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急先鋒

さて新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による世界経済の減速懸念から投資家のリスク選好姿勢が後退、世界の主要株価指数が連日大幅続落となっており日経平均も今年最大の下げ幅を演じた昨日から本日も続落となった。そんななか個別で目を惹くのはやはり新型肺炎関連株の局地戦か。

圧巻は関連筆頭格の医療用衛生材料最大手の川本産業で、本日で実に7日連続のストップ高の離れ業を演じ破竹の勢いで年初来高値を更新していた。他にも前日にストップ高を演じた防塵マスクの重松製作所も本日は続伸し年初来高値を更新、ほか引けこそダレたがシキボウも本日は年初来高値を更新している。

確かに先週末ビックカメラに立ち寄った際に中国人が殆ど狂気ともいえる量のマスクを持参のバッグに入れ店員と揉めていた光景を目にしたが、国内大手各社も急遽増産の対応を迫られている模様。こうした銘柄の局地戦はこれまでも見られたが斯様に先取りされたパンデミックの恐怖も何所で終焉を迎えるのか今しばらく注視しておきたい。


魅せる割高感

さて、先週は米電気自動車メーカーのテスラが市場予想に反した黒字発表以来株価上昇が加速、年初から約4割上昇して上場来高値を更新しその時価総額が1,000億ドルを超えて独のフォルクスワーゲンを抜いて自動車メーカーではトヨタ自動車に次ぐ2位に躍り出たのが関係者の話題になっていた。

テスラといえば一昨年だったか空売り勢が挙って同社株に攻勢を仕掛けたところへMBO計画の大風呂敷を広げたのが記憶に新しいが、結局このMBO劇は幻に終わったものの当時買い付けるとした金額が1株あたり420ドル、それが冒頭のフォルクスワーゲン超となった先週22日の終値が569ドルだから当時踏まされた売り方もヤレヤレといったところか。

とはいえ通期黒字化も未達な上に20年度の市場予測ベースでの予想PERは77倍台と、独フォルクスワーゲンの6倍台やゼネラルモーターズの5倍台にフォード・モーターズの7倍台、更には我らがトヨタ自動車の9倍台と比較しても割高感は否めず依然として同社株のカラ売り人気も根強い。

先週の日経産業紙でも「グーグルとテスラ、大義の有無」と題し、学生達の人気を二分しているグーグルとテスラという両極端な企業は何が魅力なのかという点についてスイスのビジネススクール教授の視察談が書いていたが、先ずは今週の19年10〜12月期の決算発表が注目される。


技術進歩と本質

さて、先週から話題になっているニュースといえばオリンピックの選考を間近に控えるなか、次々と世界記録を打ち出しているナイキの厚底シューズを近く世界陸連が使用禁止にする可能性があるという件か。何しろ日本記録を相次いで更新した2人の選手や、昨年の東京オリンピック選考レースでは代表内定の男女4人のうち3人がこのシューズを使用。直近の箱根駅伝では選手の84%がこれを使用していたというからその影響は計り知れない。

この報で先ず直ぐに思い出したのが競泳の英スピード社が開発した無縫製水着レーザー・レーサー問題か。既にマイケルフェルプスが席巻していた2008年北京オリンピックで登場し世界記録を樹立した金メダリストの94%がこれを着用、北島康介選手もこれを着用し平泳ぎで世界記録を更新し2大会連続の2冠を達成したものだったが、2010年にFINA(国際水泳連盟)がこれを使用禁止にして高速水着時代は終焉を迎えた経緯がある。

この報を受けた先週はアシックス社の株価がザラバで7.9%高まで急騰する場面があったが、同社も1960年代にはマメが出来難いエアーベントシステムを取り入れたシューズのマジック・ランナーを開発、魔法の靴として絶賛され実際に国際大会のマラソンでこれを履いた日本人選手は銀メダルを獲得した経緯もある。

この手では他にゴルフも2008年より施行された世界共通SLEルールによって試合でスプリング効果を持つ高反発ドライバーの使用が禁止になるなど高性能モノに待ったが掛かった例はいろいろあるが、各々の禁止ラインが個別で測れずその線引きはじめメーカーが絡んだ圧力や忖度思惑など一般には不透明極まりないのは否めないところ。

何れにせよ世界陸連側は今月末に調査結果を発表する見通しというが、ただでさえコースがコロコロ変わったり今回のようにオリンピック選考を間近に控えたところで突然厚底がダメ云々、それに合わせた選手の調整変更やモチベーションの問題はもとより開発に鎬を削っている企業の為にも早急な結論が急がれるところか。


金との差異

本日の日経紙金融経済面には「仮想通貨 遠い投資対象」と題し、暗号資産(仮想通貨)が機関投資家の参入が限定的で、19年に新設されたファンドは17年や18年の約300から約130へと半減、撤退したファンドも約70と18年の50から増加するなど投資対象として厳しい環境に置かれている旨が載っていた。

投資対象という絡みではビットコインのETFなど当欄では一昨年の夏あたりから何度も取り上げ昨年夏にはCBOE(シカゴ・オプション取引所)が自ら申請を取り下げた旨を書いていたが、これと時を同じくし同所は17年から開始していた先物の取り扱いを取り止め、この後にICE(米インターコンチネンタル取引所)が始めた先物もリクイディティーを確保出来ていない状況という。

斯様にヘッジ手段が乏しくなれば表題にあるように投資対象としての魅力は乏しくなってしまうものだが、当初は発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面では金(ゴールド)と共に括られてきたモノも諸々の申請過程を見るに金とはやはり一括りには出来ぬ仮想の部分がクローズアップされてきた感がするか。


アクティビストもまた

昨日は東芝のニューフレアテクノロジー社へのTOB成立の旨を買いたが、このTOB成立の鍵を握っていたニューフレア社大株主の東芝機械もまた旧村上ファンド系のオフィスサポートからTOBを実施する旨の通告を受け、当の東芝機械側は事前に防衛策の内容を開示するという手段に出ている。

ところで旧村上ファンド系といえば南青山不動産が昨年末に昨日取り上げていたニューフレアテクノロジー社の大量保有報告を提出していたのが記憶に新しいが、HOYAが同社にTOBを仕掛けたとの報道後にこのニューフレアテクノロジー株を売却していたのもいろいろと関係者の思惑を呼んでいる。

買収防衛策を巡っては近年では廃止の方向というのが世間の機運となっているが、一方で今回のようにルール等を設定・公表する事前警告型を新たに設けるケースも数年前から散見されていた。低金利環境長期化や証券会社もまた本日の日経紙にも出ていたように代理人業務における姿勢の変化など、今年もアクティビストにとっては追い風で摩擦をもいとわない姿勢でのTOBは引き続き増えて来る可能性が高いか。


勝算追究

さて、先週末の日経紙総合面には「HOYA、ニューフレア買収断念」と題し、東芝が半導体製造装置の上場子会社であるニューフレアテクノロジー社に対してのTOBが成立した事に伴い、同じくニューフレア社に対しTOBの方針を表明していたHOYAが同社の買収を断念した旨が載っていた。

この件に関しては当欄でもちょうど一カ月くらい前に取り上げていたが、TOB成立のカギを握っていた大株主の東芝機械が応募した事でやはりというかHOYAの芽は無くなったというところで、HOYAのCEOも当初より数年の話し合いの間で東芝側から明確な回答を得られず可能性は五分五分としていた通り淡々とした気持ちという感じか。

昨年に国内で届けられたTOBの総額は一昨年のそれの2倍以上上回り2007年以来の高水準に膨らんでいるが以前にも書いた通り水面下で青写真を描く案件は多く、今後もガバナンスを背景に純粋に親和性を追求し規模に拘らず勝算のある案件であるなら積極的に打って出る姿勢は続こうか。


実証実験開始

さて、今週からコンビニや駅ナカなどでフードロス対策の実証実験等がスタートした事もあってか今週放映されたWBSやガイヤの夜明けでは同じ日にこの問題を取り上げ、昨日のFNN LiveNewsでも同じくこの問題を取り上げている場面があるなど今週のTVではこのテーマを見掛ける機会が多かった。

昨年のTV番組でこの問題が取り上げられた際にはコンビニなどでは店頭に並んで数時間で廃棄処分の憂き目に遭う冬の風物詩おでんは廃止してゆく方向とする旨の報道もあったが、今回はファミマがその対策としてレンジで温めて食べるおでん(レンジアップおでん)を開発し一部店舗で発売が始まった。

東京都も食品ロスを2050年に実質ゼロとする目標を先に定めているが、東京駅では駅ナカのベーカリーが売れ残りのパンをフードアプリ(TABETE)によるロス対策や、従業員向けに売れ残りパンを駅ナカ施設としては初めて販売する(レスキューデリ)の実証実験を今週からスタートさせている。

また一流シェフらによる未利用野菜等を使うフードロス対策の様子も放映されていたが、3分の1ルールで弾かれた賞味期限の近い商品を売るスーパーも近年増加してきているなど、消費者側としては勿体無い云々などの大義名分のもとに廃棄を減らすというより定価の何分の1にもなったコスト等に魅力を感じている構図か。何れにせよ形態はどうあれフードロス対策も新たな食の選択肢を楽しむアイデアと共に日進月歩の展開か。


10大リスク2020

さて、年が明けて早々の日経紙国際面では政治リスクの調査会社ユーラシア・グループの10大リスクが度々取り上げられるが、先週に同紙で取り上げられた今年の10大リスクは首位の「誰が米国を統治するか」からここ数年常連化してきている10位のトルコまで並べられており米が絡むモノがやはり複数挙げられて来ている。

今年は既にこれまた常連の中東の地政学リスクの高さが際立った年初めとなったが、その構造変化もあって原油価格は一時の上昇にとどまりあと不気味な静けさを見せている。とはいえこの辺もまた米国の大統領選を背景にしたものでもあり11月を睨みその不確実で不安定な外交政策含めた諸々がリスク要因として燻ろうか。

他に10大モノといえば米投資会社ブラックストーン副会長バイロンウィーン氏の「びっくり10大予想」もまた年初に注目を集めるが、今年の同氏は11月の大統領・議会選挙で民主党が上院議席の過半数を確保するとの予測を出し、ユーラシアと重なる部分では気候変動等も政治情勢の主要争点ともなるとしておりはたして的中率は如何に各々注目しておきたい。


スマホ用「D-touch」にテクニカル分析7種類追加

北辰物産は、2020年1月14日よりスマートフォン用トレードツール「D-touch」に7種類のテクニカル分析を追加し合計11種類に。また過去データも400本分の値段を遡って確認することが可能に。

▼「D-touch」 チャート表示機能の追加のお知らせ


D-touch テクニカル分析一覧

<トレンド系>
移動平均線
ボリンジャーバンド【追加】
一目均衡表【追加】
EMA【追加】

<オシレーター系等>
RSI
ストキャスティクス
RCI【追加】
DMI【追加】
MACD【追加】
出来高
取組高【追加】

倍々規模

さて、本日の日経紙企業面には「ゲーム企業eスポーツ軸」と題し日本のゲームソフト会社が自社ソフトの大会に海外からの参加を募って規模拡大を急ぐなど、主力の米中勢が作り上げたeスポーツ参加者がゲームの売り上げを押し上げるビジネスモデルの転換を目指すべくeスポーツに力を入れている旨が載っていた。

上記の通り同ビジネスモデルを構築した海外勢がこの分野では先行しているが、昨年の市場規模は前年比27%増の11億ドルと大幅に拡大、これが22年には更に22億ドルになると和蘭調査会社は予測しているが、こうした波の影響で国内でも昨年のeスポーツの市場規模の拡大は疑う余地も無いところだが依然その差は大きい。

というワケでその伸び代の大きさから従来はゲームと関連付けてイメージが湧きにくいメガバンクまでスポンサーとして名乗りを上げる動きが出て来たり、コナミHDは大会育成や人材育成の為の複合施設を銀座に竣工、TikTokも実況動画の配信が増えるなど環境整備も顕著化してきているが、5Gの商用サービススタートも睨みまだまだその商機に乗るべく鎬を削る展開が続こうか。


2020年経営者よそう

さて年初といえばもう恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズだが、今年もまた当欄で振り返ってみたい。日経平均の高値予想は平均で23,925円であったが12月の高値24,091円に対してほぼ的中水準、また安値予想の方も平均で19,110円であったがこちらも1月の安値19,241円に対してほぼ的中であった。

ところで当れば凄かったが、長年のあいだ万年強気とほぼ願望で固める暗黙ルールの中で年初安の年末高と判で押した予想しかしない大手証券社長と違って、ネット系では大手カブドットコム社長など昨年年明けのWBSで年平均は17,500円台と予想、右肩下がりの展開で「もう2万円はないと思う」と大胆に予想していたが結果的に大外れしてしまったもののこうした意見が出てきたのは面白い。

結果的に年末高で個別の有望銘柄として選ばれたモノも1位のトヨタ自動車、2位の信越化学から3位のソニー以下まあどんな銘柄を選んでいたとしてもいずれも素晴らしいパフォーマンスであったが、今年もこの有望銘柄のベストスリーは変らずその順番が入れ替わっただけとこの辺は手堅く置きに行ったという感じ。

というワケで今年の日経平均の高値予想は平均で25,450円となっていたが、毎回えいやっという感じで高値は12月の27,000円などと大風呂敷を広げる某大手証券社長などはさて置き、総じて6月に高値を付ける見方が多い。一方で安値予想は平均で21,625円となっていたが果たして大納会にはどのような展開になっているか昨年同様に今年の「子繁盛」の相場に注目したい。


マグロ初セリ2020

さて、昨日は小売りの初商戦に振れたが初といえば先の日曜日には築地市場から移転して2度目、そして令和初となる新年のマグロの初セリが行われた。最高値の鮪を競り落としたのはやはりというかもうお約束のすしざんまいを展開する「喜代村」で、その値段は昨年に次いで過去2番目の高値となる1億9320万円の値がついた。

初めて1億円の大台に乗った2013年の翌年14年は736万円と一気に急反落した経緯があったので、昨年の3億3,360万円からの今年に注目していたのだが下がったとはいえなんともお高い。ザッとキロ当たり70万円という事は一貫当たり平均14,000円くらいだろうが、PR効果を狙うすしざんまいはいつも通り通常の価格で振る舞われた。

ところでこんなイベントの費用対効果はそれとして、年末の日経紙では「高級魚 身近なお正月」と題し今冬は贅沢なクロマグロ等が養殖技術の進化や資源保護の成果などを背景に値下がりし買い求め易くなったと報じられている記事を見掛けた。近年の海産物高騰で日本の味覚が庶民の懐に厳しくなってきているが、そんな状況緩和の一端を担ってゆく事となるのかどうか今後に注目しておきたい。