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マザーズ指数の大台回復

さて、先月に当欄ではコロナ物色と題し末尾では「〜モデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。」と書いたが、先週の日経夕刊にも最近の株式相場はワクチン開発を巡る話題に左右されているとの一文があった。

そんなワケで、国内ではタカラバイオが先週に年初来高値を更新していたが、同社といえば先週の日経紙企業面に「国産ワクチン開発の黒子」と題し存在感が高まっている旨も載っており、その株価は3月の安値からほぼ2倍に化けている。また彼らが取り組むDNAワクチンでは同社と共にアンジェスも挙がっていたが、こちらは2月の安値から実に6倍以上に大化けしている。

同社の場合タカラバイオより小粒ながら先週はコロナワクチンの臨床試験前倒し報道ではその売買代金が全市場トップとなった事などからマザーズ市場の売買代金が今年1の大商いとなった事に寄与、月替りの本日も同指数は2018年12月以来、約1年半ぶりに1000ポイント大台を回復しているが、相対的に良好な信用評価損率も背景にリスク選好がコロナ禍を餌とし好循環する構図はまだ続こうか。


特別な高3の夏

さて、週明けに開催された臨時12球団代表者会議でプロ野球は緊急事態宣言解除を受け6月に開幕の運びとなったが、野球といえば一方では日本高野連が春の選抜大会に続き夏の甲子園大会も中止とすることを先週に決定している。1915年に同大会が始まって以降中止といえば18年の米騒動や戦局悪化を受けた41年までさかのぼり戦後では初の事である。

中止といえば同じく夏に全国から30競技に約3万人規模の選手が参加するインターハイ(全国高校総合体育大会)も先月には全国高等学校体育連盟がこれまた1963年に始まって以降史上初となる中止の決定をしているが、ただでさえ部活動自粛で休止を余儀なくされるなか自主練習で一縷の望みにかけて来た面々の心中察するに余りあるか。

例年高3時の部活動での活躍で進路を決める生徒が多いなか、大学推薦枠もその条件に大会戦果等が前提となっているだけにこうした本命大会の中止が将来に与える影響は計り知れないだろう。既に全国高等学校体育連盟が代替大会開催を各都道府県高体連に要望、個々も動画投稿で進路アピールの動きも出て来ているが、関係各所は新たな推薦基準なりの道標を早急に策定するなどで進学を巡るセーフティーネット構築が焦眉の急だろうか。


不要不急の美容整形

さて緊急事態宣言は全面解除となったが、依然として日々リスクと隣り合わせの現場で戦う医療関係者には本当に頭が下がる思いである。ところで過日の日経紙夕刊に医療業界で妊娠中の医師や看護師が職務と感染リスクの板挟みになっている記事があったが、その隣には同じ医療業界でも美容整形を申し込む人が外出自粛の続くなかこれを逆手に取る格好で増えているという記事もあった。

つまり公に人目に付かない自粛期間をこれ幸いに術後の所謂ダウンタイムに充ててしまおうというもので、これまで手術の覚悟は決めていてもGW等の長期休暇は計画していたレジャーが優先となったりでダウンタイムの確保がなかなか取れなかった向きの需要が如何に多いかが浮き彫りになった格好か。

美容医療とはいえ休業要請対象から外れていた事も背景にはあるが、私の知人の看護師も貴重な医療資源を考えるに複雑な思いと漏らしていた。休校で小中学生女子の来院も少なくないとも言っていたがこんな世代まで美容整形を普通に施術する昨今、世の中何所に隠れていた爆発的需要が表面化するのかわからぬものだ。


楽観シナリオの効力

本日の日経紙商品面には「原油 楽観論頼みの急反発」と題し、史上初のマイナス圏という価格への暴落を記録したWTI原油相場がその後意外にも30ドル大台まで価格を回復させた背景に、サウジアラビア等の大幅減産継続と同時に先進国の経済活動再開で過剰在庫の解消が進むとの楽観シナリオがあるとの旨が書かれていた。

ちょうど1週間前に6月限は納会を迎えたが、5月限再来との大方の懸念を尻目に4月末の12ドル台から驚き?の30ドル台での落ちとなった。内外主力ファンド勢の機敏なロールオーバーが進んでいた部分もあるものの、今月上旬の時点で2ヵ月前より6割多かった貯蔵拠点の米クッシングのスペース等こちらにも変化が生じているのであろうか?

そういえば株式相場にしても本日も大幅続伸で3月上旬以来の21000円大台を回復しているが、日経平均に限らずリーマンショック時に準え一向に二番底が来ない相場を訝しがる向きもある。これまた冒頭のWTIよろしく楽観論頼みの反発なのか否か、各所で勃発したマイナス指標の如くコロナ後のニューノーマルもまた予測困難な世界か。


巣ごもり消費で明暗

さて、新型コロナウイルスがもたらした一連の消費行動の変化はネット通販関係の快進撃を一段と後押しし先週は最大手のアマゾンやECサービスの強化を発表したフェイスブックの二強が史上最高値を更新し、こうした大本命以外でも決算で純利益が前年同期比4%増となったウォルマートのネット通販売上高は74%と過去最高の伸びを記録している。

この辺の流れから国内マーケットでも先週はECプラットフォームを手掛けるマザーズのBASEが2日連続のストップ高を交え21日には上場来高値を更新と破竹の勢いが注目を浴びていたが、このコロナ禍での利用増から4月には顧客EC店による流通金額が前年同月の3倍弱に増加した事を明らかにしている。

同社は1〜3月期の連結最終損益が赤字で20年12月期は無配を予定しているものの、環境から受けるメリットへの期待感を背景に足元には目を瞑らせマザーズ指数の年初来高値更新に一役買っている。しかし先のレナウンもECへ乗り遅れが指摘されていたが共に破綻してしまったJCペニーも冒頭のウォルマートと共にアメリカを代表する大手百貨店チェーンであったものの、まさにECで明暗を分けてしまったといったところだろうか。


貴重な期間限定?

さて、直近では某女性タレントが高級店のフカヒレ姿煮をテイクアウトしたSNSが豪華だと話題になっていたが、こんなセレブ?でなくとも先週の日経紙夕刊一面では「家で特別な食事 GWで消費2倍に」と題し、マクロミルが纏めた消費動向でステイホーム週間によって外食が激減するなか代わりに自宅での特別な食事が昨年比2倍の23.4%となるなど家で贅沢する人が多かった旨の記事があった。

ちょうどこの記事が出た日にはアメックスから「おうちde KIWAMI」なる名店のテイクアウト案内も来ていたが、とんかつ弁当が15,000円也などなるほど予約困難といわれる名店だけにお値段もそれなりによろしい。これ以外にも一寸別の所を見てみるとカツサンド3切れ15,000円とか鍋が40,000円から等々もうおせち料理の世界かと。

また一昨日の朝のTVでもミシュラン店のテイクアウトを紹介していたが、斯様にレストランとテイクアウトは全く異なる営業との考えでこれまでテイクアウトを逡巡していた高級店や名店も、コロナウイルス感染拡大による自粛長期化の影響で背に腹は代えられぬという事で続々とテイクアウトを始める店が増殖している。

また同じく需要が激減しているタクシー業界とタッグを組みお届けサービスを提供する店も出て来ているが、これから夏場にかけ暑さが増してくる時期だけに食中毒など衛生管理が重要となるなど課題も多いものの、感動する食体験など人間の本性を基盤とする需要回帰を願い各所共に知恵を絞る日々はまだしばらく続こうか。


コロナ物色

さて、ここ数日の米株式はバイオ製薬のモデルナに振り回される展開が続いている。週明けは開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験第?で効果があったと発表、これを好感した買いからザラバで上場来高値を更新し前週末比20%高で取引を終えたが、昨晩は有効性を示す試験データが不十分と報じられた事で一転して10.4%安と急反落となっている。

週明けにゴールドマンサックスが同社の目標株価を105ドルまで引き上げる一方、1760万株を発行し13億4000万ドル相当を調達するファイナンス計画の発表もあるなど好悪材料が交錯しているが、本日の日経紙市場点描では国内ではコロナ過熱銘柄に売り戻しから失速の兆しが出ている旨が書かれていた。

緊急事態宣言の段階的解除を睨み外出自粛をテーマとした物色は一服感も出て来ようがモデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。


社会的距離

コロナウイルスの感染拡大に伴いその防止目的から人との間に取る所謂「ソーシャル・ディスタンス」も彼方此方で進んでいるが、昨日の日経紙夕刊には「社会的距離 例え楽しく」と題し、このソーシャル・ディスタンスを同じサイズのもので例えるユニークな紹介方法で広がっている旨が出ていた。

この頁ではその距離を、アルバム「アビイ・ロード」で横断歩道を渡るビートルズと表現するイラストが出ていたが、ココに出ている以外にも例えば自動車メーカーではメルセデスベンツがスリーポインテッド・スターが円に接触しないよう縮小、アウディも4つの輪が接触しないよう離したりするなど世界の著名企業も続々と自社のロゴマークを使ってこれを訴えている。

今では飛沫感染防止で何所の店でもレジ等では仕切りがあるが昨晩たまたま見たTVでは居酒屋の座席にアクリル板のシールドが立てられ、料理のオーダーは自身のスマホで発注、出来上がった料理は蓋がかけられそれを客が自分で取るという仕組み紹介されていた。挙げ句にはオンライン飲み会に対応出来るようにタブレット端末と顔が明るく見えるライトまで貸し出す旨もやっていたが、これを滑稽と見るかニューノーマルと見るか。

ところで過日に北欧の知人と話した際にこのソーシャル・ディスタンスの話題になったのだが、昔から所謂パーソナルスペースを好むことで知られている彼らの間ではこれまで或る意味揶揄されていた行動様式が国際標準化されつつある事に今更感を強く感じているというが成る程いろいろ考えさせられる。


数奇な関係?

さて、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響が災いし企業破綻も月を追うごとに増加してきているが、先週は東証に上場しているレナウンが東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けとうとう国内の上場企業の破綻が出た。上場企業の破綻といえば昨年1月のJASDAQのシベール以来、16ヵ月ぶりの事か。

先の決算では2期連続の最終赤字を計上し決算短信にはGC注記を記載していた事で、最近の投げ売りのようなプライスが付いたダーバンのセール案内が増えていたのにも不穏な空気を感じていたが、そういえば今月上旬に同じく民事再生法申請した米のJクルーもかつてレナウンが販売していたのを思い出す。

ところで米でも今週決算発表を予定していたアメリカを代表する百貨店大手JCペニーが奇しくもレナウンと同じ日に破綻した報が飛び込んできたが、新型コロナウイルスの影響で破綻となった百貨店では先に破綻したハワイでもお馴染の高級百貨店ニーマン・マーカスに続いて2例目である。

このレナウンとJCペニー、上記の通り破たんした日付も同じだったが皮肉な一致で両社ともにその創業年も1902年という老舗。バブル当時まで流れていたCMソングもいまだ直ぐに浮かぶが、かつてアパレル日本一まで駆け上がった同社が近年の業界変遷から誤算の身売りの末にこのコロナ禍でとどめを刺され市場から退場する様は産業構造の転換期を如実に物語る。


コロナ禍のハイブランド

さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から観光客の減少に加え自粛ムードで店舗休業などからハイブランド犇めく銀座などゴーストタウンの様相を見せているが、斯様な影響で仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンや、同じく仏のケリングの2020年1-3月期が前年同期に比べて2桁の減収となるなど高級ブランドの業績に影を落としている旨が直近で報じられている。

ところで上記の仏LVMH傘下のブルガリもこの新型コロナの影響で銀座タワーなどの旗艦店が休業の憂き目に遭っているが、外出自粛となるや同社のクリエーションを「癒し効果」があるという塗り絵で送ってきたり、希望を共有する事を目的とした社会貢献の為のオンライン・トークセッションを開催したりとこの手のサービスでは他に一つ抜きん出ている感がした。

また同社では展開する星付きのレストランも休業を決定したが、シェフの先導で東京の感染指定医療機関の医療従事者に同店のイタリア料理を無償で届ける「お弁当プロジェクト」なる提供を開始し既に都立駒込病院や国立国際医療研究センター等の医療機関が無償提供を受けている。

これまでも同社はセーブ・ザ・チルドレンへの多額の寄付など慈善活動に取り組んで来たが、本拠地イタリアへも最先端顕微鏡の提供や消毒ハンドジェルの提供を医療施設に施している。過日の日経紙にて「公共より自社の利益を優先する企業は永遠に信頼しない」との問いに71%がそう思うとの米エデルマン調査結果が出ていたが、当欄でもちょうど1週間前に書いたように今後もCSRという観点から企業を見る目もより厳しくなりそうだ。


半減期のアノマリー

昨日の日経紙金融経済面には「ビットコイン供給8分の1」と題し、ビットコインの市場への供給量が当初の8分の1まで減少するのに伴いその需給思惑もあり価格は今年の3月中旬の安値から先週には1万ドルを付け約2倍化した旨が出ていたが、これで急落するほぼ1ヵ月前の水準を再度回復と依然ボラタイルな動きを演じている。

今回は2012年以来3回目となる半減期だが、上記に加え緩和マネーの膨張も背景にして倍化した事でまたもアノマリー再来といった感もある。ただ今年の場合は約6割もの急落の憂き目に遭った背景にはコロナウイルスの感染拡大でマイニング作業への影響への過度な懸念も災いした部分もある面あろうか。

ところで、同頁ではヘッジファンド創業者の「ビットコインは70年代の金」との投資家向けリポートコメントがあったが、ETF残高が過去最高を更新し続けているこの金もまたキャッシュが最優先されるパニックの中で一緒くたに売られた後に再浮上の軌跡を辿っている。緩和マネー溢れるなか今後も或る意味対極ともいえる両者が同時物色される場面を目にする機会も多くなろうか。


評価其々

さて、昨日の日経紙一面には同紙とテレビ東京が実施した世論調査で新型コロナウイルスの政府の取り組みについて「評価しない」との回答が55%と前回調査から11ポイント上昇した旨が載っていたが、二転三転の特別定額給付金に始まり未だ全てに届かないアベノマスク、緊急事態宣言の際には東京都知事と経済財政再生相の間で軋みも見られるなどこういった時こそ諸々目に付くもの。

また直近でザワついているのが厚生労働大臣による新型コロナウイルスのPCR検査に向けたセンターへの相談の目安を巡る「誤解」発言だが、そもそもが知事権限を飛び越え政府が僭越な通達を出していた事で権限と責任が斯様な言葉遊びで曖昧にされてしまうところが関係者側や我々としては憤懣やるかたない思いというところだろう。

知事といえば次頁に知事のコロナ対応評価で大阪の吉村知事がトップになっている旨も出ていたが、目先の休業要請解除一つ取っても命を取るのか経済を取るのか各自治体知事にとって重い決断だが諸外国でも采配が冴える知事が俄かに人気を博している通り有事下にこそリーダーの真の資質というものが見えてくるもの。