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覆面介入

本日の日経平均は反発し終値としては昨年10/28以来約3ヶ月ぶりに9,000円台を回復していたが、この辺はやはり本日の円の下落も大きく寄与していた感も。ところで円といえば昨日財務省が詳細を発表した件に2011年10-12月の為替介入があり、「覆面介入」も11月1〜4日の合計で計1兆195億円行っていた事が明らかにされている。

この覆面介入を実施するのは2004年3月以来約7年半ぶりといい、政府関係者は介入効果をより高める為に意図的に覆面介入を行ったとしているが、その後の米財務省半期為替報告書ではユーロ・ドルより円・ドルのボラが低い状況は無秩序と言えず米は斯様な状況下での介入は支持しないと日本の為替介入が厳しく批判されている。

先月には31年ぶりの貿易赤字というのが大ニュースとして報じられていたが、今年も貿易黒字に戻るのは困難で多分来年は今年ほど大きく取り上げられるニュースにはならない筈、一部輸出企業の納税も絡んで選択の余地が無い決断かどうかだが自国通貨売りは云わば諸刃の剣、国と国民の兼ね合いでも介入正当化の均衡点も考えたほうがよいだろうが今の政府にそれは難しいか。


材料内包

先週は周知の通り東証のシステムトラブルがあったが、今週は週明けからSMBC日興証券がシステム障害を起こした。同社から顧客の銀行口座への支払いや顧客から同社への振込みが出来なくなり、投信や外貨建て債券の一部取引で売買注文を取り次げていなかった模様という。

なんともヤレヤレといった感だが、ところで同社が先に発表した連結決算は欧州債務危機や円高の影響で投信販売等が不調となった事もあり純営業収益が前年同期日0.3%減の1,638億円、最終利益は同62%減の91億円の減収減益、これも含めて出揃った大手証券5社は2011年4-12月期は3社が連結赤字となっていた。

そんな中でも野村は7-9期が黒転したとかで株価も久し振りに300円大台回復してきたが、欧州債務危機については引続き予断を許さない状況として昨年公表のコスト削減策を来年9月末までに完了させる方針を示している。同社を巡ってはこの欧州債務危機に絡んで想定超のサプライズがあるとかで実しやかな噂が絶えないが、この辺は国債の絡みもあってその内容は様々。

システムトラブルも困った問題だが、金融系はメガバンクから証券までいろいろな問題を内包しておりまだまだ今後も株価共々目が離せない。


商品と土壌

週末の米雇用統計が好感されての海外株高を受け週明けの日経平均は反発、今週は心理的なフシ目にすぎないものの9,000円の大台に期待する市場関係者も多い。今日は輸出・金融が活況であったが、コア系の盛り上がりで普段はおとなしいETFもジワジワと盛り上がってきている。

ところでこのETF、先週の日経紙夕刊のなるほど投資講座にも「基礎からわかるETF」として商品特性などの説明もなど出ていたが、週初の末尾には「〜市場全体として売買の厚みが乏しい点が課題です。1日の株式売買代金に対するETFの割合は1%程度で、約2割ある米国とは大きな開きがあります。」と書かれていた。

胴元の東証も、海外で取引が活発なレバレッジ型・インバース型指標への連動を目的とするETFの上場を可能にし、市場活性化を通じた国際競争力の維持・向上を図るということでETFの法整備を進めると先に発表しているが、前になかなか根付かないのはこの辺はやはり手数料面という問題から販売側の都合にも起因するというのをコメントした事があったと思う。

他、上場後の個別を暫く見て思うのはアービトラージ機能だろうか?この辺のコミュニティに厚みが出てこないうちは乖離修正も緩慢としたものになり、ある意味ビジネスチャンスに成り得るものも放置されているという矛盾した商品になってしまう。商品はもとよりこうした土壌の部分にも左右されるということも胴元側としては把握しておいたほうがよいだろう。


胡坐と信頼

さて本日の日経紙一面を飾っていたのは「ソニー平井社長兼CEO体制に」という見出しでこのソニー始め、日本の電機大手が再生に向けた構造転換に踏み切る旨の記事。その下にはシャープの想定を超える大赤字の記事も出ておりこれら含め本日の寄付が気になったものの、周知の通り寄り前から東証アローヘッドの相場情報配信システムのサーバーに不具合が生じ、上記銘柄含めた東証上場241にも上る銘柄が売買停止の事態に陥る不始末があった。

ちなみに東証と同じ株式売買システムを使用している札幌証取も当然ながら売買停止。これによって日経平均株価算出はこれら売買停止銘柄の前日終値を指数計算に採用としているが、算出ルールに基づく処置とはいえ現物のトラッキングエラーから先物との裁定もヤレヤレという感じだっただろう。ましてや本日はソニーの決算発表の日、普段はマザーでない大証など同社株の商いは閑古鳥だがこの日は異様?な大商いを見せていた。後場から売買再開とはいえとんだケチがついた格好でソニーなど売買再開早々に大証高値比で一時急落する場面もあった。

そういえば昨日は東証の記者会見で、社長がオリンパスの上場維持とした判断の件で「間違った判断だとか、意外だったとの声はあまり聞こえてこない」などと言っていたようだが、こんな茶番を言っている間に数百億円も注ぎ込んだ自慢の高速取引とやらを少しは危惧したほうがいいだろう。引け後の市況解説にはシステムトラブルの影響は殆ど無かったとしているところが多かったが、主力銘柄の決算たけなわな重要な時期に通常通り売買出来なかったのは由々しき事態、外人投資家が漸く戻り始めた折こんな不祥事をあまり甘く見ないほうがよいだろう。


各紙に見るステマ?

依然として不安定なユーロを取り巻き市場の方も欧州問題に引続き神経を尖らせているが、昨日の日経紙一面には「欧州、危機下の消費増税」として、欧州各国で日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)の税率引き上げが相次いでいる旨が大きく載っていた。

ちょうど一週間前にも当欄で消費税6%分不足なる同紙夕刊の記事を挙げたが、やはりその書き方からして増税に向けての下地作りに余念がないといった感は否めない。この辺は同日経済面に重ねて「国際利払い費20兆円に倍増」として、消費税率を引き上げても国債残高は21年度末に1,000兆円を超えるまで増え続け、21年度の国債利払い費は20兆円へと倍増する見込みの旨も記してあるあたりからも窺えるというもの。

また同じく先週にはオリンパスのスクープをよく取り上げた大手紙に、内閣府の資産から基礎的財政収支も20年の黒字化は困難とした記事が載っていたが、結局のところ黒字化には更なる税率の引上げが必要という纏め。直近では口コミ情報のヤラセで問題になっていたステマだが、所謂この手も広義ではステマの部類に入るのだろうか?


名門のいばらの道

昨日の日経紙・経営の視点には「反面教師のコダック破綻」として、技術の種追求は日本の長所と記してあり、異分野への展開や内部留保の使い道がコダックとは相違しこの辺が日本企業の場合奏功したと載っていた。かつてそのブランドの上に君臨した名門米企業破綻例ではこのコダックの他にGMもあったが、今やトヨタをも抜き復活の芽が出始めたGMとは違って同社はいばらの道が続くともいわれている。

この辺は競争が激しいIT業界にあってデジタル方面への事業転換や遺産切り売り等だけでは容易ではないというあたりに起因するものだが、確かに消費者相手のデジタル機器においては特許や技術が絶対的優位を持たないのはアップルなんぞを見てみるに一目瞭然である。苦戦を強いられているソニーはこの数でベスト10入りしているが、アップルなどベスト30にも入っていない。

今やわずか数年前に創業した企業がIPOし、名門と肩を並べる時価総額をあっという間に創出するのは珍しくない時代、コダックの破綻は最近では停滞の要因にされる日本的経営の美質と可能性を再認識させると同紙の末尾には書いてあったが、急成長勢の台頭でコダック同様の事例が出る可能性も依然秘めているといえよう。


連れ高SNS関連

週明けの日経平均は円の高止まりや海外株安を受け3日続落、そんな中で朝方から買い物を集め大幅高で寄ったのはデジタルガレージ。これは先週末にSNS最大手の米フェイスブックが2/1にもIPOを申請する方針と米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じ、日経紙にも載っていたが早い時期から同社に出資していたとしてにわかに同社が物色されたというもの。

さてこのフェイスブック、もともと既存株主数も一定ラインを超え証券法の元では強制的公開の時期に来ていた折、セカンダリー・マーケットでの売買にも規制がかかりいよいよとされていただけにやっとというところだが、その規模は下馬評では米ネット企業としてはあのグーグルをも抜き過去最大となる見通しでマクドナルドにほぼ匹敵、日本企業で言えばNTTドコモクラスというから注目である。

とうワケで値決めもどの程度になるのかにこれまた関心が向かうが、米でも日本と同じようにこのIPO申請報道から昨年当欄で取り上げたリンクトイン等のネット系が一斉高となっている。成熟期に入っているだけによくありがちな大物公開でブームが天井ということもあり得、上記のデジタルガレージにしても暴落相場の中で敢行した公募の価格が壁として控えておりこれを舐めにゆくような相場がはたして持続できるのかどうか?この辺も見ておきたいところ。


仕手系ミニバブル

さて、本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、出来高累計帯ほか昨日は騰落レシオも大発会以来の120超となっていただけにモタつくのも自然なところか。ただ、個別では今週目立った点といえば低位仕手系の乱舞で商いの回転が非常によく効いたということだろうか?

仕手系といえばもともとは兜町をかつて一世風靡した某氏が久し振りに動きだしたとの煽りで大証銘柄が腕に覚えのある一部個人を惹き付けていたが、その後全員参加型の復興関連が順次立ち上がり、今週はその流れで橋梁、その次が海運、倉庫とテーマに乗って順番に個人好みの飛び付き易い銘柄が乱舞、株式投資から遠ざかっていた個人投資家がにわかに戻り始め裾野が広がってきた様相を呈している。

個人投資家といえば日経紙のマーケット面で、個人の投資意欲鈍るとして信用取引残高がリーマン・ショック後の最低水準を更新し、約8年7ヶ月ぶりの低水準まで減少している旨が乗っていたのが先週18日。また、20日付けの同紙には個人投資家が4週連続で売り越しとも出ていたが、いつもながらこの辺のこうした日経紙の報道は目先底入れの指標になるが果たして今回もといった感もある。

このなかで直近アッという間に株価3倍増超したのは日本橋梁や宮越HDのような非貸借モノがズラリ、規制の入らない分メチャクチャやれるというところだろうが、今週の相場は貸借モノも株不足を背景に駒井ハルテック然り共栄タンカー然りでなかなか面白い相場を演出してくれた。貸借モノは当局がすかさず規制を発動する経緯から、これでは相場も一日天下との認識が定着していた分この手のモノはカラ売りを誘導し易くなっていたワケだが、漸く逆にそれをテコにするエネルギーが出て来たとも取れこの分野のミニバブル再来に今後一寸期待したい感もある。


所詮泥鰌に笊

さて、昨日日経夕刊一面には消費税6%分不足と出ていたが、同紙以外でも最近この手の見出しがやたらと目に付くようになった。増税に向けて下地作りに余念がないといった感じだが、官僚クラスの増税行脚もなにかこう茶番にしか映らない気がしてならない。

そもそも何故にこの時期かという疑問は各方面から出てきて当然といえようが、だいたいそれ以前に公約の反故が甚だしい。以前に触れた年金の段階的引上げにしてもそうだしこんな姑息な下地作りをやる前に、以前にも書いたように歳出が悪の巣窟なワケだからここから手を付けるのが筋だろう。

もとはといえば増税以前に責められるべきはこちらの方といったところだが、結局政権を執れば既得権とべったりといういい事例、削減一つとっても民間企業のような血の滲むような努力が出来るワケでもなしといったところか。


春節消費

本日の日経平均は戻り売りに遭いながらも僅かに締まったが、そんな中で本日はイラン制裁の思惑などもあって業種別上昇率トップとなったのは海運セクター。懐かしいこのポストの仕手株群が急騰となったが、反面昨日まで2日連続のストップ高となった東天紅は利食い売りに急反落となっていた。

さてこの東天紅、確かにPBRは僅かに0.5と安いことは安かったワケだが昨日までの突如の急騰は、中国の旧正月である「春節」休暇の中国人観光局への期待が囃されてのものとか。安易といえば安易だがなんでもテコにしてしまうのが今の相場、ところでこの春節に絡んでは百貨店も先週末などレイアウトや案内を明らかにソレ向きに変更しているのが目立った。

欧州債務危機くすぶる中を欧米人に代わって各方面活路を見出す先はやはりまだ中国。百貨店レイアウトで思い出したが、ことファッション業界などの力の入れようは欧州ブランド中心に半端でないらしい。バブル期を代表したブランドが日本撤退する一方で中国戦略を拡大していたのは記憶に新しいが、そのうちこれらのテイストもシノワズリ系に傾斜した形で日本再上陸などということがあるかもしれない。


一罰百戒に出来ない事情

さまざまなところが注目していたオリンパスの上場問題であったが、先週末には東証の自主規制法人の臨時理事会が「投資家の判断に重大な影響を与えたとはいえない」と判断し監理銘柄に指定した同社株の上場を維持すると発表、これを受けた本日の同社株は材料出尽くし感が強いながらもお約束の反発となっていた。

重大な判断という部分に関して日経紙には「粉飾は巨額だったが、オリンパスは事業規模が大きいため、投資家に利益水準や業績の傾向を大きく見誤らせたとまではいえない」と載っていたが、近年のライブドアなどを持ち出して考えるにやはり上記の言葉に集約されているだろうか。両者を比較するになんとも釈然としない向きが多いとは思うが、つまり結局は利害関係者の構図が大きく異なったということに尽きると思う。

オリンパスは世界に誇る日本のブランドで金融機関始めとして錚々たる面子が大株主になっている一方で、ライブドアは切り捨て易い?小粒株主の構図。「投資家保護」を謳ってはいても一罰百戒の上場廃止で個人が泣く以外に然程厄介な問題にはならなかったワケだがオリンパスを上場廃止にしてしまうと利害が絡む機関投資家の後処理?も厄介だし、ついでに言えば東証も大商いしてくれる銘柄を減らすことにもなる。

しかしこれでお墨付きとばかりに今後、ラインを超えない粉飾はOKとこれと同様のスキームでインチキやるところも出て来てもおかしくはないだろう。また今回の件では核心の部分が闇に葬られ上場廃止基準の抵触を上手く避ける素地が作られたとの指摘も依然燻るが、こうした天下り組織と癒着する国家権力と穿った見方を避けるにはやはり東証の誰が見ても同一な基準の明確化が必要だろうし、また今回の件の代償?として今後監督責任含め一層監視される厳しさも増そうか。


1/23よりFormulaにスプレッド&指数化チャート追加

ドットコモディティは1月23日(月)より、取引ツール「Formula(フォーミュラ)」の価格情報チャート機能を追加、またレスポンス向上などを改善。新た に「スプレッドチャート」と「指数化チャート」を追加。

▼Formula 価格情報チャート機能追加およびレスポンス向上等の改善(PDF)


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