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期待先行

さて本日は移動中に東京スカイツリーの前を通ったのだが、ココが開業してからはや1ヵ月一寸経過した。先に書いた東京の新商業施設は何れも順調らしいがこのスカイツリーも先に東武鉄道では、展望台や付設する大型商業施設への来場者数が既に年間目標の2割弱にあたる550万人を超えたと発表している。

本体はもとより付設の東京ソラマチでも売上げが当初予想を上回る店舗が目立ち、サンリオ雑貨店は計画比で2.7倍、サンエー・インターナショナルが手がける婦人衣料品店も1.5倍で推移すると日経紙に出ていたが、当初期待された地元商店街は客が増えるどころか減ってしまったとも彼方此方報道されている。

この辺はロコとそうでないものとでその対象者へのビジネス形態が元から全く異なるところも起因しているのだろうが、肩透かしなのは関連株式も同様、筆頭の東武鉄道は開業後に年初来安値を更新し併設のソラマチ関連の株価低迷もまた然り、まさに本命は取れないといういい事例だが寧ろ商店街をスルーし浅草への流れを買うなら松屋あたりは好需給もあって本日も元気がいい。ちなみに5月の東京の百貨店売上高は前年同期比2.1%増、この松屋浅草店では同月の入店客数が19%増えている模様だが、今後もこの辺の流れには注視しておきたい。


またも英国の老舗が

本日の株式市場は円の高止まりから3日続落と弱い展開であったが、そんな中でもあの加藤氏関連モノで取り上げられたルックが暴騰、そうなると連想ゲームで筆頭株主のレナウンなんぞは低位の値頃もあって当然の人気再燃からこちらも揃って急騰となっていた。

さてこのレナウンといえば先週末の日経紙消費面にはお客様各位として、「日本のアクアスキュータムの大切なお客様が、ブランドの事業展開について、ご心配されていることから、わたくしが皆様にメッセージをお送りすることが必要であると考えました。」と事業展開が順調に進んでいる旨の広告が最高経営責任者名で載せてあった。

ご存知、「アクアキュータム」が経営破綻し法的管理の手続きに入ったと報じられたのはつい最近のことであったが、誰でも知っているトレンチの名門が経営破綻などまさに寝耳に水の話であった。しかし同じ英国系老舗ブランドの破綻では今も記憶に新しい2009年の「ウェッジウッド」もあったなと思い出すし、この2009年にはフランスのクリスチャン・ラクロワの債務不履行もまた記憶に新しいが、こんな事例を見るにつけブランドを襲う販売不振の世界共通の猛威を感じざるを得ない。


株主総会酣

今年も3月期決算企業の株主総会が本格化してきたが、今年の場合上場企業全体の4割超が開催するピークは28日となる。昨年は東日本大震災への対応が焦点となったものが、今年は震災後の成長戦略や電力問題などがテーマになるだろうと思われ、また不祥事企業もその言い訳?が注目されそう。

しかし今年の株主提案もいろいろ面白いものが出てきている。野村HDの便器を和式に変更から始まり阪急阪神HDの選手批判まで中には笑いを誘う?ものが多発し、また商号変更なども上記の野村HDほか東京電力まで変更案が出ていた。

その他M&Aに絡むものでは主要株主の基礎票固めやら、業界再編が絡む企業側との委任状争奪戦というモノもその行方が注目されるが、やはり諸々好調な企業は総会も進行というかプレゼンが上手いとつくづく。先週末に有楽町でやったソフトバンクは一気に8倍の増配という議案を議決したが、株価の高下や今ひとつだった低配当も取り敢えず脇においてしまうような人を惹き付ける話術は健在。一寸考えてみればこの増配で社長自身も80億円以上もの配当増になる計算だが、常識的には誰も文句は無いだろう。

さて配当といえば一方で、野村HDのように業績不振を理由に減配しているにもかかわらず経営陣の平均報酬が8割も増加している企業もあり、上記のような同社への株主提案もいろいろな思いが詰まっているのだろう。一昔前からすれば今では表立った黒い総会活動もすっかりと影を潜めるようになった代わりに個人株主の積極参加が目立つようになってきたが、利権オンリーの柵が無いだけにこうした風景は近年ならではともいえるか。


兜町もまた

本日は所用があって兜町界隈を通っていったのだが、東京証券取引所の脇にあるSMBC日興証券を見た際にそういえばココは本社機能をこの夏から秋にかけて新川へ移転すると直近で報じられていたのを思い出した。

大手系ではいまや微妙な立場に居る野村HDが本社機能を大手町へ移し、大和証券Gも丸の内のグラントウキョウタワーが本拠地。ちなみにこの日興の真ん前にある大和証券Gのビルにはかつて上層フロアに取引員が入っていた時期があったなと思い出す。まあそれは兎も角として斯様に兜町もこうして内部では構図がずいぶんと変わってきた。

ところで日本証券業協会の2011年度末の会員数は廃業や除名、合併で11年度に日証協を脱退した証券会社の数は17社、新規参入は7社ということで10年度末に比べて10社減り、283社となっている。この兜町の顔でもあった老舗の十字屋など中小証券の撤退が相次ぎこれで減少は3年連続である。

昨年末には当欄で「業界の地を想う」と題して、東京穀物商品取引所を始めそれを囲む取引員勢が次々と拠点を移し蛎殻町一帯の風景が急速に変わってしまった旨を書いたことがあったが、そういったところでは鎧橋を境界線にして兜町の証券、そして蛎殻町の商品という区分けもはたして段々となくなってゆく運命にあるのか。


安いと思うなら買う

ギリシャ再選挙が終わって取り急ぎは不安材料のうちのひとつが消えた格好の株式市場であるが、この不安定な地合いにおいて一際堅調だったものに自社株買い銘柄群が目立つ。この辺は先週の日経紙夕刊でも取り上げていたが、同紙によれば先月の自社株取得枠の設定件数は102件と2011年11月以来、半年振りの高水準であるという。

ザッと挙げても先月はこの報で横浜銀行が突飛高したり、味の素もこの報で年初来高値を付けたりしていたが今月はキャノンが年初来安値の翌日に急騰、昨日の文中に挙げたDeNAも先週末には発行済み1割の自社株取得枠設定で急騰し、その連想で同業他社にも思惑買いが集まるほどであった。

しかしこれで思い出すのが大手紙などで社長インタビューと称するもの。現在の株価水準を問われ、「実力からして不当に安値に放置されている」といった意見を多く目にしたことがあるが、毎度そういった向きは自社株買いでもしたらどうだと思ったものだったが不快表明が大きいところほど方策無しで放置しているケースが多いものだ。

この辺はキャシュの問題も絡んでいるのだろうが、こんな株価低迷期ならではの株主還元の一環でもありその裾野の広がりには期待したいところ。


動きが読めるか否か

さて先週末にカナダの子会社がケベック州政府から訴状を受理したとの報があったJTだが、昨日政府は東日本大震災からの復興財源に盛り込まれた政府保有500万株のJT株式のうち約167万株の売り出しについて、主幹事証券として大和証券、みずほ証券、GS証券、JPモルガン証券の4社を選定したと発表している。

このうち取り纏め役となるグローバルコーディネーターとしては大和証券とGS証券が選ばれ、早ければ今秋の売却が可能という。ところでこの面子を見てやはり気になるのはあのガリバー野村の選定漏れという事態だろうか。例のファイナンスを巡るインサイダー取引関与が影響したのは想像に難くないが関心が向くのは今後である。

証券取引等監視委員会検査がヤマ場を迎える中、このところ当局の空気を蔑ろにしてきた同社への態度硬化が実しやかに喧伝されている。業績絶好調で株価も我が世の春を謳歌していたグリーやDeNAなどが俄かに挙がったコンガチャ問題からあっという間に時価総額を半分以下にまで吹き飛ばしたのは記憶に新しいが、こんな権力の逆鱗に触れたらたまったものではない。

いままで何度も書いてきたが、中小証券と違って大手証券はプライマリービジネスを取れる恩恵で中小組の数年分を一気に捲くれる強みが武器であった。本日の東証定例記者会見では野村出身の社長でさえ同社批判をしていたのが目立ったが、この売り出しの他も大きなところではJAL再上場も控えており今後コレも主幹事団の顔触れが変ってくるのか否かこの辺を見ておきたい。


大物獲得

2週間ほど前には「重要戦略拠点」と題してLME(ロンドン金属取引所)の買収提案に触れ、アジアを睨む戦略を展開しているだけにこの辺の行方がどうなるのか大きな関心が向かおうと書いたが、末尾に挙げた3取引所からやはりというか香港取引所というラインで決まりそうな旨が先週末に報道されている。

結局のところは中国等アジアを睨んだ互いの思惑が一致したというところだろうが、当の香港取はIPO誘致で欧州の有名どころを取り込み世界トップまで躍り出ているだけに、このまま会員判断が無事通ることになればコモディティ戦略の方もなかなか面白い展開になってくるか。

亜の取引所といえばSGX(シンガポール取引所)も鉄鉱石オプション取引やばら積み船の船料オプション取引等の商品先物分野で取扱商品を拡充する意向。ところで本邦、メインのところでは東証と大証の経営統合審査について公取委は9月14日までに統合可否を通知と報じられているが、商取ではTOCOMもLNG先物や電力先物上場の要請がある模様。

この辺はまた後述しようと思うが以前に書いた内からの再構築というより外からの再構築を示唆する一端なのか、何れにせよ今後の産業構造審議会等にも注視しておきたい。


9/11をもって商品先物取引業を廃止へ

エイチ・エス・フューチャーズは、2012年6月18日開催の取締役会において、主たる業務である商品先物取引業を2012年9月11日をもって廃止する旨を決議。また、廃業に伴い、同社オンライントレード事業を日産センチュリー証券へへ譲渡することに関する基本合意書を締結する旨決議。

尚、ネット取引のユーザーで日産センチュリー証券への建玉移管に同意された方については2012年8月3日(金)日中立会終了時をもって、建玉及び証拠金を移管予定。

▼エイチ・エス・F:商品先物取引業の廃止に関するお知らせ(PDF)
▼澤田HD:当社子会社の商品先物取引業の廃止及び一部事業譲渡についての基本合意書締結に関するお知らせ(PDF)
▼日産センチュリー証券:商品先物オンライントレード事業の承継に関する基本合意書の締結について
▼エイチ・エス・フューチャーズWEBサイト



「商品先物取引業の廃止に関するお知らせ」より一部抜粋

1.事業廃止の理由
当社は、当社が所属する澤田ホールディングスグループにおける商品先物取引部門を
担う企業として、当社の主たる業務である商品先物取引業の黒字化を目指して参りました。
しかしながら、近年における商品先物取引業の事業環境は、市場規模の縮小と流動性
の低下により厳しさを増しており、収支改善及び事業継続が困難であることから、澤田ホールディングスグループ全体における事業の選択と集中という観点から総合的に検討した結果、商品先物取引業を廃止することといたしました。

2.廃止する事業の概要
商品先物取引法に基づく商品先物取引業(国内商品市場取引及び外国商品市場取引)
3.譲渡する事業の概要当社の商品先物取引業の廃止に伴い、当社のオンライントレード事業を日産センチュリー証券へ譲渡することに関する基本合意書を締結いたしました。なお、オンライントレード事業の譲渡につきましては、関係当局の認可を得られることを条件に実施されます。今後は、事業譲渡契約締結に向けて、当事者間で協議を進めてまいります。

3.譲渡する事業の概要
当社の商品先物取引業の廃止に伴い、当社のオンライントレード事業を日産センチュ
リー証券へ譲渡することに関する基本合意書を締結いたしました。なお、オンライントレード事業の譲渡につきましては、関係当局の認可を得られることを条件に実施されます。
今後は、事業譲渡契約締結に向けて、当事者間で協議を進めてまいります。

(1)譲渡する事業の内容
商品先物取引業に係るオンライントレード事業

(2)譲渡先の概要
日産センチュリー証券株式会社

4.取引の結了及びオンライン取引の建玉移管について
取引の結了及びオンライン取引の建玉移管の概要は次のとおりです。なお、詳細につ
きましては、当社までお問い合わせくださいますよう、お願い申し上げます。
【お問い合わせ先電話番号】対面取引 :0120−460−301
オンライン取引 :0120−037−469
外国商品市場取引:0120−828−234
【お問い合わせ受付時間】平日 8:30 〜 17:30

5.日程
取締役会決議 平成24年6月18日(月)
事業譲渡基本合意書締結 同上
事業譲渡契約締結 平成24年6月下旬 (予定)
外国商品市場取引新規建玉注文停止期日 平成24年6月29日(金)
外国商品市場取引建玉最終決済期日 平成24年7月27日(金)
事業譲渡効力発生日 平成24年8月3日(金) (予定)
国内取引新規建玉注文停止期日 同上
商品先物取引業廃止の公告期日 平成24年8月6日(月) (予定)
国内取引建玉最終決済期日 平成24年9月7日(金) (予定)
商品先物取引業廃止期日 平成24年9月11日(火) (予定)

6/16よりFormula注文機能追加など

ドットコモディティは、2012年6月16日よりトレードツール「Formula(フォーミュラ)ウェブ」において注文系の以下機能を追加。

▼取引ツール「Formula」注文画面におけるシステム変更について
▼Formula 注文画面におけるシステム変更について(PDF)


2.システム変更内容
(1)「STL(SO+LO)」注文のトリガー(発動条件)金額と指値金額の個別指定対応
(2)特殊注文にリバース注文(ドテン注文)の機能追加
(3)注文一覧画面からの注文の条件変更および取消機能の追加
(4)一部約定における未約定分の注文繰り越し対応

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同一基準への一歩

さて、今週は週初に「日経・東工取商品指数先物」の上場廃止の旨を書いたが、上場廃止といえば株式の方では東証が直近で上場廃止ルールを見直す旨が大手紙に出ていた。現行の判断基準が不明確で取り急ぎ「特設注意市場銘柄」に自動的に指定するという。

今まで上場廃止を巡っては日興証券やライブドア、直近ではオリンパス等に見るようにその企業を巡る利害関係者の構図が大きくこれに影響し釈然としなかった部分があったワケだったが、外国人投資家の突き上げもあって漸く被害者たる株主にとっても救済というか公平性を持たせる芽が出始めたといったところか。

当欄では以前、投資家保護を謳っていても一罰百戒で紙屑にされてしまい上記のような穿った見方をされるのを避けるにはやはり東証の誰が見ても同一基準の明確化が必要とのコメントをし、また今回の件の代償?として今後監督責任含め一層監視される厳しさも増そうかと書いた事があったが、今回の制度見直しは先ず一歩としてまさにこの特設注視市場の指導責任こそ市場の質が改革できるか否かのキーになってゆこう。


ショートターミズム

昨日の日経紙には「金、短期売買で乱高下」として、金の国際価格が荒い値動きとなっている旨が出ていたが、そんな要因として先行きが不透明感から中長期の姿勢の投資が減った為、価格の変化率やチャートの節目に着目して短期売買するプログラム取引の影響が増している為としている。

ところで短期志向を指摘しているのは何もコモディティに限ったことでなくその前の頁の「一目均衡」には、米国にまん延する短期志向として個別銘柄が割安かどうかといった視点が後退し現物株の取り扱いが減る一方で、関心が向かうのはオプションの例を挙げ目の前の現実で資金が右往左往する相場の方向感という記事も出ていた。

もうこうした構造は別に海外に限ったことでなく日本でも数年前からほぼ定着しており、将来を見据えたリスクマネーなんぞの悠長なことを唱えている向きは不安定相場では恰好の肥やしになってしまうのは明白。歴史的安値に落ち込んだTOPIXや主力の個別はリスクオフだけでは説明が出来ない問題を内包しているわけでデレバレッジの世の中、市場構造も斯様に変貌し商いやインフラもまた併せて進化を遂げつつあるのは自然な流れだろうか。