。1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社入社。シルバーでディーラーデビューし、以後、貴金属ディーリングに従事。1990年クレディ・スイス銀行、1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを務める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。 一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のブリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない

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思惑祭り

さて本日で日経平均は6日続伸となったが、今週は週初からミクシィを軸としたソーシャルゲーム株物色が顕著であった。同じポストのKLabのストップ高や関連のenishやボルテージ等も急伸する循環物色効果で泥沼だった各種新興市場指数も切り返し急となったが、何せ冒頭のミクシィは20日以降の売買代金がトヨタ自動車を上回るというから凄い。

このミクシィ株といえば昨年末もホットマネーのほとんどをここ一社で吸収するような大商いを見せたことがあったが、この時は10日間連続ストップ高のあと当時の株価の約7分の1のターゲットプライスを出して、中立から売りにレーティングを変更したゴールドマン・サックスの影響で一転して今度はストップ安が続いた事件?が記憶に新しい。

そういえば先週末の日経紙にもこのミクシィ株が「プロも惑わす怪物」として取り上げてあったが、文中には今年2月に入ってからゴールドマン・サックスが公表した大口のカラ売り残高が今回の急騰で担がれて窮地に陥っている旨が書いてあった。斯様にこの株を巡っては何かとゴールドマン・サックスが材料を毎度提供してくれるパターンになっている。

また、担当アナリスト7人のうち6人が現在の株価を大幅に下回る目標価格に設定しているのに対し、唯一強気に目標株価を設定している三菱UFJモルガン・スタンレーの事も書いてあったが、これまた昨年末は上記のゴールドマン・サックスの約7分の1の目標価格に対して同社は従前の9.6倍となるも目標価格を設定していた事も今回と酷似している。今後戦に新たな動きが出るや否やだが、こんな祭りが全体へのカンフル剤となるかどうか注目である。


規制の匙加減

昨日取り上げたバークレイズの件に絡んだ話だが、ちょうど昨日の日経紙多面鏡には「米で現物業務の規制案」として、米国で浮上している金融機関による商品現物業務の規制を強化する案を巡る話が載っていた。

同紙にはグラス・スティーガル法廃止で動きの幅が広がり、大手銀などが次々とLME等の指定倉庫や様々な設備を所有するようになったのに伴い商品の需給や価格形成に影響を及ぼしかねない不安もあるとあったが、上記のLMEなど値鞘稼ぎの在庫積み増しの裏で大口需要家は思うように出庫出来ない弊害が出ている旨が書いてあった。

この在庫積み増しによって手数料を稼いだと書いてあるが、おそらく先をショートして調達しておいた現物の渡しというパターンで積みあがったということだろうか?また、一連の規制とは関係無いと表明しつつも銀の値決めから撤退したドイツ銀行の影響もあって今年8月にはロンドンの銀価格算定基準が失われる。今後の円滑な市場機能維持に向けた施策は焦眉の急である。