統制五輪と政治
さて、新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るう中、17日間におよぶ北京五輪が閉会式を迎えその幕を閉じた。91ヵ国、地域から2877選手が大会に参加、フィギュアスケート団体では日本が史上初めての銅メダルを獲得、終盤はカーリング女子が初の銀メダルを獲得するなど日本選手団のメダル数は金3、銀6、銅9の計18個と過去最多を更新する快挙であった。
一方で開会式から聖火リレー最終走者にウイグル族選手を起用したのに始まり、本来であれば式典に出席出来ないロシア大統領も堂々と出席、そしてこの背景にもなっているROCのこの期に及んでのドーピング問題発覚から、スキージャンプのスーツ規定違反問題、スノーボードハーフパイプの不可解判定等々、IOCも終始傍観を決め込み最後まで後味の悪い問題が露呈した大会でもあった。
五輪外交を通じた米欧などとの緊張緩和は欧米諸国の外交ボイコットで目算が崩れる事となったが、これを以てスポーツの政治化には反対と批判していた中国こそ今回の五輪を政治的に最大限に利用したといっても過言ではないだろう。ウクライナ情勢緊迫化のなか式典に出席したロシアは閉幕後早々にウクライナに侵攻、増大した国力を背景に国際秩序の変更を目指す中国やロシアと今後どう向き合うか、民主主義陣営の結束と覚悟が試される。