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需要減に救いの手

さて、今年のホワイトデーは当にコロナショックの直撃でそんな日本独自のイベントを楽しむ雰囲気にも無かったが、この辺に絡んでは先週末の閣僚後記者会見で農林水産相がコロナウイルスの影響で生花需要が大幅に減っている事を受け花卉業界を支援するためにホワイトデーにぜひ花を贈ってと呼びかけていたのが印象的だった。

花といえばブックオフ運営のリユース店もバレンタインの時期に規格外で通常廃棄されてしまう生花のテスト販売など行う動きがあったのを思い出すが、この手では感染拡大防止の「巣ごもり消費」の需要に応えるべく冷凍事業のデイブレイクも規格外の果物や野菜を原料にスムージー等の飲料販売をネットでスタートさせている。

ともあれちょうど年度替わりで卒業式や歓送迎会などこの時期は年間でも花は最需要期となっているものの、今年はこれが殆ど総崩れでとりわけ日持ちがしないという商品の特性上大きな痛手だ。折しもお花見の自粛要請まで出たという事でフローリストでは巣ごもりに絡んで桜の枝と行き場の無くなったこうした花を抱き合わせてセット販売する動きも出てきた。

思えば新型コロナウイルスのパンデミックによる連日の金融市場混乱で辟易している日常もせめて家庭で花を愛でる一時の癒しも一考というものだが、降って湧いたような需要の減少や規格外で廃棄されてしまうモノを生産者から買い取って活用するなどまさにSDGsの時流に乗った動きでもあり、今後もこの手の上記のような枝葉が広がってゆくのは想像に難くないか。


全てが安い

本日の日経紙・市場点描には「ヘッジファンド盟主も苦境」と題して、英ファイナンシャル・タイムズがコロナウイルスショックによる相場暴落で米ブリッジウォーター・アシスエーツ創業者が運用する旗艦ファンドの年初来成績がマイナス20%に達するなど急速に悪化している旨が書かれていた。

末尾にもあったが氏といえば世界最大のヘッジファンドを率い株式、債券、商品の各資産のリスクが均等になるよう分散投資するリスクパリティ運用の発明者で有名であったが、ここ30年の運用で年間収益マイナスがわずか3年、2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った同氏もコロナウイルスはこれまでと勝手が違ったようだ。

確かに金などコロナウイルスの感染拡大につれて株が急落する中を当初は7年ぶりの高値まで大きく買われたものであったが、斯様な有事の金買いも暴力的相場下でパニック時の金売りに転じ昨年秋口の株式、金、債券等の「全部高」構図が今月に入って一転して「全部安」の構図になったという感じだ。

そんなワケで2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った上記のファンド創業者もコロナウイルスの前には常勝の方程式も通用しなかったようだが、FRBも3日に続き事実上ゼロ金利政策に踏み切るなどこれら金融政策を背景に一相場を形成してきた金の逆戻しも続きこのまま「全部安」相場が継続されるのか否か、今後も各相場からは目が離せない展開か。


市場が語る期待度

先週末の米株式の暴騰を受けた週明けの株式市場だが結局日経平均は乱高下の末に大幅続落で引けた。新型コロナウイルスパンデミックで激震収まらぬ金融市場だが、先週のECB理事会では年末までの量的緩和策の規模拡大を決定したものの注目されていた政策金利の引き下げに関しては見送りとなった。

これに限らず金融安定化策として各国がどういった事を取り得るのか注目されていたが、FRBは3日に続き臨時の会合を開き政策金利を一気に1%下げ事実上のゼロ金利政策に踏み切る事を決定、先週はこのゼロ金利を織り込む動きが進んでいたが果たしての決定後今日のグローベックス米株価先物はサーキットブレイカーが発動されるほど急落の憂き目に遭っている。

一方で本邦も日銀は明後日から予定していた金融政策決定会合を前倒しで開き、ETF買い入れ年間目標額を現行の6兆円から当面12兆円に拡大する追加金融緩和策を決めた。ちょうど一週間前の当欄では日銀御ETF買い入れコストも意識されると書いたが、ETF買い入れ額は既に今月に入ってから先週12日まで累計で5000億円を突破し先月の1か月分に迫る勢いとなっている。

日銀の金融緩和はETF買い入れ目標額を拡大した2016年7月以来約3年8ヵ月ぶりとなるなど取り急ぎ各国とも現状で出来得る事の最大級の措置を打ち出して来たとみられるが、今日は何所のマーケットもその慌てぶりがかえって疑心暗鬼を誘う格好になってしまい肩透かしの展開。伝家の宝刀である金融緩和もこれで出尽くし感が台頭するようであるとその神通力にも陰りが出て来てしまうというものだがさて明日以降如何に。


逆オイルショック下の珍事

本日も日経平均はWHOによるコロナウイルスのパンデミック認定を嫌気し急落、ザラバでの1,000円超えの急落はこれで今年は4回目となるなど金融マーケットは今週も大揺れが続いたが、急落の憂き目に遭ったのは原油も然りで週明けのWTIは一時33%安となるなど1991年の湾岸戦争以降で最大を記録した。

まさに「逆オイルショック」ともいえる暴落だが、こんなオイル安の状況下にもかかわらずつい最近まで目立っていたオイルショック時の買い占めを彷彿させるような珍事といえばトイレットペーパーの品薄現象か。漸く購入が困難ではなくなってきたが、政府やメーカー側が潤沢な在庫があり買い占めは慎むように繰り返したものの、結果的に切羽詰まって必要な向きが入手困難だったのは事実で説得力に欠けた声明だったのは否めないところ。

かつてのオイルショック時もデマの連鎖がモノ不足への恐怖を煽り今なお語り継がれる買い占めに人々を走らせたものだったが、しかし今や中高年層になった向きが幼少期に経験した斯様なトイレットペーパー買い占め騒動があれから50年近く経ったこんな現代でも起きたのは時代が変わっても人の行動原理は変らないという証左であるのは言わずもがなか。


あれから9年

本日で東日本大震災から9年が経過した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が注視となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、各地でインフラの整備が完了に近付く一方で今なお被災地では48000人近くが避難生活を余儀なくされている。

当時は3基の原子炉が次々にメルトダウンを起こすというまるで映画のようなシーンが現実に起こり、金融市場もサーキットブレイカーが短時間に2度も発動されるなどパニックになったのが鮮明に思い出されるが、皮肉なことに今年はちょうどこの期にコロナショックで金融マーケットが同じような事態に陥っている。

一部の小学校などではこの時期に防災啓蒙で各種の非常食が配られるのが恒例となっているが、これまた今年の場合はコロナの影響からくる巣ごもり消費とやらで非常食の引き合いも強くなっている。何れにせよ政府が復興・創生期間と位置付けた震災10年まで残り1年、復興への思いを風化させず真摯に課題と向き合ってゆく事が重要か。


アルゴ席巻

本日の日経紙総合面には「コロナショック市場緊迫」と題し、金融市場でパニック的な動きが広まった旨が出ていたが、株や原油の暴落もさることながら前日の外国為替市場でも円が2分で1円50銭急伸するなどで急速な円高・ドル安が進行した結果、円の対ドルの年間値幅は10円を上回ることとなった。

ザラバ急伸の要因の一つとしては某ネット証券のシステムトラブルも挙げられていたが、為替市場での荒い値動きの背景として株式市場で普及しているアルゴリズム取引が同市場でも伸びている事も書かれていた。2年連続で値幅が過去最少を記録するなど低ボラ慣れの均衡が崩れたケースだが、この辺はオプション市場のセルボラが外れた時のパニックにも似ているか。

電子取引の普及を巡ってはちょうど一週間ほど前にも同紙でHTF業者が日本の特異なダークプールの構造を逆手に取って収益を狙う仕組みを取り上げていたが、ロスカットプログラムも東日本大震災時のオプション市場で物議を醸し出した経緯がありこの辺の機会不平等はリクイディティー提供と共に一括りで一朝一夕には解決が難しい問題か。


悲観を呼ぶ悲観

週明けの日経平均は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず投資家心理が一段と悪化するなか、OPECプラス会合でも協調減産が決裂した事を受け業種を問わず売りが加速し昨年の年明けの急落以来約1年2ヵ月ぶりに節目の20000円を割り込む大幅続落となり、TOPIXも2016年11月以来の安値水準となった。

東証一部の時価総額はここまでザッと130兆円あまりもの減少を見せ上記の通り本日もさながらセリングクライマックスのような四桁暴落となったが、スパイラルな売り圧力で落ちるナイフを積極的に拾う動きは殆ど見られず日銀の粛々としたETF買い入れが先週末同様に1002億円行なわれたのが不気味に目立つ。

日経VIも前週末比で11.30ポイント高の47.71と急伸、斯様な状況から夜間取引に入ってからも19,000円の大台をも割り込む大幅続落を見せたかと思えば急速に戻してプラス圏に浮上する局面もあり、合せてオプション市場もプットが夜間に入り更に倍化したのも束の間、高値から2時間も経たないうちにあっという間に4分の1まで売られるなど東日本大震災やリーマンショックを彷彿させる動きを演じている。

昨年から凪のように横這いだった為替もここ数日であっという間にはや101円台にまで上昇、主力企業の想定為替レートを考えるにここまで僅かに残っていた業績の踏み止まり期待も諦めに変ってきているが、日銀のETF買い入れコストも意識される水準に迫るなか先物中心とした暴走に振り回される展開はまだ収まりそうにもないか。


流出と流入の危機

本日の日経紙商品面には「和牛仔牛6ヵ月連続下落」と題し、新型コロナウイルスの感染拡大で国内の和牛消費を支えてきた訪日客層の減少等から肉相場安が加速、仔牛価格にも下押し圧力がかかる悪循環などで1月は前年比で約5%安となり前年比割れは6ヵ月連続となるなど価格下落が顕著になっている旨が出ていた。

ところで和牛といえば当欄ではブランド化とその保護に関して昨年末に和牛の海外流出を防ぐべく法整備を固める方針の旨を書いていたが、同日の経済面には和牛遺伝資源の海外流出を防ぐべく生産者側の裁判所に差し止め請求や刑事罰含めた法制度が出来る旨が書いてあった。

この手の対策は急務の課題だっただけに些かの後手感は否めないが、まだ他にも日本で10年前に品種登録されたブランドサツマイモの紅はるかなどお隣の韓国で正式に輸入されたものではないにも関らずこのコピーが蜂蜜サツマイモなる名前で今や栽培量の4割を占め、シンガポールや香港などに輸出攻勢している旨を先月のWBSでも観た。

昨年は農産品の輸出目標として掲げた数字が未達に終るなかこうした輸出攻勢は本邦戦略にも影響してきそうだが、TPP発効で冒頭に関して言えば安価な肉やまたフルーツなども然りでこれらが幅広く流通してくるなか本邦のブランド保護問題の重要性はますます増して来ようか。


Super Tuesday

本日の日経平均はVIXやVIが高水準を維持し戦々恐々のなか、日銀によるETF買い入れ観測や米大統領選に向けた民主党の候補者争いを巡り中道派の前副大統領が複数の州で勝利を確実にしたと伝わり、海外の短期筋などが先物へのカバーを入れた事もあって辛うじて小反発となった。

序盤でこそサンダース氏がアタマ一つ抜きんでていたわけだったが、ここへきてバイデン前大統領が予想外の健闘を見せた事が本日のマーケットにもサプライズとなった格好だが、どこで流れが変わるかわからず大統領選に向けた候補者選びは益々激しさを増しているという感か。

しかし米大統領選に向けた米民主党の予備選等が集中するこのスーパーチューズデーもさることながらTV等で多くの学生達が授業が始まっているにも関わらず投票の為に何時間も列に並び、マイクを向けても自身の言葉でビジョンをしっかりと語っている光景を目にするにこの辺一つとっても投票に行きたがらない日本の若年層との違いに危機感を覚える。


令和元年なでしこ銘柄

本日は女子の健やかな成長を祈る年中行事の雛祭りであったが、東京都心の方は午後には17度を超える4月並みの暖かさとなった。今月中旬にも今年の暖冬傾向による商戦の変化を取り上げたが、なんでも雛祭りとしては54年ぶりの暖かさで観測史上3番目の暖かさだったらしい。

その辺は兎も角も今年は新型コロナウイルスの感染拡大懸念で各所のひな祭りにちなんだイベントは何所も自粛ムードとなっている模様だが、ひな祭りといえば当欄では今から7年前にも一度取り上げ今年ではや8回目となる女子社員を積極活用し経営効率も高いという女性が活躍出来る企業として所謂「なでしこ銘柄」が今年も東証で粛々と選定された。

JPXの令和元年度選定企業一覧を見てみると一番上にはカルビーがあるが同社はSDGs食品ロスの関連銘柄でもあり、また大塚ホールディングスも生保系のSDGsファンドの組み入れ銘柄上位になっていた経緯もあり、この辺のカバーなどESG投資が活発化してきている近年はこうした部分に配慮した事業活動の傾向が各社顕著になってきている感がある。


揺れ継続

先週末の欧米株式の続急落を受け懸念された週明け本日の日経平均は日銀総裁談話が報じられ、一回の買い入れ額としては過去最大の日銀によるETF買い入れ実施をした事から終わってみれば6営業日ぶりに反発となったが、その値幅も758円と2018年2月6日以来約2年1か月ぶりの大きさとボラタイルな展開となった。

日米欧の時価総額は前週末比較で1割減少したと先週末の日経紙一面では報じられているが、オプション市場も半信半疑なコールに比較し手掛け易い3月限プット17750など本日は寄り付き99円が夕刻には50円台に半減したのも束の間、これを書いている現在は185円の高値を付け約3倍に急騰するなど目まぐるしい展開を見せている。

街へ眼を遣ると外出自粛ムードも相俟って先月の百貨店売上高は前年同月比2桁減少が相次ぎ、首都圏ではホテル料金も軒並み2〜3割ディスカウントになってきている。また本日からの休校要請でテレワークと共に休校で自宅のパソコンやタブレットを活用した教育もテレワークと共に注目を集め出した。

ともあれ日銀総裁談話で取り敢えずの一服を見せた日経平均だが、各国による協調利下げが実施される運びになってもそれで企業業績の急回復が望めるワケでなく、ましてや新型コロナウイルスの感染拡大が止まるワケでもないわけで今後のディスクロで更に顕著化して来る経済への影響とタイムラグの先取りとが交錯する相場展開になろうか。


焦土作戦?

さて、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の警戒感から本日も日経平均は大幅に4日続落となり銘柄によっては魅力的な利回りのモノも出てきたが、先週末の日経紙・真相深層では前田建設工業によるTOBの標的となった前田道路がこれに対する対抗策として従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施を決めた旨が出ていた。

要はTOB条件によく付帯されている買収対象の資産価値が大幅に変動するようなケース、つまり今回の場合は10%以上が減少する場合はTOBを撤回出来るという条項をTOBを断念させるべく実際に行ってしまおうというものだが、確かに豊富な現預金を吐き出した箱になお買収する合理性があるのかというところで何とも捨て身な作戦に出たものだ。

このTOBに関しては当欄で先月末に一度触れているが、前にも書いた通り同じ前田の名前が付くも元は他人同士で独立を保って成長してきた経緯があり、しかも時価総額で見れば前田建設工業よりも上位に位置しているだけに一言では語れないようなある種プライドのようなものがコアになっている感も。

豊富な手元資金を巡ってはまだ投資ファンドがハゲタカ等と揶揄されていた時代から多くの上場企業がこの点を指摘されターゲットにされてきた問題でもあったが、このご時世に余剰資金を成長投資に使う事なくTOB回避の増配に回さざるを得なくなった今回のケースは企業価値向上という部分でまだ新たな問題提議をしそうだが、さて、捨て身に出た前田道路の賭けが奏功しTOB撤回となるのか否か先ずは注目しておきたい。