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特別な夏

さてお盆休みも後半戦だが新型コロナウイルスの感染者数が彼方此方で依然高水準となるなか、周知の通り移動の自粛を求める雰囲気が蔓延し故郷へお盆の帰省もし辛い状況下からチケット相場も下落傾向だが、自治体や企業なども帰省のオンライン化を呼び掛けている旨が一昨日の日経夕刊の一面を飾っていた。

オンライン化といえばこんなご時世で故郷に帰省出来ない向きにオンライン墓参りサービスも登場しているが、これと並びお墓参りをして墓石磨きや草むしりにお花とお線香をあげ作業終了後は依頼者へ写真付きの報告書が届くという「墓参り代行サービス」も今年はふるさと納税の返戻品サービスなどで人気になっているという。

ふるさと納税サイトへの登録自治体数でみれば前年比で約1.4倍の105と増加しているというが、その寄付額も1万円台から5万円近くの強気?な設定もあるなど自治体でさまざまだ。
しかし近年では葬儀から法要までオンラインやドライブスルーサービス等が増殖しているが、日本人の心の中で大切な位置付けとなっていたものもニューノーマルでその光景が様変わりしているやはり特別な夏といえようか。


一頭地を抜くIPO

本日の日経紙マーケット面には「厳選IPO株にマネー」と題して6月以降に上場したIPO銘柄が、新型コロナウイルスの感染再拡大や米中対立の激化などで世界経済の先行き不透明ななかを、今月に入ってから少ない需給面や機関投資家の参戦等も背景にして買いが集まっている旨が出ていた。

確かに本日の市場を見てもこの頁の冒頭で挙げられていた公開価格2.5倍で初値形成となったティアンドエスが、その勢い止まらず本日も寄り後早々にストップ高まで駆け上がり成行33万株以上もの買い物を残して引けている。同じく今月公開のモダリスも挙げられていたが、こちらもザラバでストップ高寸前まで買われ前日の4倍以上の大商いのうちに年初来高値を更新といずれも破竹の勢いである。

IPOの4〜6月期で7社は2013年以来7年ぶりの少なさなど、この辺が冒頭にもある通り需給面として影響しておりそれがIPO指数の最高値更新にも表れている。この手は指標面での乖離が指摘されるのも常だが、新型コロナウイルスの影響をどう加味してゆくかでフェアバリューも各々変って来るだろうし今後もそれを探りながらの展開となるか。


金と銀のそれぞれ

先の日曜日の日経紙一面は「ドルの信認問う金高値」と題し、米ドル価値の下落等を背景に金の国際価格が連日史上最高値を更新している旨の記事が飾っていたが、金価格がまだ1700ドル台で推移していた今年の6月にその価格予想を大幅に引き上げたゴールドマン・サックスが公表したリポートでは、1年後に史上最高値を塗り替え2000ドルに達すると記してあった。

上記の米ドル信任が問われる中において火薬庫ともいわれる中東の地政学リスクもにわかに台頭した事などもあってそれから2ヵ月もしないうちにこの予想はアッサリと達成されることとなったが、ゴールドマン・サックスは更に2000ドルを大きく上回る為として挙げた条件にはインフレがFRBの2%目標を超える事が必要ともしている。

ところで同じ貴金属では銀も現在7年ぶりの高値を付けてきており、国内ではチェーンの売り上げが先月の2倍となる店もあるなど足元で銀製品も大きく伸びている模様。こちらの場合2011年の高値までまだまだ伸びしろがあり二匹目の泥鰌狙いというところだろうが、一方で知人の歯科医は詰め物に使うジーシーキャストウェル価格が数年前に比べ6割近く上昇したとボヤいており貴金属を巡る悲喜こもごもは各所でまだ続きそうだ。


文化の盗用?

さて、先の日曜の日経紙「NIKKEI The STYLE」ではクール・アフリカと題してアフリカ生まれのファッションやデザインが世界で注目を集めている旨の特集があった。アフリカといえば確かに最近ではファッションや生活雑貨などフェアトレードを通じた途上国支援等も含め様々な場面から取り沙汰されている。

ところでファッションの世界といえばこの手のファブリックからインスパイヤされたコレクションが披露される事も多いが、近年目立つのはハイブランドによる伝統民族衣装の模倣疑惑か。一例を挙げても昨年の伊マックスマーラによるラオスのオマ族の伝統衣装のデザイン模倣疑惑や、更にその前にはディオールによるルーマニア民族衣装の模倣疑惑が話題になったものだ。

これらはインスタなどでブランドが発表したコレクションとそのオリジナルの民族衣装の写真が並べられている事が多く、両者比べて見るに確かにインスパイヤと言うより殆どコピーにしか見えない酷似具合のモノも少なくない。中にはこうしたファッション等を販売し民族支援している団体もありこうしたケースで抗議の火種になっているものも多いが、彼らやフェアトレードも併せ支援元との齟齬など課題が残るなかブランドもCSRなどの観点から再考すべき点は多いか。


嘘のような真面目な話とか?

さて東京都では9日連続で1日の新型コロナウイルス新規感染者数が200人を超え全国でも1,300人超えと依然高水準な状況が続いているが、そんな中で昨日の大阪府知事の記者会見でポピドンヨードうがい薬の有効性を発表したのに端を発しまたぞろイソジンなどのうがい薬がドラッグストアで品薄になっている模様。

早速ネットでもこの手の製品に異常な高値が付いたり高額転売が横行、メルカリなどでは出品禁止との注意喚起が為されているが毎度この手の光景には辟易といった向きも多いだろう。またいち早く飛付いたのは株式市場もまた然りで、昨日は販売元の明治HDがザラバで2018年11月8日以降最大の日中上昇率を記録し年初来高値を更新する急騰を演じた。

本日もこの流れでヨウ素国内首位の伊勢化学工業が買い気配からの寄り後にストップ高まで買われる急騰を演じていたが、一方で明治HDの方は一転して急反落し往って来いまで売られる場面が見られるなど目まぐるしい。もっとも明治HDの傘下企業も新型コロナウイルスのワクチン開発に動いており、イソジンより寧ろ囃すなら今後のこちらの方に期待したいところ。


政策明暗

さて、米テスラの決算発表を機に先駆していた世界の同社関連銘柄が一服となったのと入れ替わりに、今度は中国企業のバイトダンス傘下の動画共有アプリTikTokを巡るトランプ米大統領の禁止案に端を発し本邦も自民党まで利用制限案に向けた法整備など伝わった事を背景にしてその関連銘柄が各々乱高下している。

昨晩はトランプ米大統領が条件付きながらマイクロソフトなど米企業による買収を容認した事で同社株は大幅高となりナスダックの史上最高値更新に貢献したが、上記の法整備案が伝わった際にはTikTok対応コンテンツ展開のトレンダーズが前日の約3倍の出来高を伴って下落し中国向けプロモーション支援のアライドアーキテクツが安値引けとなるなど影響力の大きさを物語る。

また一方ではTikTokの斯様な事態が追い風?となり、ココと競合するアプリ短編動画投稿Trillerへ投資するDLEが2度にわたりストップ高を演じるなど明暗が分かれた。しかし世界一?と言ってもよいユニコーン企業であるバイトダンス社も米中対立激化の波に呑まれてしまった格好だが、拡大するSNS関連市場含め今後も政策如何では各所での明暗がまた出て来ようか。


緊張感ある総会

さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって決算集計が遅れた為に、例年の6月から7月へと延期していた東芝の株主総会が先月末に無事?開催された。注目された筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが、ガバナンス強化の為に株主提案していた取締役の追加受け入れは果たして否決される事となった。

これに先駆けエフィッシモ・キャピタル・マネジメントは取締役基準抵触を考慮し議決権10%以下にすべく保有株の一部売却を進めていた経緯があったが、子会社削減やキオクシアHDのIPO等の課題を睨みつつコロナ禍による株価変動でアクティビスト勢も各々悲喜こもごもといったところだったろうか。

斯様に先のスピード増資劇の際に決断の早いアクティビストらが集結した構図の同社もまだまだ総会の度に緊張感が高まるのは想像に難くない。またコロナ禍の影響で遅れていたといえばこんな株主総会だけでなく東証もまた先月に実施出来なかった第1部への上場・昇格基準統一を11月に実施と再開の動きを見せるが、1部へ復帰を目指す同社が先ずはこの機にそれが叶うか否かも注目されるか。


導線の変化

さて、今週は渋谷の宮下公園跡に複合商業施設の「RAYARD MIYASHITA PARK」が開業の運びとなったが、商業施設といえば先月も「ウィズ原宿」が開業したほかコロナ禍の影響で開業が予定日より延期となっていた「Otemaachi One」や「有明ガーデン」、「ウォーターズ竹芝」から「東京ミズマチ」などなど続々と開業の運びとなっている。

上記のウィズ原宿は施設内に原宿駅から竹下通りに抜けるウィズ原宿ストリートが設けられ新駅と明治神宮とも併せて今後は人の流れが大きく変わりゆく事も予想される。そうした点では東京ミズマチも浅草を結ぶ隅田川の歩道橋すみだリバーウォークも開業し川からも公園からもアプローチ出来る最短ルートとなるだけにココもまた導線の変化が。

また上記の原宿駅も新駅が出来たが時を同じくして「高輪ゲートウェイ駅」が開業、6月には「虎ノ門ヒルズ駅」も開業となり各棟が地下で直結となるなどこれらでまた人の流れが変わる。上記の各々個性を持たせた商業施設も然りだが、各エリアの開発も「永遠に完成しない」東京ディズニーリゾートの如くまだ続くのは想像に難くないか。


ESG強化

さて、昨日の日経紙大機小機は「ESG経営 社員に向き合え」、また同日夕刊の十字路では「ポストコロナのESG評価軸」等々のタイトルに見られる通り最近は一層このESGが取り上げられる機会が増えているが、その非財務的な価値を見出すところにおいて経営方針から投資まで非常に重要視されてきている。

とはいえ先に破綻した独DAX構成銘柄のワイヤカードは、ESGの評価機関や格付け会社等で普通ランクや中間の評価をされていたのに見られる通り外形的評価が解り易いとされるGの部分一つ取ってもその見極めも難しいのは否めないところ。一方で同じく独DAX構成銘柄のソフトウェア大手SAPなど先月から温暖化対策事業に乗り出すなど粛々と動きは進行している。

2015年に採択されたパリ協定の温暖化目標を達成するため、EU欧州委員会は50年までに域内の二酸化炭素の純排出をゼロとするカーボンニュートラルに移行する方針を昨年打ち出すなどとりわけ欧州はこれを重要視する傾向が顕著となっている。これに絡んでは独の自動車セクターなど宿命的な立場だが、何れにせよ各社ニューノーマルの経営判断となってゆくのは想像に難くないか。


普段使いの乱高下

梅雨明けを望む声も虚しく活発な梅雨前線の居座りで今日も降ったり止んだりのダラダラとした空模様が続いたが、こんな日照不足の影響から巷ではジャガイモやキャベツなどが通常の価格から約2倍以上に跳ね上がるなどの他、タマネギやほうれん草等々所謂普段使いの野菜価格が軒並み上昇している模様だ。

つい数か月前には余剰感からフードロス対策云々で救済策が取り沙汰されていた様も一変といった感だが、緊急事態宣言の外出自粛によるお家ゴハン需要等も絡め今年は各種共に乱高下が著しい。しかし天候を睨んだ価格の不安定はここ数年特に取り沙汰されている事で一昔前に上場していた野菜先物ではないがヘッジの枝葉はどの程度あるのだろうか?

ところで廃棄の懸念から一転しての品薄感といえば今年は突然の休校や飲食店営業縮小を受けて過度な余剰感が出ていた牛乳もまた夏場の乳牛のコンディションによる生産量減少の素地に、夏休み期間の短縮が重なり需給バランスが今から懸念されることころでもあるというが、野菜と共に消費者も右往左往と翻弄されているコロナ禍の夏である。


総合取引所始動

本日JPX(日本取引所グループ)は貴金属や農産品等の市場を東京商品取引所から大阪取引所に移管しこれで株価指数先物から商品先物まで一体的売買が可能な総合取引が本格的に始動した。市場も各社も起死回生の最後の切り札として期待するところだが、これで大証では新たな証券会社が商品先物を扱う見通しとしている通り規模拡大でその競争環境もまた変って来ることも予想される。

ところでそんな初日を飾る?ように金先物が大幅続伸となり中心限月としては最高値を更新、本日の時間外取引でも国際指標のニューヨーク金先物が2011年9月に付けた1トロイオンス1923ドルの史上最高値を約9年ぶりに上回り、現物の国際指標であるロンドンでも同じく11年に付けた史上最高値を更新してきている。

斯様な状況で国内でも金地金の方も小売り価格が消費税導入前の80年代以来約40年ぶりに最高値を更新して来たが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の金融緩和拡大で米など実質金利が過去最低となったのを背景にドル安が進行、加えて直近ではEU首脳が難航していた7500億ユーロの復興基金で合意しユーロ高が進行した事もこれに拍車をかけている。

上記の通りの各国の金融緩和拡大から世界中で金利がほぼ消失している折、金利が付かないという金の弱点解消が囃されるのには十分な局面か。思えば新型コロナ第一波の時に全部安の如く一緒くたに売られた場面も絶好の拾い場であったが、上記ドル安以外に米中対立深刻化などの地政学リスクも燻り代替資産たる金への資金シフトはまだ暫く衰えそうにもないか。


総合取引所への移行について(TOCOM→OSE)

2019年10月に「東京商品取引所」が 「日本取引所グループ」に加わったことより、2020年7月27日より「日本取引所グループ」下の 「大阪取引所」へ、 東京商品取引所で上場されているエネルギー市場以外の商品(貴金属市場、ゴム市場、農産物市場)が移管されます。以下で各社のご案内を掲載していきます。


会社名掲載日内容
岡地5/08総合取引所への移行について
北辰物産5/22商品移管に伴う必要な手続き及び取引ルール等の変更点
フジF5/22大阪取引所(OSE)移管に伴う当社におけるルール等の変更について
楽天証券6/26総合取引所実現に向けた当社対応につきまして
日産証券7/06総合取引所移行7月27日(月)以降の主な変更点等