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環境と倫理観

さて、先週末の日経夕刊社会面には「SNS映え 食べ物粗末に」と題し、所謂「映え」を狙った挙げ句に結果として食品を粗末に扱う類の投稿が後を絶たない旨が取り上げてあり、またその舞台となった繁華街などでは食材の食べ残しやゴミの放置などの問題も深刻化している旨が書いてあった。

この辺に絡んでは当欄でも2年前の秋頃に、SNSの写真を撮ったら用済みで一寸口を付けた商品がゴミ箱に大量廃棄されている様が話題になっている旨を取り上げた事があったが、食品ロス問題などへの取り組みが企業や自治体などを中心として盛り上がりつつある機運の中でこうした行動が並行してエスカレートしている構図が奇異に映る。

ただ背景を考えてみるにその底流には、例えば上記の食品ロスなどこうしたSNS映えを狙う世代がバイトなどしている販売店などがイベント毎に販売力をはるかに超える仕入れを行い、売上に陰りが見えれば彼らに無理矢理購入させそれでも残れば躊躇なくどんどん廃棄する様を彼らは日々見せられているワケで、斯様な環境下で彼らに倫理観への理解が如何ほどあるかこの辺を考えなければならない。


楽観支配の咎め

本日の日経平均は米中貿易摩擦と世界景気への影響を懸念して4日大幅続落となり約1か月半ぶりの安値圏に沈んだが、本日の日経紙にも「米中不安市場揺らす」と題しVIが日米欧で揃って上昇、一昨日の所謂恐怖指数であるVIX指数は一時3か月ぶりに節目の20を上回った旨が書いてあった。

このVIXといえばやはり思い出されるのがこれに振り回され大荒れ模様となった昨年2月が鮮明に思い出されるが、先月末時点でヘッジファンドなど投機筋によるVIX先物の売越残高は18万359枚と実に統計を遡れる2004年以降で最大となっていた旨も一昨日の同紙に載っていた。

東日本大震災の時に先物オプション市場に溜まっていたセルボラが大パニックになった時も然り、リスク・パリティ型ファンドが増殖している近年昨年2月以降でも10月の乱高下なども記憶に新しいところで、低金利と低インフレを支えに変動の小さい相場が続くと「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の如く楽観がまん延していた証左の最大の売りに逆回転がまたも牙を剥いた格好になったか。


ブランド化の仕掛け

昨日のテレ東系ガイヤの夜明けでは「大人気、高級食パンなぜ?」と題し、今話題の仕掛け人を中心とし老舗惣菜店などとコラボして新しいパンを作ろうと試みるなど食パン市場の知られざる戦いの現場が放映されていた。この高級食パンといえば当欄でも昨年11月頃に一度これに触れている。

その時は高級食パンブームの先駆けとなった店のパンが自宅で作れるという触れ込みでホームベーカリーまで登場した人気ベーカリーの「乃が美」が麻布十番の店を開店させるなどいよいよ東京進出のはこびとなった旨を書いていたが、同放映で登場したのはいずれも奇抜?な店名と完成度の高いパンのギャップが特徴的な店舗であった。

その完成度の高さも添加物を一切使用していない生クリームなど素材の拘りがあってこそだが、生クリームも最近ではこれに特化した専門店まで出来ている。型に嵌めたロジックではないがしっかりと計算された作り込みが集客のキーとなっているが、特化したブランド化の成功の背景にあるのはつくづくマーケティングの重要性だと再認識した。


平成から令和へ

皇位継承の都合で史上初となった大型連休が終わったが、周知の通りこの間に平成から令和へと元号が変わるという歴史的イベントがあった。平成の時のように御崩御に因るもので無い事で各所では歓喜のカウントダウンが行われ、一部では婚姻届けの専用ブースが用意されるなど列島は大興奮のうちに令和のスタートを切った。

果たしてというかTV等では毎度定番となった渋谷スクランブル交差点の様子が放映されていたが、日常で元号との接点が見出し辛い若年層にも30年ぶりの改元は改めて平成を意識し特別感を感じられるイベントとなったか?また商戦の方も一生で一度を謳い文句にマーケティングにはうってつけの環境を背景に便乗組含めこれに賭ける様が彼方此方で見られた。

想えばバブル崩壊と再生で日本経済の存在感が低下したあっという間の30年であったが、この間に米英の名目GDPが約4倍になったのに対して本邦のそれはデフレを背景にその半分にも満たない状況にとどまっている。一生に一度モノで見る平成やミレニアムでは1-3月期でGDPが前期比2%前後の伸びだったが、はたして今回の改元ではどうなるか興味深いところ。


史上初大型連休

さて、いよいよゴールデンウイークが目前に迫ったが、今年の場合は皇位継承の都合もあって10連休と過去に例を見ない事例となる。世の働き方改革の掛け声もむなしく実際には休日取得が難しいサラリーマン諸氏には有休を取る必要の無いこの連休は感覚的に嬉しく錯覚する向きもいるかもしれない。

ところで一方では、一昨日の日経紙にて「証券会社とお取引のある皆様にお知らせです」と題し10連休中の休業についての告知が全五段で出ていた通り、株式市場も初の長期休場となり一部先物で商い機会は提供されるものの為替など他のマーケットと併せこの初の長期休場はいろいろな意味で試金石となろうか。

各経済シンクタンクではその経済効果を試算しており、その各所での消費効果でGDPを0.1%ほど押し上げる効果があるとの試算も一部に出ており既にこれを囃してOLCやANA、HISからJR東海まで株価はそんなテーマ物色で堅調推移してきたが、サマーバケーション前にガッツリ消費を刈り取る構図は需要の先食いをしている部分も無いワケではない。

また上記の相場モノも連休明けにはその間の重要イベントやらが織り込まれ一気に反映されるケースもあるかどうかだろうが、各機関の事務方もこの超大型連休明けに滞っていた皺寄せが一気に襲い掛かる構図も想定される。またぞろ働き方改革と逆行云々の論議も出そうだが兎も角それぞれの未体験ゾーンに突入である。


時代と対面需要

本日の日経紙・真相深層には「中小証券「対面販売」に限界」と題し、旧来型の営業攻勢一辺倒で次々と商品を買ってもらうようなビジネスモデルに依存してきた準大手・中堅証券会社が、デジタル化の波に乗り遅れた結果として業績悪化が止まらずなかなか先行きが厳しい旨が出ていた。

旧来型の営業攻勢といえば当欄では今年の1月に「慣行の呪縛」と題して、株式の手数料稼ぎで某中堅証券による顧客への回転売買が問題視され証券取引等監視委員会の立ち入り検査強化の旨を書いていたが、その対面のスタイルも少子高齢化の波と併せ需要とのマッチングで歪が出ていた感は否めない。

上記の件を鑑み岩井コスモ証券など金融商品の乗り換えに関わる営業では報奨金を得られなくするなど対面営業の過剰営業防止策とも言える措置を講じているが、おもえば笛吹で場立が殺気立つ光景が消えたあとはアローヘッドが稼働する無機質な光景に変り、兜町も東証から続く中小証券が犇めき合っていたその街並みもガラリと変わり果てたものだ。


安全資産一服

さてこのところ世界景気減速の懸念が一先ず後退したという事もあって、一般的に安全資産とされている金から一旦資金を引き揚げる動きを背景にして国際指標となるNYの先物価格の方は当面の下値とされた1280ドルを割り込み年初来安値を付ける動きになってきている。

先に復活しつつあるプラチナについて触れた時にそのETF残高が高値から一転急落の憂き目にあったパラジウムとは対照的に増加している旨を書いたが、その辺を見てみるとこの金も1月下旬から減少が続き今月中旬時点の合計では1709トンと月初から29トン減った旨が先週の日経紙にも出ていた。

フィジカルな部分ではもう一つ、「GOLD NEWS」の見出しにあるように、田中貴金属工業がまとめた金地金の1-3月期の買い取り量が8041トンと前年同期比で実に51%もの大幅な増加をみせ値下がり前に売りたいという向きの増加が浮き彫りになっている。相場が動きそうなファクターとなっている米中貿易問題やブレグジット等は流動的な部分も残されている事でこの辺絡め今後もこれら併せて注視しておきたい。


日本最大の株主へ

さて、株式市場で日銀の存在感が一段と大きくなり、日経新聞の推計では2020年末にもGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)を上回って日本最大の株主となる見通しの旨が書かれていた。個別でも大株主基準では3月末時点で上場企業の49.7%と半数で浮上し、23社で筆頭株主になった模様だ。

この辺に絡んでは昨年の11月頃に、大規模な金融緩和策とポジティブな運用姿勢の結果としてこの日銀とGPIFとの両者で多くの大企業の大株主に名を連ねる構図が起きていると書いた覚えがあるが、持ち合い解消機運の一方でこうした構図は特に外人勢には奇異な光景に映らないとも限らないだろうか。

冒頭の記事が出た翌日の同紙経済教室・金融政策正常化への難路でも中央大学の教授がこの出口の議論に言及していたが、末尾には今年2月に当欄で「〜日銀勘定から別の機関などに移管・分離させイグジットを探るというさながらバブル時代に証券会社で大流行した所謂飛ばしのようなスキームも〜」と書いた件と同様な見解も書かれていた。

果たして日銀が日本最大の株主となった暁には改めてまたこうした議論が喧しくなろうが、同紙でも末尾にて述べていたように、いずれにせよ購入見直し等も含めて出口に関する何らかの指針を示す時期に差し掛かっているのは間違いないところであろうか。


4/29よりTOCOMウィンドウを利用した祝日立会外取引開始

北辰物産は東京商品取引所(TOCOM)が提供する立会外取引にかかるTOCOMウィンドウ(以下、「Ne2トコムウィンドウ」)を利用した祝日立会外取引の取り扱いを、2019年4月29日(月)より開始。 本取引は日本の祝日中も行われており、ゴールデンウィーク中でも取引が可能に。

▼祝日立会外取引開始のご案内


【対応銘柄】
貴金属市場:金(標準)、白金(標準)
石油市場:プラッツドバイ原油、バージガソリン、バージ灯油
ゴム市場:RSS3、TSR20

【売買手数料及びシステム利用料】
通常のD-station手数料と共に、別途、祝日立会外取引手数料として1枚当たり片道7,560円(税込)が掛かります。
※祝日立会外取引手数料は、セルフ・プレミアムオンライン取引・及び銘柄に関わらず共通です。

【注文受付日】
Ne2トコムウィンドウが稼働する休祝日(土日を除く)に限ります。

【注文受付時間】
8時から19時まで受付させて頂きます。

【注文のご依頼方法】
※お電話のみの受付とさせて頂きます。

【注文受付の制限】
・仕切注文のみ受付致します。
・執行条件は、指値注文(FaS)のみ受付致します。尚、弊社で受注可能な指値幅は、銘柄ごとに弊社で定めた値幅内とさせて頂きます。
・一度に受付可能な指値件数は、1銘柄につき3件とさせて頂きます。
・本取引の注文の有効期限は、翌7:00までとなります。

泥船避難

さて、一昨日の日経紙には「代表がインサイダー疑い」と題して、上場廃止になったジャスダック市場の機器輸入販売会社T&Cメディカルサイエンスの社長が上場廃止前に同社株を不正売却し損失を免れた件で、証券取引等監視委員会がインサイダー取引の疑いで関係先を強制調査した旨の記事が書かれていた。

今回のケースと同様な破綻売り抜けパターンとして直近では、先月に証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を出すように金融庁に対し勧告したエアバッグ大手タカタが民事再生法の適用申請を公表する前にこの情報を内部で知り自身の保有するタカタ株を売り抜けていた元社員の例が記憶に新しい。

同紙には他にスミダコーポレーションやALBERTの元役員のインサイダー例が出ていたが、更にその前には東京スタイルと経営統合し今はその名が市場から消えたサンエー・インターナショナルの社長もファイナンス公表前に所有する自社株を売り抜けて利益を上げていたのを思い出す。

新興ポストは一頃上場ゴールなる造語が喧しかった時期があったが、そうした部分も含め新興企業に限らず上記の件も自社株保有しながら敢えて新株予約券を行使して株取得し即売したというから確信犯だろうが、今後もコンプライアンス絡めこうした問題が無くなる事は難しく課題として残り続けるか。


ダイバーシティ

さて、世界ではここ最近のニュースでまたぞろ人種差別に絡んだ問題提議が為されるものがポツポツ目立つ。先週はニュージーランドのバーガーキングが新発売のハンバーガーを箸で食べる様の広告が問題視され、イギリスの王室御用達スーパーのウエイトローズではアヒル型の3色チョコでブラックの物に醜いと文言を添えていた件が物議を醸し出していた。

箸で異国の食べ物を食べさせて揶揄するような表現と捉えられて炎上したといえば、やはり最近では昨年末のドルチェ&ガッバーナの箸でピッツァやパスタをアジア人に食べさせる広告動画が引き金となりわずか数時間で中国のマーケットを失う危機に直面した件が記憶に新しい。

冒頭の企業は早速インスタから動画を削除したり文言を変更したりとこの辺の対応はこれまで他の企業がやらかしてしまった時と同様に迅速であったが、昨日も当欄で企業のコンプライアンス問題に振れたように文化やダイバーシティについての解釈や対策等は数年前とは様変わりの昨今であると改めて思う。


ETFでマネー誘致

本日の日経紙一面には「日中ETF、相互上場へ」と題して、昨年10月の日中首脳会談で金融協力合意の一環として日本と中国の主要な株価指数に連動するETFが5月にも相互に上場する旨が報じられていた。

既にマーケットには野村の上証50連動型やサムスンのKODEX200、チャイナ・アセットのチャイナAMC CSI300や中国南方アセットの南方FTSE中国A株50、それにシンプレクスは中国H株でブル・ベアまでラインナップがあるものの、商いの方はリクイディティーを確保しているモノ、そうでないモノと明暗である。

これで更なる枝葉でラインナップも広がるというものだが、日本株ETFが中国で上場するのは初、そうした事で同時に今回の相互上場では間接効果から日本のマーケットに流れ込む中国マネーに期待がかかるというところで、今後の試金石としても今回の相互上場の行方が注目される。