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あれから9年

本日で東日本大震災から9年が経過した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が注視となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、各地でインフラの整備が完了に近付く一方で今なお被災地では48000人近くが避難生活を余儀なくされている。

当時は3基の原子炉が次々にメルトダウンを起こすというまるで映画のようなシーンが現実に起こり、金融市場もサーキットブレイカーが短時間に2度も発動されるなどパニックになったのが鮮明に思い出されるが、皮肉なことに今年はちょうどこの期にコロナショックで金融マーケットが同じような事態に陥っている。

一部の小学校などではこの時期に防災啓蒙で各種の非常食が配られるのが恒例となっているが、これまた今年の場合はコロナの影響からくる巣ごもり消費とやらで非常食の引き合いも強くなっている。何れにせよ政府が復興・創生期間と位置付けた震災10年まで残り1年、復興への思いを風化させず真摯に課題と向き合ってゆく事が重要か。


アルゴ席巻

本日の日経紙総合面には「コロナショック市場緊迫」と題し、金融市場でパニック的な動きが広まった旨が出ていたが、株や原油の暴落もさることながら前日の外国為替市場でも円が2分で1円50銭急伸するなどで急速な円高・ドル安が進行した結果、円の対ドルの年間値幅は10円を上回ることとなった。

ザラバ急伸の要因の一つとしては某ネット証券のシステムトラブルも挙げられていたが、為替市場での荒い値動きの背景として株式市場で普及しているアルゴリズム取引が同市場でも伸びている事も書かれていた。2年連続で値幅が過去最少を記録するなど低ボラ慣れの均衡が崩れたケースだが、この辺はオプション市場のセルボラが外れた時のパニックにも似ているか。

電子取引の普及を巡ってはちょうど一週間ほど前にも同紙でHTF業者が日本の特異なダークプールの構造を逆手に取って収益を狙う仕組みを取り上げていたが、ロスカットプログラムも東日本大震災時のオプション市場で物議を醸し出した経緯がありこの辺の機会不平等はリクイディティー提供と共に一括りで一朝一夕には解決が難しい問題か。


悲観を呼ぶ悲観

週明けの日経平均は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず投資家心理が一段と悪化するなか、OPECプラス会合でも協調減産が決裂した事を受け業種を問わず売りが加速し昨年の年明けの急落以来約1年2ヵ月ぶりに節目の20000円を割り込む大幅続落となり、TOPIXも2016年11月以来の安値水準となった。

東証一部の時価総額はここまでザッと130兆円あまりもの減少を見せ上記の通り本日もさながらセリングクライマックスのような四桁暴落となったが、スパイラルな売り圧力で落ちるナイフを積極的に拾う動きは殆ど見られず日銀の粛々としたETF買い入れが先週末同様に1002億円行なわれたのが不気味に目立つ。

日経VIも前週末比で11.30ポイント高の47.71と急伸、斯様な状況から夜間取引に入ってからも19,000円の大台をも割り込む大幅続落を見せたかと思えば急速に戻してプラス圏に浮上する局面もあり、合せてオプション市場もプットが夜間に入り更に倍化したのも束の間、高値から2時間も経たないうちにあっという間に4分の1まで売られるなど東日本大震災やリーマンショックを彷彿させる動きを演じている。

昨年から凪のように横這いだった為替もここ数日であっという間にはや101円台にまで上昇、主力企業の想定為替レートを考えるにここまで僅かに残っていた業績の踏み止まり期待も諦めに変ってきているが、日銀のETF買い入れコストも意識される水準に迫るなか先物中心とした暴走に振り回される展開はまだ収まりそうにもないか。


流出と流入の危機

本日の日経紙商品面には「和牛仔牛6ヵ月連続下落」と題し、新型コロナウイルスの感染拡大で国内の和牛消費を支えてきた訪日客層の減少等から肉相場安が加速、仔牛価格にも下押し圧力がかかる悪循環などで1月は前年比で約5%安となり前年比割れは6ヵ月連続となるなど価格下落が顕著になっている旨が出ていた。

ところで和牛といえば当欄ではブランド化とその保護に関して昨年末に和牛の海外流出を防ぐべく法整備を固める方針の旨を書いていたが、同日の経済面には和牛遺伝資源の海外流出を防ぐべく生産者側の裁判所に差し止め請求や刑事罰含めた法制度が出来る旨が書いてあった。

この手の対策は急務の課題だっただけに些かの後手感は否めないが、まだ他にも日本で10年前に品種登録されたブランドサツマイモの紅はるかなどお隣の韓国で正式に輸入されたものではないにも関らずこのコピーが蜂蜜サツマイモなる名前で今や栽培量の4割を占め、シンガポールや香港などに輸出攻勢している旨を先月のWBSでも観た。

昨年は農産品の輸出目標として掲げた数字が未達に終るなかこうした輸出攻勢は本邦戦略にも影響してきそうだが、TPP発効で冒頭に関して言えば安価な肉やまたフルーツなども然りでこれらが幅広く流通してくるなか本邦のブランド保護問題の重要性はますます増して来ようか。


Super Tuesday

本日の日経平均はVIXやVIが高水準を維持し戦々恐々のなか、日銀によるETF買い入れ観測や米大統領選に向けた民主党の候補者争いを巡り中道派の前副大統領が複数の州で勝利を確実にしたと伝わり、海外の短期筋などが先物へのカバーを入れた事もあって辛うじて小反発となった。

序盤でこそサンダース氏がアタマ一つ抜きんでていたわけだったが、ここへきてバイデン前大統領が予想外の健闘を見せた事が本日のマーケットにもサプライズとなった格好だが、どこで流れが変わるかわからず大統領選に向けた候補者選びは益々激しさを増しているという感か。

しかし米大統領選に向けた米民主党の予備選等が集中するこのスーパーチューズデーもさることながらTV等で多くの学生達が授業が始まっているにも関わらず投票の為に何時間も列に並び、マイクを向けても自身の言葉でビジョンをしっかりと語っている光景を目にするにこの辺一つとっても投票に行きたがらない日本の若年層との違いに危機感を覚える。


令和元年なでしこ銘柄

本日は女子の健やかな成長を祈る年中行事の雛祭りであったが、東京都心の方は午後には17度を超える4月並みの暖かさとなった。今月中旬にも今年の暖冬傾向による商戦の変化を取り上げたが、なんでも雛祭りとしては54年ぶりの暖かさで観測史上3番目の暖かさだったらしい。

その辺は兎も角も今年は新型コロナウイルスの感染拡大懸念で各所のひな祭りにちなんだイベントは何所も自粛ムードとなっている模様だが、ひな祭りといえば当欄では今から7年前にも一度取り上げ今年ではや8回目となる女子社員を積極活用し経営効率も高いという女性が活躍出来る企業として所謂「なでしこ銘柄」が今年も東証で粛々と選定された。

JPXの令和元年度選定企業一覧を見てみると一番上にはカルビーがあるが同社はSDGs食品ロスの関連銘柄でもあり、また大塚ホールディングスも生保系のSDGsファンドの組み入れ銘柄上位になっていた経緯もあり、この辺のカバーなどESG投資が活発化してきている近年はこうした部分に配慮した事業活動の傾向が各社顕著になってきている感がある。


揺れ継続

先週末の欧米株式の続急落を受け懸念された週明け本日の日経平均は日銀総裁談話が報じられ、一回の買い入れ額としては過去最大の日銀によるETF買い入れ実施をした事から終わってみれば6営業日ぶりに反発となったが、その値幅も758円と2018年2月6日以来約2年1か月ぶりの大きさとボラタイルな展開となった。

日米欧の時価総額は前週末比較で1割減少したと先週末の日経紙一面では報じられているが、オプション市場も半信半疑なコールに比較し手掛け易い3月限プット17750など本日は寄り付き99円が夕刻には50円台に半減したのも束の間、これを書いている現在は185円の高値を付け約3倍に急騰するなど目まぐるしい展開を見せている。

街へ眼を遣ると外出自粛ムードも相俟って先月の百貨店売上高は前年同月比2桁減少が相次ぎ、首都圏ではホテル料金も軒並み2〜3割ディスカウントになってきている。また本日からの休校要請でテレワークと共に休校で自宅のパソコンやタブレットを活用した教育もテレワークと共に注目を集め出した。

ともあれ日銀総裁談話で取り敢えずの一服を見せた日経平均だが、各国による協調利下げが実施される運びになってもそれで企業業績の急回復が望めるワケでなく、ましてや新型コロナウイルスの感染拡大が止まるワケでもないわけで今後のディスクロで更に顕著化して来る経済への影響とタイムラグの先取りとが交錯する相場展開になろうか。


焦土作戦?

さて、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の警戒感から本日も日経平均は大幅に4日続落となり銘柄によっては魅力的な利回りのモノも出てきたが、先週末の日経紙・真相深層では前田建設工業によるTOBの標的となった前田道路がこれに対する対抗策として従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施を決めた旨が出ていた。

要はTOB条件によく付帯されている買収対象の資産価値が大幅に変動するようなケース、つまり今回の場合は10%以上が減少する場合はTOBを撤回出来るという条項をTOBを断念させるべく実際に行ってしまおうというものだが、確かに豊富な現預金を吐き出した箱になお買収する合理性があるのかというところで何とも捨て身な作戦に出たものだ。

このTOBに関しては当欄で先月末に一度触れているが、前にも書いた通り同じ前田の名前が付くも元は他人同士で独立を保って成長してきた経緯があり、しかも時価総額で見れば前田建設工業よりも上位に位置しているだけに一言では語れないようなある種プライドのようなものがコアになっている感も。

豊富な手元資金を巡ってはまだ投資ファンドがハゲタカ等と揶揄されていた時代から多くの上場企業がこの点を指摘されターゲットにされてきた問題でもあったが、このご時世に余剰資金を成長投資に使う事なくTOB回避の増配に回さざるを得なくなった今回のケースは企業価値向上という部分でまだ新たな問題提議をしそうだが、さて、捨て身に出た前田道路の賭けが奏功しTOB撤回となるのか否か先ずは注目しておきたい。


有事の無国籍通貨

さて、昨日記の通りで新型コロナウイルスのパンデミック懸念で各国株式市場は大幅続落となっている一方で、【GOLD NEWS】にも連日挙がってきているように再び騰勢を取り戻しているのがゴールド。国際価格は先週7年ぶりに1,600ドルの大台に乗り、TOCOMの金も円安と相俟って連日の上場来高値更新を演じる事となった。

当然ながらETFなども今週に入ってからそれぞれが続々と年初来高値更新となっているが、昨年末段階の投信番付では金鉱株モノが更にレバを効かせ先進国株式型の過去1年の運用成績調べの1位と2位は南ア・オーストラリア等の金鉱企業株式を主要投資対象としたブラックロック・ゴールド・メタルとなっていた。

この背景には米中貿易摩擦に中東問題、香港デモなど地政学リスクの高まりがあったが、現在は何と言っても直面している新型肺炎のパンデミック懸念が原動力になっている。加えてFRBの利下げ観測の高まりなど世界的な利下げムードも下支え効果となり昨年から続く息の長さが今年もより一層鮮明になって来た感もある。


2/25よりセルフコースの売買手数料を引き下げ

北辰物産は、2020年2月25日(火)夜間立会より、セルフコースにおける売買手数料を引き下げ、およびボリュームディスカウント「ヘビーローテーション割引(ヘビロテ割)」を導入。

▼セルフコース売買手数料値下げのお知らせ


■セルフコース売買手数料引き下げ



■ヘビーローテーション割引



※1:ヘビロテ割は、3月の新規建玉実績を基に4月から適用開始となります。
※2:各月の月間合計新規建玉枚数が1000枚以上で、該当月の翌月第二営業日夜間立会開始時(16:30)から、翌々月の第一営業日(15:15)までの1か月間、同期間中に行った新規建玉を対象にヘビロテ割が適用されます。
※3:ヘビロテ割適用期間中に行った新規建玉の仕切り手数料につきましては、適用期間終了後でもヘビロテ割の手数料となります。
※4:ヘビロテ割は、適用期間中に行った新規建玉が対象となりますので、ヘビロテ割適用期間前に行った建玉の仕切り手数料につきましては、通常の手数料が適用されますのでご注意下さい。

パンデミック懸念

週明けのNY DOWは1,031.61ドル安とその下げ幅は2018年2月8日の1,033ドル安以来、過去3番目の大きさを演じ、連休明けの日経平均もこれを受けザラバで1,000円を超す急落を演じて引けは781円安と2019年10月21日以来、約4か月ぶりの安値水準で引けた。この連休中にイタリアや韓国で感染者数が急増した事でさすがにパンデミックが現実味を帯びてきた表れか。

マーケットの構図も先週はTA等のファンド勢の短期マネーを背景にNT倍率が約28年ぶりに14倍の大台に乗せる歴史的な水準を記録、TOPIX先物への執拗な外資売りにSARSの時の覚えで日経平均も悲観視されていなかったバレンタインデーの頃には既に金も40年ぶりの高値まで不気味な上昇となっていたのも今更ながら急落に備え粛々とヘッジが這わされていたという感もある。

パンデミックでオリンピックの東京開催が難しくなるシナリオが最悪のケースだが、一方では上記のSARSやMERSなど歴代のパンデミック懸念時にショック安した後の騰落率を見るに有事の買いは奏功し易く、セル・イン・メイの前の仕込みにこの2月を挙げる市場関係者は多い。果たして今回もこのアノマリーが適うのか否か、VIXやVIなども睨みながら引き続き注視しておきたい。


アカデミー賞もSDGs

さて、今年第92回となる映画界最大の祭典でもあるアカデミー賞ではメーク部門で日本のカズ・ヒロ氏が二度目の受賞を果たす快挙となったが、もう一つは韓国の映画「パラサイト」が作品賞など4部門を制するという非英語の映画では初の賞を獲得するといういつもとは違った光景が話題になっていた。

さて、アカデミー賞といえばレッドカーペットにセレブが豪華ファッションで集結するのも定番の光景だが、もう一つ印象的だったのは今回はサスナビリティ(持続可能)がテーマだっただけに女優のグッチのドレスも英アカデミー賞で着たドレスをリメイクしたものあり、また別の俳優のプラダのセットアップも廃プスチック等を再利用したリサイクルナイロン素材を使用しているものなどこの手が目立った。

そういえばこのプラダは5月にブランドとして初めて日本で予定していたファッションショーが新型肺炎の影響で延期となってしまったが、ファッションショーといえば先に英ロンドで開催されたトミーフィルフィガーのショーではオーガニックコットンやリサイクル素材等を使ったこれまたサステナブルファッションが話題となっていた。

これまでレッドカーペットなどの衣装は1回のみという最初で最後の着用が美の定義であったものだが、斯様にサステナビリティを敢えて選ぶという今年の授賞式を見るに美の定義が変わりつつあるこうした光景はファッション業界の歴史が変わる節目を予感させるに十分かもしれない。