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PTSでマル信

本日の日経紙金融経済面には「株売買 東証集中に風穴」と題しこれまで東証を通してしか売買出来なかった信用取引を、SBIジャパンネクスト証券とチャイエックス・ジャパンの運営するPTS(私設取引システム)に対し金融庁がこの取り扱いを先月末に認可した旨が書かれていた。

PTSのマル信に関しては当欄ではちょうど3年前に東証が閉まっている早朝や夜間も私設取引所などで信用取引が出来るようにする規制緩和に乗り出す旨を取り上げた事があったが、夜間などの時間帯は叶わなかったものの東証と同時間の取引が認められるに至った事でネット証券も挙って取次開始の運びとなる。

マル信といえば前回触れた際も書いたが個人投資家の約7割がこれを利用しているとされており、ネット証券はSOR(スマート・オーダー・ルーティング)サービスを提供する事から競争原理が働き、これら活性化の度合いによってはPTSのネックとなっていたリクイディティーの問題にも繋がってくるだけに今後が注目される。


アマゾンとESG

さて、先週末の日経紙金融経済面では「肉食に及ぶESGの波」と題し、英紙フィナンシャル・タイムズがアマゾン熱帯雨林火災をきっかけに投資家と消費者の両方から食肉業界に逆風が吹いている状況について論じていた旨が書いてあったが、「地球の肺」といわれるアマゾンの状況が深刻化するに至ってESGへの配慮に欠けるといわれる業界には改めて厳しい目が向けられている。

予てより農業関連産業とりわけ畜産業などは温暖化ガスの排出量が多い事で知られ、米でナスダックに新規上場した代替肉ベンチャー、ビヨンド・ミートが株価大化けと共に話題を振り撒くなど昨今は欧米の代替肉ブームの波が各所で波及しつつある件などちょうど一ヵ月前の当欄でも書いているが、この辺からとりわけ若者世代の代用肉指向が高まっている。

一方でそうした世相とは裏腹に同紙では食肉業界全体でサスナビリティーへの対策を怠っているとしているが、そうした事から前回書いた通りこれらESG投資のカテゴリーに括られる企業群は今後サステナブルを意識する動きの余地があり、またこれらから商機の伸びしろも多いということになるか。


逆鱗

さて、「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする香港での大規模デモが過激化の一途をたどっているが、一昨日の日経紙・オピニオンではTシャツに「香港」を独立国のように表記した問題で中国から強い批判を受け7月にその販売を停止、8月に謝罪することを余儀なくされた伊ヴェルサーチが店の写真入りで出ていた。

これ以外にもヴェルサーチと同じように香港を中国とは別の国であるように表記したTシャツを販売したとして、米コーチや仏ジバンシィも相次いで大々的な謝罪に追い込まれているが、何れにせよ香港とその主権を巡る緊張がファッション業界にも飛び火した格好となったか。

この一件ではヴェルサーチのアンバサダーを務めていた女優のヤン・ミーが同ブランドに対し契約解除を申し出るに至ったが、アンバサダーが降りるなど中国人モデル達がショーをボイコットした昨年のドルチェ&ガッバーナ事件を彷彿とさせる一件だ。

ところで先にLVMHなど仏高級ブランド大手3社の2019年1〜6月期業績が纏まり3社共に前年同期比で2ケタ増を記録する結果となったが、いずれも牽引役となったのは中国である。アパレルに限らず中国市場を重視する外国企業ほど国家主権はじめ文化や多様性に関しては今後も一層の注意が求められようか。


炙り出しと受け皿

さて、今から4年ほど前に当欄では「再来年から導入されるコーポレートガバナンス・コードで今後持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるか」としたが、日曜日の日経紙には「持ち合い株27兆円」と題し、上場企業の持ち合い株が日本株全体の約596兆円の時価総額の約5%を占め約27兆円にのぼることが明らかになった旨が出ていた。

持ち合い株を保有する合理性が一段と問われるなか旧財閥系や多くの取引先を持つ向きなどを中心には未だこれだけの持ち合い株が存在するが、この辺に絡んでは同紙ランキングに挙がっていたリクルートなど政策保有株として保有する幅広い取引先からの売り圧力が俄かに高まっている旨を当欄でも書いた事がある。

末尾には企業の持ち合い解消に対する姿勢がガバナンス改革の代理変数を見なされるようになってきたと書いてあったが、資産効率性を高めてゆく機運のなかで上記のような株式を持たれている比率の高い企業としては今後その受け皿となるべく自社株買い等の政策が益々課題となって来ようか。


次の活路

本日の日経紙投資情報面には「成人 ネット証券の危機感」と題し、ネット証券の関係者らが近年のHFT業者の台頭や日銀によるETF買い入れ等が個人トレーダーのエントリー機会を奪いつつあることを背景に、個人の市場参加者が趨勢的に細ってゆく現状に危機感を覚えている旨が載っていた。

ネットでリアルに板状況などいつでも閲覧できる今となっては、かつて株式の売買の際に担当の歩合証券マンや証券レディーなどに電話を入れて板読みなどやってもらっていたのが本当に信じられないくらいだが、少子高齢化による対面顧客の減少傾向のみならず対面から流出したアクティブ層の活力も奪われつつあるとなれば関係者の心中も穏やかではないだろう。

日銀によるETF買い入れの弊害やHFT業者の弊害についてはこれまで何度も取り上げてきたが、一方でこれらは株価下支えやリクイディティー寄与など時に現市場に必要悪?な部分も持ち合わせているあたり功罪論議も絶えない。ともあれ市場の変遷と併せネットからITまで日進月歩で業界も都度他に活路を見出す必要性が一層増してきた近年である。


争奪戦の行方

さて、ここ関係者の間で注目を集めていた旅行大手HISによる旧興銀系不動産のユニゾホールディングスへの敵対的TOBであったが、これに反発し米投資ファンドのフォートレス・インベストメントと組むなどその行方が注目されていた一件は23日にこれが終了しHISに結局株主からの応募は無かったとの発表が為されている。

そもそもの株価がTOB価格を4割以上も上回っていた事で当然の結果とも言えるが、フォートレ・スインベストメントのTOB価格をも上回っているだけに今後買い付け期限までに投資ファンド側の価格引き上げはあるのか否か気になるところだが、この案件に限らず今年は買収案件に関して公の場での争奪戦が目立つ。

ガバナンスへの意識が高まっている証左でもあるが、今回の件は発行済み株数の40.21%を買い付ける予定であったといい、先にヤフーとアスクルについて当欄で書いたように半数に満たない保有比率で保有先企業の経営を狙う案件がここ最近は増加している。残りの過半を保有する少数株主の権利が蔑ろにされないかどうかこの辺に絡んだ論議がまた出てきそうだ。


需要と倫理

さて、現在スイスのジュネーブで開催されている絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約締結国会議の委員会は、その行方が注目されていた日本など象牙の国内市場を維持する国に早期の閉鎖を求める決議案の採択を見送る事を昨日決定したと報じられている。

象牙といえば春先に当欄で取り上げた際に国内での象牙取引厳格化の旨を書いたが、その一つである登録制度を盾に国内市場の維持を訴えたのが一先ず奏功した感じか。この登録制度を前に昨年から登録量が急増している旨が報じられているが、これらから明らかに駆け込みの用が窺える。

しかしこうした駆け込み登録の中にも違法取引されたモノを含んでいる可能性もあり、日本から違法に輸出された象牙が中国で押収されるケースが既に昨年1年間の件数を上回っており、禁止が先行している国への新たな供給源に化けている可能性も指摘されているだけに今回の決定に一部で批判も出そうだ。

ここ近年は象牙に限らず鰻や鮪から鯨まで世界中から厳しい視線が向けられているが、日本のマーケットはマニアックな需要からペット用に冒頭のような絶滅危惧種等の流入が度々事件にもなる。倫理より欲望が遙かに勝る一部の富裕層マニア等が存在する限り闇マーケットは存在し続けることは想像に難くないだけに今後も厳しい指摘は続きそうだ。


脱プラ機運

昨日の朝方のTVニュースでは今年春にタイの海辺で保護され人気となっていたジュゴンの赤ちゃんが残念ながら亡くなってしまった件が報じられていたが、その体内から大量のプラスチックが見つかった事でこれが原因となった可能性が高いとの事が波紋を広げている。

上記のような動物たちがプラスチックを飲み込んで傷ついてしまっている事が問題視されている件についてはこのTV放映があった日の日経夕刊ニュースぷらすでも「なぜ今、脱プラ運動?」と題し触れられており、遅れていた日本の規制も漸く30年までに使い捨てプラスチックの排出を累積で25%削減する事が決められた旨が載っていた。

脱プラスチックについては当欄でも数度触れているが、こうした機運を背景に日経産業紙纏めの今年上半期のスタートアップ企業の調達額ランキングにはプラスチック代替の新素材を開発する企業もベスト10にランクインしている。斯様に官から民も波が発生し消費者側もまた問題意識を持つ切っ掛けとなってくるか。


キャッサバ熱再燃

ちょうど一週間前から原宿では期間限定で「東京タピオカランド」がオープンしているが、今朝のTVでは複数の局であの富士そばが「タピオカ漬け丼」なるオリジナルメニューを売り出した事を取り上げており、もともとTwitterで注目を集めていただけあって限定メニューの同品は仕込みが追い付かずに売り切れとなっている旨が放映されていた。

ところで原宿といえば近所では同じく9月までの期間限定でリプトンの「Fruits in Tea」期間限定店も表参道にオープンしているが、今年はメインとなる様々なフルーツと共にカラータピオカがスペシャルアクセントとして底に沈んでいるなどまさに今がタピオカブームのピークの様相という感もある。

そんなワケで今年上半期の全国タピオカ輸入量は前年同期比で4.3倍、輸入額は約5.7倍といずれも過去最高となったという。しかし私などが覚えているタピオカブームといえばまだバブルが燻る90年代のティラミスの後くらいだったと記憶しているが、この手は時として繰り返しブームが再来するモノが本当に多い。利益率も比較的高くビジネス的にも障壁は低いものの何れまた訪れる終焉期はバブルの最中には誰にもわからぬものである。


次世代議決権行使

さて、先週末の日経紙総合面では「株主総会、ネットで出席」と題し、業の株主が議論の視聴だけでなく質問や議決権の行使も法律的に問題なく出来るようにするなど、インターネット経由で株主総会に出席出来るよう株主の利便性を高め形骸化しがちな株主総会の活性化を狙うべく経産省等が企業向け指針を作る旨が出ていた。

総会シーズンともなると彼方此方の企業から丁寧な会場案内図が記された招集通知が送付されてくるが、一寸遠隔地ともなるとなかなか躊躇われ更に昨今のお土産自粛機運から招集通知には赤文字でお土産のご用意はございません等ときっぱり謳っている通知もあり、これらが更に腰を重くしている部分もあるか。

これまで株主総会に出席できない場合は郵送で議決権行使というパターンであったが、もともと個人株主の行使比率は3割程度が相場、つまり個人株主の3分の2が議決権を行使していない状況であった。そんなワケで議決権を行使してもらいたい企業のニーズを背景に昨年から議決権行使をスマホで行えるサービス等が開始されているが、これらに枝葉を持たせることで行使率のアップなど総会の活性化に繋がるかどうか今後の進化にも注目したい。


コード9665

さて、一部では漸く収束の兆しもチラホラ見えてきた吉本興業のゴタゴタ劇だが、先週末の日経紙・真相深層では「芸能人は例外 変わるか」と題し、お笑い芸人の闇営業問題を機に始まった騒動が事務所と芸人との契約の在り方に飛び火しその見直しから経営の変革まで迫られはじめた旨が書かれていた。

ところで吉本興業といえば10年前まで曲がりなりにも東証一部に上場していた企業。現会長が社長就任後に元ソニー会長率いるクオンタムリープのTOBに賛同しMBO実施で非公開化に踏み切ったワケだが、各メディアなどを主要株主にしこれが渦中の芸人が強行した記者会見でテレビ局が株主云々との発言の背景になっている。

仮に上場していたらけっこう株価にとってはダメージを与えた事件?もMBO後にあったが今回の件もまたしかりでガバナンスが機能していたとは言い難い。とはいえMBOで反社勢力には一定の抑止力効果はあったものの、いろいろな意味で一強の権力集中を招く副作用も応分にあったか。働き方改革など世が変革しつつある時に旧態依然を踏襲する組織は自己変革出来るか否か、まだまだ今後が注目される。


時期尚早

本日の日経紙金融経済面には「SEC、承認判断を再延期」と題し、SEC(米証券取引委員会)が米3社の申請していた仮想通貨ビットコインのETF(上場投資信託)を承認するかどうかの新たな判断期限を、仮想通貨交換所がサイバー攻撃のターゲットになり資産流出事件が相次いでいる事などを背景に9〜10月にそれぞれ再延期した旨が出ていた。

ビットコインETFに関しては当欄でもちょうど昨年の今頃触れているが、当時は3度目の正直で悲願が叶うのか否かとしたCBOEに上場申請したビットコインが承認まであと1ヵ月というところであったが、結局延長が重なり年を跨いで米政府機関の一部閉鎖と併せCBOE自ら申請を取り下げる結果となった経緯がある。

それらを経て今回も承認判断再延期という事になっているが、先物が先行上場を果たしているだけにそれらを原資産としたモノなどへの期待も高く、フェイスブックの「リブラ効果」から価格も上昇してきているもののインフラ整備等がそれらに追い付いていないなどやはりその壁は未だ高いのが現状である。