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功罪

さて週末に飛び込んできた話題で目立っていたのは、やはり尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で海上保安庁が衝突時に撮影したとみられるビデオが「YouTube」に投稿されているのが発覚した件か。

しかしこうした流出モノといえば、ここ最近では警視庁公安部の内部資料とされる文書がネットへ大量に流出する一件もあり、先に衆参予算委員会のメンバーでこの衝突ビデオの視聴が行われた際には入室時に携帯電話まで没収されたそうだが、これを嘲笑うかのような直後の流出とはなんともお粗末な感は否めない。

事の是非はともかく、半ば圧力に屈し超法規的に犯罪容疑者を釈放してしまった上に、流出したらしたでこんどは闇に葬られるところであったモノを世に解き放った者へは複数の罪で捜査へ乗り出しているというが、世論もあり何とも扱い辛いケースだけに脆弱な政権へまたも試練である。

それはともかく、今でこそ何の疑いもなくごく普通にネット生活が浸透しているが、「YouTube」なんぞ無かった時代を思い返してみると改めて劇的な構造変化だなと。それは一部新聞などに見られたように今までは情報を制御出来る向きが居て、一般はある意味それを読み解く力のある向きとそうでない弱者が存在したが、こうした物の登場でそうした関係が殆ど対等になった事か。時代の功罪論はさておき今またメディアのあり方も問われてこようか。


2011/1/4より取次取引員へ移行、取次先はドットコモ

フジフューチャーズ、2011年1月4日(火)より、事業の効率化等を図るため、現在の受託会員からドットコモディティを取次先とする、取次取引員に移行。

▼取次取引員への移行について=フジフューチャーズ(PDF)


取次取引員移行に係る変更点

■預託された資金の流れが変わります
取次取引員に移行することにより、預託された資金の流れが変わります。
従来はお客様からお預かりした資金は弊社から直接、日本商品清算機構(JCCH)に預託していましたが、取次取引員になることによって、取次先であるドットコモディティ株式会社を経由して日本商品清算機構(JCCH)に預託されることとなります。

※お客様からの取引注文は弊社から取引所に発注されます。

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御家芸の技術力

さて、昨日は日経紙でもモノトーンの全面広告が出ていたように、帝国ホテルが開業120周年を迎えているが、そういえば此処では先週第12回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催されていたのを思い出した。ところでこの会議の討論の中では先の日経紙一面にも出ていたようにサンディスクのCEOは「日本は先端的なものづくりを国内にとどめなければいけない」と強調し、ノウハウなどが流出した場合「取り戻すのは容易ではない」と指摘している。

技術流出といえば日本が世界に誇る金型技術では、昨年国内最大手のオギハラがタイ自動車部品大手の傘下に入り、一部工場は中国企業が買収したが、そんな折先月だったか自動車用金型で国内2位の富士テクニカが同3位の宮津製作所の事業を買収し、富士テクニカは企業再生支援機構から出資を受けて経営基盤を強化する報道があったばかり。

またも御家芸流出の懸念となるところだったが、既に優秀な人材、頭脳の海外流出から、日本が培ってきたさまざまなノウハウが他国に流れ出る動きは彼方此方に見られる。不況が主因なのはもとより技術者レベルも他国の優遇を求めて日本を離れる裏にはその評価というか地位の低さが起因している部分もあるのではないか?

上場企業で見ても先週など株式市場ではこの円高下においてもソニー株が、米アップルによる買収対象の一つになるかもしれないと思惑を呼んで上昇した経緯があったが、他の一部ハイテクでも異様な強さを見せていた物も多い。結局これら企業は独自の技術力を持っているところばかりでその技術水準の高さには定評がある。スポーツ界の誇らしい流出と違ってこと産業界では大いに懸念すべき事だろう。


何処まで暴けるか

さて、週末の日経紙経済面には「公募増資企業、株価に不信な動き」として、東京証券取引所と証券取引等監視委員会が、インサイダー取引に基づいた不正な取引が実施されているかどうか国内外のヘッジファンド等について調査を進めていることを明らかにしている。

当欄では7月に国際帝石の巨額増資で株価が急落した際、「〜確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しい」とコメントしておいたが、この銘柄以外にも今まで怪しいものについては殆どその都度触れてきたつもりである。

こと今迄規模の大きな、例えば225採用銘柄などは当然リクイディティーも申し分なく魑魅魍魎の筋が紛れ込むのにはうってつけの素材である。出来高一つ取っても露骨な事例が存在するのに当局が思い腰を上げずに何時の間にか風化してしまうのが長年疑問であったが、
はたして今回の調査で何処まで暴けるのか注目。

斯様に公にされる摘発では雑魚しか挙がって来なかった裏には政治的な事情があるのか、はたまたその沿革から前例踏襲主義の産物で財源の問題がネックになっているのかその辺は定かでないが、今回の件でも従前通り雑魚挙げ程度でお茶を濁す程度に止まったらこうした部分でも国際標準の道はまた遠のくということになる。


商取法違反からフジFに業務改善命令の行政処分

商品取引員であるフジフューチャーズ株式会社(東京都中央区)に対して行った立入検査等の結果、商品取引所法(昭和25年法律第239号。以下「法」という。)等に違反する行為等が認められたため、本日、行政処分を行った。

なお、処分の概要は下記のとおり。

▼商品取引員に対する行政処分について=農水・経産省


処分内容

1. 「法第232条第1項」の規定に基づく業務改善命令

商品取引受託業務の運営の改善のため、以下の措置を速やかに講ずること。
(1)今般の法令違反の行為の責任の所在を明確にすること。
(2)役職員に対し法令遵守を徹底するとともに、商品取引事故等の処理及び外務員指導に関する内部管理体制の充実・強化を図り、不当な勧誘行為等の再発を防止すること。
(3)商品取引事故等の発生原因について調査分析するとともに、事故等に関与した役職員に対する適切な処分等指導・管理体制を早急に整備し、再発防止のための措置を講ずること。
(4)特定の取締役に対する不明朗な貸付けについて、貸付金の回収時期及び方法を具体的に示した計画を着実に遵守するとともに、内部管理体制の充実・強化を図り、貸付けに係る適切な対応を行うこと。

2. 「犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)第16条」の規定に基づく是正命令

犯罪収益移転防止法違反を是正するため、以下の措置を速やかに講ずること。
他人名義を使用した取引の受託の実態についてすべての委託者を対象として点検し、再発防止のための措置を講ずること。

処分理由

1. 「法第232条第1項」の規定に該当する事由

(1)不当な勧誘等が多数認められ、営業部門等における法令遵守の徹底が必要と認められたこと。
(2)平成16年1月16日、2月17日付け主務大臣あて報告にあった特定の取締役に対する不明朗な貸付けに係る改善措置が適切に実施されず、再び特定の取締役に対する不明朗な貸付けを行っていたこと。
(3)商品取引事故等が多発し、商品取引受託業務の運営の改善が必要と認められたこと。

2. 「犯罪収益移転防止法第16条」の規定に該当する事由

犯罪収益移転防止法第4条第1項に違反する行為として、顧客に対する本人確認を行っていないものがあったこと。

◎FactualFutures行政処分・制裁などまとめ
http://factualsite.com/hp/index5.htm


世界に伍する日は来るか

さて、当欄のカテゴリーリストの「商品先物」でちょうど300番目となる今回は、今週の日経紙上で週明けの「日本の商品先物取引 グローバル市場へテークオフ」という見出しの元、久し振りに全面広告の特集が三頁に亘って組まれていたあたりに触れてみる。

今や渦中の東穀取の「2011年1月4日 東京穀物商品取引所は生まれ変わります」という広告は、はて「輪廻」を意味するのかどうかその去就を見守りたいが、それはさておき同文中ではインフラ的にはこのように整いつつありますといった話が羅列してあったが、中でもスパン証拠金などはもっと早くから整えるべきであると思いは常にあった。株式先物などやっている向きにはスパン証拠金は常識で、これが未だ非導入と解った段階でもう参加意欲をなくしてしまうのは当然なところだろう。

商品的には「商品指数」登場や、「損失限定取引」など委託者保護を謳ったものも予定されているが、「ETF」などへの資金の集まりの相違が明白でエッセンスだけ証券系へ流れ始めている感も強い。

また、業界でも急ピッチで対応作業が進んでいるとあったが、先に書いたシンガポール取引所のオーストラリア証取買収は城外からの資金流入に対応したものだが、逆に資金流出が続いている事情から国内ではワンストップ型がそう性急な課題ではないとの負の認識も一部台頭してきてしまっているのも憂慮すべきところか。

見出しには「〜商品先物取引はますますその影響力を高め、世界経済にとって不可欠な存在になってきた。日本でもシステムの高速化、ETFの登場で信頼性、利便性が増し、世界に伍しようとしている。」とあったが、こんな言葉とは裏腹に直近では取引所国内二位の東穀取の存亡がいわれ、取引員もまだまだ淘汰途上の様相、はたして世界に伍する日が来るのは何時の事になるのだろう?


単純代替論

昨日の日経紙経済面には「法人税率下げ 財源で応報」とあり、2011年度税制改正の目玉である法人実効税率の引き下げのための財源探しが熱を帯びてきたと出ている。政府税制調査会は法人の税負担の付け替えによる財源確保の検討に着手し、これに対し産業界は純粋な減税を求めている。

日本の法人実効税率は各国と比べて高いとの認識は何処でも共通で、例えばデフレ下の悪環境とも相俟ってここ近年ではそこそこ高級なブランドなど外資系がオフィスや店舗を続々と閉鎖し、日本拠点を他の国に移している一因もここに一部あるともいわれている。

しかしながら費用対効果が特に重視される外資系においては経済成長率著しい新興国などに投資をシフトしてゆくというのは自然な流れで、こうした国内空洞化を鑑みての論に対して消費税引き上げ等含めた新税創設論などあるが、欧州などを見てみるに基本的な生活費等殆ど消費税がかけられていない部分もあり、この辺を一括りにしてしまうような構想は危うさも残る。

首相は、週明けの集中審議で実効税率については「近隣国との比較でまた高いと指摘されている」としていたが、上記の件や低いとされる欧州などとでは社会保険料などが可也違うという部分も把握しているのだろうか?景気で左右される法人税より確実に取れる路線に傾斜というところなのだろうが、最低この辺の事情は把握しておいてもらいたいもの。


11月実施商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う取引員を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、11回目となる本年2010年度は10月末時点のデータを対象とし、11月8日(月)〜11月19日(金)の2週間で実施いたします。

▼2010年度 商品先物ネット取引データアンケート調査概要

11月8日(月)午前中に10月時点で商品先物ネット取引を行っている取引員【14
社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月上旬に全データを公開予定です。

尚、アンケート項目などは以下の通り。


【取引データアンケート調査内容(主要項目)】

1. オンライン取引 口座数:口座(2010年10月末現在)
※10月末時点でのオンライン取引総口座数(証拠金の預託されている口座数、否累計口座数)。
2. オンライン取引 実働口座数:口座(2010年10月末時点)
※上記総口座数のうち10月末時点で建玉のある口座数 (本年より定義変更)
3. オンライン取引部門 預かり証拠金総額:円(2010年10月末時点)
※10月末時点でのオンライン取引部署預り証拠金総額。
4. オンライン取引部門 月間売買高:枚(2010年10月度)
※10月度のオンライン取引による月間トータルの売買高
5. 一日あたり平均注文件数:件(2010年10月度
※10月度取消し・不成立なども含む一日当たりの平均オーダー件数
6. 一日あたり平均約定件数:件(2010年10月度)
※10月度一日当たりの平均約定件数(取消し・不成立などは除く)
7. 自社オンライン取引サービス内容の確認・修正など
※自社サービス内容について記入、及び追加・修正ください。

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


11月アンケートに併せネット取引評価ポイントテーブルを改定

11月実施ネット取引データアンケートと同時に各社サービス内容アンケートも行いますが、それに併せて「評価ポイントテーブル」を改定し、トータル190ポイント(これまでは192ポイント)にてアンケート後に再集計しランキングを行います。

今回のポイントテーブル改定では、

1.手数料関連のウエイト変更
2.コモディティ関連取引サービスの追加
3.モバイル取引可能端末種別の細分化(スマートフォン、タブレット)

等に関連する部分を主に修正してあります。詳細につきましては以下ポイントテーブルにてご確認下さい(変更点は赤・青文字で表示)

▼商品先物ネット取引/一目瞭然:評価ポイントテーブル(10/25改定)

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


世界8位の時価総額

昨日は、シンガポール取引所がオーストラリア証券取引所の買収に向けてTOBを実施すると各紙で報じられている。高成長が続くアジア太平洋地域に城外から資金流入が加速する中、この増大する取引に対応し競争力を高めるのが狙いという。

オーストラリア証券取引所といえば、ちょうど一週間前に取り上げた資源大手の豪英BHPビリトンや英豪リオ・ティントなどが上場しており、この買収が実現すれば両証取で上場企業の時価総額は約一兆9,159ドルとなる。これでカナダのTSXグループを抜いて世界の株式市場ランキングで8位に躍り出ることになるという構図だ。

しかし、同じアジアでこうして証券、デリバティブ取引所の国際的合併が進展しようかという動きがある一方で、日本ではいまだ株主の理解が得られない懸念などとして「総合取引所」に慎重な向きも一部あり遅々として進まずといった光景はなんとも歯痒い感がないわけではない。


買収ファンドも順次撤退

さて、先週末の日経紙財務面の「法務が支える企業戦略」文中では、米スティール・パートナーズなどの「物言う株主」の名も出ていたが、このスティール・パートナーズといえば今月は保有するサッポロホールディングスの株式を一部売却していたことが判明している。

中旬までの立会い外クロスにおいて600万口が三発、計1,800万株入ったことが話題になりその株数から同ファンドの名が囁かれていたが、果たして金融庁へ提出の大量保有報告書において17.55%の保有比率から12.98%へと、この売却株数分に見合う約4.6%を売却していたことを明らかにしている。

当欄でも同ファンドについては4年くらい前から度々触れてきたが、中でもソトーやユシロ化学をターゲットにし、その内部留保をあぶり出した一件は記憶に新しい。ただ、ブルドックソースとの戦い?で「濫用的買収者」として認定されてしまった事件や、リーマン・ショックもありそれ以降はターゲット企業の外しが目立つようになっていた。

ところで近年は日本で活躍する外資系の企業買収ファンドの撤退が目立つ。先に米系のサン・キャピタル・パートナーズの撤退、香港本部のユニタス・キャピタルも日本拠点を閉鎖、証券ではメリルリンチ日本証券も日本の買収投資事業から撤退。もともと上記の判決後日本への投資はリスキーというコンセンサスがあったところへこの市況低迷、リスクマネーは時に必要悪とも言われるが、こうしたものが更に細ってゆくのは閉鎖性の加速など懸念されるところ。


交渉における温度差

さて【FUTURES PRESS】でも既報の通り、今週は東京穀物商品取引所が東京工業品取引所に経営統合を申し入れた事が明らかになった。このシナリオ自体はもう既に関係者の間ではコンセンサスとなっていたが、今週19日の定例記者会見でも両取引所社長がこの件に言及し経営統合の交渉を進めていることを認めている。

既に消え、または消えゆく商品取引所がしてきたように、東穀もまたJCCH株式を全て手放し矢継ぎ早にその次は自社ビルの本館まで売りに出すなどの動きが著しかったが、近年は業界団体からの突き上げも厳しくこれと並行して屈辱の統合申し入れに至ったという感じか。

ココは崩落の過程でも以前から一貫して自主独立路線を謳っていた経緯があり、この辺の悔しさは記者会見における社長コメントにも見て取れる。この期に及んでも引き継ぐ対象商品については「売買高にかかわらずすべての商品を前提に考えている」とし、また従業員の受け入れに関してもできるだけ多く引き継ぐよう求めるなどとあたかも立場が対等かのように錯覚している。

しかし、農水系のこうした一連の言動しかり、また業界で見れば仮にこの救済?統合となった場合にはTOCOMと関西商品との二拠点となるが、売買シェアが全国4商品取引所で1%にも満たない長年最低であった関西証取が最後に残るあたり、まさに各所の体質を色濃く表している感は否定出来ない。