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摘んだのは責準だけか?

さて、週末の読売紙で見掛けたのが、帝国データバンクが行った調査による今年に国内証券取引所で上場廃止になる企業数が、08年実績を大幅に上回る163社に達する見通しとなった旨の記事。

景気低迷に伴う経営破綻もそう簡単には落ち着きそうもないが、まあ上場組でなくとも先月あたりからその破綻形態も名の通っている企業含めて、再建型というよりも破産を選択するパターンがやたらと目に付くようになったのがなんとも寒い。

この時期こうしたトコロは何処も足の早いヒモ付き資金の対応に追われる向きが多いが、そういえば業界からでは既報の通りタイコム証券が責準のツマミを繰り返していたという事で日商協から2,500万円の過怠金の制裁処分を受けている。ココは昨年には自己資本規制比率の算出不備だのと他の過怠金組とは異質の内容で大証からも過怠金を課されていた経緯があったが、これで証券業、商品先物業双方から過怠金を課されるハメになったという杜撰さだ。

まあ、個別ではなかなか面白い取引員であったものの、そんなわけでもうじきに上記パターンよろしく破産という選択と聞く。しかし同社は見たところ、創業家が順次手を引いてからというもの企業経営ド素人の役員陣が逆に狙われ、結局は外部勢力から所謂“箱”扱いされるようになってしまった典型的パターンなのは間違いないだろう。

業界からまた一つ老舗が消えるのは実に寂しい限りである。


アバクロ上陸

さて、今週なんといっても話題になったのはあの「アバクロ」が日本初上陸したことであろうか。今日も前を通り掛ったが、宛ら早めに開店したクラブのようであった。

この「アバクロ」ことアバクロンビー&フィッチについては当欄で10月にも「何れが黒船か?」のタイトルで既に一寸触れた経緯があったが、アジア初出店の日本で選んだ地は激戦区の銀座。しかも本格的にファストファッション熱を盛り上げることとなった、あのH&Mの至近距離でのオープンである。

此処といえばディーゼルなんぞの対で一頃はそのプレスでもストア・モデルから従業員の扱いについても人種問題を提議させるような話が持ち上がった時期もあったものだが、先週末にあったストア・モデルのお披露目ではさすがにロケーションを意識してかアジアやハーフやクォーターまで混合であった模様。

さて同じカテゴリーのアメリカ勢としては、今年の春に同様の激戦区原宿に進出した「FOREVER21」があるが、どう見てもこの「21」どころかその倍も生きてきたアラフォー(失礼!)と見受けられる方々までも彼女達に交じって買い物を夢中にさせているが、はてアバクロもそんな現象なるや否や。そうそう、近所ではこうした新興勢進出の対で松坂屋に入っていた「グッチ」がもうすぐ撤退する運びだが、この後には上記の「FOREVER21」が入るとかという話になっている。

また一つ銀座の風景が変る。。。


流行る?モラトリアム

本日の日経平均は小動きながらも3営業日ぶりの反発、そんな中でも一際目立ったのは三井住友FGの寄付早々のストップ高を始めとして、三菱UFJや他を引き離して東証全体の出来高トップとなったみずほFGなどメガバンク群の急騰であろうか。

メガバンクといえばこの夏場以降は、資本規制強化の流れからの大型ファイナンス懸念でなんともモタついた動きを強いられてきたものだが、こんな急動意の背景には本日の日経紙一面に載っていた通り、日米欧の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、大手銀行を対象とする新自己資本規制の導入を実質的に延期することで大筋合意した旨の報道の影響が大きいだろうか。

同措置に関しては金融庁の慎重コメントもあって不透明感漂うものの結局のところ導入するのには変わり無く、マーケットがこのあたりを見据えるかっこうで選別色が強くなる可能性も残るだろうが、モラトリアムものでは東証も今週には上場廃止基準の緩和措置を来年12月末まで一年間延長すると発表している。

この上場廃止基準緩和については昨年も当欄で触れた事があったが、何かこの延命措置とも取れるモラトリアムも昨今の金融危機の規模を考慮すれば致し方ないとも思うものの、こう数を重ねて慢性化するようになるとゴーングコンサーン注記等も然程警戒されなくなるのではという別な懸念も出てきてしまうのは否めないところ。


中小の悲哀と似非アナリスト

前々からこの手は云われていた事であったが、昨日金融庁は証券業界中堅のコスモ証券に対して、組織的に手数料稼ぎの為に不適切な勧誘で投信の回転売買を繰り返したとして金商法違反で業務改善命令を出している。

営業本部長の旗振りの下、営業員ごとに日々の販売残高や手数料収入の高い目標を設定、異なる顧客にブル型とベア型をそれぞれプッシュし頻繁な乗り換えを組織的に繰り返していた。コトの内容はザッとこんな感じだが、一昔前だったらまったく通常の或る日の一光景にすぎなかったものが随分とマトモになったなと改めて時代を感じる。

証券や商品先物業界においてもこんな営業本部長のような商いで昇格してきた一部の輩が、今では借りてきたような真面目ヅラでアナリスト等と名乗って随所でコメントなんぞを載せたりするようになった今日でも、同時にこうした化石のような営業形態が未だに業界では横行しているというのも事実で、こんな営業が無くなる日ははたして来るのだろうか?

そんな背景には昨今の市場低迷で売上確保が難しくなった部分があるとの指摘も一部にあるが、大手であれば先月も当欄で書いたように、それこそこんな中堅証券一年分の稼ぎを一発で弾き出せるプライマリービジネスでガッツリ稼ぐという手段があるが、それにとても食い込めず東証の上場くらいしか先行きの希望も無い一部企業のなんとも悲哀を感じるこのケースはいろいろと考えさせられる。


粉飾国家の芽?

本日は投資家のバイブル?会社四季報や日経会社情報の新春号発売日であったが、小反落となった本日の日経平均もその中身ではこれらに反応した個別もあっただろうか。

経済激動の昨今こうした企業データでも前号予測などと見比べるとトンでもなくギャップが出ているものも散見されるが、これが内閣府の発表モノという事となると一寸話が違う。先週の出来事というか発表で酷かったのは、この内閣府が発表した7-9のGDP改定値が11月公表の速報値に比べて年率で3.5ポイントもの下方修正になったという点であろうか。

先の「政府のデフレ宣言」を裏付ける結果と片付けてしまうのもいいが、何処ぞの粉飾企業のディスクロよろしく此処まで修正の乖離が大きくなってくると、これらもうかうか信用出来なくなってくるのは自然だろう。GDPなんぞはそれこそベタだが、これから各種統計やらが勝手に手直し出来る算出方法でこんなにギャップが出るようになったら最初から穿った見方で別な読みで数値を見るようになってしまうし、そうなったらこれはもう本来の用ではないだろう。

今月に入ってから株式市場はスルスルと約1,000円ほどの戻りを入れたものの、日曜の日経紙には世界的な株高基調の中で、総選挙のあった8月末以降の株価騰落率では主要20ヶ国・地域で日本株は唯一のマイナスとなり、出遅れが鮮明である旨が載っていた。相場も猜疑と信頼の中で揺れてくるようになるとこれまたややこしくなるか。


無知な机上論の危うさ

さて、本日の日経紙二面には小さく「嫌われ者」で意気投合?として、民主党の小沢幹事長と指揮者の小澤征爾氏の両者が、事業仕分けにおいて文化芸術関連予算が大幅縮減と判定された事に対しての対談が為されていたことが載っていた。

この辺は週初にも文化予算を大幅縮減するとの判定に対して、日本オーケストラ連盟など音楽関連5団体が緊急アピールの記者会見を開き民主党へ要望書を提出するなどの行動があったばかり。これに限らず物理モノから酒類関係まで何処も逆風に晒され怒りあらわの様相だが、中でも身近な分野でどうかなと思ったのは漢方薬を公的医療保険の適用外とする方向性が示された問題だろうか。

この報で真っ先に心中穏やかでないのはそれこそ大手のツムラなどか。同社といえば昔、カラ売り筋が戦局を有利に持ってゆく為にこれと同じ話を彼方此方流布した経緯があったのを思い出すが、まさかそれが今蘇るとは想像もしなかった。しかしそれ以前に我々消費者にとっても今流行りのインフルエンザから婦人科・小児科までその範囲は幅広く投与されているだけに、なんとも現場を知らない机上の空論だけで進められた構成のお粗末さは否めない。

漢方薬が保険適用外となれば、保険診療と保険外診療を併用する混合診療にあたり全額患者負担ということになるが、この混合診療とて現状は曖昧な一部解禁。以前当欄で「歯科医とコンパニオン」の項でも少し書いたが医療分野の技術革新は日進月歩、一刻も早い混合診療の解禁も願うところである。


インフル系投機

本日は所用で赤坂にて所謂ヌーヴェル・シノワ系を経営している知人のところへ久し振りに立ち寄ったのだが、相変わらずフレンチ懐石にも似た中華らしからぬ中華は綺麗で味もまた負けず劣らずであった。それは兎も角、シェフに聞いた話では、何でも中国では大蒜や唐辛子が新型インフルエンザ予防の効果があるとして投機の影響で大暴騰しているらしい。

投機と聞けば興味をそそられるものでちょっと探してみたが、確かに大手紙ではこの辺の事を謳っている記事を発見。材料としてはメジャーな穀物よろしく作付け面積の減少が背景になった模様だが、実際のところ直接的には前回の不動産バブルでも暗躍した炭鉱経営者や特定投機筋がまたも大量の資金を投入した投機の影響らしい。

まあ、商品だけに投機対象となるのも納得だが、ちなみに彼ら投機筋は買い占め用に倉庫を急造し、大蒜は前年同期日でなんと120倍以上、そしてその次に投機資金を投入したとされる唐辛子では前年同期日で約5倍になっているというから凄い。しかしインフルエンザならお国柄もあって八角あたりが真っ先に狙われそうなものだがこちらはどうなのだろう?

この中国では同様な投機筋の影響で先に非鉄金属やらも買占めがあったばかりで、この手のバブルでは遥か1600年代にあったチューリップなどは誰でも知っている程有名だが、何百年経っても基本的に行動様式は変わらない。過剰流動性とその性格がマッチするマーケットさえあれば何時の時代になろうが繰り返さ続けるパターンである。


日本初の二酸化炭素排出量取引

各所で既報の通り、京都議定書後の地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合うところの、「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」が昨日から18日まで約2週間の日程でコペンハーゲンにて開幕した

先に鳩山首相は、温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する旨の発言をして拍手を浴びていた光景は記憶に新しいが、議定書の延長案というシナリオも出る中、纏め様のないものの足並みを揃える障壁から米中に絡み別な枠組み案という線も出ている。そうした場合、上記の25%もまたあやふやになってくるが、まあこの辺も紆余曲折がありそうな感じだ。

さて、ちょうどそんな時期に昨日の日経紙夕刊で見掛けたのが、ドットコモディティが来週から国内初の一般投資家向けの二酸化炭素排出量取引を始めるという件。10月にも当欄ではこの排出量取引について東証とTOCOMが同市場設立を目指し来年春にも共同出資会社を設立する方針を固めた旨に触れたが、今回はそれらに先行して市場を開拓することになる。

しかしマザーが存在すればそれこそ幾らでも取引の幅が広がるCFDはまさに無限の可能性を秘めているともいえるが、何れ国内でも同市場が創設される折にはキャップ設定するや否や、仮に導入としてもその設定には公平性の観点から細心の注意が必要になるのはいうまでもない。先駆しているECXなどとのの絡みもありいろいろと注視しておくべき事項が山積みである。


2009年度「商品先物ネット取引データ調査・分析結果」を公開

品先物ネット取引サービスを提供する20社に対し11月9日〜11月20日の期間で実施した「商品先物ネット取引データアンケート」を集計し、分析した結果を本日12月8日に公開しました。総口座数・実働口座数・預り証拠金・月間売買高など各項目別に結果を公開しランキング表示を行っております。

▼商品先物ネット取引各社データ(2009年10月度)


【調査結果サマリー】
★預り規模は前年比14%減の403億円(公開16社では約393.7億円)
★口座数は前年比11%減の28,567口座(公開16社では27,717口座)
★売買高は業界全体の16%の91.7万枚に(公開16社では88.9万枚)


※売買高シェアについては、当方算出ミスがあったため、2009/12/22時点で過去分含めすべて修正致しました。申し訳ございませんでした


【調査分析結果全体数値】([]内は公開企業数値)

 1. 総口座数         28,567口座[27,717口座]
 2. 実働口座数A        12,144口座[11,644口座]
 3. 実働口座数B        9,019口座[8,634口座]
 4. 預り証拠金        403.74億円[393.74億円]
 5. 月間売買高        91.7万枚 [88.9万枚]
 6. 口座増加数        -3,550口座(11.1%減)
 7. 口座稼働率        42.5%
 8. 1口座あたり預り証拠金   141.3万円
 9. 1口座あたり月間売買高   75.5枚
 10.1担当者あたり預り証拠金  2億0811万円


月間売買高 対業界全体比較(2000〜2009年)

月間売買高 対業界全体比較(2000〜2009年)


【掲載項目】
[総合]

08年10月度ネット取引各社取引データ一覧、関連データ業界全体比較
[各種ランク]
総口座数、実働口座数、預り高、売買高、注文件数、口座増加数、口座稼働率、枚数/オーダー、1口座あたり預り・売買高、1担当者あたり預り・売買高、企業内シェア(預り)

▼商品先物ネット取引各社データ(2009年10月度)


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他人事ではないジェイコム事件

さて、直近でも「くりっく365」で起きた南アランド・円が僅か1分間そこそこで暴落してしまった事件をコメントした際にジェイコム事件などにも少し触れてみたが、そのちょうど4年前の今頃に起きたジェイコム事件の判決が先週末に東京地裁で言い渡された。

今でも当時のパニック状態になった市場の様子が鮮明に蘇るが、会員が取引所を訴える前代未聞のこの訴訟、結審まで3年掛かりその司法判断が注目されたが、果たして東証の重過失を一部認定し約107億円の賠償を命令する結果となった。今後控訴審まで持ち込まれるか否かは兎も角として、またも気になるのが当欄でも触れた事のある同所の上場計画であろう。

社長は早期上場計画に変更は無いとしているが、ディスクロされている09年3月決算は税引き後利益が36億円の赤字、今回のこの約107億円の引き当てをすれば余程の事が無い限り次期も赤字になる可能性は大。二期連続赤字で再三引き伸ばしてきた上場計画がまたも延期になるかこれを当て込んでいた関係者の心中も穏やかではないだろう。

さてそんな個別の上場計画は兎も角、今回の判決は先に当欄で書いた「在り得ない事も在り得る」に対して「故意にほとんど近い」と司法がメスを入れたサンプルケース。取引所がことシステム関係においては第三者からの意見に聞く耳を持たないという話しは今迄無数にあったが、今後上記の東京金融取引所や先週触れた商品取引所に取っても他人事ではなく、市場開設者としての責任という物を重く認識させる重要な一件になろうか。