48ページ目

コロナ禍2021

さて、日本漢字能力検定協会が2021年の世相を1字で表す「今年の漢字」は周知の通り「金」に決定している。今年で27回目となる今年の漢字だが、この「金」は過去の2016年のリオ五輪、2012年のロンドンオリンピック、そして2000年のシドニーオリンピックの時にも選出されておりこれで4度目となった。

コロナが出て来て以降世相を表すこの手のシリーズはどれもこれもコロナ禍絡みが占めていたが、一筋の光明へ期待を込めた感がこの金に見え隠れする気がしないでもない。光明といえばこの時期の風物詩でもある各所でのイルミネーションも、昨年は軒並み中止含みに追い込まれ文字通りクリスマスがサイレンナイトとなったが今年は昨年とは風景が異なる。

先にも書いたように今年はメジャーなところで表参道の欅ライトアップが2年ぶりに復活し、また目黒川沿いでも2年ぶりに目黒川みんなのイルミネーション2021が復活しおよそ22万個のLEDが輝く。丸の内から日比谷ミッドタウンにかけてもいわずもがなで煌びやかなイルミネーションが復活している。

また去年は新型コロナの影響で終夜運転を中止したが、今年は2年ぶりにJR東日本など大晦日から元旦にかけて山手線など首都圏九つの路線で終夜運転を行う。今年もほぼ緊急事態宣言下で終った1年であったがその過ごし方も変わってきた年でもあり、上記のように昨年と違って行事やイベントは中止という事ではなく何とか工夫して実施するという動きが始まっている。

コロナ禍も3年目に突入するが、来年こそほぼ自由に行動出来る明るい世になるよう願いを込めて今年はこれで筆を擱きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。


要のZ世代

さて、この師走に入ると来年ヒットするのは何かと各所での予想が喧しいが日経紙では今月アタマに2021年の日経MJヒット商品番付を発表している。東西でベストスリーとなる関脇から見てみると東はシン・エヴァンゲリオン劇場版に対して西のイカゲーム、大関は東の東京五輪・パラリンピックに対して西のサステナブル商品、そして横綱の東はZ世代、西は大谷翔平であった。

関脇のシン・エヴァンゲリオンは劇場版シリーズの4部作の完結編で興行収入が100億円超え、イカゲームも配信4週間で世界では1億4000万世帯が視聴と大ヒットだが元は日本の漫画から着想を得ている通りやはり日本エンタメのアイデアは秀逸、とはいえ世界規模のヒットを飛ばし続けているかという点では見劣り?するだけに快進撃を続ける韓国のエンタメ界から学ぶべき点も多いか。

西の大関サステナブル商品はいわずもがなで、来年4月施行の新法を前にその競争軸も価格や機能からサステナブルへ移行しておりこれがどれだけ消費者に受け入れられるかが焦点か。そしてそのサステナブルへの意識や関心が高い世代としても挙がっているのが東の横綱に選ばれたZ世代である。

まさにデジタルネーティブといえるZ世代だが、当欄でも取り上げたルーズソックスから更に各種のエモいモノまでこの番付含め今年の流行りモノはこのZ世代が関わっているモノが多く見受けられたのが印象的だ。Z世代が象徴しているような消費行動がこれから未来の日本の消費トレンドになっていく可能性もあるだけに引き続き注目されるところ。


縮図なおせち

さて、今年もまだ残暑厳しい頃から始まった各社のおせち料理商戦だが、今週で大手百貨店各社など御節料理の受付を終了するところが多い。もともとおせち市場はコロナ前から拡大傾向にあったが、今年も旅行や外食の自粛が続くなか昨年以上の勢いで予約が好調で大手百貨店では何所も前年比で大幅な増加を見せている。

今年の売れ筋はコロナ禍などで来店客の減った有名料亭が注力し手掛けた5万円以上の高価格帯商品だそうで、高島屋が扱った25万円超の京都吉兆の三段重など販売初日に売り切れたという。斯様に景気の良いのは料亭の和食にとどまらず、洋食でも今年は松屋がブルガリの手掛けるレストランと組んで40万円の商品を売り出している。

このブルガリおせちはトリュフにキャビア、50年間熟成させたバルサミコなどの高級食材を多用する内容だが、高級食材といえばローソンの100円おせちの今年の目玉はアワビという。企業努力でこの価格を実現出来るのが凄いところだが、この100円おせちも昨年230万個を売り上げるヒットとなっている。昨今のおせち商戦は根強いデフレマインドの中でアッパーミドル層の資金が高額商品に流れ込む縮図的なものを見せてくれる点もまた面白いところである。


異例の呼びかけ

さて、昨日の記者会見で岸田首相は「年末年始に牛乳をいつもより1杯多く飲んで頂く、料理に乳製品を活用頂くなど国民の皆様のご協力をお願いしたい。」などと異例の呼びかけを行っている。首相が特定の農産物の消費を呼びかけるのは異例な事だが、背景にはコロナ禍で消費が落ち込んでいるところに学校給食が休みになる事なども重なり特に今年の年末年始はかつてない規模で余ってしまう事があるようだ。

今から6年くらい前だったかバターが極度な品薄に陥り業務用価格が29年ぶりの高値を記録、株式市場でも六甲バターが上場来高値を更新するなどしたことが記憶に新しいが、これを受け官民挙げて生乳生産増産対策をやってきた効果がここ数年表れていた土壌もある。何の因果かタイミングが悪いというか何れにせよこれらが裏目に出た格好だ。

これを受け対処療法的に明治が今週から牛乳消費を喚起するプロジェクトを開始したり、ローソンでも年末年始の2日間はホットミルクを半額で販売したりと協力体制を敷くが、生乳の余剰問題はこれが初めてではなくつい昨年の5月頃も学校の休校や飲食店営業縮小を受け過度な余剰に陥った経緯がある。それらを鑑みこの1年何が出来たのかというところだが、生産側も飼料価格の高騰が加わる二重苦の状況だけに政府としてもセーフティーネット的なものが喫緊の課題か。


それぞれの決着

さて、先週は最高裁が経営統合を認める司法判断を下した事で関西スーパーマーケットがエイチ・ツー・オー・リテイリング傘下食品スーパーのイズミヤ、阪急オアシスと経営統合し、またSBIホールディングスもTOBの成立に伴い新生銀行を連結子会社にする事となり共に情勢変化の度に株価が乱高下した両者のTOB合戦は幕を閉じた。

はれて当初の予定通りの構図となった新生銀行のTOB劇だが、9月にこれについて触れた時に書いたようにココは公的資金の返済が最大の焦点となってくる。バトンタッチとなった今後が注目されるが、肝心の株価は引けでTOB価格を上回ったのは先週の2日間のみで本日の引けも1800円と心許ないだけに今後の浮揚策に関心が向かうところ。

一方で当初の予定通りにはいかなかったオーケー、今後は保有する関西スーパーマーケットの株を全株売却と報じられているものの会社法に則り買い取り請求権行使という流れになるか。こちらの本日の終値は1034円とTOBを囃した9月の高値からはや半値以下に沈んでいるが、オーケー側の想定としてTOB提示価格が目安になって来る筈だがこちらの業界も再編機運は燻り続けそうだ。


駆け込みIPO?

本日はマザーズに3銘柄が新規上場となったが、JDSCとHYUGA PRIMARY CAREの両社がストップ高で引けた一方でグローバルセキュリティエキスパートはストップ安水準で引けるなど明暗分かれた。これらを始め今週は1週間で24社が上場となる異例の上場ラッシュとなり、特に24日(金)は実に1日で7社が同時上場となるなどそのピークを迎える。

これだけのラッシュとなると資金分散の関係等でその影響がどうしても気になるところだが、既に節目の1000を下回っていたマザーズ指数が本日の続落で2020年5月28日以来およそ1年7か月ぶりの安値に沈む中で、先週上場した3社の株価も上場後はどれも苦戦を強いられており外部環境も各国中銀の緩和姿勢後退などから不安が残る。

斯様な上場ラッシュの背景としては先ず去年のコロナ禍で予定していた向きの上場延期した分が上乗せとなっている事や、来年に控える東証の市場再編が影響しているという指摘も一部にある。また投資しているVC(ベンチャーキャピタル)が早期のイグジットを求める傾向にあることを指摘する向きもある。

これらの事が相俟って斯様な駆け込み?上場ラッシュとなった部分もあり、その影響からどうしても小粒感が拭えないモノも出て来る。先に上場した米リビアン・オートモーティブは上場した途端にその時価総額は10兆円超えと同社1社で東証マザーズ全体の価値にほぼ匹敵する規模という一コマを見ても日米の違いが浮き彫りになるが、以前に旧態依然としている日本企業の目利き力の課題が改めて問われると書いた事がある通り応分の資金の出し手が望まれるところ。


商品先物ネット取引取扱い10社最新ランキングを更新

11月29日(月)から12月10日(金)の期間で実施した「商品先物ネット取引データ&サービス内容アンケート調査」の結果を元に、各社のネット取引最新サービス内容を更新、ポイント評価基準に従い全10社のレーティング&ランキングを更新しました。

▼商品先物ネット取引総合レーティング・ランキング(12/19現在)



尚、これまで通り各社のサービス内容・レーティングについては随時更新を行い、同時にランキングにも反映していきます。

ぜひ各社の最新サービス内容をチェックしてみてください。


エシカル気運

さて、今週アタマの日経紙夕刊には「エシカルな消費文化に商機」と題し、世界的なファッションブランドでリアルファーの使用を避ける動きが本格化、先行的にアニマルフリーを達成して新たな消費文化を創りたいという思惑がある旨が載っていたが、仏の主要ファッション誌ELLEも今月はじめに誌面とウェブサイトから毛皮を使用した製品を排除する方針を明らかにしている。

同頁では服飾以外でも高級車等でレザー(本革)離れが加速している旨も書いてあったが、レザーといえば伊藤忠商事が手掛けた廃棄服から創る循環型ポリエステル新素材から創られた日本のランドセルも先月ロンドンのポップアップストアでお披露目されており、こうしたエコなランドセルもエシカル消費の一環といえよう。

欧州でのお披露目をとなったのは特にこうした動きが欧州で先行していたからに他ならないワケだが、日本でも松屋がこの夏に人工ダイヤを使ったジュエリーの自社ブランドを立ち上げている。天然ダイヤの採掘は土壌が弱るなど環境問題に影響があり、ウイグルよろしく労働環境に問題のある場所が多くあるなど倫理的な問題も指摘されているだけにこれもエシカルな流れと言える。

とはいえグローバル経済に依存している現況下で何所まで完璧にエシカルが浸透するかは未知数だろう。日経紙夕刊の「エシカルな消費文化に商機」の題名もエシカルがモノを売る為の推進力とも取れなくもないが、いずれにせよ環境意識が高い顧客が増加しつつあるのは否めないだけに今や企業も使命感を持って環境や人権に配慮した消費に対応する事が求められるのは時代の流れでもあるか。


古くて新しい計画

ちょうど1カ月前の当欄ではGEとほぼ時を同じくして本体とグループで手掛ける主要事業を3分割しそれぞれが上場する方針を検討に入った東芝を取り上げたが、昨日の日経紙ビジネス面には「東芝、3分割へはや試練」と題し、この分割案の魅力を訴求する同社に対し市場の反応は冷ややかで大株主のアクティビストの一部からも反対声明が出ている旨が書かれていた。

ガリバー企業で初の事例とはいえ発表当時からただ分割宣言しただけでその具体策が見えないとの指摘もあったが、虎の子事業を手放して以降展開力を失った感は否めなく世間の目も衰退が続く3つの会社が出来るだけではと冷めた見方は根強く、従業員など他のステークホルダーも蚊帳の外に置かれた印象が拭えないのも否定できない。

ともあれ定時総会を前に株主の意向を確認する来年早々?にも行われる予定の臨時株主総会が一つの節目と見られるが、これまで株主総会の度に株主と対立を繰り返して来た同社だけにはたして魑魅魍魎?のアクティビストらにどれだけ訴求出来るか、反対多数なら計画は限りなく白紙に戻り経営の混迷は一段と深まるだけにこの辺が焦点となりそうだ。


企業の苦心

先週末に発表された11月の企業物価指数は前年同月比9.0%の上昇となったが、これは第二次オイルショック時の1980年12月以来、41年ぶりの上昇率を記録する事となった。いわずもがな背景には原油や原材料の高騰があるワケだが、一方で消費者物価指数は10月時点でわずか0.1%の上昇と企業物価との間には大きな開きが出ている。

同指数が発表になった先週末も伊藤ハムや日清食品が値上げの発表を行っていたが、こういった食品業界の他にも電気料金はもとより文具からインテリアまで幅広い企業が値上げ発表を行ったこの秋冬であったが、それでも上記の数字の開きや昨日の日銀短観の仕入れ価格と販売価格の差を見ても企業や生産者などまだまだ価格に十分な転嫁が出来ていない現状が浮き彫りになっている。

一方、米でも物価上昇が止まる気配は見えず同じく先週末に発表になった11月のCPIは前年同月比の上昇率が6.8%に達し、1982年6月以来、39年5ヵ月ぶりの歴史的な高水準となった。ただ、賃金上昇が進み需要の強さを背景に価格転嫁が進んでいる米と景気の回復ペースが遅く価格転嫁が遅々として進んでいない日本とではその違いが鮮明になっており、この流れが継続という事になると企業収益を圧迫しかねない点が危惧されるところだ。


ベンチャー投資活性化期待

先週の日経紙金融経済面に「米未公開株 個人に門戸」と題し、米フィンテック企業が一般の個人投資家でもブロックチェーンを活用したデジタル証券を売買する仕組みを可能にし未公開企業に投資する市場が拡大している旨の記事があったが、日本でも個人投資家が未公開株をオンラインで売買できる初の市場がちょうど先週に開設されている。

株式型クラウドファンディングを手掛ける日本クラウドキャピタルのファンディーノマーケットがそれで、個人投資家が何時でもネット上で売買注文が出来てIPOや買収以外にも投資リターンを得られる機会を作る事が可能となるが、未公開企業取引といえばかつてグリーンシート市場なるものがあったものの企業の利用が低迷し数年前に廃止となった経緯がある。

その後継制度として日本証券業協会が「株式コミュニティ制度」を始めたワケだが今回はこれを利用する形になり、同制度もこれまで取引が活発化していたとは言い難かっただけにこの開設で新たな流れが出来るか否か注目。リスクマネーの供給量が高まればベンチャー企業投資の活性化も促されるというもので、日本のベンチャー企業にとって斯様に様々な資金調達の手段が出て来たのは朗報だろうか。


2021年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月29日(月)〜12月10日(金)の期間で実施しました「2021年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果を掲載いたします。(12/10現在)

【アンケート回答企業一覧(返答順):7社】
フジトミ証券、岡地、フィリップ証券、北辰物産、コムテックス、楽天証券、日産証券

【アンケート未回答企業一覧:3社】
AIゴールド証券、岡安商事、サンワード貿易