一罰百戒に出来ない事情

さまざまなところが注目していたオリンパスの上場問題であったが、先週末には東証の自主規制法人の臨時理事会が「投資家の判断に重大な影響を与えたとはいえない」と判断し監理銘柄に指定した同社株の上場を維持すると発表、これを受けた本日の同社株は材料出尽くし感が強いながらもお約束の反発となっていた。

重大な判断という部分に関して日経紙には「粉飾は巨額だったが、オリンパスは事業規模が大きいため、投資家に利益水準や業績の傾向を大きく見誤らせたとまではいえない」と載っていたが、近年のライブドアなどを持ち出して考えるにやはり上記の言葉に集約されているだろうか。両者を比較するになんとも釈然としない向きが多いとは思うが、つまり結局は利害関係者の構図が大きく異なったということに尽きると思う。

オリンパスは世界に誇る日本のブランドで金融機関始めとして錚々たる面子が大株主になっている一方で、ライブドアは切り捨て易い?小粒株主の構図。「投資家保護」を謳ってはいても一罰百戒の上場廃止で個人が泣く以外に然程厄介な問題にはならなかったワケだがオリンパスを上場廃止にしてしまうと利害が絡む機関投資家の後処理?も厄介だし、ついでに言えば東証も大商いしてくれる銘柄を減らすことにもなる。

しかしこれでお墨付きとばかりに今後、ラインを超えない粉飾はOKとこれと同様のスキームでインチキやるところも出て来てもおかしくはないだろう。また今回の件では核心の部分が闇に葬られ上場廃止基準の抵触を上手く避ける素地が作られたとの指摘も依然燻るが、こうした天下り組織と癒着する国家権力と穿った見方を避けるにはやはり東証の誰が見ても同一な基準の明確化が必要だろうし、また今回の件の代償?として今後監督責任含め一層監視される厳しさも増そうか。


関連記事

この記事のハッシュタグに関連する記事が見つかりませんでした。

最新記事

カテゴリー

アーカイブ