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農水も苦悩

さて、昨日は母親に日頃の感謝を伝える「母の日」であったが、街のフローリストやパティスリーなど先週あたりから定番のカーネーション等を中心としたディスプレイ一色となり、このコロナ禍のなか外の列もソーシャルディスタンスを守り皆思い思いに品定めをしていた光景が見られた。

しかし花卉といえば新型コロナウイルスの影響から自粛ムードで冠婚葬祭規模が縮小、卒業式等の学校行事や歓送迎会の中止も災いし最需要期が総崩れとなった旨を3月頃に当欄でも取り上げたが、この定番のカーネーションや薔薇などの花もその相場は先月末時点で出荷価格が前年同期比で4割から6割近くも下落している模様だ。

先のホワイトデーにも農林水産相が花の消費を喚起していたが、農水といえば今年は突然の休校や飲食店営業縮小等を受けて牛乳もまた過度な余剰感が出ている。花卉や牛乳いずれも日持ちがしないという商品の特性は同じで後者など簡単に生産調整も出来ないだけにまだ暫くは同省の苦渋も続こうか。


ワンチーム

さて、連休中の日経新聞一面・コロナと資本主義の中には「企業、公益担ってこそ」と題し、先の世界経済フォーラムの年次総会で取り上げられ多くの企業が賛同したところの行き過ぎた株主至上経営からステークホルダー資本主義に移行すべきだとの議論に対する決意がこのコロナ禍の下で試されている旨の記事があった。

ちょうど1ヵ月前に当欄では米ではテスラやGE、フォードモーター等々による人工呼吸器を急ピッチで増産し世界の病院へ無償配布したり、英ダイソンも同パンデミックに対する取り組みに寄付したりと欧米の主力勢がまさに先頭に立って公益を担っている一方で本邦勢との温度差を感じる旨を書いていた。

その末尾では「かつて松下幸之助氏が言った企業は社会の公器という言葉がこんな時にこそ思い出されるもの」と書いておいたが、あれから出遅れていた感の本邦勢も政府の後押しもあってトヨタやソニーが人工呼吸器で医療機器メーカーを支援したり、帝人の医療用ガウンの生産や花王の消毒液の大幅増産等々大企業勢が続々と後に続いている。

今や医療機関と共にこうした大手企業もそれぞれの得意技を持ち寄って前例無き提携など従来の組織の壁や慣習を超え、また彼らのみならず大学や自治体まで一丸となった連携プレーとなっているが、政府の後押しという点では未だ欧米比で依然として温度差は否めず未曾有の敵にどう抗するかまさにこの辺が揃って初めてワンチームの底力が試されるか。


色のあった街

さて、本日は4月30日だがちょうど21年前のこの4月30日を最後に東京証券取引所の「場立」が居た立会場が閉鎖した旨が一昨日の日経夕刊(ニュースなこの日)に出ていた。元々この場立の手振りサインは古くは大阪堂島のコメの先物取引まで遡る歴史のあるものだが、かつての株式取引所から約120年もの間場立は投資家の注文を取り次いできた。

上記の背景もありこの世代でも、証券営業マンより商品営業の方が実際に同じ場立のサインで場中に注文を出していた経緯がある事からむしろ馴染はあるのでは?更には今どきの証券マンに銘柄を表すサインを見せても何の事やらサッパリわからないだろうが、それは兎も角も当時の怒号飛び交う笛吹き交えた仕手株などの活気が今更ながら鮮明に思い出される。

そういえばちょうど1年前の当欄では「時代と対面需要」と題してその末尾では「〜笛吹で場立が殺気立つ光景が消えた後はアローヘッドが稼働する無機質な光景に変り、兜町も東証から続く中小証券が犇めき合っていたその街並みもガラリと変わり果てたものだ。」と書いていたが、今年に入りK5などリノベーションを経て誕生した複合施設がオープンしている。

最近では蔵前などこの手の試みで東京のブルックリンなどとも呼ばれ人の流れも変化しているが、以前も書いた近所の浜町も再開発が進んでいるおり所謂賑わいという観点でこれが減ってしまったこちらも上記のように活気のあった時代よろしく再び街全体の「色」が戻ってくるのかどうか今後も注目してゆきたい。


余りモノに値なし

さて、本日の日経平均は日銀の追加金融緩和策や新型コロナウイルスを巡る外部環境の悪化に一先ず歯止めがかかっている事を支えに急反発となったが、この地合いで全般がカバーで戻りを入れるなか目立っていたのがベア型を除く原油系ETFの弱さでシンプレクスのWTI価格連動型にETFSECのWTI原油や野村のTOCOM原油ダブルブル等々何れも本日は年初来安値に沈んでいた。

このうち野村のTOCOM原油ダブルブルなどは逆に動いた分だけその特性が災いし価格は実に年初来高値から11分の一まで暴落の憂き目に遭っているが、先週末の日経紙マーケット面で「原油ETFに個人群がる」と題して文中に挙がっていた野村の原油インデックス連動型ETFも年初来高値から約7分の一近くまで急落し引けは年初来安値まで一文と迫っている。

同ETFに関してはその値頃感や腐っても多用途の原油?なだけに先行きの反発期待の買いも舞い込み売買高ランキングが東京市場全体でトップに躍り出る場面が先週あったようだが、ロールオーバーするも鞘自体が大幅なコンタンゴなうえ貸借倍率も80倍近くは手垢が付き過ぎている感は否めない。

NYMEXのWTIは「余りモノに値なし」の典型で期近が前代未聞のマイナス圏に沈んだワケだったが、そうなると連想ゲームで貯蔵先保有思惑から先週揃ってストップ高となったのは明治海運や共栄タンカーなどで、特に共栄タンカーなど23日まで3日連続のストップ高と破竹の勢いを演じた。とはいえダブついた原油の為の貸し出し余地が彼らにあるとは考え辛く今後はカラ売りをどの程度誘えるかETF共々投機の土俵に場所が移る事になるか。


IPO受難

さて、今週は週明けまでJASDAQ平均が11連騰、マザーズ指数は6日続伸となるなど疑心暗鬼なマーケットにおいても新興市場の堅調が特に目立っていたが、背景にはこれらの市場に上場を予定していた新規企業が相次いで上場の延期や中止を表明した事で直近IPO銘柄への見直し買いが増加した事も一因という。

この新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた相次ぐ上場延期や中止に関しては先の日曜日の日経紙一面にも「新規株式公開急減83件」と題し、2020年3月の上場件数は過去5年平均に比べて3割少ない83件と13年3月以来7年ぶりの低水準となり、今月に至っては東証に上場を予定していた9割の企業が中止するなど04年以降の最高を更新した旨が出ていた。

新型コロナウイルスが資金計画に影響を及ぼした例は他に自社株買いの中止等も出ているが、ベンチャーキャピタル等が未上場企業に出資した後にイグジットとしてIPOに伴う売り出しで資金回収、それを別に再投資という構図が市場を支えていたが先のソフトバンクGのファンド事業損失等を見るにベンチャー投資にブレーキがかかる状況の長期化が危惧される。

斯様な状況になれば上記のサイクルも滞る恐れもあるというものだが、兎にも角にも新型コロナウイルスが一服ないし収束しない限りは投資家へのロードショーもままならず対象各社としては別のファイナンスで活路を見出せるのか否かという感じだが、モメンタムの上昇もいずれにせよこの終息まで望めないというところか。


未曾有の未定

さて3月期決算企業の決算発表スタートといったところだが本日の日経紙投資情報面にも出ている通り、東証は上場企業に対し決算発表の時期が後ずれした場合でも業績予想修正や決算発表日の延期公表等に合せ現時点で把握している情報を可能な範囲で投資家に周知するように求めている。

先に発表延期企業が続々と出て来ている旨を書いていたが、2021年3月期の配当に関してもまた未定とする企業が少なくない事も投資家としては気になるところか。特に高配当モノなど株価下落でもその配当利回りが魅力的水準に映った事で当初は物色する向きもあったものだが、コロナ禍の深刻化と共にリーマン後に準える動きから低迷が恒常化しつつある。

欧州でも「ユーロストックス50配当指数」の先物が急落し、2020年中に支払われる配当を予想して取引する20年12月物が2月末から6割近く下落する異常事態となっている旨が過日の日経紙で書かれていたが、近年は投信やETFでも高配当を絡めたモノが増殖しており斯様にディスクロも手探りの未曾有の投資環境だけに投資家も減配リスク等に身構えておきたいところ。


買い手市場

さて昨日触れたWTI、納会を控えた当限が投機筋等の手仕舞い売りを浴び1999年3月以来ほぼ21年ぶりの安値まで沈んでいた旨を書いたが、その数時間後にはマイナス圏に沈み納会ではまさかの1バレルマイナス37.63ドルで取引を終えている。兎にも角にも価格がマイナスとなるのを見るのは市場初めての事態だ。

既に用船料が数倍に高騰しているとの一部報道にある通り貯蔵施設能力に限界を来すほど原油在庫が積み上がっている様相だが、マイナス圏でロングし納会を迎えた向きには現物と共に現金が受け取れる構図という事はいわばこの現金部分が原油の貯蔵を確保するコスト分という事と捉えられるだろうか。

ところで原油の場合は斯様に貯蔵が可能だが、同じく資源のLNG等はその特性上備蓄が出来ない事が災いし需要が冷え込みを背景にしてそのスポット価格もまた年初から半値以下の水準まで急落の憂き目に遭っている旨が本日の日経紙に出ていた。新型コロナウイルスがエネルギー市場をも侵食してきた格好だが、資源メジャー各社はこの受難にどう向き合うのかその舵取りが注目される。


資源関連の憂鬱

先週末の日経紙マーケット面では「原油、下値不安なお」と題し、先のOPECプラスで世界供給の1割相当の減産を5〜6月に実施する旨を決定したものの実効性そのものを疑う声に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う現物需要の落ち込みで在庫も急増し底入れが見通せない旨が出ていた。

週明け本日の午前中の電子取引においてもWTIは納会を明日に控えた当限が投機筋等の手仕舞い売りを浴び、一時1バレル14ドル台と1999年3月以来ほぼ21年ぶりの安値まで沈むに至り前週末からの下げ幅は2割に達している。期近からズルズルと下げを先導しコンタンゴが解消されない鞘を見るに典型な動きとなっている。

斯様な状況が続くと特に業績への影響が懸念されるのが石油元売りや石油開発という事になるが、大手元売りの想定レートは1バレル55〜60ドルとなっているだけに今月の日経紙・私の履歴書の出光興産など含め対前年実績で半分近くの減益予想となり、また商社の想定レートも更に高い事で各社の苦悩は想像に難くはないが更なる減産が先か株価の灰汁抜けが先か今後も目の離せない展開が続く。


4/30付でCXオンライン事業をサンワード貿易へ譲渡

豊商事は、商品先物取引業等の対面取引に経営資源を選択及び集中させるため、2020年4月30日付けで商品先物取引オンライン事業をサンワード貿易へ譲渡へ。

【日程】
取締役会決議日 : 2020年4月7日(火)
契約締結日 : 2020年4月7日(火)
本事業の譲渡日 : 2020年4月30日(木)
当社での最終取引日 : 2020年4月28日(水)日中立会終了まで

▼ゆたか CX 事業譲渡に関する契約締結のお知らせ


4/10付で第一種金融商品取引業の登録が完了

北辰物産は、2020年4月10日付けで第一種金融商品取引業の登録が完了。これに伴い本年7/27付で大阪取引所に移管される金融商品取引法下での銘柄も引き続き変わらず取引が可能に。

尚、大阪取引所に移管される銘柄の取引のためには、追って所定の手続きが必要で、こちらは今後ご案内とのこと。

▼第一種金融商品取引業の登録につきまして


金のデジャヴ

さて、先週末に米ニューヨーク市場では金の先物価格が約7年半ぶりの高値を付けていたが、これを受け今週はTOCOMに上場する金が1982年3月23日の取引開始以来の過去最高値を更新、また地金小売価格の方も同じく40年ぶりに過去最高値を更新する事となった。40年前といえば年足など広げてみるに直ぐに目に飛び込んでくるあの旧ソ連のアフガン侵攻時だが、昨今のドルとの相関関係の変化も読み取れるか。

こうした構図の裏にはETF経由での資金流入もあるが、WGCが先週纏めたところによると3月末時点の世界の金ETF残高は3185トンと前月末から151トン増加と3ヵ月連続で最高を更新、昨年末比でも298トンの増加を見せ四半期の増加幅としては16年1-3月以来の高水準となった模様。

しかしコロナが猛威を振う前の「全部高」の構図からコロナショックで「全部安」の憂き目に遭ったものの、FRBの資金供給策等から独り驚異の回復力を見せる光景はあのリーマンショック時からその後にも見られた通りで、こんなデジャヴのような光景を見るにやはり未だ完全に解明されていないウイルスを前に拠り所としての安全資産の位置を再認識させられるというもの。


統治改革の後押し

本日の日経紙マーケット面には「親子上場 逆説の物色」と題して、コーポレートガバナンス改革が求められる中でコロナショックによって株安が進み、親会社が株式を取得し易くなるとの見立て等から親子上場の解消が私募ファンドなど投資家の新しい物色先として浮上している旨が出ていた。

同紙では大和証券がTOPIXに対する株価騰落率の平均値を18年末100として指数化した結果が書いてあったがもう一つ、TOBで親子上場を解消するケースでは2000年4月以降では発表前からその後60営業日でTOPIXに対して子会社が約30%、親会社でも約10%上回るパフォーマンスを上げたという同証券の調査もあり斯様に物色対象として定番化しつつある。

しかしここ10年くらいでも親子上場は確実に減少してきており、そのペースも速くなってきている感が。ちなみに昨年末時点で親会社が上場している上場企業は273社、14年度末のとの比較でも約10%減少している。企業統治改革はもとより親子上場が増加してきた時と今とでは手元資金や金利など背景も一変しており今後も3解消ペースは衰えないだろうか。