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大都市圏の苦悩

さて、昨日の日経紙・経済教室には近畿大学教授のふるさと納税と地方財政と題した項があったが、ふるさと納税といえば総務省は今月アタマに昨年度の寄付額が5127億円だったと発表している。これで6年連続の過去最高更新となったが、最高となったのは寄付額に限らずこれに基づく19年度の住民税控除額もまた記録となった模様。

昨年も同控除額が前年比で約4割増加した旨が総務省発表で為されていたが、今年も約3割増加となりはたしてというか東京の控除額が昨年の約645億円から今年は867億円と突出して多く、市区町村では横浜市の136億円はじめ大都市圏の自治体にとっては引き続き頭の痛い状況が続く。

しかし今回の新制度で外された全国最多を集めた大阪の泉佐野市含む4市町が寄付額の22%を占めるなど駆け込みが如実に表れた格好となったが、これを境に寄付額増加が一服し本来の姿への転換点となるか否か?19年度住民税控除対象者の割合は7%程度と同紙では書いてあり、除外対象からの流出分などと併せその伸びしろを勘案するにまだ地方交付税の恩恵の無い大都市圏の苦悩は続きそうな感もある。


TOCOM過去最高値

さて引けてみれば小反落であったものの一時は下げ幅を約600ドルに広げるなど米株式の動揺が続くが今週はNY市場が今年最大の下げ幅を記録し、人民元は2日続けて11年ぶりの安値を更新、FRBの利下げが予防的なものにとどまらないとの見方が日米金利差縮小観測に繋がり東京市場では円相場が1ドル105円台まで上昇する場面があるなど米中貿易戦争激化で世界の金融・証券市場が揺さぶられている。

そんな大揺れとは裏腹にCOMEXの金相場は大幅続伸し中心限月は2013年以来ほぼ6年4か月ぶりに1500ドル台の高値を付け、TOCOMも中心限月は連日の続伸から1982年の取引開始以来の史上最高値を更新、地金価格もまた1980年2月以来、約40年ぶりの水準に上昇とこちらは破竹の勢いである。

世界の投資マネーが高リスク資産を回避する動きのなか現物資産の裏付けがあり相対的に安全な資産とされる金に買いが集まる教科書通りの原点回帰の動きだが、先物主導のスペック的な動きのみならず先月も書いたようにETF残高等も6月末時点で6年3か月ぶりの高水準に達しているあたり冒頭の通りFRBの利下げが予防的なものにとどまらないとの見方の証左でもあるか。


官介入の是非

本日の日経紙企業面には「ルネサス新体制に試練」と題し、半導体需要の減少で本業のもうけを示す営業損益が赤字になるなど半導体大手ルネサスエレクトロニクスの業績が低迷している旨が出ていたが、かつて「日の丸半導体」と喧伝された同社の先行きに暗雲漂う状況が続いている。

同社といえば11年の東日本大震災で主力工場が被災し経営危機に陥った事から官民ファンド支援で再建を進めた経緯があるが、その後の産業革新機構の同社株売り抜けと対照的に経営トップはコロコロ変わり日の丸ではない資本に支援を求めるなど当初描いていた姿とは思惑外れの結果となっている。

ところでルネサスのような日の丸半導体と同様な「日の丸」モノとしてやはり直ぐに思い浮かぶのは「日の丸液晶」を謳い登場したジャパンディスプレイか。こちらもこの数年の崩落で株価は見る影もないが、斯様に鳴り物入りの政府主導で機構が旗を振ってもことごとく頓挫している様を見るに変化への機敏な対応が出来ない官の介入が正解であったのか否かは火を見るよりも明らかである。


取引所もスピードバンプ

さて、本日の日経紙金融経済には「取引速度あえて遅らす」と題し、HFT(高速取引)業者に対する他の投資家の不平等感を解消する事で活発な取引に繋げる狙いとして、世界の取引所で投資家の注文を受けてから執行までの時間を敢えて遅らせる「スピードバンプ」なる仕組みの導入が広がっている旨が書かれていた。

そうした動きに対し東証としてはテイカー型のみ不利になる差別する仕組みの導入には慎重姿勢というが、既に一般との機会不平等が混在するなか昨年の今頃にはロシア系の新興勢力HFT業者による東証での売買全体に占める比率が1割を超えている可能性も高い旨を書いた通り主力級プレイヤーに台頭した存在の扱いは課題か。

もう一つ当欄では今から2年前だったか、そのシステム開発負担の重さを背景にHFT大手米バーチュ・フィナンシャルが同業のKCGホールディングスを買収するなど再編機運から高速業界も淘汰の波が押し寄せてきている旨を書いた事があるが、このスピードバンプの実施が広がりを見せれば淘汰の波に更なる拍車がかかるのは想像に難くないか。


親子上場と利益相反

さて、親会社のヤフーに対しアスクルが資本・業務提携の解消を求め両者がザワついているが、果たして先週開催されたアスクルの株主総会では親会社のヤフーの意向でトップと独立社外取締役の再任が否決、この辺に絡んでは本日の日経紙社説で「看過出来なくなってきた親子上場の弊害」と題して問題点が挙げられていた。

この件でトップは兎も角も社外取締役の処遇が物議を醸し出しており、結果としてこの株主総会後にアスクルの独立社外取締役は存在しなくなってしまったが、今後親会社の意向が強く働くケースが出てきた場合には少数株主の利益が脅かされるなど不利に傾く可能性も出て来ないとも限らない。

先に政府も新たな指針を作成し子会社の取締役会で独立した社外取締役の比率を高めるよう求める一方、親会社には親子上場を維持する合理的な理由を開示させるなど親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを謳っているが、政府が大株主となっている一部の企業でも社外取締役が3分の1に満たない例があるのが現状でこの辺がまだ課題として残る格好になっているか。


代替肉とESG

NYは大幅続落となったものの本日の日経平均は円安効果に助けられて小反発、そんな中個別では本日続落となったものの大塚ホールディングスが連結業績上振れ着地から一昨日急騰し一時4,000円台に乗せてきた。同社株といえば先月の日経紙・市場点描でも代替肉関連株への関心が高まっている旨で、大豆ミートを手掛ける不二製油ホールディングスと共に肉を使わないソーセージを販売する同社も取り上げられていた。

この代替肉といえば斯様な上場企業でなくとも埼玉のベンチャー企業グリーンカルチャーなど先月から代替肉焼売の販売を開始しているが、米でナスダックに新規上場した代替肉のビヨンド・ミートが株価大化けと共に話題を振り撒いているあたりから昨今は欧米の代替肉ブームの波が各所で波及しつつある。

当欄ではこれまで度々ESGについて触れてきたが、リアル肉に比べて飼料による地球温暖化への懸念等々環境への負担が少ないという事で環境や企業統治の観点から上記の企業群もESG投資のカテゴリーに括られるという事になるが、各所でこうしたサステナブルを意識する動きが加速しつつあると切に感じる。


思惑外れ

本日は日本郵政グループがかんぽ生命保険による不正販売問題に絡んで約3千万件の全契約について調査に乗り出す無の発表をしていたが、日経紙経済面では早ければ9月に売り出すとしていた政府による日本郵政株の第3次売却が、この不祥事から株価が急落した事による影響で今冬以降となる公算が大きくなった旨が出ていた。

当の日本郵政株は本日も寄り付きから年初来安値を更新しており、復興財源1.2兆円は必達事項と表明していただけにこの株価では売り出し価格の設定から、売却までの需給緩和を勘案するにここからはあと10%以上の値上がりが最低ラインといったところでやはり今回の不祥事は何ともなタイミングの悪さである。

売り出しに関る思惑外れといえば来月マザーズに上場する大阪大学発の新興バイオ企業のIPOも仮条件変更から当初の手取り額が計画より約4割減少する見通しとなった模様だが、この手とは違ってこちらは復興財源が懸かっているだけに深刻だ。今後政府の思惑通りに事が運ぶのか否かだが、先ずはグループ全体のコーポレートガバナンス体制の再構築が何所で一区切りつくのかが焦点となるか。


地銀の苦悩

本日の日経紙地方経済面には「持ち合い株削減じわり」と題し、北関東の5地銀・グループが持ち合い株式の削減を進めている旨が出ていた。単体の中核的自己資本に占める持ち合い株残高比率を25%まで低下させる方針を掲げる群馬銀行は、2019年3月期で18銘柄135億円を売却、以降額ではめぶきFG、栃木銀行、東和銀行と続く。

周知の通り日銀の超低金利政策の長期化による利鞘縮小を背景に地銀は収益力の低下に苦悩しており、先に全国地方銀行協会が公表した会員63行の平成31年3月期決算は最終損益合計が前年比20.7%減の6211億円と3年連続で前年割れとなり、全体の7割弱にあたる41行が減益の憂き目に遭っている。

企業資金需要低下や地域経済地盤沈下のなか貸し出し競争激化でスルガの様な苦し紛れの不正融資事例も出てきてしまっており、削減促進の背景にはコーポレートガバナンス・コードの政策保有株削減方針明記要求を背景にしているだけではない上記のような構造問題の恒常化もあり再編促機運がまた高まりそうだ。


令和の隅田川

さて、26日に発生した台風6号の影響で各所のお祭りや花火大会など夏の風物詩が各地で中止に追い込まれ、場所によっては2年連続で中止の憂き目に遭うなど関係者から恨み節も聞こえた先週末であったが、ここ数年順延や雨のチラつく天候に悩まされている隅田川花火大会は予定通りの開催となった。

東京三大花火大会の一つであった東京湾大華火祭が休止となってはや4年だがその分の経済効果も期待が掛かるというもので今年で42回目となるこの花火大会、衝撃の中止に追い込まれた2013年の記憶から関係者もやきもきしていたが、果たして約96万人の見物客が訪れ約2万発の花火を楽しんだ模様。

隅田川といえば恒例の花火コンクールが楽しみの一つだが、今年はエントリー最初の阿部花火工業と最後の菊屋小幡花火店の題材が両者共に奇しくも散る桜であったが、店が違うと作品も斯様に違うのかと感心。またここ数年時間差で動きや変色を見せる技術が格段に進歩し、今年優勝した丸玉屋小勝煙火店の五輪をテーマにした作品はやはり圧巻で令和最初を飾るに相応しい大会であった。


大麻投資

さて、先週末はロックバンドDragonAshのサポートメンバーが大麻取締法違反の容疑で現行犯逮捕される事件が報じられたが、大麻といえばアジアでは従来厳しい姿勢をとってきた医療用大麻の規制を見直す動きが広がりつつあり2月にはタイで、そして3月には韓国で医療用大麻が合法化されている。

一方で米などは一部の州で大麻が合法化されており、医療用どころか大麻入りの菓子など最近ではよくTVでも話題になっているが、金融市場でもコロナビールの販売で知られる米酒類大手が昨年8月に医療・娯楽用大麻を生産・販売するカナダのキャノピー・グロースに40億ドルの追加投資をし筆頭株主になった旨が過日の日経夕刊に出ていた。

米での法制度面での進展期待を背景にリスクを取ったパターンだが、さながらエシカル投資の真逆をゆくカジノ、煙草から銃メーカー等に投資するVICEFUNDを思い出す。大麻が合法化された際には多かれ少なかれ大麻関連事業が盛り上がってきた経緯があるが、規制当局の動きを睨みながらVICE関連も再度の盛り上がりを見せるのか否か興味深い。


五輪と市場の宴

さて、東京オリンピックまであとちょうど1年となった本日は東京2020オリンピックメダルのデザインが東京2020組織委員会より発表されたが、オリンピックといえば今日の日経紙市場点描でも「選別色強まる五輪銘柄」と題し、東京開催が決定して以降の五輪関連銘柄の株価がどう推移しているのかを取り上げていた。

冒頭では中核銘柄とされた大手建設株が取り上げられていたが、このポストは前回の五輪相場での覚醒がやはり記憶に新しい。それまで万年低位に放置され続け大きな震災発生時に僅かな出番があるかといった程度であったが、この五輪相場の時はゼネコン大手4社の売買高が連日でバブル期の記録を上回るという破竹の勢いを見せた経緯がある。

此処で他にスポーツクラブ・用品メーカーの動向を取り上げていたが、上記の大手建設株同様に何れも受注や業績への期待感が剥落しピーク時からは4割がた下げている模様。五輪開幕の度に選手所属企業や用品メーカーが辿る軌跡も同様なものがあるが、材料先喰いの株価がときに開催前に閉幕商状となるのはこの手のテーマの常とはいえ、いざ開催後はメダル獲得数に絡んだ行動ファイナンス事例などその辺もまた期待出来るか


引き下げ圧力彼是

本日の日経紙金融経済面には「運用会社、手数料下げ競争」と題し、公募投資信託の残高が大きい主な運用会社10社の2019年3月期は7社が最終減益となったが、その収益を圧迫している背景には投資信託の手数料引き下げ競争が激しく資産運用会社が低コスト化の逆風に直面している旨が書かれていた。

パッシブ型運用の手数料は大幅に低いところへ長期的に高い運用成績を見込み難くなるなかアクティブ型も引き下げ圧力が及んでいるというが、金融商品の手数料といえば株式売買においてもスマホアプリで顧客にサービスを提供する新興証券会社の一部で手数料をゼロにしたり、大手ネット証券では米国株式の最低売買手数料をゼロにする動きもまた広がっている。

1999年に株式売買委託手数料が完全に自由化されてからこの20年、手数料率の変遷を見るに隔世の感は否めないが、この期に及んでも旧来型営業の回転売買で手数料稼ぎが問題視された証券会社が立ち入り検査強化等の指導を受けている報を聞くに一部の旧来型対面営業に荒涼とした環境を禁じ得ないが、少子高齢化に業界の合従連衡の波と今後も環境変化が注目される。