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相場ポスト

ここ直近のギリシャ財政危機を受けて株式と歩調を合せ急落していた資源国通貨が、EU等の緊急措置打ち出しからのリスク回避姿勢の緩みから反発している旨が昨日の日経紙に載っていた。

さて、この資源高が追い風となっていたのはこの手の通貨だけでなく、先に大手商社が発表した2011年3月期の連結純利益予想の合計は、10年3月期の約1.4倍に拡大する見通しとなっていた。新興国などの需要増を背景にして、果たして権益を持つ物の価格上昇を享受する格好になったか。

商社といえば以前にもコメントしたように10年3月期は金融危機の影響に加えオマケにJALの優先株の処理やらが業績を直撃していたが、毎期の事ながら各資源価格に左右されてボラも其れなりに激しい。資源投資で大きくリスクを取った結果のリターンといえるうちはいいが政治色も強い対象資源への依存度も高いだけに落とし穴もある。

そういえばちょうど一年前の当欄5/12付けでも商社株について触れていたが当時、「〜今後は価格乱高下で業績が変動しないよう資源から非資源へと軸足を移すとの声もある〜」といった部分に各社ともどれだけ踏み込んでいるだろう?まあ、証券株同様に相場依存度が高いものはそれなりの利用法もあるが、このポストは各社の投資分散状況も注視しておきたいところ。



膨れ続ける株式数

本日は、みずほFGが普通株による約一兆円規模の増資実施に向けて最終調整に入っている旨が各大手紙等によって報道されている。月内にも方針発表との事であるが昨年7月の5,000億円以上の公募増資に続いてこれで二度目となる。

業界的に資産圧縮競争が避けられない状況下で規制対応もあり更なる資本増強の観点から、対応遅れが指摘されていたこのみずほFGを巡ってはいろいろと思惑も飛び交ったが、一時は新型の割当増資である「ライツ・イシュー」を検討しているとの一部報道もあった。なるほどこの手法なら今迄いわれてきた希薄化からの株主損失緩和にもなり企業も資金調達の幅が広がる可能性もあったが、この導入観測がいわれた直後に否定報道があった通り結局通常のファイナンスとなったか。

しかし、上場企業の発行済み株式数が昨年末時点で前年同期比で9%増の約4千億株に達し、増加率は34年ぶりの高さとなった報道を以前に大手紙で見たが、個別で目立ったのは昨年に公募増資と株式分割を実施したこのみずほFGで、その発行済み株式数は実に153億株へ急増している。

それがこの増資によって更に膨れ上がり普通株が軽く200億株を超えることになるわけだからこれはもの凄い。折しも昨日は新生銀行が黒字から大幅赤字への下方修正を発表、メガバンクでは三井FGが発行枠拡大などまたこうした機運も台頭、業界的に織り込み済みであったともいわれるこの手がまた蒸し返されてしまうかどうか注意が必要だろう。


アバター取引?

さて、先週末に掛けてはギリシャ問題から世界的な株安の連鎖が起きたが、中でもハイライトとしてはやはり6日のNYダウがわずか20分そこそこの間に600ドル超の急落を演じた異常な値動きであっただろうか。

確かに個別でもその発端と指摘されているP&Gの40%安など異常現象で、そのNYダウ日中足からどう見ても誤発注だろうと日本のジェイコム騒動の時よろしく犯人探しから某銀の名も挙がったりしていたが、ショートが増幅されたのは自動取引システムがその一因ともみられている。

周知の通り先進国では今やアルゴリズム取引等この手の取引は外せないものとなっており、機関投資家誘致やその注文量増大から取引所や証券会社も潤うと真に好都合であるが、遠隔操作用の肉体を持つアバターの如く人間の指示で執行が既にコンピューターに取って代わっているところが怖い一面でもある。

さて当欄でも年明け早々に東証が「アローヘッド」を稼動した事を取り上げたが、この東証も早期の黒転を視野にまさに今後の期待事項としてこのボリュームキープ系のアルゴリズム取引からの売買高倍増計画がある。今回の件でナスダックOMXグループは異常変動した取引無効を発表しているが、ジェイコム騒動から時は過ぎこの辺も含めた各種対応が高速システムを擁する取引所には自ずと求められ、インフラの進化と共に規制関係も出て来ようがその辺の兼ね合いも含めどう方向性を見出してゆくのか明確にしてゆく必要がある。


連休分散化の功罪

さて、過ぎてみればあっという間に終ってしまうゴールデンウィークであるが、今年は5連休が入る日並びのよさから各地、各国への人出も一段と多かった模様である。

ところでこのGW、周知の通り先に政府からは需要の平準化を通じ混雑緩和などから観光など産業生産向上を狙う意味で、日本を5つのブロックに分け春秋・週末を絡めてこの集中している休みを順番に連休にする案を示し、早ければ来年か再来年にもスタートさせる旨が出されている。

なるほどこれであれば観光産業などにとっては生産性向上や雇用安定化、また旅行コストの低減など其れなりに効果がありそうだが、こと業界の事を考えると取引所などどうだろう?まさか東西で順番に休みというワケにはいかないだろうし、これに則する証券会社や取引員なども推して知るべし。これに限らず他企業でもかえってGWを奪われてしまう事例も続出するかと。

そんなワケでどうだろう、この手は欧州一部では既に施行されているがもともとゆったりとバカンスを満喫する文化を持たない?日本で上手くいくだろうか。それに名前だけ残し休日にならなくなる祝日というのもシックリこないし、まだまだスンナリ事が運ぶとは考え辛いような気もする。


8/2をもって商品取引受託業務を岡安商事に吸収分割

アサヒトラストは、市場流動性低下、経営環境の変化での2期連続の営業赤字などから、商品取引受託業務を岡安商事に吸収分割、ディーリング事業をオカヤスファンドマネージメントに事業譲渡することを決議し、それぞれ契約を締結。

▼吸収分割及び事業譲渡に関するお知らせ=アサヒトラスト(PDF)
▼株式会社アサヒトラスト


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契約者給付金

さて、本日は「第一生命保険」が今月中旬での株主数が約137万1千人に達したと発表していたが、今月のビッグイベントといえばやはり相互会社の看板を外したこの第一生命保険の上場だっただろうか。上場前のグレー・マーケットでも既に公募価格を上回っていた事もあってか、注目の初値は公募価格の14万円に対して16万円とまずまずの滑り出しであったが、それにしてもこの値で計算した時価総額は1兆6千億円となり、売買代金にしてもさすが凄いものが弾き出されている。

このマンモス規模だけにさかのぼっても張り合えるのは90年代のドコモか80年代のNTTくらいしか見当たらないが、株主数は軽くこれらを上回り勿論国内最多。ところでこのNTTといえばあの抽選結果に沸いた当時を思い出すと、証券界がかける期待も想像に難くはないだろう。まあ、証券界といっても目先オイシイのは幹事の役得でやはりガリバー野村、また割当といってもNTTのような欲しい向きの応募ではないため株式投資の道へ入るのは如何ほどか?

むろん証券界に限らず数百万人の株主には、前政権時代のあの2兆円規模の定額給付金に迫るカネが付与されるわけで、これらが財政を傷めない景気対策?とばかりにGDPの押し上げ効果まで試算されるなど各方面の期待も大きいものとなっている。

しかし景気対策効果にしてもこの情勢下、上記の如く投資に回すよりサクサク現金化し貯蓄に回ると冷めた意見も一方で在る。そもそも同社の株式化自体が先に「再編途上」の項で書いたように内需縮小で収益の成長が楽観視できない事からの戦略転換の意味合いも濃い。他の大手勢は静観の構えも、こうした機動的な資金調達から出て来る新たな戦略に対抗手段を打ってくるのかどうかこの業界も一つのケースとして注目される。


異常気象と商機

本日は天気もよく非常に暖かい一日であったが、思えば今月の所謂「三寒四温」はとにかく極端であったなと。宮崎では4月の観測史上1位タイの低い気温を記録したかと思えば、関東地方でも都心では41年ぶりの積雪となり、桜に雪景色というなんとも風流?な光景が見られた。

そういえば馴染みのクリーニング店へ行っても今年は冬物の持ち込みが極端に減少し保管依頼も今のところ昨年の半分以下との話しであったが、先週末の日経夕刊でも一面はこれらの影響による野菜高騰が載っていた。他にも相場モノではこの時期灯油のスポット相場も4月に入ってからガソリンとほぼ同鞘に並ぶ場面が出現するなどの異常事態も見られた。

昨年の夏には冷夏の影響で各種の仕入れ目論みが大きく狂った経緯があったが、今回も行事の中止やら売れ線の変更やらで各所の苦労は想像に難くないところ。季節感がなくなってくる影響は計り知れないが、はてこれらの対策としてのヘッジを考える向きが如何ほど居ようか。

TOCOMでは石油製品先物が上場しているが、本来であればこんな時にこそもう既に東穀取が取引休止にしてしまった野菜先物など大賑わいして然るべきなのだが、まあしかしこれも放置されたままなんとも不発に終ってしまったのは残念。ただ、行く先天候デリバティブの必要性を考えればマーケットは大きく、商品取引所や損害保険会社などにとって商機なのはいうまでもないだろう。


ブラックボックス金融商品

さて、今週お騒がせだった話題はやはりSECによるG・Sの証券詐欺疑いの追訴であろうか。これのお陰で、株式から為替、そして商品までリスクマネーは一時冷や水を浴びせられ、マネーは国債に避難し多くが右往左往と振り回される展開となった。

この話、かなり以前から彼方此方で喧伝され噂にはなっていたがこの期に再燃するとは政策的なものも感じないわけではないが、問題の商品はサブプライムローンに絡むCDO、所謂合成債務担保証券モノで「アバカス」なるもの。この組成に絡んだのが昨年に当欄でも触れたジョン・ポールソン氏だが、問題は販売した同商品のショートやらCDSやらで利益を上げた疑いで証券詐欺を指摘されているもの。

ポールソン氏といえば鉱山会社と金関連デリバティブファンドも立ち上げコモディティー市場においてもその名は有名だが、商品市場も多少動揺するのだろうか?まあそれは兎も角、こうなると他の金融商品群も痛くもない腹を探られ、またこの結果如何によっては他にCDOを組成している金融機関も影響を受けるのは必至か。

しかしこの一連の報道でボンヤリ思い出されたのが一昔前に流行ったエクスチェンジャブル・ボンドだろうか。所謂EB債だが、高利回りを武器にかつては証券界のヒット商品になったが、満期日のインチキ株価操作やら仕切りモノやらの横行がとにかく酷かった。大体において自分がオプションの売り手に回っているのを認識している向きが購入者の如何ほど居たのであろうか? 

何処の国でも一寸捻ってある甘い香りが漂う金融商品は、プロでも個人でもその対にある存在の性質を先ず確認するのは必須ともいえる。


次世代モノ覇権争い

本日の日経紙商品面では、「太陽電池、価格競争が過熱」として、数年前まで独壇場であった国内企業に、中国と台湾に続いて韓国勢が本格攻勢をかけ始めた旨など取り上げられていた。

太陽電池といえば、昨年は昭和シェルが中期計画において太陽電池事業に積極投資し、利益の半分を太陽電池で稼ぐ計画を打ち出したのが記憶に新しいところ。確か日立系の薄型テレビのパネル工場を買収し転用との事であったと思うが、この関連ではパナソニックも所有するプラズマ・ディスプレー・パネル工場の敷地内に三洋電機の太陽電池工場を建設する検討を進めている事が本日明らかになっている。

斯様に昭和シェルは国内の石油需要が減少し需給ギャップが深刻な状況から、またパナソニックなどはデジタル家電の収益低下から、有望市場へ活路を見出していると思われるが、これらに限らず大手各社始め多くの企業がシェア確立にしのぎを削っている。

次世代クリーンエネルギーというのはテーマが大きいだけに、株式市場でもバッテリー関連銘柄など激しい攻防が繰り広げられてきた経緯があったが、上記の通り独壇場の分野にアジア諸外国の追い上げがキツくなっている様は上記の薄型テレビでも見られた現象。そんな意味でも今後の展開が興味深いところ。


通称パンダの先物取引開始

昨日も触れたようにG・Sショックの影響で昨日はアジア市場も荒れたが、中でも下げが顕著だったのが中国で本土市場では上海総合指数が急落、CSI300指数なども然りで09年8月末以来、最大の下げを記録している。

ところで、中国金融先物取引ではこのCSI300指数を原資産としての先物取引が先週末から始まっている。ちなみに基準値は3399に設定していたが、果たして初日は全4限月が上昇してスタート、出来高も予想以上のものとなっていた。

こちらは当局の規制もあって当面の参加者は個人投資家とはなっているが、将来的にはこうしたデリバティブの登場は投資信託やらETFのアレンジを生み出し、金融商品の幅を大きく広げることから投資環境の変化には大きく寄与することになろう。

デリバティブ成熟市場の国々で規制機運が出ているのとは逆に、中国では前にも触れたナスダックのようなベンチャー物の「創業板」がスタート、続いてマル信の解禁、そして今回の先物取引解禁と次々に標準化が進むが、これらに則して生み出されるニッチビジネスもかつての日本の軌跡を辿るのであろうか?市場を考えればリスクと引き換えに応分に儲かりそうなネタがゴロゴロしている。


CommodityからCurrency寄りへ

さて、降って湧いたようなG・S追訴の話題で本日は先駆した商品群が急落の憂き目に遭っているものの、週末の日経紙では、「マネー膨張 金・原油に流入」として金融危機後の底値の2倍以上に高騰している模様を取り上げていた。

この金、今迄も要所要所のフシ目を其れなりの材料で突破してきたが、長年そんな材料の一つになって来た例えば教科書通りのドル安とか株安だから金が上がるという構図が昨今は崩れてきている。ドルばかりでなくユーロ建の金価格も最高値を更新し、金利上昇下でも強基調となっている様を景気回復期待感が背景になっていると指摘する大手紙もあったがさてどうだろう?

この解釈については上記のように株価上昇も鑑みて景気回復期待からの上昇という見方と、では何故金利がつかない金からマネーが離れないのかというお決まりの矛盾論が出て来るが、総じて通貨不信、ソブリンリスクの無い物への選好集中ともいえようか。もっと狭義でも新高値の原資産に対し株式市場では別子など未だに1月の年初来高値を抜け切れないでいる様も同様の現象だろうか。

益々コモディティーからカレンシーへの様相が濃くなってきているが、当欄では今から5年ほど前に各国通貨建で上昇している金を「今の時代、発行元がないモノがキーとなって来るか」と書いている。あれから数年経ち、正に今が当時のコメントにより嵌っているような気もする。