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あれから28年

ちょうど28年前の1995年、最大震度7を観測する阪神淡路大震災が起き6400人以上が犠牲となるなど当時としては戦後最悪の被害が出た。新型コロナウイルスの影響などで直近の2年間は各所で中止となった追悼行事の類も、今年は大きな被害を受けた地域などで犠牲者を追悼する行事が行われた模様だ。

当時テレビなどでは信じられないような惨状が放映されていたのが蘇るが、株式市場も週明けからこれを織り込むようなかっこうで1000円以上暴落、余談だがこの急落がトリガーとなってあの女王陛下の銀行とも呼ばれていた英投資銀行のベアリングス銀行がデリバティブ取引で経営破綻をするに至ったのは業界では有名な話の一つだ。

ともあれこの震災は多くの教訓を残し全国で耐震化が進められるなど防災、減災への取り組みに大きな影響を与えた。3月には東日本大震災から12年目を迎えるが、今後は震災を経験していない世代が増えるなかこの記憶や教訓などどのように次に継承してゆくのかこの辺が課題となるか。


抑え込みの限界

さて、日銀は昨年末の政策決定会合で長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.5%程度に変更し金利上昇余地を広げるサプライズ政策を発表したが、先週末のマーケットではこの長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇、一時0.545%と日銀が上限とする0.5%程度を上回った。水準としては2015年6月以来、7年7か月ぶりの高水準となる。

国債といえば当欄では昨年の6月くらいから日銀VSヘッジファンドの対立構造を書き、ジョージ・ソロス氏が英イングランド銀行にポンド売りで挑んだ一件が思い出されるとしたが、連日の指値オペなどで昨年の購入額が6年ぶりに100兆円超えるほど大量の国債買いで日銀の防戦が続き長らく劣勢が続いた海外勢も漸く報われたという感じだ。

そもそも投機筋の挙っての参戦でイールドカーブが歪み企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼすとの理由も背景に年末の修正となったワケだが、なお足元では債権市場の歪みが解消されたとは言い難い。早々の上限突破でこれの撤廃も視野に再度の修正に動くか否かというところだが、前回の例もあるだけに明日からの金融政策決定会合が注目されるところだ。


経営者が占った2022年

さて先週は都内で経済3団体の新年合同祝賀会が開催され、各社のトップが今年の注目事やリスク等についてインタビューを受ける恒例の光景が見られたが、恒例といえば日経紙の「経営者が占う」シリーズを今年も振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想平均は32,850円でその時期は10~12月が多かったが、年間を通して3万円の大台を超えることは一度も無い厳しい結果となった。

一方で安値予想平均は27,175円でその時期は1~3月が多くを占めたが、ロシアによるウクライナ侵攻で時期こそ当たった格好だが安値は24,681.74円とこちらも大きく沈んだ。それに伴い個別の予想も昨年はボロボロで、有望銘柄3年連続でトップに挙げられたソニーは大発会翌日の15,700円台を高値に下げトレンドを形成し10月には9,200円台に沈むなど40%以上も下落の憂き目に遭った。

またこちらも毎年ベストスリーにランクインし2位に推されていた信越化学工業も、大発会の20,600円台を高値に一貫してダウントレンドを形成し、9月には14,000円台に沈むなどこちらも30%以上の下落を演じた。この銘柄以外でも需要増が期待された半導体セクターだったが、フタを開けてみれば景気悪化で世界的に半導体需要が弱まるとの懸念が株価を直撃した格好になった。

というワケで改めて今年の見通しでは日経平均の高値平均が31,200円でその時期は10~12月、安値平均は25,000円台でその時期は3月が最も多く、有望銘柄では判で押したように4年連続でトップに挙げられたのがソニーであった。いずれにせよ世界的なインフレやそれに伴う金融政策、米中摩擦に各所で顕著になっている分断、顕在化し得るまさかの地政学リスク等々今年も昨年以上に目が離せない身構える年になりそうだ。


総じてリバウンド

本日の日経紙商品面には「白金買い越し高水準」と題し、英国際調査機関のWPICから2023年の世界需給が3年ぶりに供給不足になると予想されている白金が中国需要の拡大観測も背景に米先物市場の買い越し幅が前週比24%増の3万503枚と2週連続で増加し、約1年9か月ぶりの高水準となった旨が出ていた。

確かに足元で約10ヵ月ぶりの高値を付けてきているが、これに限らず金も銀も総じて貴金属はここ切り返しの動きを見せている。世界的にリセッション入りの懸念が燻るなか安全資産へ資金が向かったか金も2022年5月以来、8か月ぶりの高値を付けてきている。そうした空気を感じ取り商魂逞しい業者などの金の買い取り強化という類の広告が最近また増えてきたようにも感じる。

また先週には米雇用統計の発表があったがその中で非農業部門の雇用者数は市場予想を上回る伸びを示したものの、民間平均時給の前月比上昇率は市場予想を下回っていた。人件費の影響を受け易いサービスのインフレが鎮静化に向かうとの期待が高まり米長期金利の頭打ち感が出てきたのも金利の付かない金にとっては追い風だろうか。明日に米消費者物価指数の発表を控えるが、結果次第でまたホットマネーが動く事になるかどうか注目だ。


循環実現のハードル

本日マックの前を通って思い出したが、日本マクドナルドは先週に原材料費や物流費の上昇、円安等の影響で16日から約8割の商品の店頭価格を10~150円値上げすると発表している。かつてコカ・コーラを買うと無料引換券が付いていた時期もあったハンバーガーなど110円だったものが去年3月に130円、去年9月には150円へ、そして今回の170円へとこの1年で約60%近く上がった事になる。

マックに限らずこの1月も食品・日用品等で値上がりは続く。今月出荷分から日清製粉ウェルナはパスタソース製品、パン粉製品等を約3~25%値上げ、はごろもフーズも同缶詰など計65品目を値上げ、ピエトロもドレッシングを最大で7.1%値上げし、王子ネピアなどはトイレットロールを20%以上値上げする。

帝国データバンク調査では2022年末までに決定した23年中の飲食料品における値上げ品目数は4月までの予定を含め累計7390品目に上るといい、ペースとしては去年の1.5倍以上で再値上げや3度目の値上げも目立つ。この1月単月の値上げは580品目というが、来月は22年以降で2番目に多い規模となる4000超の品目で値上げが控えるという。

生鮮食品を含む消費者物価の総合指数は年末で前年比3.8%の上昇で31年10ヵ月ぶりの高さになったというが、一方で同じ3.8%という数値ながら減少となったのは厚労省が今月に発表した22年11月の1人あたり実質賃金。この実質賃金は既に最低の水準に沈んでおり、これに政府側はインフレ率を超える賃上げを要請しているが一部大手以外の中小には縁遠い話で物価上昇の影響を賃上げで吸収する循環の実現は容易ではないか。


年始の風物詩

さて今週から2023年の初売り商戦が本格的に始まったが、3年ぶりに行動制限のない新年を迎え初日の都内大手百貨店では開店前から多くの客が並ぶ光景が見られ入店客数は前年比で約20%ほど増加した模様。また売り上げも公表されている主要店では松屋銀座の前年比50%増をはじめ新宿高島屋が同約40%増、新宿京王百貨店で同約20%増、西武池袋本店で約10%増といずれも伸びた模様。

何処も物価高のなかでお得感を謳ったセールや福袋が好調だった模様だが、この福袋もここ数年のコロナ禍での巣ごもりに焦点を合わせたモノから今年は円安や物価上昇に抵抗すべく食品など家計応援的なモノへ焦点を合わせたモノへ変化し必需品への意識が高まっていることが表れている。

ところで初売りと並ぶ年初の風物詩、マグロの初競りも豊洲市場で本日行われた。今年は大間で水揚げされた212キロのクロマグロが、去年の1688万円から2000万円近く高い3604万円で競り落とされた。2019年の過去最高額から見れば約3億円も安い値段とはいえ、昨年からは約2.1倍でコロナ禍以降では最高額の競り落としとなる。

共同で競り落としたのは一昨年、昨年に続いて3年連続で銀座おのでらと仲卸のやま幸であったが、お祭り視点としてはやはり好勝負を繰り広げてきたマグロ初セリの代名詞的存在であったすしざんまいの喜代村の戦線離脱は寂しい気もするのは否めないところ。これまたコロナ禍を機に変わってしまった光景の一つといえるか。


卯跳ねる

皆様、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

一昨年は経済活動の再開などを背景にマーケットは記録ずくめとなったが、昨年はそれに輪をかけて記録ずくめの相場展開となった。何といってもその背景となったのはインフレを抑制すべく世界的な利上げ機運で07年以来の高水準となった米金利の年間上昇幅は2.3%強と遡れる1954年以降で最大となった。

これによって株も売られ米株式はダウ工業株30種平均が3月末から8週連続で値下がり世界恐慌期以来およそ1世紀ぶりの連続下落を記録、S&P500種も下落日の割合が6割弱と1974年のオイルショック時と同水準となるなど、MSCI全世界株価指数は21年末比で2008年のリーマン・ショック以来の下落率となった。

また為替も一昨年は円が主要25通貨で最弱の値動きとなり115円台へ対ドルでは15年以来の下落を演じるなどその兆候を見せていたが、今年は一時151円台後半と約32年ぶりの安値へ沈み、その値幅は38円超と35年ぶりの大きさとなった。2008年のリーマンショックの時でも約25円幅であったから今年が如何に歴史的な大きさだったかがわかるというもの。

千里を走る虎の昨年は大発会が急反発のスタートとなり29000円の大台に乗せるものの年間では9%安と4年ぶりの下落となった。今年の干支は卯。相場格言では「卯跳ねる」と昨年に続き勢いは良さそうで、1950年以降6回の勝率は4勝2敗。本日の大発会は昨年とは逆に急反落スタートとなったが今年も波乱の展開が続くのか、はたまた卯年の先に控える辰巳天井に向かって尻上がりに跳ねる展開になるのかどうか注目したい。


まさかの2022年

早いもので今年もあと3日となったが、先に日本漢字能力検定協会が2022年の世相を1字で表す「今年の漢字」は周知の通り「戦」に決定している。ロシアによるウクライナ侵攻や、円安などによる物価高など身近な生活の中での戦い、またサッカーワールドカップの激戦、野球界での記録への挑(戦)を挙げている。この「戦」が選ばれるのは米同時多発テロが起きた2001年以来、2度目となる。

しかし今年はウクライナ問題で明け暮れた一年であったが、民主主義の価値観を共有する国が増えた今世紀においてもはや侵略戦争は起こらないであろうと思われているなかでのロシアの暴挙は兎にも角にもまさかのサプライズであった。この侵攻で世界が分断しているという状況が鮮明になったが、経済面でもロシアと交流してゆく事が自国ファーストを考えるとメリットがあるといったジレンマを抱えている国々があるところが新しい冷戦構図に見える。

力による一方的な現状変更は認めないという国際社会の根本的な原則に関る問題でもあり、これを許される事になるとこれはアジアや日本にとっても外交・経済の面で大きな影響を与える事になりそうだ。またエネルギー高に対してインフレ対応力の弱い日本はどう対応するかも課題だが、この年の瀬にきて安全保障政策の大転換そして矢継ぎ早に原発政策の大転換も唐突に決まった。

コロナがいまだ終息を迎えないなかでのウクライナ侵攻問題の勃発、コロナが社会を大きく変えたように今回のウクライナ危機も世界を大きく変えることになるか否か、何れにしてもウクライナ危機もコロナも一刻も早い終息を迎え来年こそ明るい世になるよう願いを込めて今年はこれで筆を擱きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。


市場再編と新陳代謝

東証の市場再編から9か月が過ぎたが、本日の日経紙投資情報面の数字でみる2022年では海外の投資マネーを呼び込もうと厳しい上場基準を設けて始動した最上位のプライム市場だが、その1社あたり時価総額が3725億円と100億円強減るなど期待とは裏腹に伸び悩んでいる旨が出ていた。

とりわけ基準未達でも改善へ向けた計画書を提出すれば上場が認められる「暫定組」では約6割の企業の時価総額が減った模様だ。先に当欄ではゼロゼロ融資に絡んで欧米と比較するに新陳代謝が進んでいない旨を書いたことがあったが、上場企業の増減では2001年から2021年まで米は約23%減少しているのに対し日本は逆に46%の増加を見せている。

収益力を高める為に再編等経て上場企業数が減ってきた背景などもあるが増加している日本企業とは対照的だ。それでも数字が伴っていれば問題無いが、例えば営業利益率一つ取っても2021年は米の15%に対して日本は9%と見劣り感は否めない。またPBRで見ても今年の8月段階で1倍割れ企業は米の10%に対し日本は実に47%である。圧倒的な時価総額の差も然りで悲願の海外マネーを引き付けるには新陳代謝のあり方を再考すべきだろうか。


2022年度「商品先物ネット取引データ調査・分析結果」を公開

11月末時点で商品先物ネット取引サービスを提供する10社に対し、11月29日〜12月12日の期間で実施した「商品先物ネット取引データアンケート」を集計・分析した結果を本日12月28日に公開しました。総口座数・実働口座数・預り証拠金・月間売買高など各項目別に結果を公開しランキング表示を行っております。

▼商品先物ネット取引各社データ集計結果(2022年10月度)



【調査結果サマリー】
★2022年10月末時点での預り規模はホールセール込で推計約326億円
★2022年10月末時点での総口座数は推計18202口座、実働は推計4049口座
★売買高は2022年10月度は51万枚(ホールセール込)、39万枚(一般対象)

【掲載項目】
[総合]
2022年10月度ネット取引各社取引データ一覧、関連データ業界全体比較
[各種ランク]
総口座数、実働口座数、預り高、売買高、注文件数、口座増加数、口座稼働率、枚数/オーダー、1口座あたり預り・売買高、1担当者あたり預り・売買高

アンケートにご返答頂いた企業・担当者の皆様、お忙しい中ご対応頂き誠に有難う御座いました!


返礼品変遷

昨日の日経紙夕刊一面には「ふるさと納税 焦る大都市」と題し、同社が試算した2021年度の寄付額から住民税控除額を引くなどした流出超過額は東京23区が全区で流出超過となったほか、市町村ではもうここ数年常連組の横浜市はじめ川崎市等の自治体は相変わらず多額の流出となり地方交付税の恩恵の無い大都市圏は引き続き劣勢を強いられている旨が出ていた。

こうした中には制度に批判的な自治体も当然ながら少なくないが、制度の構図自体が変わらないなかで死活問題となっている向きの中には返礼品強化など現実路線に転換するところも出ているという。ところで返礼品といえば最近では以前も書いたように出かけた先の宿や飲食店ですぐに使える電子ギフトなど、地元の経済活性化に直接つながりより手軽に納税が出来るような進化系スタイルも人気となっている。

こうした地域活性化といえば、コロナ禍を受け非航空事業の強化が急務となっているJALやANAなど大手航空会社も特産品プロジェクトや地域で楽しむ体験型返礼品の拡充などに動くなど後押しの動きも出ている。また最近登場してきたモノの中には特産品が少なくとも活用出来るNFTアートなど返礼品の世界は日々進化してきている感がある。

こうした動きを受けフィルターとなるふるさと納税サイト側も都心に返礼品を展示する実店舗をオープンしている。これはアパレルでZ世代に人気のSHEINがオープンした実店舗と同様のスタイルで、それぞれの品にQRコードが付いていてページに飛んで申し込みが出来る。こうしたインフラ整備や地域差による格差が生まれにくい返礼品の登場で自治体側も各々のセンスが問われるようになってくるか。


2022ヒット総括

昨年の今頃に当欄では日経MJのヒット商品番付を取り上げ、東の横綱に「Z世代」が選ばれた際には「~Z世代が象徴しているような消費行動がこれから未来の日本の消費トレンドになっていく可能性もある~」と書いていたが、果たしてというか今年の東の横綱は彼らZ世代に広く浸透した消費行動である「コスパ&タイパ」が選ばれている。

タイパに関しては先月も書籍を10分程度で読めるように要約したサービスやコンビニジムなど企業もこの市場を狙うべく倍速志向への対応を進めている旨を取り上げたが、一方では著作権を侵害したファスト映画訴訟や学生の夏休み課題代行業から企業の新卒採用試験における替え玉受験などタイムパフォーマンス重視が生んだ負の副産物も問題になった。

また西の横綱の「♯3年ぶり」といえば今年は特に新型コロナ禍で中止を余儀なくされていた各地での夏祭りや秋のハロウィーンが再開、また旅行支援から今まさに街を彩っているイルミネーションまで次々と復活した。これらに加え大関のサッカーW杯の経済効果など値上げで家計防衛意識が高まる中でも束の間の財布の紐が緩む場面を作ったといえるか。

飲食の分野では西の大関の「ヤクルト1000」が駅の自販機からコンビニの棚まで一時期は何時見ても売り切れが目立つなど、今年は本当にヒットした感がある。これに触発され他のメーカーからも挙って睡眠の質向上を謳う商品が打ち出されたほか、上記のタイパ絡みで短時間で完全栄養素を摂れる完全メシなど定番商品の進化系が目立った。来年もこれらに加え引き続きコスパ&タイパが経済を活性化するキーワードになってゆくのかどうか注目が怠れない。