266ページ目

欧州流のIR

休みも短く年が明けた実感もそう鮮烈にあるわけではないのだが、街ゆくビジネスマンなど暮れと同様に企業のカレンダーなんぞ幾つも手に歩いているのを見るとやはり睦月だなあと感じる。

さてこのカレンダー、昨年は多くの企業が経費削減とやらで刷るのを止めてしまったところが散見される。JALのキャビンアテンダントカレンダーなどは私も長年使っているがこれも残念ながらもうお終い。ココはなんでもカレンダーのみならずエコノミークラスなどは今後新聞までなくすのを検討中とか。まあ、今が正念場のJALだけに仕方がないのかもしれないが、カレンダーなど名物であっただけに知人のキャビンアテンダント達の中にもこれを惜しむ声が多い。

ところでカレンダーもIRよろしく見てもらってナンボとの部分が多いが、お堅い日本と違って一寸海外に目を向ければ近年やたらと増えているのセクシー系か。JALのカレンダーではさすがにヌード版など無いが、同じ航空業界ではいろいろとお騒がせなあの某格安欧州系では慈善団体基金集めの為とかでキャビンアテンダントのヌードカレンダーが存在するし、バークレイズが触手を伸ばしたロシアの某銀行なども上級マネージャー始めとして女性行員をモデルにしたヌードカレンダーが存在する。

そこで日本、大手メガバンクなど株主を嘲笑うかのように巨額のファイナンスを繰り返しているが、せめてもの罪滅ぼしで微々たる配当と共に株主優待でこんなカレンダーを配る試みなど如何?株数に応じて内容も変化させたりとくだらないアイデアは尽きないが、まあそんな器量というか逆立ちしても無理だろうな。ただこの手の緩みを持たせるような部分も時には疲弊した金融界には必要かとも思うが。


Killer contents

昨日あたりから巷の企業は実質始動となったが処が多いが、百貨店始めとして小売関係は今週が一年を占う意味でも要とその光景も力が入る。昨日までに出揃った09年12月の売上高速報は大手各社が11月比で減少幅は改善となってはいたが、これは歳暮や御節に加えセール前倒し等の特殊事情があってのもの。

さてこの百貨店、年末には御節を書いたがこれと共に年の初めといえば福袋、此処の近所の三越では開店前に数千人の行列が出来てその人気ぶりが窺えたが、その近所の銀座松屋では開店85周年を迎えるにあたって85万円の福袋を用意する一方で、ランチ弁当福袋などお買い得を謳う展開など益々キラーコンテンツ的な様相を強くしている。

そういえば此処銀座は昨今の浮世を反映して街の風景も変遷、直近では新築ビルでも入居予定であった高級ブランドがマルになって低価格大手が入居の運びへ、また店を構えていた別な高級ブランド群も次々と撤退しファストファッション群の看板へと次々に架け替えられている。

一昨年の夏頃に当欄で「銀座は変遷著しく、経済を肌で感じ易い街である。」と書いた事があったが、昨年は更にそれを実感した年であった。さて、今年もこんな変遷が継続するのか、はたまた有名ブランドの逆襲がありや否や、粛々と見てゆきたい。


寅、千里を走るか

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さて、株式・商品共に大発会を迎えた本日であったが、両者共に堅調なスタートを切った。大納会で3年ぶりに前年末の株価を上回った株式の方はその地合いを継いで昨年来高値を上回る勢いを見せていたが、はて丑で躓いた分を今年は寅で走ることが出来るや否や?まあ、戦後の寅は殆どが下落しそんな格言通りにはいかない模様だが、実際のところはファイナンス絡めた需給と足元で課題を多く抱える政策の実効性が表面上はキーとなってこようか。

ところで当の取引所も東証では10年ぶりに株式取引システムを全面刷新、この辺はまた後述するとして名証もこのシステムを利用し迅速な取引が可能になったとの事だが、はて商品取引所の方のシステム統合は今年どの程度進展するのであろう?

一方、昨年夏には国内証取として初めてFX市場を開設させた大証の大発会では、同取引所社長の新年挨拶にて「総合取引所構想への対応など、新しい分野への進出にもチャレンジングに取り組む」との言葉も上記と併せやはり気になった点である。斯様に商品業界も今年は干支の格言よろしく、丑躓くから寅千里を走るの如くある意味で再生の兆しを掴めるか否かが焦点となってこよう。

本年もどうぞ宜しく御願い申し上げます。


デフレの行方

さて、ちょうど一週間前に「〜もうじきにタイコムも破産という選択〜」な旨を書いたが、やはりというか巷ではジングルベルの鈴が鳴る中をこちらは破綻の鐘が鳴り既報の通り大阪地裁へ破産の申請である。まあ、表面上はマーケット縮小だの競争激化だのという事情を知らない講釈ばかりだが、?箱?にされた企業の末路はこんなもの、ここもこれからいろいろと水面下では問題が浮上し大変だろう。

そんなこんなで今週で2009年も幕を閉じるが、ざっと振り返ってみて今年は如何なものであっただろうか?当欄で春先から挙げただけでも衣類、靴、家具、牛丼やジーンズなどの値下げ合戦などあったが、先月あたりではボージョレ・ヌーボーまでが格安品となって山積みになっていた光景がよみがえる。

政府は11月の末に3年5ヶ月ぶりに「デフレ」なる認定をしたが、決定打を見出せないまま動揺だけが広がり今更ながらの改めての宣言なんぞしなければよかったとの声もある。まあ、この辺にも政府と日銀の温度差を感じるが、100年に一度の経済危機でも「ハチが刺した程度」と言ってのけた経緯のある日本ははたして何処へ向かっているのだろう?

斯様に価格体系や業界も変遷著しく今年は更にこれが加速した感がある、ちなみに日本漢字能力検定協会が全国から公募した今年の漢字は「新」であったが、それが持つイメージとは逆に新政権一つ取ってもどうもしっくりとはこない感も。さて、来年はこんな変遷が更に継続されるのかどうか粛々と見てゆきたいと考えつつ今年はこれで失礼したい。

皆様、一年間のご愛読まことにありがとうございました。
どなた様も良いお年をお迎えください。


御節

もう師走も終盤に差し掛かりはや本日はクリスマスイブであるが、この期になると毎年恒例ながらいろいろなところから「御節料理」の案内も出揃い、大手の百貨店でもその受付が今日あたりで締め切りというところが多い。

さて、三年前の今頃も当欄で「御節」を書いたが当時は金田中あたりが10月中旬の初日で売り切れるなど景気も良かったが、今年は景気低迷に伴う消費不振やデフレの影響もあって、前述の高額品が落ち込む一方で低価格帯が伸びているという。

余談だがそんな中でイヤでも目立つのが、あのミシュランで星を取ったレストランがいきなり強気な価格設定になっているという点か。数年前まで他のレストランと同価格の設定でその内容を競っていたものだが、今年のパンフなどを見ていると大した内容でない物を此処だけ三倍近く飛び抜けた価格は滑稽な感さえ醸し出している。

ココが都心に出しているレストランもどう見ても自己満足としか思えないような仕上がりで、なにやら巨匠の名で鳴り物入りで登場したものの、連日超閑散で苦戦している某フレンチの道を辿りそうな感もするが、はて本日のイブは予約でしっかり埋まったのであろうか?

昨年には当欄で「星と驕りと・・」というタイトルでコメントしたが、これをフト思い出した一件であった。


摘んだのは責準だけか?

さて、週末の読売紙で見掛けたのが、帝国データバンクが行った調査による今年に国内証券取引所で上場廃止になる企業数が、08年実績を大幅に上回る163社に達する見通しとなった旨の記事。

景気低迷に伴う経営破綻もそう簡単には落ち着きそうもないが、まあ上場組でなくとも先月あたりからその破綻形態も名の通っている企業含めて、再建型というよりも破産を選択するパターンがやたらと目に付くようになったのがなんとも寒い。

この時期こうしたトコロは何処も足の早いヒモ付き資金の対応に追われる向きが多いが、そういえば業界からでは既報の通りタイコム証券が責準のツマミを繰り返していたという事で日商協から2,500万円の過怠金の制裁処分を受けている。ココは昨年には自己資本規制比率の算出不備だのと他の過怠金組とは異質の内容で大証からも過怠金を課されていた経緯があったが、これで証券業、商品先物業双方から過怠金を課されるハメになったという杜撰さだ。

まあ、個別ではなかなか面白い取引員であったものの、そんなわけでもうじきに上記パターンよろしく破産という選択と聞く。しかし同社は見たところ、創業家が順次手を引いてからというもの企業経営ド素人の役員陣が逆に狙われ、結局は外部勢力から所謂“箱”扱いされるようになってしまった典型的パターンなのは間違いないだろう。

業界からまた一つ老舗が消えるのは実に寂しい限りである。


アバクロ上陸

さて、今週なんといっても話題になったのはあの「アバクロ」が日本初上陸したことであろうか。今日も前を通り掛ったが、宛ら早めに開店したクラブのようであった。

この「アバクロ」ことアバクロンビー&フィッチについては当欄で10月にも「何れが黒船か?」のタイトルで既に一寸触れた経緯があったが、アジア初出店の日本で選んだ地は激戦区の銀座。しかも本格的にファストファッション熱を盛り上げることとなった、あのH&Mの至近距離でのオープンである。

此処といえばディーゼルなんぞの対で一頃はそのプレスでもストア・モデルから従業員の扱いについても人種問題を提議させるような話が持ち上がった時期もあったものだが、先週末にあったストア・モデルのお披露目ではさすがにロケーションを意識してかアジアやハーフやクォーターまで混合であった模様。

さて同じカテゴリーのアメリカ勢としては、今年の春に同様の激戦区原宿に進出した「FOREVER21」があるが、どう見てもこの「21」どころかその倍も生きてきたアラフォー(失礼!)と見受けられる方々までも彼女達に交じって買い物を夢中にさせているが、はてアバクロもそんな現象なるや否や。そうそう、近所ではこうした新興勢進出の対で松坂屋に入っていた「グッチ」がもうすぐ撤退する運びだが、この後には上記の「FOREVER21」が入るとかという話になっている。

また一つ銀座の風景が変る。。。


流行る?モラトリアム

本日の日経平均は小動きながらも3営業日ぶりの反発、そんな中でも一際目立ったのは三井住友FGの寄付早々のストップ高を始めとして、三菱UFJや他を引き離して東証全体の出来高トップとなったみずほFGなどメガバンク群の急騰であろうか。

メガバンクといえばこの夏場以降は、資本規制強化の流れからの大型ファイナンス懸念でなんともモタついた動きを強いられてきたものだが、こんな急動意の背景には本日の日経紙一面に載っていた通り、日米欧の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、大手銀行を対象とする新自己資本規制の導入を実質的に延期することで大筋合意した旨の報道の影響が大きいだろうか。

同措置に関しては金融庁の慎重コメントもあって不透明感漂うものの結局のところ導入するのには変わり無く、マーケットがこのあたりを見据えるかっこうで選別色が強くなる可能性も残るだろうが、モラトリアムものでは東証も今週には上場廃止基準の緩和措置を来年12月末まで一年間延長すると発表している。

この上場廃止基準緩和については昨年も当欄で触れた事があったが、何かこの延命措置とも取れるモラトリアムも昨今の金融危機の規模を考慮すれば致し方ないとも思うものの、こう数を重ねて慢性化するようになるとゴーングコンサーン注記等も然程警戒されなくなるのではという別な懸念も出てきてしまうのは否めないところ。


中小の悲哀と似非アナリスト

前々からこの手は云われていた事であったが、昨日金融庁は証券業界中堅のコスモ証券に対して、組織的に手数料稼ぎの為に不適切な勧誘で投信の回転売買を繰り返したとして金商法違反で業務改善命令を出している。

営業本部長の旗振りの下、営業員ごとに日々の販売残高や手数料収入の高い目標を設定、異なる顧客にブル型とベア型をそれぞれプッシュし頻繁な乗り換えを組織的に繰り返していた。コトの内容はザッとこんな感じだが、一昔前だったらまったく通常の或る日の一光景にすぎなかったものが随分とマトモになったなと改めて時代を感じる。

証券や商品先物業界においてもこんな営業本部長のような商いで昇格してきた一部の輩が、今では借りてきたような真面目ヅラでアナリスト等と名乗って随所でコメントなんぞを載せたりするようになった今日でも、同時にこうした化石のような営業形態が未だに業界では横行しているというのも事実で、こんな営業が無くなる日ははたして来るのだろうか?

そんな背景には昨今の市場低迷で売上確保が難しくなった部分があるとの指摘も一部にあるが、大手であれば先月も当欄で書いたように、それこそこんな中堅証券一年分の稼ぎを一発で弾き出せるプライマリービジネスでガッツリ稼ぐという手段があるが、それにとても食い込めず東証の上場くらいしか先行きの希望も無い一部企業のなんとも悲哀を感じるこのケースはいろいろと考えさせられる。